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2008年サービス予定
「星辰Online」は、2月のGamania本社訪問レポートでもお伝えしたように、今期最初となる自社開発の新作MMORPGだ。現在、台湾Gamaniaではすでに基本プレイ無料のアイテム課金制で正式サービスしている。本作の大きな特徴は、「星座」をテーマにした独特な世界観である。プレーヤーキャラクタは作成時に星座を設定する。この星座はキャラクタのスキルや、日々の運勢などプレイに密接に関係してくる。 本作では星座や理想の相手といった項目を設定することで、異性のプレーヤーキャラクタ(プレーヤーの性別ではない)を探し出すことが可能だ。その相手と絆を深めていくことで一層ゲームが楽しめるというユニークなシステムを採用している。この他にもアバター要素など、女性ユーザーを強く意識したタイトルだ。
女性向けというと、男性プレーヤーには取っつきにくい印象を受けるが、本作は基本要素として「冒険」を楽しめるオーソドックスなMMORPGであり、それに加えて、ユニークなシステムを導入している意欲的な作品となっている。本稿ではこれらの要素を紹介したい。 ■ オーソドックスともいえるゲーム性に、理想の相手と絆を深める「恋愛要素」を盛り込んだユニークなMMORPG
プレーヤーキャラクタは作成時に生年月日を設定する必要があり、星座によって日々の運勢が異なる。これにより生産スキルの成功率や、回避率、クリティカル率などが変わってくる。たとえば、生産運が良いときにまとめてアイテムの生産を行なうといったプレイスタイルが想定されている。本作は占いや星座、恋愛要素など、女性プレーヤーにもアピールできる要素を多く持つ作品だ。 本作の世界には、銃の概念があったり、街に大きなロープウェイが設置されていたりと、機械と魔法が融合した独特の文明が築かれている。世界観は、巨大なトウモロコシの顔をしたモンスターが登場したりと、色々な要素が混ぜ合わさった独特なテイストとなりそうだ。キャラクタのデザインは目が大きくかわいらしい。アバターデザインとしては現代風の服なども用意されるという。 用意されるキャラクタのクラスは8種類。接近戦が得意な「テンプルナイト」、「パラディン」。銃を使いこなす「スナイパー」、「レンジャー」。強力な攻撃魔法や仲間の力を強める魔法を使う「ウィザード」、「ソーサラー」、そして回復役である「ビショップ」、「プロフィット」。これらの職業は“3次職”で、最初は単一の職業から分化していくという。後の職業特性を考えてキャラクタを育てていく必要がありそうだ。 テンプルナイトの盾に砲弾を発射する機能がついていたりと、SFテイストも盛り込まれており、職業の役割もユニークなものになりそうだ。また、本作は占いによって「仲間」、「恋人」、「星友」といった各種の“繋がり”を作ることができる。この繋がりは本作の大きなアピールポイントとなっており、プレーヤー達の協力を重視するゲームデザインとなっている。パーティープレイの要素にも期待したい。 星座は占い以外にも大きな影響を及ぼす。たとえば、「星盤」システムにより、各キャラクタはスキルの構成が変わってくる。この星盤システムはレベルを上げていくことで設定した12星座それぞれのユニークなスキルを習得していくシステムだ。このスキルにも複数の選択肢があり、同じ星座のキャラクタでも、プレーヤーごとに個性を出すことができる。スキルの中には90秒間変身できるスキルがあり、変身中は星座を象徴する鎧を身にまとい、全ステータスが大きくアップする。変身スキルは30分に1回使用可能だ。 本作はクエストや生産システムにも独特の要素が多数盛り込まれている。今回体験できた要素で面白かったのが、「キューピッドシステム」だ。このシステムに自分のデータと、理想の相手を登録することで、条件に合う異性のプレーヤーキャラクタを検索することができる。そして実際に出会い、両者が合意すれば「星友」になることができる。この星友候補の検索は1日に3回まで行なうことができる。 相手が見つかるとそれぞれのキャラクタの上にハートマークが出る。ハートマークは他のプレーヤーも見ることができる。他の人にも2人がカップルであることを知らせることができるのである。プレーヤー達はこの絆を強めるために「シンクロテスト」に挑戦できるという。 このテストはクイズ形式で出題され、男女のキャラクタが同時に挑戦することになる。「女の子が好きな男の子のタイプは?」という質問に「1.優しい思いやり、2.ユーモアとセンス、3.硬派で渋い、4.まじめ」という選択肢が出る。これに対してそれぞれのプレーヤーが自分なりの好みを答えていくことで相性のポイントが加算される。質問はこの他にも、「喧嘩したとき女の子はどうする?」、「女の子が嫌いな男の子の行動は?」といった問題があり、10問出題される。このテストは1日1回挑戦することができる。 シンクロテストや狩りを繰り返し、十分に絆を深めたキャラクタは「恋人」にまで関係を深め、「手の甲にキス」や、「お姫様だっこ」といった特別なエモーションを2人で行なうことができるようになる。このアクションはエンチャント効果も持っていて、能力が向上する。「星辰Online(仮)」は恋愛要素がメインではなく、あくまで遊び方の1つの方向性にすぎない。全ての人が恋人を作る必要はない。それでも愛情たっぷりな姿を周りに見せつけるのは、一部のプレーヤーの大きな楽しみとなるだろう。
