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会場:ガマニア本社
元気の秘密は、強みである台湾タイトルが好調なことだ。まず、2007年11月にサービスインした同社の新たなフラッグシップタイトル「ブライトシャドウ」が、継続的なアップデートにより好調に転じ、TVアニメ「クラナド」とのタイアップが当たり、「飛天オンライン」、「ホーリービーストオンライン」も活況を取り戻した。 と書くと、台湾タイトルがいずれも不調だったように思えるが、実質その側面が強く、2007年まで同社でもっとも人気の高いオンラインゲームは2002年にサービスを開始した「エターナルカオス」だった。ガマニアが台湾メーカーとして台湾タイトルを名実共に前面に押し出せるようになってきたのは意外と最近の話なのだ。
今回は、日本法人の実質的な責任者である取締役COOの浅井清氏と、マーケティング全般と運営全般を担当するオンライン事業本部の本部長代理中島秀樹氏に、各タイトルの状況と、今後の事業戦略について話を伺った。 ■ 台湾メーカーから見たオンラインゲーム市場。日本は右肩上がりを維持、台湾は頭打ち
ガマニア取締役COO 浅井清氏: 2006年から2007年にかけてマーケットの成長はあったと考えています。その一方でオンラインゲームが供給過剰になっている見方もありますし、選択肢が増えてマーケットが活性化したと見ることもできるかと思います。マーケットが拡大していく上で次のフェーズに入っているという考え方です。オンラインゲームのビジネスとしての課題も出てきていますので、そうしたものにJOGAとして取り組んでいくべきだと思います。 編: かつてはメーカーさんや団体さんもオンラインゲームは右肩上がりという予測を示していました。その点につきまして現状はどのように感じていますか。 浅井氏: 現状も右肩上がりだと思います。2007年の統計調査のデータが出ていますが、右肩上がりの成長自体は今後も変わらないと思います。 編: 中島さんは運営責任者として、何か変化は感じていますか? オンライン事業本部本部長代理 中島秀樹氏: 今までいっぱいタイトルが出てきていた一方で、ここ最近サービスをやめられていく会社さんも意外と多いです。成長は右肩上がりですが、ある程度の淘汰がされてきている気がします。ガマニアはかなり古くからやっていまして、そういう部分でオンラインゲーム業界自体を引っ張っていく会社の1つとして今後も活動できればなと思います。 編: 毎年アルバートCEOのインタビューをさせて頂いておりますが、台湾市場は昨年1年間は例年になく厳しかったとおっしゃっていました。自社タイトルも含めて新規タイトルはすべて不作で、好調なのは「カートライダー」や「Lineage」といった旧作タイトルばかりだと。実際日本から見た台湾市場をどのように感じていますか。 浅井氏: 台湾のマーケット自体は成長しているのですが、かなり鈍化していて、頭打ちになっていると思います。オンラインゲームの市場が成熟してきた中で、ジャンルが多様化していったり、ニーズにどう対応していくかみたいなところです。良いタイトルがあるからそれでどんどん伸びていくのではなくて、ある程度数を揃えてやっていかないと厳しくなっているのかなと思います。 編: 台湾と日本のガマニアは親子関係ですが、公式サイトを比較すると、まったくの別会社のようなイメージですよね。同じタイトルをやっていてもまったく異なるマーケティングやプロモーションを行なっています。そして異なる結果を出している。そこが面白いと感じました。 浅井氏: マーケットの特性もありますし、台湾で良いものが必ずしも日本でも当てはまるかといえばそうではないと思います。見せ方を変えればうまくいく場合もあれば、ユーザーの嗜好が異なりうまくいかない場合もあります。あとはマーケットの状況やタイミングによっても必ずしも同じやり方でうまくいくとは限らないと思います。基本はGASHのシステムをはじめオレンジのイメージのブランディングなどは共通しています。しかし地域の運営では日本、本社、香港、中国、韓国がそれぞれが独自の展開をやっています。 編: 台湾本社は、ネクソンさん、NCSoftさんのタイトルに売上の多くを依存しています。ところが日本の場合は自社タイトルを中心とした台湾産タイトルを軟着陸させるのに成功している。それは何が違ったのでしょうか? 浅井氏: うーん。それは、「Lineage」や「メイプルストーリー」をやれるのならやりたいのが本音ですよ(笑)。NCSoftさんやネクソンさんがうちにやらせてくれるのならがんばりますよ(笑)。 編: 「ブライトシャドウ」のサービスがスタートしたことによって、「飛天オンライン」、「ホーリービーストオンライン」といった台湾タイトルが一通り出揃った感がありますが、実際に運営してみていかがですか。 中島氏: 「飛天オンライン」はゲームの開発段階から日本の市場を見据えて作っているところがあって、日本のユーザーさんの受けはいいです。ただあまりにシステムが細かくて初心者がとっつきにくいところがあるようです。現在はいろいろなオンラインゲームが出てきて、さまざまなタイトルを触っているユーザーさんが多いので、そういう意味で昔から比べて難しいというイメージが薄れ、新しい人が入ってきてもすんなり遊べる雰囲気があります。