|
1月、シグマA・P・Oシステム販売は、PCゲーミングデバイスの総合ブランド「DHARMA PONIT」を公式に発進させた。その第1弾のゲーミングマウス「DHARMA TACTICAL MOUSE」は弊紙レビューにてお伝えしたとおり、PCゲームで求められる特性をしっかりと押さえた「本気」を感じさせる製品である。 そもそもPCゲーミングデバイスというのは何か。その主流となるのはマウスやキーボードといった入力デバイスである。もちろん、この手のデバイスでも一般向けのものはごくありふれた存在だ。低コストやデザイン性が重視されるかわりに、極端な性能は求められていない。各メーカーによって大量生産されており、特にこだわりを持たなければ、マウスもキーボードも500円もかけずに手に入る。 しかし競技志向のゲーマーにとっての入力デバイスは、プレイの成果や楽しみを増幅させるための「武器」の一種であり、高水準の性能と、ハードな使用に耐えうる形状特性が必須となる。通常、この要求は一般向けのありふれた製品では満たされにくい。オンライン対戦が一般的になり、競技性を求めてゲームをプレイするユーザーが現われた結果、PCゲーミングデバイスという特殊な市場が生まれたわけだ。 これまで、そのPCゲーミングデバイス市場にフォーカスした事業展開を行なってきた企業としては、米RazerやデンマークのSteelSeriesなどが挙げられる。マイクロソフトやロジクールといった大手企業もゲーマー向けに特化したマウスやキーボード等の製品を国内販売してきた。これらに共通するのは、北米・欧州を中心とする海外市場向けの製品を、欧米拠点の企業が開発してきたという点である。直接手に触れる製品カテゴリであるだけに、本当に馴染む一品を見つけるのは至難の業だ。 国内のPCゲーマーにとって「DHARMA POINT」ブランドが画期的なのはまさにそこで、日本のメーカーが日本市場をターゲットにゲーミングデバイスを開発、販売するというところにユーザーの利益がある。その意味で、第1弾となったゲーミングマウス「DHARMA TACTICAL MOUSE」は一定の期待には応える製品であったと言っていいだろう。 しかし、PCゲーミングデバイスの市場は決して大きなものではない。ゲーム用途に限らなければ、マウスやキーボードといった製品は市場に溢れかえっており、明確な差別化が必要なのである。この簡単ではない市場に打って出ようとするシグマA・P・Oシステム販売の意図、デバイスに注ぐ思いとはどのようなものか。デバイスメーカーへのインタビューは類例の少ない試みだが、今回は敢えてこの点をクリアにしてお伝えしたく、「DHARMA POINT」ブランド立ち上げの当事者に話を聞いた。
■ ブランド立ち上げの理由。「道具として忘れられた部分をもう一度拾ってみたかった」 ───よろしくお願いします。まず、シグマA・P・Oシステム販売さんの事業紹介をお願いします。
開発部・梅村匡明氏: マウスとかキーボードなどですね。そういったPCデバイス類の取り扱いを始めたのが2000年頃ということになります。 ───製品の開発については、どの程度の範囲を社内で行なっているのでしょうか? 梅村氏: 仕様固めその他に関しては弊社内で行ないまして、実際の生産その他については外部の工場に委託する形をとっています。例えば、金型についてはこちらの指示でモックを作ったりという感じです。 ───ハードウェアは自社開発ということですね。ソフトウェアの部分もそうですか? 梅村氏: ファームウェア、その他プログラム部分などに関しては外部委託もありますが、その際の仕様決定及び検証は内部で行なっています。 ───なるほど。これまで一般PCサプライを手掛けてきたノウハウをもって、シグマさんは今回「DHARMA POINT」というゲーマー向けデバイスのブランドを立ち上げ、第1号の製品として「DHARMA TACTICAL MOUSE」をリリースしました。これは日本国内のユーザーには嬉しい話ですが、今回、敢えてゲーミング市場に打って出た理由は何だったのでしょうか。 