実際の性別に関係なくキャラクタを選べるMMORPGに、真っ正面から恋愛要素を盛り込んだ「キューピッドシステム」は興味深い。性別の違うキャラクタを演じるのはネットゲームでは当たり前であるが、出会いと絆、そして恋愛要素まで盛り込まれる本作では改めてプレイスタイルをど考えさせられる。また、キャラクタの恋愛をプレーヤーがどう受け止めるかも考えてみると面白い。ゲームと現実が微妙に絡み合ってくる要素は、異世界での生活を楽しむ方向に向かった他のゲームとは違ったプレイ感触をもたらしそうである。
■ 自分でクエストを作成したり、生産スキルをレンタルしたり、挑戦的な新システムを導入
欠片の配置パターンによりダンジョンの構造は異なる。ボスモンスターを倒したり、仕掛けを動かすなどクリア条件も様々だ。星の欠片にはレベルが設定されていて、高レベルの欠片を使うことで高レベルキャラクタ向けのダンジョンを作ることができる。ダンジョンはインスタンスゾーンになっており、パーティーでの挑戦が可能だ。 ダンジョンには“謎”が用意されていて、特定の敵を倒したり、仕掛けをクリアしないと宝箱が開かなかったり、出口が見つからなかったりする。最大6人で挑戦可能で、敵が集団で現れるためソロプレイでのクリアは難しい。低レベルのものでもフルメンバーで40分程度の時間が必要となる広大なダンジョンである。 次に「ハッピーパイロットシステム」は、プレーヤー自身のクエストを作成することができるシステム。このシステムでは制作者だけでなく、10人までの「スポンサー」を募ることが可能だ。クエストは専用のNPCを配置したり、会話を編集してオリジナルストーリーを提供できる。基本的にはNPCを見つけ出すか、そのNPCにアイテムを持って行くかで、アイテムをドロップするモンスターを設定することも可能だ。 ユニークなのは報酬も制作者やスポンサーが提供するところだ。報酬はゲーム内アイテムやゲーム内通貨で、クエスト作成時に先払いしておく形を取るため、無茶な報酬を約束して破産する、ということはない。報酬はクエストのクリアの順位や、かかった時間でのランキングなどで決定される。スポンサーや制作者のメリットは、クエストに挑戦したプレーヤー達の評価ポイント。このポイントを集めることで通常手に入れることのできないレアアイテムを入手できる。 このため、評価ポイントほしさにプレーヤーがクエストを粗製乱造する危険性がある。台湾でも、こうしたリスクを懸念してのことか、常設のコンテンツではなく、1サーバーだけに提供している。イベントを主催したいプレーヤーには魅力的なシステムだが、どのように質を保っていくかは運営との連携も必要となりそうだ。 「星辰Online」の生産スキルは、「鍛冶(武器・防具)」、「錬金(回復・補助アイテム)」、「機械(弾薬・電池)」、「装飾(アクセサリー)」、「裁縫(ローブ・軽装備)」の5つが現在実装されている。通常の職業に加えて1つを選んで習得していく。この他に補助系の機能を持つ「カード」製作スキルが実装される予定だという。 独特なのはこの生産スキルを使った「委託生産」システムだ。街にはこの委託用の掲示板があり、この掲示板に自分がマスターしたスキルを委託しておくことができる。すべてのプレーヤーは、この掲示板から好みのスキルを借りて、生産行為を行なうことができる。借りる際には、委託時に貸し手が設定した任意の手数料が必要となる。生産スキルを掲示板に委託登録するというコロンブスのタマゴ的発想がいかにも台湾風だが、苦労して高めた生産スキルを最大限に活かすことができる非常に素晴らしいシステムだ。
「星辰Online(仮)」は、精密な世界観からゲームシステムを組み上げていくのではなく、MMORPGという包容力のあるゲームジャンルに、星座をテーマにしたありとあらゆる要素を盛り込んだオンラインゲームという印象を受ける。これは基本を忠実におさえ、さらにそれら要素を先鋭化させていく、韓国のオンラインゲームとはまったく別のベクトルを感じさせる。台湾のゲームの傾向を考える上でも興味深い作品である。 数あるシステムの中でも注目したいのが恋愛要素だろう。現実の恋人や夫婦がMMORPG内でパートナーとしてゲームを楽しんだり、ネットでの出会いが現実の出会いとなるというケースも見られる。しかし、「星辰Online(仮)」ではそれをキッパリと否定している。星座が選んだ相手としか星友になれない。すべてのプレーヤーは、現実世界での繋がりを断ち切って、新たにオンライン世界で恋人を探す努力をしなくてはならないのだ。 台湾ではネット上で2人で共同生活を楽しむようなコンテンツがあるという。「星辰Online」ではシステムによって偶然引き合わされた2人が絆を強くすることでゲームルール的にも成長していく。コアプレーヤー同士で深い結びつきを育むケースも多くなるかもしれない。
「星辰Online(仮)」は、プレイ空間はハートが飛び交い、ラブラブなカップル達が街を闊歩するゲームになるのだろうか。もちろん「星辰Online」は狩りに、成長に、ストーリーと他のゲームに負けないコンテンツが導入される予定で、たっぷりと冒険が楽しめるコンテンツではあるが、やはり「プレーヤー達の関係」に注目してしまう作品だ。これまでとはひと味違った世界が楽しめるMMORPGになりそうだ。
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□ガマニアデジタルエンターテインメントのホームページ (2008年5月2日) [Reported by 勝田哲也]
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