他国だとタイ、ヨーロッパ、インドネシアでの運営を始めました。日本はもう2年近く運営していますが、ヨーロッパあたりでは今年始まったところです。ですから「飛天オンライン」がこれから2、3年後にかけて成長していくところがありますので、期待しているタイトルです。 逆に「ホーリービースト」に関してはうちのタイトルの中でも年齢層が断然低いです。小学生から中学生が非常に多いです。ハンゲームさんとやらせていただいてるところもあると思うのですが、「ホーリービースト」に若い人たちが入ってきて、そうした人たちがある程度成長して「飛天オンライン」や「ブライトシャドウ」に移っていくという絵を描いています。 それらのタイトルは、全部可愛い系で被っているので、ユーザーさんが被らないか懸念していた部分がありました。しかし、年齢層が分散されているので他のタイトルに行かずに「ホーリービースト」から「飛天オンライン」に移動するといったような、うまくユーザーさんが渡り歩いていることがガマニアにとってプラスになっているのではないかと思います。今後タイトルを入れていく中で自社タイトル内でバッティングしないように、女性ユーザーや年齢なのかといったところでセグメント分けしながら企画していく余地があるのではないかと思います。 編: 「ブライトシャドウ」はどのあたりに入っているのでしょうか。 中島氏: 「ブライトシャドウ」は高校生が多いです。「飛天オンライン」は比較的年齢層が高いです。女性の比率は「飛天オンライン」が35~6%で、「ブライトシャドウ」はプロモーションを3月くらいから強化したこともあり、そこで入ってきたユーザーさんが高校生から大学生までの層が非常に多いですね。 編: 3月にスタートした「飛天オンライン」と「ホーリービースト」におけるクラナドとのタイアップはどういった経緯で始まったのですか。 浅井氏: 「ホーリービースト」に関しては「うまい棒」といったタイアップの部分で、いろいろなメーカーさんがやっているウェブマーケティングとは違う部分で新しいユーザー層を広げていかなくてはならないところがありました。ちょっと新規が取りづらくなってきた現状を見ながら、ゲームに近いところで視野を広げようと考え始めました。まずは、アニメ、ゲームで、「クラナド」はPCから始まったものなので非常に親和性は高いだろうと判断しました。そういう部分で「クラナド」の話を始めたのがオンエアが始まる数カ月前くらいで、ちょうど旬だろうということもありました。 編: その効果はいかがでしたか? 浅井氏: 新規ユーザーの獲得に関しては想像を超えた効果がありました。そもそもタイアップは当たる当たらないがあると思います。今回は当たりましたが、当たらないときは当たりません。その意味では期待以上でした。 中島氏: ある程度新規のユーザーさんが取れるだろうと思ってはいたのですが、想像以上でした。ただやはり、タイトルによると思いますね。他社さんにもこういうアニメのタイアップをする予定なのだという話をしていた時があったのですが、やはり他社さんでもアニメとやられているところがありましたよね。そこからはやめたほうがいいよ新規取れないから、とかなりいわれました。 編: 今回はなぜ当たったのだと思いますか? 中島氏: 今回は「ニコニコ動画」で「クラナド」がかなりブレイクしていました。今回最終回のところで、アニメ雑誌も含めて全部「クラナド」1色みたいな雰囲気になっていたところに、ちょうどタイミングが良かったのかもしれません。 編: 今後全タイトルに波及していく可能性というのはあるのでしょうか。 浅井氏: 「クラナド」と「うまい棒」はぜんぜん違うではないかと思うかもしれませんが、ユーザー層の嗜好に近いところ、ユーザーさんを盛り上げていくようなタイアップという視点で企画しています。オンラインのユーザーさんとはまったく異なるような、関係ないものを引っ張ってきてタイアップをしています。ゲームのユーザーさんに近いところでタイアップを今後も仕掛けていきたいなと思います。 編: 気になるのは既存のユーザーさんの反応ですが。 中島氏: 一部には「なんで?」という声がありましたが、「飛天オンライン」はゲームの中はおしゃれ装備がメインになりつつあるというのがあるので、世界観にあっているかどうかというのはあまり関係なく、かなりすんなり受け入れてくれました。「ホーリービースト」のほうでもそこまで大きく「なんで?」という声は無かったと思います。タイトルによりけりではないでしょうか。 編: 基本的にポジティブな方向でとらえられていたと。 中島氏: そうですね。こういうところとタイアップしていましたよということで、ユーザーさんにとってもいろいろなところとタイアップすることでいろいろなおしゃれ装備が追加されましたので、それはそれでユーザーさんの中でも盛り上がるだろうし。また、「クラナド」の衣装を着て「クラナド」のキャラクタを演じている人たちがゲームの中にはユーザーさんとしていらっしゃるみたいで、そういう部分でも意外と「クラナド」という衣装を与えることで、自分たちの遊びを考えるきっかけになったのかなと思います。
■ 新たにガマニアのフラッグシップに成長した「ブライトシャドウ」。その好調の理由とは?
