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★PCゲーミングデバイスレビュー★

日本メーカー発のゲーミングマウスが遂に登場
小型・軽量のシャーシに込められたオリジナリティ

「DHARMA TACTICAL MOUSE」

  • ジャンル:ゲーミングマウス
  • 開発/発売元:シグマA・P・Oシステム販売
  • 価格:オープン(実売8,000円前後)
  • 対応OS:Windows XP/Vista
  • 発売日:1月25日



 国内のPC用プリフェラルメーカーとして知られるシグマA・P・Oシステム販売は、来たる1月25日、ゲーミングマウス「DHARMA TACTICAL MOUSE(DRTCM01)」を発売する。このマウスは、シグマA・P・Oが立ち上げるゲーミングデバイスの新ブランド「DHARMA POINT」のファーストプロダクトだ。本稿では、日本のメーカーが日本人のためにデザインしたという点で史上初のゲーミングマウスを、発売に先駆けて丹念にご紹介したい。


■ 日本発のPCゲーミングブランド「DHARMA POINT」
   満を持してゲーミングマウス界に名乗りを上げたデザインコンセプトとは?

これが今回紹介する「DHARMA TACTICAL MOUSE」。日本メーカー発の本格ゲーミングマウスだ
形状における最大の特徴は、このくびれ。中央部が非常にスリムで、「つまみ持ち」に適している
 日本はゲーム大国と呼ばれて久しいが、ゲーミングマウスという製品カテゴリについて考えてみると、RazerやSteelSeriesといった海外メーカーが思い出される。PCゲーム文化の盛んな北米及び欧州ならではということだろう。これは、日本にも少なからず存在するPCゲーマーにとって、少々物足りない状態だったと言える。日本では小振りなマウスが好まれる傾向があるが、海外のマウスは大振りなものが多く、ゲーミングマウスカテゴリでは完璧にマッチするものを探し出せないユーザーも多く存在したからだ。

 では、日本ゲーマーの手に合うマウスを日本のメーカーがデザインしたらどうなるか? 新ブランド「DHARMA POINT」は、まさにその答えを出そうとするものだ。このゲーミングブランドは、長年マウスやキーボードその他のPC用プリフェラルの開発・販売を手掛けてきたシグマA・P・Oが立ち上げるもの。その第1弾となるゲーミングマウス「DHARMA TACTICAL MOUSE」の製品デザインは完全に日本国内で行なわれ、国内市場、つまり日本のユーザーのためにデザインされたゲーミングマウスとなっている。

 どのあたりが日本人向けなのか? まずは製品のフォルムを見ていただきたい。「DHARMA TACTICAL MOUSE」は、実に細身のマウスなのである。全高こそ他のマウス並みの寸法だが、全長はやや短め、そして幅が非常に小さい。マウスを掴んで親指と小指が当たる両側面が大きく窪んでおり、普通に把持すれば、まさに「つまむ」という感じになる。触った感触は見た目以上で、実際に手にとってみれば「こんなに小さいのか!」と驚くはずだ。そして軽い。本製品のケーブル込みで110gという重量は、ゲーミングマウス界では最軽量クラスに属する。本体のみなら100gを切るという重量だ。

 実は、この「つまむ」感じの持ちやすさが、ゲームなどでの操作における自由度に好影響を与える。指先がしっかりとマウスの両側面にフィットし、その他の部位が干渉しないで済む形状は、指間接の動きによる微調整をやりやすくしてくれるわけだ。この点、本製品の操作特性は「Razer Diamondback」、「Razer Copperhead」あたりのスリムマウスに近い。そして、それらに輪をかけて全長が短いため、浅く握ったつもりでも実際はマウスの重心より奥を掴む形になり、結果として持ち上げ操作もやりやすくなっている。

 マウスは手に馴染ませる道具であるため、フィットするかどうかは当然ながら個人差がある。この「DHARMA TACTICAL MOUSE」について言うならば、手の平をマウスに預けて押し付けるように操作する「かぶせ持ち」には向いていないかもしれない。側面の窪みが深いため、かぶせ持ちの形では右側面(小指のあたり)が宙に浮いてしまいがちなためだ。安定させるためには、指関節を曲げて指先でくわえこむようにホールドする。極端に言うならば、「ペンを握る」ような感じで持つのがこのマウスなのである。