梅村氏: その理由として一番大きいのは、やはり、これまで色々なマウスをやってきまして、皆さんに愛されるマウスを目指してきてはいたのですけれども、今ひとつ伸び悩みもあったんですね。そこでもう一度、マウスなりキーボードなりのデバイスを、ウチなりの考え方でやってみようじゃないかということでした。 ───と言うと? 梅村氏: マウスでもキーボードでも、もう文房具になりつつあると思うんです。「取るに足らないもの」に、だんだんなりつつある。それはそれとして、我々としては有難いことではあるんですが、その一方で、マウスにしろキーボードにしろ、「道具」という側面があるはずなんですよね。 確かに、マウスをちょっと可愛くしてみたり、カラーバリエーションを増やしたりして、ということを我々はやっていますし、それはとても大事なことです。万人に受け入れられるマウス作りですよね。ですが、それをやっていくうちに「道具」として忘れられてしまった部分、切り捨てられてしまった部分も必ずあるわけです。そこをもう一度拾ってみようと。 その観点で世界を見回してみたときに、「道具」として一番要求をしていた人たちが、まさしくゲーマーの方たちだったわけです。そこではまさに、彼らの話を聞くにつれ、マウスに対する要求が高いということがわかってきました。それが、「DHARMA POINT」というゲーミングデバイスのブランド立ち上げの動機に繋がっています。 ───なるほど。しかし、「DHARMA POINT」というのも不思議なブランド名ですよね。 梅村氏: 転職したかったんですかね(笑)。(※著者注:『ドラゴンクエスト』シリーズの『ダーマの神殿』に掛けて)。それは冗談ですけれども、「DHARMA」というのは、ダーマ、達磨太子というのもありますが、サンスクリット語から来ています。また、七転び八起きという意味、転機・変化という思いも込めています。
■ ゲーミングデバイスならではの生産コスト。リスクもあるが、製品開発には使命感が先立つ
梅村氏: それはもちろんあります。生産の管理なども全然変わってきますので、やはり同じようにはできないですね。例えば、「DHARMA TACTICAL MOUSE」については、我々が出している最も廉価版のマウスに比べると、製造に必要な時間もかなり増えているんですよ。そこは色々と試行錯誤しながら進めているところです。 ───具体的にはどういった部分でしょうか。 梅村氏: 例えば、ボタンが増えれば増えた分だけ、不具合の発生確率が飛躍的に高まりますから、前段階での部品の選定なりの作業が非常に重要になってきます。検査の基準も厳しくなります。一例として、DPIを切り替える機能がついたときに、4つの設定があれば4つ分テストする必要が出てくるわけです。機能を1つ増やせば、やはり検査がそれなりに必要になりますから、それだけ時間がかかるわけですね。 ───そうなるとファームウェア回りも随分手が掛かりそうですね。 梅村氏: それも当然ありますね。フラッシュメモリに正常に書き込みがされているかどうか、各機能が正常に動いているかどうか、ポインタの動作は正しいか……などなど。まあ、通常のマウス以上のことは、必ずやらなければいけないわけです。 このあたりは当然、こなしていくにつれて効率を上げていかなくちゃならない部分でもあるわけですけれども、そこを見ると大手メーカーさんが凄いのはこの辺ですね。速く大量に作るという。今のところ我々にはできないので、まあ、ゆっくり作るしかないわけですけれども(笑)。 ───製造コストが高まるというのは、当然のこと、メーカーさんにとっては大きなリスクになりますよね。そのリスクを負ってでもゲーミング市場に打って出ようと。「この製品は売れる」というような確信があったのでしょうか? 神尾氏: 実際の所、かなりビクビクしながらはやってましたね(笑)。 梅村氏: 確信があったかと聞かれると、無かったとしか言えないですね。 神尾氏: 実際、発売が今日開始で(※著者注:収録日1月25日)、弊社の方から出荷するなり、お客さんから前受注を頂くなりの経過を経て、ようやくホッと胸を撫で下ろすような感じでした。