中島氏: サービス開始に伴い新規のユーザーが入ってきたのですが、その後かなり落ちました。ギルドを実装してから下げ止まりました。その後エピソード1の情報公開、実装という流れになりますが、この間も新規の獲得にしてもログイン数も、ローンチの時を上回る数字が出ました。ほぼ右肩ですべての数字が上がっています。 浅井氏: 中村さんにボロクソ言われましたよね(笑)。年末に中村さんとお会いした時は、ギルドを入れたりWebなどのデザインを変える前でした。今のマーケットの中でどのようにして「ブライトシャドウ」の特徴を出していくか、ある意味気負い過ぎてしまって、まずユーザーさんにゲームを楽しんでもらうために、運営側でやれるべきことが抜けてしまったのではないかと思いました。 具体的には、バージョンアップのロードマップの公開をはじめとした、Webサイトからユーザーさんに対する情報発信です。たとえば転職クエストをするのにパーティーを作らなければならないのですが、そこでコミュニティを作るような場所が無かったのです。それをユーザーさんが個人のサイトで募集したり、「2ちゃんねる」でパーティーを募集したりしていました。 そこで公式ページのトップページにBBSを設けて、ユーザーさんに使っていただく形にしました。ベースの形を固めて、ギルドであったり、今回のエピソード1であったり、順次バージョンアップを行ないながら、マーケティングを行なっていきました。最初こそつまづきましたが、その後に関してはある意味ユーザーさんにとって期待感を遊べるゲームに徐々に変化してきていると思います。その後に関してはユーザーさんにとって期待感を持って遊べるゲームに徐々に変化してきていると思います。 編: 初期の頃はサーバーダウンが頻発したり、バグが多かったり、有料アイテムを売るのか売らないのかよくわからないという状態が続きました。一言でいうと、運営ポリシーがよくわかりませんでしたが、こうした既存の不満点はすべて解消されているということでしょうか。 浅井氏: そうですね。現在では、オンラインゲーム市場全体の中でもユーザーさんの満足度は高いゲームになっていると思います。何かご不満があればおっしゃっていただければと思います。ユーザーさんの反応を見る限りユーザーさんの遊び方と運営側の考えがそれほどずれているわけではないのだろうかと思います。 編: ガマニアさんにはもともと「エターナルカオスNEO」がフラッグシップタイトルでしたが、それを上回るような勢いなのでしょうか。 浅井氏: 上回っていますね。具体的な数字はオープンにはしていないのですが、同接は4チャンネルのサーバーで、1サーバーあたり1,000人くらいが入れる設計になっています(現在6チャンネル体制)。 中島氏: 現在サーバーのキャパシティを超えてユーザーさんが入ってきている状況がありますので、近々新しくサーバーを入れ替えます。 浅井氏: もともと1,000人まで入れる設計なのですが、7、800人入ってきたところでサーバーの処理が追いついてきていないことがありますので、サーバーの構成を見直したり機器の入れ替えをすることで、よりユーザーさんが快適に遊んでいただける環境にシフトできるよう準備しているところです。 編: つまり、新サーバーを用意しなければならないほど沢山のユーザーさんが集まってきているわけですね。 中島氏: 一時期5チャンネル目のサーバーを他のタイトルから引っ張ってきて入れてはいたのですが、スペックの問題もあるのでユーザーさんの印象も悪いだろうということで、新しいハードに入れて全部の制御を整えたほうが今後も考えて良いだろうという判断です。今月来月でサーバーの強化をしていきます。新サーバーを用意してもユーザーさんの方からサーバー部分で不満が出てきてしまいますと本末転倒ですので、その部分を強化していく必要性があります。 編: 「ブライトシャドウ」についてもうひとつ質問があります。この作品は、初期段階からガマニア本社で取材していましたが、プロトタイプのアイテム課金のシステムが本当によくできていたのです。すべてのゲームプレイが有機的にアイテム課金に繋がっていて当時驚いた記憶がありましたが、実際に現在実装されているものは、それとはぜんぜん違う内容ですね。これは何故ですか? 浅井氏: それはたとえばゲームをやっているとアイテム買ったほうが良いよとか、1回死ぬと何かウィンドウが出てくるとか、あそこのシステムが動いてないのではないかというところですよね。 編: ええ。ゲームデザインとアイテムモールがリンクしていましたよね。 浅井氏: あれは台湾サイドも含めてやりすぎなのかなという反省がありまして、ちょっとユーザーさんの様子を見ながらやっていこうという形でスタートしているのは事実です。シンプルでわかりやすい物にしたほうが最初は良いだろうという判断です。台湾の「ブライトシャドウ」を含めてそういう形になっています。そこは捨てているわけではなくて、内部的には稼動させていないシステムはあるのです。アイテムモール自体はWebでやったほうが運営上はシステム的にパブリッシャー側がやりやすかったり、あまりやりすぎてしまうと運営側が柔軟にやれなかったりということがあります。さまざまな議論があった上で現在の形になっています。どこかのタイミングで入れることはあるかもしれません。 中島氏: ちょうどその部分で「ブライトシャドウ」のプロジェクトマネージャーが台湾に飛んで、まさにそのあたりの周りの話をしているところです。現在のアイテムモールに関しては、我々の意志ではなく、台湾主導の企画を実装したものというのが正直なところです。台湾で7月に実装されるエピソード2以降に関しては、ほぼ日本市場に特化した形でアイテムモールの流れやゲームのシステムを作っていきます。 編: 遊んでいたら突然タイムセールが始まるなど、非常に驚きました。台湾らしいというか、台湾のコンテンツはアイテムモールがすごく凝っていますよね。現在はどうも小さくまとまってしまっていて、いち台湾ゲームファンとして、せっかくの台湾的な個性をスポイルしてしまっているようで惜しいと思います。 浅井氏: 台湾で開発していたものは日本側でも期待していたので、ぜひやってみたいのです。ユーザーさんに楽しんでいただけるのを前提として、ゲームを盛り上げていくアイテムを気軽に買っていただけるようなものやっていき、次のステップでそれらをやっていこうという考え方です。
