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【連載第162回】ゲームライフに役立つグッズをレポート

「Driving Force GT」を発売直前レポート
グランツーリスモオフィシャルの性能を試す!

当連載は、ゲームライフに役立つグッズを発掘し、実際に使用してみようという試みをレポートするものである。ネタに困ったときはお休みしてしまうかもしれないので不定期連載である。ちょっとした投資や工夫で、よりよいゲームライフを送っていただけるよう、鋭意努力していく所存である。


 ハンドルコントローラ「GT FORCE」シリーズに、グランツーリスモオフィシャルのステアリングコントローラ「Driving Force GT」が登場した。「Driving Force GT」は「グランツーリスモ」シリーズを開発する株式会社ポリフォニー・デジタルとロジクールが協力し、設計・開発に約2年を費やしたという、まさしくオフィシャルの名にふさわしいこだわりの一品。

 今回は、6月12日に発売されるモデルの製品版をロジクールよりお借りし、各部の基本的な仕様から、最大の特徴である“レース走行中のセッティング調整”を可能にしている「リアルタイム・アジャストメント・ダイヤル」の使用感、「GT FORCE RX」との比較、そして「GT5 プロローグ」でのプレイなどを早期レポートしてみた。

【今週のおしながき】
PS3 ロジクール「Driving Force GT」



● 「リアルタイム・ジャストメント・ダイヤル」を搭載

「Logicool Driving Force GT」

    メーカー:ロジクール
    価格:17,800円
    発売日:6月12日
    PS3システムソフトウエアバージョン 2.00以上
    本体サイズ
     ステアリング本体サイズ:幅350mm×奥行290mm×高さ260mm
     ペダル本体サイズ:幅280mm×奥行330mm×高さ160mm
    本体重量
     ステアリング部 2.5kg ペダル部 1.3kg
    パッケージサイズ 幅324mm×奥行357mm×高さ289mm
    パッケージ重量 4.9kg
    ケーブル長
     ステアリング部 270cm ペダル部 210cm

「Driving Force GT」のステアリングユニットとペダルユニット。これにACアダプタが同梱されている。「GT FORCE RX」にあった、膝で挟んで使用するラップアタッチメントはついていない
こちらは「GT FORCE PRO」。「Driving Force GT」と外観が近く、おそらくこれが「Driving Force GT」のベースになっているのだろう。ペダルユニットは同じ作りだ
ステアリングユニットの中央部分。中央のホーンボタンはクリアパーツになっていてGTのロゴが光る。全体のカラーがブラックの中、唯一赤い色をしているのが「リアルタイム・ジャストメント・ダイヤル」だ
 まずはステアリングユニット、ペダルユニットの外観や作りから触れていこう。基本的には「GT FORCE」シリーズの上位モデル「GT FORCE PRO」がベースになっているようで、外観や作りが共通する部分は多い。

 ステアリングユニットは、ベースになるフレーム自体はプラスチック素材(ABS)でできているが、ステアリングは手で持つ左右の部分にエンボス加工されたラバーが貼られており、そのほかの外周部分も硬質なラバーコーティングが施されている。プレイ中に触る最も重要な部分だけに、ステアリングの質感や素材はユニット部分と比べて格段にこだわられている印象を受ける。

 ステアリング径は11インチ(27.5cm)と大型化された。ステアリングユニット全体のバランス的にもステアリングは大きく、ベース部分がコンパクトに思えるほど。ステアリングはサイズからしても本格的で、がっしりとしている。ステアリングの回転も、ロック・トゥー・ロックで900度(2回転半)回転と「GT FORCE PRO」同様の本格仕様だ。

 ステアリングユニットに搭載されているボタンを見ていくと、□、△、○、×ボタンと方向キーが左右に配置されているのは「GT FORCE」とほぼ共通。中央には「グランツーリスモ」のロゴがバックライトで光るようになっているホーンボタンがあり、その周辺には上部にL3/R3の押し込みボタン、下部にはPSボタン(PS3本体の起動はできない)や、セレクトボタン、スタートボタンを備える。また少し独特だが、ステアリングスポーク側面の上側にL2/R2ボタンを搭載している。

 PSボタンの左右に配置されているのが、「Driving Force GT」最大の特徴といえる「リアルタイム・ジャストメント・ダイヤル」と、組み合わせて使う「+/-ボタン」。「リアルタイム・ジャストメント・ダイヤル」は赤色の外周部をダイヤル状に回してレース中に車のセッティングを調整できる。ダイヤルの中央は押し込み式のエンターボタンになっており、セッティング調整メニューの呼び出しや決定などに使う。ダイヤルは回すとカチカチと音が鳴り、クリック感もいい。

 また「+/-ボタン」は、丸いボタンが上下に分割されたような形になっていて、左手の親指で押す。主にレース中のセッティング調整時に項目の上下選択に使用する。リアルタイム・ジャストメント・ダイヤルのエンターボタンでメニューを呼び出し、+/-ボタンで項目を選択、ダイヤルを回してセッティング、エンターボタンを押して決定という流れになる。右手、左手、右手という順で使用することになるわけだ。

