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Game Developers Conference 2008現地レポート

Game Developers Conference 2008が米国サンフランシスコにて開催
プラットフォーマーの存在感が薄れ、ゲーム産業の多様化を実感する年に

2月18~22日開催

会場:Moscone Convention Center

 世界最大規模のゲーム開発者向けカンファレンスGame Developers Conference(GDC)が、現地時間の2月18日において、米国サンフランシスコのMoscone Convention Centerにおいて開幕した。初日は、例年通り、1つのテーマを終日掛けて掘り下げていくチュートリアルが実施された。チュートリアルは明日まで続き、3日目より通常セッションやキーノートスピーチ、GDC EXPO、Game Developers Choice Awardsなどなど、GDCのメインイベントが本格スタートする。本稿では、初日の模様からGDC2008のトレンドをお伝えしたい。


■ 今年のトレンドは“多様化”。あらゆる面で多様化する世界のゲーム産業

Serious Games Summitのオープニングは「Serious Games Taxonomy(シリアスゲームの分類学)」
West Hallの1階の風景。初日と2日間はチュートリアルなので、参加者はまだ少ない。前哨戦といった感じだ
North Hallは地下に広大な会場が広がる。そこかしこで開発者同士の交流が見られる。GDCらしい風景だ
キーノートのトップバッターは、GDC Mobileのキーノートを務めたGameloft CEOのMichel Guillemot氏。モバイルゲーム市場の過去から未来までを語った
 GDCは、ゲーム開発者向けとしては群を抜いて巨大なカンファレンスだ。来場者数としては15,000人程度で、一般向けのゲームショウと比べると小さいが、5日間の日程で400以上のセッションが開かれ、セッション終了後もGame Developers Choice Awardsを筆頭とした各種イベント、レセプション、パーティーなどが連日連夜開催される。まさに世界のゲーム関係者のためのお祭りといった観がある。

 今年のGDCの会場は昨年と同じサンフランシスコのMoscone Convention Center。昨年ようやく会場が固定化され、今後はしばらくサンフランシスコでの開催が続く見込みだ。Moscone Convention Centerは、近年、再開発が進むソーマ地区の中心部にあり、向かいにはソニーグループのアンテナショップMETREONがあり、徒歩圏にはホテルやレストランが密集しており、サンノゼに比べると遙かに参加しやすい環境下にある。

 会場は昨年と同様、Moscone West Hallをメインに、North Hall、South Hallの3箇所を使用。セッションやEXPOのスペースは昨年と同等だが、その他のパブリックスペースまわりのレイアウトが変わり、昨年と比較すると密度が増して、さらに充実した印象を受ける。このまま拡充が進むと、Moscone Convention Centerでも手狭になる日が来るかもしれない。

 さて、今年のGDCのトレンドは、ずばり“多様化”にあると言えそうだ。多様化の方向性としては、モバイルやカジュアルゲーム、Xbox Live Arcade、Wii Wareといった非メインストリーム系への動きの活発化、もうひとつは、販売、開発などあらゆる要素の欧米から海外へという動きの2つだ。

 まず、キーノートスピーチは、ここ数年キーノートの顔として君臨していた任天堂とSCEAの両社が不在で、代わりにMicrosoftが復活した。Microsoftのキーノートは2005年のJ Allard氏以来で、実に4年ぶりとなる。一方、Microsoftは、Xbox 360を他社より1年早くリリースしたため、一足早く“収穫期”に突入しつつある。今回、Microsoftがどのようなビジョンを見せてくれるのか楽しみだ。

 任天堂とSCEAの両社がキーノートに出ない理由は様々考えられそうだが、ひとつはやはり次世代機が現世代機となり、プラットフォーマーとして提示できる大型の話題がないということ。もうひとつは、ゲームプラットフォームが多様化したことにより、単一のプラットフォーマーが全サードパーティーを牽引する時代はもはや終わってしまったことが挙げられる。

 ちなみにもうひとつのキーノートは、フューチャリストのRay Kurzweil氏がゲーム産業の20年後を予測する。South Hallで行なうキーノートは以上の2つで、例年の半分以下となっているが、その代わりに昨年までビジョントラックとして通常セッション以上キーノート以下という微妙な扱いを受けていた枠が、オーディオ、モバイル、ゲームデザイン、プログラミングといった各分野のキーノートに格上げされた。キーノートが多様化された結果として毎日複数のキーノートが開催されるような案配で、さらに参加セッションを選ぶ悩ましさが増大している。

 次に、年々増加傾向の日本人開発者の助けとなっている同時通訳セッションが倍増し、全28セッションとなった。今年からついに全日程全セッションで日本語だけを聞くという参加が可能になっている。同時通訳の増大は、海外からの参加を促し、米国から海外へという流れを促進させるという狙いがある。こちらも確かに多様化の一側面が感じられる。