■ 「ブライトシャドウ」の企画開発は日本主導にシフト。まずはカードシステム
浅井氏: 数字の目標は申し上げにくいのですが、間違いなく言えるのは今期でガマニアジャパンの柱のコンテンツになるのは間違いないですね。同時接続1万人くらいまで引き上げたいというのは希望としてはあります。ただ、なかなか1万というハードルは簡単ではないですよ(笑)。 台湾の場合、運営スタート後は38,000人くらいまでいたのが、1万人くらいにまで落ちました。失速しましたが、今は落ち着いている感じです。日本の場合はスタートこそ良くなかったのですが、徐々に伸びてきています。どちらかというと数字的にどこまで伸ばそうというより、最初に話したようにどれだけユーザーの満足度の高いゲームにできるかの方が重要だと考えています。 編: 先ほど台湾で7月にエピソード2が実装されるとの事ですが、今後の目標を聞かせてください。 中島氏: エピソード2という分に関しては台湾で7月に実装されるものはほぼフィックスしています。しかし、台湾のアップデートは、横というよりは縦という部分がまだあります。 編: 縦の進化というと、現在レベルキャップは99です。レベル100を超えて成長するということですか。 浅井氏: というわけではなく、今まではその流れでエピソード1、エピソード2ときていましたが、エピソード3からほぼ日本主導の形にシフトします。今まで企画は台湾主導で動いていたのですが、日本市場の売り上げが伸びてきているので、それなら本気で力を入れて日本のマーケットを狙おうということで開発体制をシフトしていきます。逆に、日本でうまくいったものを台湾に将来的に持っていくのもありかなと思っています。 編: エピソード3以降で日本側がやりたいこととは何ですか? 中島氏: ユーザーさんに「ブライトシャドウ」のよくウリとは何なのかとよく聞かれます。それはカードシステムだったのですが、いざフタをあけてみると集めて交換するだけになっているので、ゲームとしてリンクされていないのです。ユーザーさんとしてもカードを集めたらカードのモンスターを召喚できるようにしてほしいといったニーズがあります。台湾の市場と日本の市場がある程度違うということがあるのですが、日本市場ではある程度「ブライトシャドウ」の柱になるところを明確に決めていく形です。 浅井氏: カードシステムに関しては日本側からもカードといった収集するシステムがあったらいいよねという流れから最終的に実装に結びつきました。召喚云々もあるのですが、当初はカードを集めてコンプリートさせていくような遊び方を初期の段階では想定していたはずでした。それすらもちゃんとした形でできていません。 編: それはなぜなのですか。 浅井氏: 今までの時点でカードシステムというプラスアルファの部分よりもMMOとして遊ばせる部分ですね、たとえばギルドや転職といったコンテンツのボリュームアップにフォーカスしていました。ある程度できた段階でプラスアルファをやっていこうと。どっちが先かという問題はあると思います。 編: 後手に回って本来やりたかったができなかったことをエピソード3からはしっかりやっていこうということですね。カードシステムはティザーサイトからあり、本当にやるんだという印象でしたが、実際に入ってみるとティザーサイトで想起させた内容と、実装内容に落差がありましたよね。 浅井氏: そうですね。しかしながら、はじめからカードシステムを優先したところでそれがユーザーさんを長く定着させるコンテンツになったかといえば、それだけでは難しいと思います。まずは一般的なMMOのシステムのボリューム感を出す戦略で考えています。 編: エピソード3の実装はいつごろを考えていますか。 浅井氏: 年内か来年の年明けになってしまうかも知れません。また、いくつかフェーズを分けるかもしれません。エピソード2でもまたボリュームが増えますので。 中島氏: 今回もエピソード1に絡んだバージョンアップをいくつか設けています。エピソード2が実装された際もそれがいくつかあって、エピソード3に繋げていく形です。エピソード2まではMMOとしての根幹がしっかりしてきます。
■ ライバルはWiiとPS2!? PC向けカジュアルオンラインゲームの未来はどうなるのか?
浅井氏: カジュアルは今までも「ココカン」、「O2JAM」、「す~ぱぁ★リッチ」とやってきて、軽視しているわけではないのです。しかしコンテンツとして日本の皆さんに楽しんでいただけたという意味で成功したのかといえば弱かったと感じています。そういう意味で日本のユーザーさんが満足していただけるクオリティのカジュアルであればどんどんやっていきたい。 カジュアルゲームでは、特にアクション系のものやスポーツゲームのほか、日本のユーザーさんから見るとコンシューマゲームの遊び方に近いところがあります。果たしてこれから我々が提供していくカジュアルゲームが、ユーザーさんに比較されたときに選択していただけるレベルのものなのかというところは慎重に見ていかなければならない。MMOに偏っているから次はカジュアルを入れていこうというわけではなく、あくまで日本のユーザーさんに受け入れられるかどうかという視点でチョイスしています。現時点ではそれがたまたまMMOの割合が高くなっているのかなという感じです。 編: それはつまり、Xbox Live Arcadeのカジュアルタイトルなどもライバルとして捉えてそれに負けないクオリティでなければならないということですか? 浅井氏: Xbox Liveは非常に良くできていますが、日本という市場で見た場合非常にマイノリティだと思います。そういう意味でどちらかといえばPS2やWiiと比較してどうかということです。 編: そういった中でも「アラド戦記」や「サドンアタック」といったタイトルがPCオンラインの分野で1万人以上の同時接続者数を獲得していますよね。 浅井氏: 「アラド戦記」は韓国のクローズドβテストの段階で見ているのですが、私自身はこれはダメだなと思ったんです(笑)。ちょっと日本のマーケットを舐めているだろうと当時思って、正直ここまで伸びるとは予想できなかった。他社さんもそうですよね。評価をしていく時点で落としていった会社さんを何社か伺っています。結果的にクオリティ的にどうかというより、運営的な部分で、結果として十分ユーザーさんが遊べる出来に仕上がっていったのだろうなと思います。