ベースになっている土台部分のサイズに比べて、ステアリングがかなり大きめ。「リアルタイム・ジャストメント・ダイヤル」をはじめとしてボタン数が多く、シフトも2系統を備える。ACアダプタは「GT FORCE」シリーズ共通のものだった

 ステアリングユニットの右側にはシーケンシャルシフトを搭載。また、ステアリングの背面にもパドルシフトを搭載しているので、どちらでも好きなスタイルでシフト操作できる。シーケンシャルシフトは「GT FORCE PRO」のものと、パドルシフトは「GT FORCE RX」のものと大きな違いはないようだ。またペダルユニットに関しても「GT FORCE PRO」のものと外見や作りはほとんど同等のようだ。底面はカーペットの上で使うときの滑り止め防止のための、突起がついたバーを引き出せる作りになっている。

ペダルユニットは「GT FORCE PRO」のものと同じ。ペダルもプラスチック素材になっている。背面のレバーを倒すと、突起のついたカーペット用の滑り止めバーが出てくる

● 「GT FORCE RX」との写真比較

サイズ比較のため「GT FORCE RX」と並べてみた。まず目に入るのはステアリング経の違いだろう。「Driving Force GT」のステアリングはがっしりと大きい。それに対して、ベースの土台部分は横幅こそ違いはあるものの、奥行きはそれほど変わらない

● ベストなセッティングをレース中に調整して試せる! 各種効果も飛躍的に体感しやすく

レース中のセッティング調整を可能にした「リアルタイム・アジャストメント・ダイヤル」。回すとカチカチと小気味良いクリック感がある
リアルタイムアジャスト中。画面中央にABSの設定が出ているのがそれだ。ダイヤルを回すと調整のメモリが増減する
 ここまでにも触れてきたが「Driving Force GT」最大の特徴は、“リアルタイム・アジャストメント・ダイヤル”を搭載していることだ。このダイヤルにより「グランツーリスモ」シリーズでは初めて、“レース走行中のセッティング”ができるようになる。調整項目はレース開始前に設定できる項目から、TCS(トラクションコントロール)、ABS(アンチロックブレーキシステム)の効き具合などを細かく設定できる。

 今までは、セッティングを決めてレースを開始し、実際に走って感触を確かめたあと、一度レースを終えて(中断して)セッティングを変えるという流れだった。この“リアルタイム・アジャストメント・ダイヤル”を使って走行しながら調整すれば、その感触をその場で確かめながら調整していけるというわけだ。調整内容が即時に反映されるので、よりダイレクトにセッティングによる変化を楽しめる。設定項目は以下の通り。なお、車種によって設定できない項目(4WDtqなど)がある場合、灰色で表示され調整はできない。

    ・TCS(トラクション・コントロールの効き具合) 10段階
    ・4WDtq(前後駆動力配分) 0~100
    ・ASM(スタビリティ・マネジメントの効き具合) ON/OFF
    ・ABS(アンチロックブレーキシステムの特性変更) 10段階
    ・BRK.F(フロントのブレーキバランス) 10段階
    ・BRK.R(リアのブレーキバランス) 10段階

調整項目の上下を操作する「+/-ボタン」。慣れないうちは方向キーを間違えて触ってしまう
 ダイヤルの反応や調整操作の反応はクイックで良好。「+/-ボタン」による項目選択もわかりやすくていいのだが、目線は画面に向けたまま手元を見ずに操作するので、慣れないうちは間違えて方向キーを触ってしまうことも多かった。ストレートで調整するように心がけるようにすれば、それほど問題はないだろう。このように手元を見ないで操作することが前提になるが、位置に慣れてしまえば迷いなく調整できた。複雑さはなく、操作を直感的に理解しやすい。ダイヤルの感触も前述のようにカチカチといじっているだけでも面白い。

 リアルタイムアジャストを使う楽しみは、「プレス向け説明会、試乗イベント」でも詳しく触れているので合わせてご覧頂きたい。簡単に言ってしまえば、走行中にセッティングを変えられるという一言に収まってしまうが、それによる面白さは一言では収まらない。コースを攻め込んでいく過程を、よりスムーズに実践しながら行なえるのはヘビーユーザーにとって待望の機能だろう。

 また、「GT5 プロローグ」をライトに楽しんでいる人が、より奥深い部分へ踏み込んでいく足がかりとしても良さそうだ。トラクションコントロールやアンチロックブレーキシステムを調整して、その効果を走りながら実感できるところは、その挙動の変化そのものも面白い。また、レースゲームは好きでも調整機能などの知識は乏しいという人でも、走りながら挙動の変化を体感すれば簡単に理解していける。わからない場合は、極端に調整してその違いを体感するといい。最初は走りやすいようにアシストを強めにセッティングし、ラインやブレーキングポイントを覚えつつ、よりアシスト量を削る方向にリセッティングしていけば、タイムも縮まっていくはずだ。