 側面を掴んでホールドするという形状特性に合わせ、マウス側面はサンドペーパー風のマテリアルとなっており、相応のグリップを確保している。この側面は、手が汗ばみ、マウスが汗にぬれたとしてもグリップが失われない点でラバー系の素材と一線を画している。表面は非常にザラザラとしているため、初めて手に持つときは若干の違和感を感じるかもしれない。しかし、すぐに慣れるし、長時間プレイしてもグリップが落ちない特性は非常にありがたいものだ。

・小振りな形状に最先端クラスの性能。完全にゲーマースペック

センサーは背面やや後方にある。レーザー方式で、スキャンレートは7,080fpsと、かなりのハイスペックだ
 日本人の小振りな手にも良く合う形状を備えつつ、その中身はきっちりとゲーマー向けの内容で作りこんである。まず、トラッキングセンサーはレーザー方式。メーカー公表値によれば、スキャンレート7,080fps、最大追従速度は45インチ/秒、最大加速度は20Gとなっている。

 トラッキング解像度は400~2,000cpi(count per inch=DPIに相当)で、これはホイール下部のスイッチングボタンで4段階の切り替えが可能。付属ソフトウェアを使えば100cpi~3,200cpiまで、100cpi刻みで設定を変更できる。なお、センサーのハードウェア的には2,000cpiまでをサポートしており、2,100cpi~3,200cpiの範囲はエミュレーション動作となる。このため、実質の最高解像度は2,000cpiで、3,200cpi相当まで「感度変化が可能」と理解できる。

 また、PCへの接続はフルスピードのUSBで、ゲーミングマウスの例に漏れず16bitデータバスを採用。マウスがPCへ情報を送るレポートレートは、125Hzから最大1,000Hzで、調整可能だ。以上の基本スペックは、海外製ゲーミングマウスの最新世代に相当する内容である。実際に使ってみても、カーソルの反応性は実に良好だ。

各方向からのショット。流麗な曲線で構成されており、上面はサラサラとした材質、側面はサンドペーパー風のグリップ素材となっている
左側面には2ボタン、右側面には1ボタンを装備。右側面のボタンは「MODE」ボタン。マウスに3セットのマクロを記録でき、これを押すことでオンタイムで切り替えて使える


■ 充実のマクロ機能を備えながらもドライバレス動作を実現
   機能面においては「SteelSeries」に匹敵する

「MODE」ボタン。右側面の出っ張りにあるため、掴むような持ち方ではミスクリックしてしまうこともある。少々慣れが必要かも
 「DHARMA TACTICAL MOUSE」の大きな特徴のひとつとして、ドライバレスで実現する充実したマクロ機能を御紹介したい。本製品は、付属のソフトウェアを使えば、各ボタンにキーストロークやクリック操作の記録・割り当てができる。実は、本製品をPCに接続するとUSBマウスとしてだけではなくキーボードデバイスとしても動作する。マクロ再生の仕組みは、このマウスが実際にキーボードデバイスとしてPCにキーストロークを行なうことで実現しているのだ。

 なぜこのような説明をするのかといえば、本製品のマクロ機能には「専用のドライバがいらない」という利点があるからだ。各ボタンに割り当てられたマクロや、トラッキング解像度などの各設定はマウス本体のフラッシュメモリに記録され、マウス本体によって実行される。設定した状態で使うためには、専用のドライバは要らず、ただUSBポートにマウスを接続するだけでよい。このため、本製品に付属するソフトウェアはドライバではなく、マウスの設定を変更するだけのアプリケーションとなっているのだ。

 このドライバレス機構は、最近ではSteelSeriesの新ゲーミングマウス「SteelSeries IKARI Laser」でも実現されていたことが記憶に新しく、最新のトレンドとでも言うべきものかもしれない。ドライバレスで何が有難いのかというと、まず、設定が他のPCでそのまま使えるということ。これは、大会などでプレイするハードコアゲーマーに有利だ。そして、専用ドライバを入れずに済むということは、OSを選ばずに済むということでもある。これは、Windows XPとWindows Vistaといった複数の環境で使う場合や、MacOSなども使うユーザーには有難い特性と言えるだろう。