それまでは、正直なところ「掲示板に何を書かれるんだろう」とか(笑)、「レビューでボロクソに言われるんじゃないか」とか(笑)、そういう不安が非常に強くありました。 ───「ホッと胸を撫で下ろした」ということですが、実際の反応は上々だったということですね。 神尾氏: 正直な話ですね、弊社のいわゆる一般向けマウス製品では、リリースと同時に問い合せが来たり、掲示板やブログで取り上げられたり、ということはなかなかありませんでした。そのあたりは、競合さんも含めて、ボリュームゾーンの製品はおそらく、お店の人にしてみれば「ひとかたまり」なんじゃないかなと。その中にシグマの製品が無くても、「そんなに気にならないよ」という感じになってしまってるような気がするんですね。 その意味では、ゲーマー向けとしてリリースさせて頂いた「DHARMA TACTICAL MOUSE」ではいい意味でも悪い意味でも大きな反響を頂いております。店舗さんなどからも、結構な頻度で「是非取り扱いをしたい」というお問い合わせを頂いておりますし、そこが非常に嬉しく感じたところです。 ───そこを考えてみると、最近ではPC用オンラインFPSが成長するなど、ゲーミングマウスが注目される好材料が増えています。シグマさんとしては、その流れを睨んだ部分もあるのでしょうか。 梅村氏: ウチ的には、狙ってましたと言いたい所なんですけれど、それは無いですね(笑)。実際の所、今回の製品は、「これだけ顧客が居るからこれだけ作りましょう」という考えではなく、むしろ、「この人たちが求めてるじゃないか」というところからスタートしてましたので、そこは、経営陣に理解してもらうのは大変でした。 ───そこは説得しながらやっていたと。 梅村氏: 顧客あっての会社ですから、リスクは犯せないものですし。ある程度の市場規模があってこその製品開発なんですよ。それは絶対にあるわけです。ですが、今回に限ってはそうではなかったんです。求めている人がいるということもありますし、その思いがあまり拾われていないなという思いがありました。 僕が周りを見回してみて、海外メーカーは確かにゲーミングデバイスをやってはいるのですけれども、それはやはり海外、ナショナルという大きい枠組みの中の話ですし。特にマウスというのは、体格が重要視されますので、それに対する製品開発というのは多分されないなと感じました。じゃあ、毎日毎夜、某掲示板に書かれているようなマウスへの要望が、どう消化されていくのだろうな、という思いはありましたね。 そのときに、やっぱり我々がやるべきだろうと。ですから、市場の規模があって、将来を見据えて何をしようというところからはスタートしていないわけです。それが我々にとって一番大変だったところですね。 神尾氏: ゲーミングシーンに対する「興味」という側面もあります。何と言うか、「凄い世界だ」と。マウスを要求している人たちが居て、なぜ要求しているのかを突き詰めていくと、これは面白いマーケットだな、ということが見えてきました。 ───通常の製品開発とは逆を行ってますね(笑)。まず、ゲーマーが要求するマウスへの興味があり、市場云々より先に製品開発が始まってしまったと。それは予想しませんでした。 梅村氏: 製品開発に関しては、やはり型を起こして、調整してという手間をかけていくものですので、時間がかかるんですよ。ですから、正直なところ予測してやるというのは不可能だと思いますね。ゼロから、最初のスケッチから始めると、やはり2年くらいはかかるものですので。 ただ僕自身が、この会社でマウスを色々とやらせていただいたときに、やはりゲーマー向けのジャンルというのは非常に気になっていたところですので、一度やってみたいなという思いもあったんです。悔しさもありましたし、ウチでできないハズがないと。