我々ですら見落とすのですから、日本のユーザーに受けるカジュアルとは何か判断するのは本当に難しいのではないかと思います。 編: 浅井さんが考える日本で受けるカジュアルゲームとは何ですか。 浅井氏: 難しい質問ですね(笑)。1つはアクション性の高いものは厳しいのではないかと考えています。それはコンソールに慣れ親しんだユーザーさんからするとそもそもインターフェイスの違いもあれば、ネットを介することによるレイテンシの問題もあります。そこでアクション性の高いものというのはハードルが高いのではないかと考えています。アクション性が重視されないもの、たとえばゴルフゲームであったりカードゲームであったり。そういう意味でゴルフゲームはヒットする要因があるのだろうと思ってはいます。 編: 「す~ぱぁ★リッチ」はカードゲームですが、ゲーム性うんぬんは別として、ビジネススキームが未成熟ですよね。これではビジネスにするのは難しいのではないかと思いますが。 浅井氏: そうですね。可能性はあると思うのですが、だからといって結果が出るかは別問題です。特にアクション性の高いスポーツゲームはなかなか難しいのかなと。そもそもFPSの場合はコンシューマでそれほどユーザーさんが遊んでいません。PCのオンラインで初めて触れたユーザーさんは多いと思うのです。そういうコンシューマと比較されないジャンルというのはねらい目なのではないかと思います。 編: 台湾Gamaniaが獲得した「Art of War」はいかがですか。 浅井氏: ガマニアジャパンとしてカジュアルゲームの実績があるわけではないですし、ある意味チャレンジをしていきたいと思ってはいます。それが日本のユーザーさんに楽しんでいただけるかを慎重に選んだ上でしっかりやっていきたいですね。タイミングがいつになるかはまだいえないのですが。 編: 浅井さんのスタンスは、保守的だと私は思うんですが、中島さんはガマニアにおけるカジュアルオンラインゲームの可能性についてどのようにお考えですか。 中島氏: 基本的な考えは浅井と同じです。今アメリカではゲーム内広告ということをやっていて、台湾でもビジネス的には売り上げの50%~60%をゲーム内広告でまかなっていこうという動きがあります。日本だとまだまだ厳しいところがあるので、そこがまずネックです。また、ゲームパッドの対応が必須になるので、なかなか難しいなというのが正直あります。 ただ、MOタイプのゲームはそれほど多いわけではないのでまだまだ伸びしろがあるのではないかと思います。「モンスターハンター」や「ファンタシースターオンライン」で慣れ親しんだ人たちが、さらにゲームの中で他の知らない人と会話をしながらゲームをやるということを含めると、カジュアルがMOになるのかMMOになるのかは微妙なところですが、「メイプルストーリー」もMOといえばMOですからね。 浅井氏: ちなみにカジュアルには保守的ということはありません。「O2JAM」など早い段階からトライはしています。 編: しかし厳しい見方をすれば少し辛抱が足りなかったのではないか。もっと他にマーケティング的なアプローチは強めてよかったのではないかと思います。 浅井氏: カジュアルかどうかではなく、開発会社とどういう協力関係を築くかです。マーケットもありますし、会社側もといいますか、我々もそこまで規模的に大きいわけではないですので、複数のプロジェクトを走らせて将来のものもとなりますと、ある程度どこかで選択をしていかなければいけないタイミングはあると思います。個人的にはオンラインゲームというのは少なくともユーザーさんがいるまでは続けたいという気持ちです。 理想を言えば最後の1人のユーザーさんが残っている限りは続けたい。特にオンラインゲームの場合、そこに費やす時間は尋常ではありません。人によっては1,000時間、2,000時間やっています。そこにいるキャラクタなどを含めて思い入れは強いと思います。できるだけ長くユーザーさんに遊んでいただける環境を提供し続けることを考えてはいるのですが、そうなると逆にビジネス的により厳しく見ていかなければならないので、結果としてあまり数が出せていないと言う部分はあるのかもしれませんね。 編: なるほど。最近はすべてのプラットフォーマーさんがオンラインサービスを提供しています。たとえば、Xbox Live Arcadeでは、わずかな出費で非常にクオリティの高いオンラインプレイが楽しめる。これまでオンラインゲームというと、PCオンラインゲームを指していたわけですが、油断しているとその立場をコンソール機にひっくり返される日が来てもおかしくないと思っています。 浅井氏: 私自身は簡単にはひっくり返らないと思っています。確かに北米などで、コンソールの波が1つの流れとしてあるのは事実ですが、北米や欧州、日本を含めたコンソールの市場と、それとは別にPCのアジアのマーケットというのがマーケットとして1つでき上がりつつあります。そこの市場にはコンソールが一切入れていない、そして今後は入れそうな余地がほとんど見えていない。こうした現象が並列して存在しているのが日本なのではないかなと見ています。どちらか一辺倒になってしまうということではないと思います。並列で残っていく可能性が高いと考えています。 編: 実際問題、日本ではすでに並存状態ですよね。だからこそ、コンシューマオンラインが成長しつつある中で、カジュアル分野におけるPCオンラインゲームに関する戦略やビジョンが必要だと思っています。浅井さんに関連性の深いところでいうと、「ライデンファイターズ」や「斑鳩」など往年のシューティングの名作がXbox 360で出てます。オンラインでランキングを競ったり、2人協力プレイをやったりとか、単なるリバイバルのダウンロード販売ではなく、各種のオンライン機能を付加することで、本来の楽しさにさらに磨きを掛けているんですよね。 浅井氏: 当時大阪にいた頃、昔タイトーの「レイフォース」の対戦台がなぜかあったのです。両側で知らない人同士で向かい合わせにプレイしていたのを思い出しました(笑)。確かにシューティングで1つそういうモデルが出てきているのは知っていますが、ユーザーさんがコミュニティを作って中長期的に何かを遊びやコミュニティをリンクさせていくようなモデルにはなっていないと思います。 Xbox Live Arcadeは良くできているサービスだとは思うのですが、PCのMMOの方がコミュニティの作りやすさなど多少のアドバンテージがあると考えています。1番クリアしなければならないのはどうビジネス的に軌道に乗せるような絵が描けるかだと思います。それができればどんどん日本でもカジュアル系のPCオンラインゲームは出てくると思います。たとえば、今度始める「Art of War」はビジネスを度外視してのチャレンジです。事業者側やパブリッシャ側がチャレンジしやすくなるような環境を整ってくれば、もっともっとそういう方向を考えられると思います。