「DHARMA POINT CONTROL」ソフトウェア。メイン画面ではマクロ編集と各ボタンへの割り当てができる。設定はマウス本体に記録されるため、ドライバレスで持ち運べる
 さて、マウスの設定を変更するために付属するアプリケーション「DHARMA POINT CONTROL」は、これまたゲーミング的なデザインのコントロールパネルとなっている。「DHARMA POINT」のロゴを冠するこのアプリケーションでできることは大別して2つ。マクロ編集とボタン割り当て、そしてマウス本体の機能調整である。

 マクロ機能は実用性十分。マクロエディタでは、好みのキーストロークを、押下のタイミング込みでレコーディング可能だ。「間隔を取得する」チェックボックスをオフにすれば、タイミングなしの素のキーストロークだけを記録することもできる。「ファイヤーキーモード」をチェックすると、そのボタンは連射機能付きとなる。「Counter-Strike」の両手拳銃などに最適だろう。

 ボタンへの割り当ては「MODE1」から「MODE3」まで3セットがあり、これはマウス右側面にある「MODE」ボタンを押すことで逐次切り替えることができる。デフォルト、RTS用、FPS用といった形で利用すると便利だろう。

「基本設定」ダイアログ。ここではマウスのCPI設定を100CPI刻みで細かく行なえる。また、マクロを割り当て可能にするボタンを、MODE毎に選択できる。この柔軟性が特徴だ
 また、キーマクロのボタン割り当ては、左右メインボタンを除く全てのボタンに対して適用できる。左右のチルトボタン(ホイールを左右に動かす操作)にも割り当てできるのは、他のゲーミングマウスには見られない柔軟性だ。デフォルトでは、左の2ボタン(ボタン4とボタン5)のみ設定可能となっているため、その他のボタンにもマクロ設定を行なう場合は、パネルのメイン画面の右上にある「基本設定」ボタンを押し、マウス本体の挙動を調整するダイアログを出す。ここで、該当ボタンにチェックを入れると、メイン画面で割り当てが可能になる。

 こちらの「基本設定」ダイアログではさらに、マウスのCPIを細かく調整できるという機能もある。本製品ではホイール下部のスイッチで4段階のCPI設定を逐次切り替えることができるが、その4段階のそれぞれについて、400CPI~3,200CPIの100CPI刻みで設定が可能だ。1CPI単位で調整できる「SteelSeries IKARI Laser」に比べると粒度は粗いが、実用性において問題は全くないだろう。むしろ、4段階も記録できる点では、ゲームだけでなくデスクトップで細かい作業もするようなユーザーには便利と思われる。

 本製品の機能面を見ていくと、形状だけでなくゲーミング水準をしっかり実現している印象だ。FPSユーザーには100CPI刻みの調整、および1,000Hzのレポートレートというよさがあり、RTSやMMORPGのユーザーには充実したマクロ機能というよさがある。他の高機能なゲーミングマウスを使用しているユーザーでも、形状を気に入って本製品に乗り換える際に障害はほとんどないはずだ。

ホイールはチルト操作に対応。また、ホイール下部にはCPI切り替えスイッチが見える なお、ケーブルは細く柔らかな布巻きで、軽く、抵抗が非常にすくないため素直に操作できる 使用中はLEDが点灯する。青いのはCPIインジケータ(写真は2段階目)。オレンジ色は現在のMODEを示す


■ 小柄なシャーシは「つまみ持ち」に最適
   素直な操作特性は他の追随を許さぬレベルだ

この角度で見ると、いかに側面がくぼんでいるかが良くわかる
「つまみ持ち」ではこのような感じで、このマウスと最も相性が良い
「かぶせ」、「握り」系の持ち方では、薬指の腹が「MODE」ボタンにかぶってしまう
 さて、実際にゲームで使ってみると、このマウスのよさはじわじわとわかってくるものだ。筆者は日常的にRazerやSteelSeriesのマウスを使用しているが、最初に本製品を手にとって感じた印象は「小さい!」ということだ。サイドの窪みが他のマウスに比べて非常に深く、ともすれば本当に「指先だけでつまんで把持する」という状態になることから、手の平を預けるタイプのマウスに慣れていると、何かスカスカとした心もとなさすら感じるのだ。