■ 「DHARMA TACTICAL MOUSE」の使命は「選択肢を提供する」こと ───2年前というと、現在のオンラインFPSの興隆は影も形もない時代ですね。それだけ不安材料も多かったのかと思いますが、その感覚は製品開発にも影響を及ぼしたわけでしょうか。 梅村氏: そうですね。最初の製品をやるにあたっては、リスクを避け、まずキッチリとしたものを作ろうということは念頭にありました。例えば、「DHARMA TACTICAL MOUSE」の稼動品は昨年の2月、3月くらいにはできていて、4月頃には、センサーをどうしようかという選定を始めていましたが、新しいセンサーというのは必ずリスクがありますし、ここは無難にまとめるべきだろうと。 また、新しいものを使う場合、ファームウェアの開発に非常に時間がかかるんですよ。その点から見ても、あまり先鋭的な事にはOKできなかった、という面も確かにあります。そのあたりは、現在の製品仕様に反映していますね。 ───なるほど。しかし形状に関しては、かなり自由にやれる部分だと思います。「DHARMA TACTICAL MOSUE」の特徴として、小さく、中央部がくびれていてつまみ持ちに適しているといった特性がありますが、この狙いはどこにあったのでしょうか。 梅村氏: それはですね、やはり「かぶせ持ち」に適した大きいマウスというのは、正直なところ海外勢が圧倒的に占めているところなんですよね。クラスでいうと、完全にヘビー級という。そこにいきなり殴りこんでいくというのは、どう贔屓目に見ても自殺行為だと思いました。完全に同じ状況で比べられてしまいますからね。 製品開発としては、それは避けたかったという。それと、皆さんの話を聞いていくにつれて、やはりそこが完全に「穴」だったんですよ。要は、小さくてつまめるマウスというのが、海外勢がサポートしなかった、できなかった部分ではないかと。それで必然的に「DHARMA TACTICAL MOUSE」のデザインの方向性が決まったわけです。 特にマウスは、本当に人それぞれ違うものなんですよね。市場にこんなにマウスの種類があるというのは、実は日本だけなんですよ。結構一杯あるように見えて、海外では大手3社と、他少々という。量販店にドバーっと色々なマウスが並んでいるのは多分日本だけです(笑)。その意味では、我々がマウスを作るにあたって「選択肢を提供する」というのがとても必要なことでした。 ───単純な話、「無いものを作る」という意味では非常に自然な流れであったと。 梅村氏: そういう感じだと思います。 ───しかし何と言いますか、小さいだけでなく、ある意味非常に大胆な形状ですよね。これにはシグマさんならではのデザイン哲学みたいなものを感じるのですが。
───確かに、これはかなり近いですね。 梅村氏: 実のところ、これはセールス的にはあまり良くなかったんです。 ───これはホイール部分のデザインが非常に個性的ですね。柔らかくて珍しい感触です。 梅村氏: それは、多分マイクロソフトさんとロジクールさんがチルトホイールを出されたあと、サードパーティ系のものでは初めて出したチルトマウスです。それは普通とちょっと違ったスタイルでして、光学式のエンコーダを使っているんですよ。だから、カチカチっていうのが無いんですね。 というふうに、過去、いろいろと死屍累々がありまして(笑)。まあこのふたつは、僕としてはデザインが非常に気に入っていまして、このあたり、何で売れなかったんだろう、という反省も含めながら今回のマウスに反映されているかもしれません。 ───なるほど、系譜みたいなものを感じますね(笑)。反省点といえば、今回の「DHARMA TACTICAL MOUSE」の場合で言うと、例えば「MODE」ボタンの位置についてはミスクリックしやすいという声もありますが、このあたりについてはどうでしょう。 梅村氏: それどうですかね(笑)。この形状になったのは、まず、左右対称のデザインにしたかったという点がひとつあります。多分左利きの人は逆に、左側のボタンが気になるんじゃないかなと思いますね。難しいですね。 そこは、できるだけユーザーさんの声を拾いたいという思いがありました。他社さんが拾えてない部分としては、やはり左利きへの対応、いわゆるシンメトリックなデザインです。そこは「DHARMA TACTICAL MOUSE」の要素として当初から入れていこうと考えていました。 それと同時に、ホイール周りにはボタンを増やしたくないと考えていましたので、「MODE」ボタンはどうしても左右どちらかの側面に配置する必要がありました。ですので、マウスボタンの設定で「ボタンを使わない」という選択肢も用意して、使わない場合は使わないように設定してください、というのが答えでした。