■ 次期タイトルは「星辰 Online(仮)」に決定。今夏~秋頃クローズドβテスト開始予定
浅井氏: 日本と台湾では法律的な解釈が違いますので、あくまで台湾でのサービスです。 編: 日本に来る可能性はありますか。 浅井氏: 私自身は日本展開はあまり考えていないですね。日本のマーケットを考えた場合、もともとパチンコ・パチスロの文化があります。あれがギャンブルだから売れたのかといえばそうではないと思います。ゲーム性の部分というのが限られた中で極限まで高められているからですよね。台湾でちょこっと作ったスロットを持ってきて、日本のギャンブルのように遊べますよと持ってきても、多分日本のユーザーさんは満足できないのではないかと思います。 編: 実際に台湾滞在時にスターターパッケージを購入して、ポイントを充当してプレイしてみました。すると瞬く間にポイントがなくなりました。非常にハウスエッジが高く、いわゆるゲーミングになっていない。もちろん、当たる人がいるからプレイする人もいるわけですけど、基本スタンスとしてゲームではなく、ギャンブルだなと思いました。 浅井氏: 日本でもパチンコを中心にギャンブル的なものが多いと思うのですが、台湾はそれほど多くないんですね。ですから、ゲーム性をそれほど高めなくてもギャンブル的な楽しみ方ができればいいのではないかとそういうスタンスのサービスだと思います。 編: 今期の新規タイトルについて教えてください。 中島氏: 次期タイトルは「星辰 Online(仮)」です。日本ではタイトルを変える予定ですが、近日中に発表します。早ければ夏から秋にかけてβテストを始められるかも知れません。 浅井氏: 正式サービスのタイミングはまだ未確定です。 編: 台湾で取材させていただきましたが、非常に台湾らしい個性的なタイトルですね。現在、台湾産MMORPGは3タイトルありますが、さらに増えることになります。ユーザーが被る心配はないのですか。 中島氏: 「飛天オンライン」に引っかかることはあると思いますね。「ホーリービースト」は初めてでも遊べるのですが、システム的にはかなり生産だ合成だということが深く作られていますので、ゲーム的にはかなり濃い部分があると思います。入りやすさという意味では星座や恋愛という部分をかなり強調して出していますので、そういう部分でまた違う層というのを狙えるのではないかと考えています。 浅井氏: ゲーム自体はしっかりできているので、ユーザーさんに見ていただきながら、女性の方にももっと遊んでいただけるようなところに持っていきたいですね。 編: 「キューピットシステム」は、男の子と女の子が恋愛関係になると様々なメリットがありますよというシステムですが、台湾では女性キャラクタの実際の性別は関係ないと聞いてびっくりしました。一種のロールプレイなのでしょうね。 浅井氏: 実際の性別がというと成り立たないからでしょう(笑)。 編: 通常、ゲームの中でプレーヤーが実際の性別を気にするケースってないと思うんですが、今回の場合、恋愛ですよね。意外とシビアな話ではないかと思うんですが。 浅井氏: 既に今のMMORPGでも同じような状況が発生していると思うのです。リアルに男か女かわからず、ある意味恋愛的なプロセスが進んでいたりということはありますし、バーチャルな環境だからこそ成り立つものです。それがMMOの面白いところでもあります。それがリアルに男か女かというのはユーザーさんが最終的にどうなのかというところに我々は責任を持つことができません(笑)。 編: コミュニティをつぶさに眺めていると、日本人のメンタリティは特殊なところがあって、その人のリアルな性別はどうでもいいけど、ネカマだけは困るという部分がある(笑)。その中で「星辰 Online」を軟着陸させるというのは意外と難しいのではないかと思うのですよね。 中島氏: 「飛天オンライン」は赤い糸でつながっていたりするのですが、ユーザーさんにしても始めは女の子で始めてみたけど、これは男でやったほうがいいのではと男のキャラクタを作る人もいますので、「星辰 Online」に関しては2人で一緒に行動して2人で花を育ててアイテムに換えるという部分などかなり入り組んでいると思います。だんだんと恋愛が成長することによってラブラブモーションもだんだん変わっていきます。そこで発動できるスキルも変わっていきます。 浅井氏: リアルに男か女かというのは関係ないと思うのですよね。中村さんがもしかしたらMMOで女のキャラクタばかり作ってやっているかもしれないではないですか。別にそれは悪いことではもちろんないし、ヘンなことでもないと思うのです。自分の願望を違った世界で実現できるということがオンラインゲームの魅力なのですから。いろいろな人がいると思うのです。「おい、お前」と女性キャラに言われて萌える人もいると思いますし、それはそれでいいじゃないかと(笑)。 中島氏: 結婚システムで結婚してリングを購入すると、好きなところに呼び出せるというのがありますよね。恋愛という部分にゲームのコアな部分が存在しているので、そうした点では特に男女という点は無いのだと思うのですが、相手は男だけどキスシーンのモーションをやらなければならないのはあるのですが、そうした点では気にならないのではないかと思いますけどね。 編: ビジネスモデルは? 中島氏: 原則はアイテム課金ですが、オーソドックスだと思います。アバター系ですのでそれらは多くなると思います。ハッピーパイロットシステムといってユーザーさんがクエストを作るシステムがあります。クエストを作るためのアイテムを台湾ではチケットで購入する必要があるのです。クエストを作ってそれに出資してくれる人を探すということがありますので、他とはまた違った遊び方ができると思います。今までのおしゃれ系やドーピング系とは異なるアプローチができると思います。