 しかしながら、使い込んでいくうちに、この印象はがらりと変わってくる。やはりポイントとなるのは、指先でしっかりとホールドするための助けとなる、側面のドライサンドグリップ。これはラバー系の素材と違って、汗を吸ってもグリップ力が落ちないというマテリアルだ。このため指先だけでもしっかりとコントロールできる。

 また、その他の部分も全体的に小振りであることから、シャーシが手の平や指の第1、第2関節付近にほとんど干渉しないため、指先による微調整がかなり自由に行なえる。この特性から、本製品はまさに「つまみ持ちのために生まれたマウス」と呼んでいいかもしれない。つまみ持ちメインのユーザーであればうってつけだし、そうでないユーザーもつまみ持ちに矯正してしまいそうな勢いである。重量が軽いことも相まって、操作は軽快そのもの。まったくストレスなくゲームをプレイできる。

 他の持ち方、例えばマウス全体を手で包む「握り持ち」でも感触は悪くはないのだが、こちらは、ボタンの配置に少々問題があるかもしれない。というのは、薬指と小指に力を入れてサイドをグリップしようとすると、右側面の出っ張り部分に位置する「MODE」ボタンに薬指の腹があたり、ミスクリックしてしまいがちなのだ。これは慣れ次第で改善できると思うが、筆者の場合、当初は異物感を感じた。

 また、マウス上面に手の平を預ける「かぶせ持ち」タイプでは、マウス右側面に小指だけを下ろし、右メインボタンの上に薬指を置くやりかたであれば完璧にフィットする。しかし、薬指を側面に下ろすやりかたでは、上記のミスクリック問題が出てきてしまう。このあたりは、個々人のクセによるものであり、良し悪しではなく、そういう特性なのだと理解していただきたい。

 かなり良好な形状特性を持つ本製品だが、ホイール部には難点がある。本製品のホイールは、平均的なマウスに比べて非常に硬い。ホイールを回転させるために相当量の力を加える必要があり、その感触は「ゴリゴリ」という感じだ。ホイールの左右チルト操作も、感触がやや重いため、素早い操作を行なうためには指の腹に強い力を掛ける必要がある。その間、マウスのコントロールを維持することが困難だ。

 また、全体的に小ぶりなため、普通に把持するとホイールが指の第2関節より手前に来る。このため、ホイールを回転させるには指を相当量折り曲げる必要があり、当初は違和感を感じるかもしれない。ホイールがもう少し前方に配置されていれば完璧なバランスと言えた。

なお、本製品は同じく「DHARMA POINT」ブランドのマウスパッドに最適化されているという。併せて入手してみても面白いだろう
 結論としては、本製品はこのようなささいな部分が気になってくるほど、基本的な作りはしっかりとしており、機能面にも不満がない。海外製のゲーミングマウスを常用している、ハードコアなPCゲーマーが手にとっても、全く遜色のない出来である。それどころか、形状は極めてオリジナルで、製品デザインは的を射ており、スペックは最高クラス。久々に日本メーカーから会心の一撃が出た、と言いたいほどなのである。

 日本のメーカーが日本人のためにデザインしたゲーミングマウス「DHARMA TACTICAL MOUSE」。実売価格は8,000円程度と見込まれており、価格的には中堅クラス。それでいてゲーミング用途のスペックは申し分のないレベルにあり、オンラインFPSで高度なスペックをマウスに求めるユーザーや、マクロ機能の充実したマウスを求めるユーザーなど、多くのユーザーに広く受け入れられる製品として、ゲーミングデバイス市場に独特の存在感を放つことになるだろう。

□シグマA・P・Oシステム販売のホームページ
http://www.sigma-apo.co.jp/
□「DHARMA POINT」のページ
http://www.dharmapoint.com/
□関連情報
【2007年12月26日】シグマA・P・Oシステム販売、「DHAMAPOINT」ブランド第1弾
ゲーミングマウス「DHARMA TACTICAL MOUSE」
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20071226/dhama.htm
【2007年12月17日】日本最大のLANパーティ「BIGLAN Socket6」が開催
「SuddenAttack日本大会」「Eスタ」他、イベント盛りだくさん!
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20071217/biglan6.htm
【2007年11月16日】日本発のゲームデバイスブランド「DHAMAPOINT」発足
第1弾商品は日本人の手にあったゲーミングレーザーマウス
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20071116/dhama.htm

(2008年1月22日)

[Reported by 佐藤“KAF”耕司]



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