梅村氏: そうですね、試作品は僕自身が塗装で吹いてましたからね(笑)。実はラバーの物も作ったんですよ。昨年8月の段階で、とあるFPSのオフラインイベントに「DHARMA POINT」として参加させていただいた折に、ラバーバージョンをいくつか触っていただきました。そこでは好評だったのですが、他のゲームマウスも皆ラバーでしたので、同じ事をやるのはどうなんだろうとも思いまして。 ラバーは確かに滑りにくくはあるのですけれど、グリップにぐっと力が入ったときに、本当にしっかりグリップできるかというと、もう少し食い込ませるほうがいいかなと。それでこの材質にしたわけです。この部分、工場ではもちろん機械で塗装しているのですが、残念ながらまだまだそんなに大量に作れなくて、先ほど申し上げたような生産数にも影響がありますね。非常にもどかしい話ですが(笑)。 ───このマウスは軽量である点も特徴だと思います。あくまで昨今の重厚長大な海外メーカー製ゲーミングマウスに比べて、という観点ですけれども、マウスの重量に関してはどうお考えでしたか? 梅村氏: それはですね、マウスはまず軽くすべきだろうと。取扱説明書にも書いたのですが、マウスは結局のところ人間が動かすものですから、重くていいことは何一つないんですよ。クイっと動かしたらまた元の位置に戻さなくちゃいけませんから(笑)。 ───欲を出して、もっと軽くすることは可能だったのでしょうか。
───なるほど。機能と重量のトレードオフは難しい問題ですね。機能面で言えば、このマウスにはキーマクロ機能を内部に搭載することで、ドライバレスでもフルパフォーマンスで使えるという特徴があります。これは最近のゲーミングマウスのトレンドになっている部分かと思いますが、逆にこれをソフトウェアで実装しなかった理由というのはあるのでしょうか。 梅村氏: そうですね。従来作ってきたマウスでは、ボタン割り当ての機能はソフトウェアで実現していたんです。そうすると、色々なゲームで使えなかったり、思ったようなキーバインドができなかったりと、環境によって色々と不具合も出てきます。それに加えて、「キーボード機能をマウスの中に入れたい」という思いは昔から持っていましたので、今回はそれを実現した形です。 ───まずソフトウェア的な不具合の回避ということが念頭にあったと。 梅村氏: そうですね。キーボード機能をハードウェアに実装することによって、まず、相性問題というものがほとんど無くなるということがあります。マウスからはキーコードとしてコンピューターに伝わりますからね。ただ、ここは難しいところなんですけれども、ソフトウェアでやるか、ハードウェアでやるかという判断には、何を取って何を捨てるか、というトレードオフの関係が必ずあるわけです。 というのは、専用のドライバを添付すれば、Windows標準のHIDドライバを使わずに、ポーリングレートや感度、加速の設定など、かなり高い次元でクリアできます。色々と合理的で便利な機能も付けられます。ですが、それにつきものの互換性の問題、トラブルの問題は、今回は無くしていこうと考えまして、今回はこの形に収まったわけです。 ───キーボードマクロ機能に関して言うと、例えばFPSゲーマーの方に話を聞けば、「要らない」という人も沢山います。かと思えば、MMORPGやRTSをプレイされている方だと、マクロ機能を固有の技に昇華して使っている人も大勢いますよね。「DHARMA TACTICAL MOUSE」では、その両方をサポートするために、マクロ機能をかなり柔軟性のあるものにしている印象がありますが、そのためにかかるコストも無視できないのでは? 梅村氏: 実は、その部分に関してコストはあまり関係ないですね。ほとんどは開発の費用です。実際の製造コスト面では、何らかのキーバインドを載せる以上はほとんど変わらないんですよ。載せるメモリの容量が僅かに変わるというだけですからね。 