 「Driving Force GT」を使って自分に合ったセッティングを走りながら調整していくうちに、コースを攻め込んでいく面白さに自然と導いてくれるかもしれない。これは、リアルタイムに調整できてこそ、わかりやすい。

● フォースフィードバックと振動の圧倒的に豊かな表現力に注目

ステアリングコントローラ恒例の研究所員の自宅でのセッティング。デュアルクランプの仕組みは「GT FORCE RX」などと同様だ
 実は、今回の検証で感じた「Driving Force GT」の良さは、目がいきがちな新機能「リアルタイム・アジャスト・ダイヤル」よりも、むしろフォースフィードバックの表現力の高さにあると感じた。今回は「GT FORCE RX」と交互に使い比べて比較してみた。

 まず、アスファルトの路面をスムーズに走っている段階ですでに違いがあった。「Driving Force GT」では、小刻みに振動やフィードバックが入ってきて、平らに見えているアスファルトの微細な凹凸も拾ってくれ、路面状況を刻々と伝えてくる。「GT FORCE RX」では、この辺りの微細な振動表現が弱く、あまり伝わってこない。

 コースアウトして芝生に入ってしまったときも、「Driving Force GT」では画面の揺れとシンクロしてガタガタと細かく揺れる。また、同じように見えている芝生でも振動の表現が違ってくる。「GT FORCE RX」では振動の質自体は似ているものの、強弱段階の切り替わりが唐突で、芝生での振動やフィードバックは画面の揺れほどには起こらない。

 さらに石畳では「Driving Force GT」では乗り上げているときの揺れや振動が細かい。手に伝わってくる程度の振動から、ガタガタと音が立つぐらいの振動まで強弱がある。左右に車が揺れている感覚も、画面の揺れとシンクロして伝わってくる。「GT FORCE RX」では乗り上げた瞬間のガクンとしたフィードバックから緩やかな振動に入り、急激に激しくガタガタと音をたてる状態に切り替わる。

画面のようなバンクのついたコーナーだと、フィードバックが横にかかってくる。強弱の変化が細かく、その間には振動も路面の感触を伝えるよう細かに動作する
こちらは設定メニュー。細かなキーカスタマイズが可能だ
 他車やコース外のフェンスなど、衝突したときの表現もだいぶ違う。「Driving Force GT」では手に伝わってきたフィードバックや振動だけで、どんな状況でどの方向から衝撃が加わったかがわかるほど。

 フォースフィードバックや振動の感触は、基本的には「Driving Force GT」も「GT FORCE RX」も似てはいるが、表現力は圧倒的に「Driving Force GT」のほうが高い。フォースフィードバックや振動の強さがリニアに変化していき、ステアリングの重さも細かく変化していく。コーナーリング中にタイヤが粘っているククッとした感触や、負荷が抜けて軽くなる瞬間など「あ、これはすごいな」と思わされる瞬間がたくさんあった。

 画面との一体感も非常に高く、走っていくうちに「グランツーリスモ」シリーズの本質的な面白さが自然と伝わってくる。頭で理屈を理解せずとも、リアルな挙動からくるおもしろさや奥深さを体が理解する。

 ステアリング操作の感触は、ステアリング径自体が違うところもあって「Driving Force GT」のほうが当然操作しやすい。ステアリング径の違いは手の力の入り方に影響するため、結果的にフィードバックの感触に大きく影響してくる。ステアリング径が小さい「GT FORCE RX」は比較してしまうと表現力の差もあって不自然に感じられてしまった。

 フィードバックに逆らってステアリングをきるときの、ゴリゴリとしたギアの感触はどちらにもあるのが少し残念だが、フィードバックがかかっていないときのステアリングの重さは、「Driving Force GT」はとくに負荷を感じず軽く、ギュウウウという低い音が少し鳴る。それに対して、「GT FORCE RX」はギアのゴリゴリ感が強くて、ギイイイという高めの音が鳴る。操作しているときの音も「Driving Force GT」が自然に思えた。



 “リアルタイム・アジャストメント・ダイヤル”によるレース走行中のセッティング調整という目新しい独自機能もさることながら、フォースフィードバックや振動の表現力、画面とのシンクロ度合いの高さがなによりの魅力と思えた。

 特にゲーム画面との一体感の高さは特筆もので、これまでに触ってきたステアリングコントローラの1段上を行く。ポリフォニー・デジタルが協力して開発に約2年を費やしたというこだわりがうなづける代物だった。

 価格は17,800円と、14,800円の「GT FORCE Pro」や9,980円の「GT FORCE RX」と比べて高くなったものの、機能や表現力の高さからするとバランスがよく思える。むしろ試して得られた感触や感想からすれば価格以上に満足度が高いとも思えた。



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□ ロジクールのホームページ
http://www.logicool.co.jp/

(2008年6月11日)

[Reported by ゲーム環境向上委員会]



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