■ 「仙魔道」も今期サービス開始予定。台湾タイトルに見るアバターアイテムの傾向と対策
浅井氏: 台湾では正式サービスを始めているのですが、日本では秋から年末になるのではないかと思います。大きな要因として、日本向けのカスタマイズを日本側から要望を出しています。それらがある程度揃ってきた段階でサービスをしていこうとしています。特に今の市場環境を考えた場合、単純にタイトルだけ加えていくのはユーザーさんに対してもちょっと失礼かなと思います。またビジネス的にも他と差別化できないのは厳しい。台湾のものにくらべて1年近く遅らせてサービスさせる予定です。 編: 現在準備している日本向けのコンテンツとはどのようなものですか? 中島氏: もともと、大規模でバトルするという仕様の軸がぶれていたということがありました。日本で運営するのであればその部分をきっちりやっていかなければならない。特に仙と魔の戦いなのです。数百人対数百人の大規模バトルそのものは、他でもやっていることです。オリジナルの仙と魔の部分をいかに強調して戦わせるかということを開発側と詰めています。ただ、ぶつかって戦うだけでなく、新たなゲーム性が盛り込もうという話をしています。 浅井氏: その部分もありますが、中国のコンテンツが台湾にも結構入ってきていまして、武侠系のニーズが結構高いのです。特徴を出していくだけでなく、武侠系としてのクオリティも高めていこうということになりました。日本の場合は武侠系云々というのはそれほどポイントにならないので、ゲーム性としての方向性がしっかりするのを待っている感じです。 編: 2月に見せていただきましたが、仰るとおり、ゲームデザインのキモである大規模戦闘のところが良くわからない。たとえば、仙と魔の敵がいて、それらを倒すことで自分が仙になったり魔になったりするという枝葉の部分はわかるのですが、トータルにどういう遊びになるのかわからないんですよね。 中島氏: 本来、仙と魔が分かれるならきっちり色分けがされるべきではないですか。今は仙の中でも悪い人がいたり、魔の中にも良い人がおり、非常にあやふやなところがあります。日本としては「仙魔道」というタイトルで売るかは分かりませんが、その部分の色づけはきっちりするのは日本市場へ投入するには外せない要素ですね。 編: 「仙魔道」は、善悪しっかりしていて、武侠的要素もあり、比較的ストイックな路線のMMORPGですが、やっぱり体操服や水着があるんですよね(笑)。この辺が台湾だなと。 中島氏: そうなんですよね(笑)。台湾のアバター系と日本のおしゃれ系のアイテムというのは考え方がまったく異なるのです。向こうではよく“kusoアイテム”という表現を使います。性能が悪いのではなく、ゲームの中で頭に包丁がささっているような面白いアイテムのことをそう呼ぶんですが、日本ではぜったいに売れないだろうというようなアイテムを台湾は好んで作っているのです。日本では売り上げに占めるアバターアイテムの割合が高いのですが、台湾ではそうではないんですね。日本とはビジネスモデルの違いなのだろうと思いました。 編: つまり、数打てば当たる方式で台湾ではアバターアイテムを作りまくっていると? 中島氏: というよりは、ユーザーが望むかどうかではなく、自分たちが面白いと思うものを作っている感じですよね(笑)。 浅井氏: MSNメッセンジャーに絵文字がありますよね。それを自作して面白いとみんな使います。そういうものがもともと非常に流行っていたりと、コミュニケーションをしていく上でのステータスが多分日本と違うのだろうなと思います。日本の場合はあまりものでもいいから買ってきてこれでいいだろうというところがあると思うのですが、彼らの場合、もう少しベタな感じがあります。自信を持って作ってるわけではなく、ノリで作ってるところがありますよね。 中島氏: 衣装系のアイテムは台湾ではなく日本がプロデュースする方針なので、今入っている分については既に作ってしまっているものですが、今後新しく開発するものについては日本市場にあった自分が着てもうれしいというようなものもおしゃれアイテムとしてリリースしていく予定です。 編: 日本と台湾の収益モデルの違いについて教えてください。 浅井氏: 台湾では消費系の売り上げの比率が高いと聞いています。日本の場合はアバターも良く売れています。種類で言えばアバター系、ドーピング系、ペット系が3本の柱になると思います。客単価は日本のほうが高いです。「星辰 Online」についても現在の台湾のサービスではペットが入っていないのですが、日本でローンチする際はかなり台湾より3バージョンくらい先のものを日本でリリースする予定です。 編: 日本でアバターアイテムをデザインする際のポリシーを教えてください。 中島氏: ゲームごとに違います。「飛天オンライン」はイメクラ系やバニーのようなアイテムはまったく受けません。ぜんぜんダメです。ファンタジーやゴシックロリータのような衣装が受けますね。 逆に「ブライトシャドウ」は、「飛天オンライン」がダメだったのであまり露骨なのはやめたほうが良いのではないかといわれていたのですが、意外とセーラー服やナース服が人気があります。タイトルごとにこれで当たったからこれは定番という位置づけにはならないことが多いです。 編: しかし、ユーザーの意見を全部聞いていてやっていたら、ポリシーも何もなくなりませんか。 中島氏: ユーザーの意見を聞くためにアンケートをとったのです。欲しいアイテムとして、セーラー服とかバニーとか要望があったわけです。その要望書をいちおう日本のアンケートとして台湾に送ったのです。そしてフタをあけてみてみると玉砕でしたね。「飛天オンライン」のユーザーはそこに関してはかなりうるさいです。 浅井氏: 難しいですね。ユーザーの先をいかないと。ユーザーの意見だけを聞いていてもなかなか。これはアバターに限らずエンターテインメントすべてにいえることだと思います。
■ 日本で自社開発プロジェクトが進行中。2008年、2009年は飛躍の年に