しかし機能に関する議論はありました。ある程度突き詰めていくと、便利すぎるマクロ機能はチート機能に当たるのではないか、などです。その意味では、マクロ機能が制限されたマウスが求められるというシーンもあるかと思いますので、今後は、例えば1キーだけバインドできるようなスポーツ向けのマウスも考えてみたいと思っています。 ───なるほど、それは一定の需要がありそうです。しかし、中にはもっとボタンが多いほうがいい、なんていうユーザーの方もいるようですが、そういった声に応えるとなると、これまでのお話を伺う限りは、部品数との兼ね合いなど、かなり難しそうな印象がありますね。 梅村氏: そうですね。ただ、まあ、これまで「DHARMA TACTICAL MOUSE」を作ってきた過程は、小さい中での公約数を拾っていく作業だったんですね。今後新しく「DHARMA TACTICAL MOUSE」シリーズを出していくときには、もっと沢山のユーザーの皆さんの声を聞いていきたいと思います。ボタンを増やすべきか、軽量化すべきかという判断もその中でしていこうと思っています。
■ 今後の「DHARMA POINT」は、ヘッドセット、キーボードにも展開。
神尾氏: 「DHARMA POINT」は、ゲームデバイス製品のトータルブランドというところまで広げていきたいと考えております。今回販売を開始いたしましたマウスとマウスパッドについては、普段私共がやっているジャンルと言うことで、販売・製造などの部分でノウハウのあるところから始めようということでした。 先ほども申し上げましたように、ゲーミング市場に参入するにあたって、正直なところ不安も抱えておりましたし、マウスなら売っていけるだろうという判断もなきしにもあらず、です。ですが今後は、ゲームのトータルブランドとしてやらせていただくということで、まずはゲーマー向けのヘッドセット製品の販売を予定しております。その後はゲーマー用キーボードという形で展開して参ります。 ───「DHARMA TACTICAL MOUSE」のバージョンアップ系も期待していいでしょうか。 梅村氏: それもありますね。この度販売を開始しました「DHARMA TACTICAL MOUSE」にはレーザーセンサーを採用していますが、実はオプティカル版もご提供したいと考えています。 ───光学式のファンの方には朗報ですね。いつごろの登場が期待できますか? 梅村氏: 時期的にははっきり申し上げられませんが、なるべく早くにはリリースしたいと考えています。「DHARMA TACTICAL MOUSE」用のマウスソールなど、アクセサリ的なものもサポートしていきたいかなと思います。 ───ゲーミングキーボードはどのような製品になるのでしょうか。 神尾氏: それはまだ伏せさせてください。 ───それは残念(笑)。期待しています。では、最後に「DHARMA POINT」ブランド第1号製品である「DHARMA TACTICAL MOUSE」を手にしたユーザーの方、これから手に入れるユーザーの方など、PCゲーマーの皆さんに向けてメッセージをお願いします。 梅村氏: 基本的に裏方ですので、うまいことは言えないかもしれませんが……。まずは、このマウスを実際に使って頂いて、ゲームで勝ってください、と言いたいです。それでこそこの製品をきちんとご評価いただけると思っています。また、ゲーム人口が増えることで、今後どんどん凄いプレーヤーも出てくると思います。個人的には、そこにも期待を寄せています。 神尾氏: 「DHARMA POINT」の今後にご期待ください。 ───ありがとうございました。
(2008年2月6日) [Reported by 佐藤“KAF”耕司]
また、弊誌に掲載された写真、文章の転載、使用に関しましては一切お断わりいたします ウォッチ編集部内GAME Watch担当game-watch@impress.co.jp Copyright (c)2008 Impress Watch Corporation, an Impress Group company. All rights reserved. |
|