 ちなみに、注目の日本人セッションは9つが予定されている。傾向としてはWiiの一極集中といった印象で、ソラの桜井政博氏の「『大乱闘スマッシュブラザーズX』の開発・事例検証」を筆頭に、「『Wii Fit』家庭向けコンソールにおける革新的インタフェース」(任天堂・澤野貴夫氏)、「Wii メニューをデザインする:企画から Wii Ware まで」(任天堂・青山敬氏)、「WiiWare のライフサイクル?『小さな王様と約束の国 ファイナルファンタジー・クリスタルクロニクル』研究事例」(スクウェア・エニックス・白石史明氏、土田俊郎氏)とWii系のセッションがズラリと並ぶ。

 そのほかの日本人の注目セッションとしては、「ファイナルファンタジー XIII」と次世代MMORPGに実装が予定されているテクノロジープラットフォームの内容を初めて語る「『ファイナルファンタジー』のテクノロジー」(スクウェア・エニックス・村田琢氏)、「『ロストオデッセイ』の開発を振り返る ~日本式と欧米式の融合~」(フィールプラス・中里英一郎氏)、「改良という創造」(ゲームリパブリック・岡本吉起氏)などが挙げられる。


 今回、チュートリアルに参加していて痛感させられたのは、北米市場におけるゲーム市場の一種の飽和感であり、爆発するような他プラットフォームへの展開熱意、あるいは海外展開へのエネルギーである。セッションリストを見る限りでも、次世代機(この場合、PS3とXbox 360を指す)向けの開発環境の整備というのは、もはやトレンドではない。なぜならそれは、豊富な資金力と人材を持つごく一部の超大手メーカーのみが実現できる専売特許だからだ。参考にできなければ意味がないわけである。

 GDCは毎年テーマが設定されていた。2005年が「Future Vision」、2006年が「What's Next」、そして2007年が「Take Control」。今年は「Learn Network Inspire」と例年とは毛並みの異なるテーマが設定されているが、いずれにしても華々しいスローガンの後に実現した世界は、当時とはずいぶん風景が異なっていたことだけは間違いない。

 今年、代わりに台頭してきているのは、次世代機以外の分野に対する成功事例であったり、具体的なノウハウの提示である。例年のようなカッティングエッジな印象は薄くなっている一方で、異様な熱っぽさと新鮮さを感じ取ることができた。日本企業は、現在生き残りを掛けて日本から欧米へという流れを作ろうとしているが、実は欧米のほうが真剣に取り組んでいるのかもしれない。

 我々ゲームファンとしては、国内外を問わず、クオリティの高いゲームに触れる機会が増えるのは嬉しい限りだが、毎年の成長を義務づけられたメーカーに取っては難しい時代が来たことを予感させる。初日に参加してみた限りでは、世界規模での新たな生き残り合戦のゴングが鳴ったという印象を持った。こうした欧米メーカーの新たな取り組みは、チュートリアルレポートやセッションレポートを通じて詳しくお伝えしていくつもりだ。引き続き弊誌のGDCレポートにご期待いただきたい。

【会場の模様】
会場の模様。GDC EXPOは20日からだが、通路にある一部のスポンサーブースはすでに出展していた。右下は鋭意準備中のGDC EXPO。新作情報はあまり期待できないが、そのモトとなるミドルウェアやゲームエンジンが多数出展される

【チュートリアル】
初日のチュートリアルは、例年並みの14コマが実施された。GDC MobileやCasual Game Summitなど一部のチュートリアルは明日も引き続き実施される。今年新設されたのは、Worlds in Motion Summit。満席の看板が掲げられた唯一のチュートリアルだった。世界の動向を、各地のスピーカーが解説するというもので、多様化の流れを実感させる新チュートリアルだ


【Serious Games Taxonomy】
「Serious Games Taxonomy」は、反省点を踏まえ分類化の意義をアピールしたところは良かったと思うが、その分類の仕方が細密かつ広大すぎて、今回の定義だとゲーム産業のすべての要素がSerious Gamesに適用しうるような状態だった。結果としてまったく分類されていないように思えるところが、ちょっと残念だった

【Audio Boot Camp】
Audio Boot Campは例年スポンサーのDolbyが主体のチュートリアルだったが、今年はSCEEとMicrosoftのサウンド担当が交互にセッションを行なうというユニークな方式が採用されていた。いずれもプラットフォーマーだが、我田引水的な内容というより、すべてのサウンド担当者にとって有益となりそうな一般論が多く、他のチュートリアルと比較すると、同好の士の意識のようなものが濃厚に感じられておもしろい

【Serious Games Summit】
初日のSerious Games Summitの白眉は、Electronic Artsのセッションだろう。「MADDEN」や「シムシティ」のマーケティング施策が公開された。中でも圧巻だったのが、いわゆる100ドルPC「OLPC」(One Laptop Per Child)に、「シムシティ」を無料でプリインストールするというプラン。これもSerious Gamesの範疇というところが日本の概念からするとちょっとずれている印象がある

□Game Developers Conference(英語)のホームページ
http://www.gdconf.com/
□Game Developers Conference(日本語)のホームページ
http://japan.gdconf.com/
□関連情報
【2007年3月6日】サンフランシスコにてGame Developers Conference 2007が開催
史上最大規模での開催。任天堂とSCEのキーノートに期待
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20070306/gdc2007.htm
【2007年3月】Game Developers Conference 2007 記事リンク集
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20070308/gdclink.htm

(2008年2月19日)

[Reported by 中村聖司]



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