浅井氏: 正直に申し上げてまだお話できる段階に達していません。日本のゲームのIPを使って日本の過去に売れたタイトルを使えば売れるだろうということではなくて、日本のIPは世界観なり、遊ばせ方というのがしっかりしていますので、うまくオンライン化することで遊びがさらに広がるようなものをピックアップしながらライセンサーさんとお話しながら進めています。それとあわせて開発ラインの確保というのを進めています。 編: 大手メーカーのIPを使ったカジュアルオンラインゲームを現在開発している? 浅井氏: カジュアルとは限りません。MMOもありえます。私としてはカジュアルなゲームであってもMMOの要素も持っているべきだろうと考えています。 編: 日本からガマニアグループに発信するタイトルは久しぶりですよね。 浅井氏: そうでもないですよ。ここ数年でも「ゲットアンプド」、「ファンタジーアース」などを獲得しています。それ以外にも日本のタイトルは2つ3つライセンスを取ることが決まっているものがあります。 編: 今回の場合は自社開発ということですが? 浅井氏: どういうコンテンツをやるのかということをガマニアジャパンとして動かしていこうと。まずは1つやろうということです。やりたいものは複数出てきています。夏場くらいになんらかの情報が出せるかもしれませんね。 編: 自社開発タイトルのリリースはいつごろになるのでしょうか。 浅井氏: 早くても来年末から再来年にかけてになります。今年の夏に情報が出せるかもしれないというレベルです。通常で考えたら今年の後半か年末に情報が出せたらよいかなと思います。 編: そのプロジェクトはガマニアジャパンにとってどのような位置づけになるプロジェクトなのでしょうか。 浅井氏: 1つには、日本のマーケットにおいて本格的に勝負してユーザーさんを獲得していくこと。そのためには日本のユーザーさんが馴染みやすいゲーム性を計画しなければならない。また、日本人主導で日本のマーケットに向けたコンテンツ作りが必要だろうと考えてもいるところです。日本のIPを使ったものはアジアでも非常に強いです。アジア地域でグローバル展開をしようと考えているガマニアとしても戦略的なタイトルになってきます。その2点ですね。 編: すでに具体的にプロジェクトを進められている印象があって、非常に楽しみですね。 浅井氏: 微妙な段階なのでなんともいえないのですが、言える段階になったらものすごくしゃべると思います(笑)。僕自身がプロジェクトを進めているので。 編: 2008年のガマニアはどのような1年になりそうですか。 浅井氏: まずは「ブライトシャドウ」ですが、今年に入ってからバージョンアップを含めて充実してきています。より日本のマーケットの中でメジャーなタイトルに押し上げていきたいということが中心です。2番目に「星辰 Online」です。タイトルとしては非常に良いものですので、オンラインゲームの場合、海外からそのまま持ってきてしまってわけがわからなくなってしまいますが、日本のユーザーさんから見て馴染みやすいゲームに変えた上でサービスしますので楽しみにしていてください。 「星辰 Online」はターゲットとして女性も意識はしていますが、女性のユーザーだけを狙っているわけではありません。女性のユーザーがすんなり入っていけることを目指しています。ゲームとしても特徴がありますし、「ブライトシャドウ」をガマニアの柱にしていこうとしているのですが、「星辰 Online」も第2の柱になり得ると思います。台湾でも好調で開発会社も活気があって日本に協力的ですし、そのタイトルを日本で良い形でスタートさせたいということです。 それ以外の既存のタイトルでは、「エターナルカオスNEO」や「巨商伝」などは今からどんどん伸びるといえばそうではないのですが、既存のユーザーさんが長く遊んでいただいていて非常にロイヤリティが高いのです。うちの場合は変に騒いだり誹謗中傷を繰り返すようなユーザーさんが非常に少なく、愛着を持っていただいているユーザーさんが多いのです。うちの運営スタッフも他の方から見てもユーザーさんを雑にしていないというのが見て取れると思うのです。そうした意味でユーザーを大事にしながらより長くやっていきたいです。既存のタイトルは既存のタイトルでしっかりやっていきたいです。 編: 運営担当としてはいかがですか。 中島氏: まず「ブライトシャドウ」でユーザーとの密着感はかなり強めていく必要があるなと思います。100%ユーザーの声を聞き入れることはできないかもしれませんが、ユーザーが望んでいない方向への路線を避けて、ユーザーさんを巻き込んだ日本主導で開発できる自社開発のメリットを活かした運営を続けていきたいです。運営面でもGMではなくキャストキャラクタというゲームの中で演じてくれる特別なキャラクタがいます。そうした部分を含めてユーザーさんとのメーカーの間にきっちり壁を作ることはせずにユーザーさんとかなり触れ合いながら今後も続けていきたいと思います。 編: 今年は「サービス終了のお知らせ」というのはないよと。 浅井氏: 多分ないです。諸事情といいますか、会社のルールや市場原理などには抗えない部分がありますので万が一そうなった場合にはユーザーさんにはご理解いただきたいと思います。しかし今のところそうした予定のあるものはありません。 編: 8つのプロジェクトとおっしゃっていましたがどういったものがあるのですか。 浅井氏: MMOありMOありカジュアルありと色々です。すべてが日本でやるかは別として、日本でやるのを前提として開発しているものもありますし、2009年、2010年に向けてさまざまな仕込みをしています。年内に順次情報が出せればいいなと思いますけれども。 編: 今年、来年は楽しみな年になりそうですね。 浅井氏: 僕自身が楽しいですね。2005年まではガマニアが停滞していた感がありました。2006年のあたりで「飛天オンライン」と「ホーリービースト」をやり始めたあたりからポジティブな路線に変わってきているので、それが本格的に加速し始めるのが今年、来年ではないかなと思います。 中島氏: 「エターナルカオスNEO」ではディレクターが直接ゲームの中に入って座談会をやったり、「ホーリービースト」ではディレクターのキャラクタが確立されていまして、入るとがーっと人が集まってきて言い合いができていますので、そういう意味ではメーカーとユーザーの位置が近いのではないかと思います。そうした試みは今後も継続していきたいですね。 編: ありがとうございました。
□ガマニアデジタルエンターテインメントのホームページ (2008年5月2日) [Reported by 中村聖司]
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