|
会場:表参道ヒルズ
発表会の冒頭、壇上に立った安田善巳テクモ代表取締役社長は「2008年のテクモは、クリエイター集団としての持ち味を生かしながら、ひとつひとつのタイトルに目標を定めて積極的に挑戦していきたいと考えている」とコメント。
会場で明らかにされた新作は計3タイトル。なかでも注目を集めたのは、後半に発表された「世界市場における成功を視野に入れた新しい共同プロジェクト(安田氏)」という作品。まずは、その共同プロジェクト作品からご紹介していこう。
■ テクモと任天堂の共同プロジェクト ~Wii「零 ~月蝕(つきはみ)の仮面~」を今夏発売
プロデューサーの菊地啓介氏は「和風ホラーゲームの第4作目。ホラー映画やゲームは非常に沢山でておりますが、このゲームのコンセプトは“遊んだ人の想像力を刺激する怖さ”です。人の脳は、足りない情報を無意識のうちに補う傾向があり、それを利用して私たちは遊んでいる人の頭のなかで怖さが完成するようなゲームデザイン。その結果、日本家屋を舞台に“射影機(カメラ)”を武器に、襲い掛かる恐怖に挑むというゲームスタイルを作ってきました。今作は、月、仮面、記憶が重要な役割を果たします。イメージカラーは月の色である黄色。ひとつお約束できるのは、Wiiリモコンとホラーゲームの親和性は非常に高い、ということ。生まれ変わった『零』を、みなさま楽しみにお待ちください」とコメント。 ゲストとして登場した任天堂代表取締役専務の波多野信治氏は「テクモ様とはこれまでにも販売協力をさせていただいて、有効な関係を築いてまいりました。今後は販売だけでなく、開発面でもできる限りお互い協力して、良質なソフトをゲームファンに提供することが望ましいという考えが一致し、このたび共同開発をさせていただくことになりました。このソフトの手法において、新たなアイデアを入れるために、グラスホッパー・マニファクチュアの協力をいただき順調に開発が進んでいます。販売は任天堂が担当し、積極的なプロモーション展開による拡販をしてまいります」と、開発と販促の両面で積極的にサポートしていく意思を明らかにした。
会場では、約2分のプロモーションムービーが上映された。ピアノを演奏する色白の女性、記憶と関連がありそうな一枚の古ぼけた写真、荒廃した洋館の前にたたずむ姿、懐中電灯を片手に廊下を歩くシーンなど、静かではあるが“じわり”と恐怖が浸透してくるかのような印象を受けた。前述のとおり、テクモ代表取締役の安田氏は「世界市場における成功を視野に入れている」と明言しているが、それがどう作品に反映されていくのか。筆者は、海外で高い評価を受けている須田氏の参加にヒントが隠されているように思われてならないが、はたしてどのような作品になるのだろうか。シリーズのファンはもちろん、ホラーに興味がある人には絶対に見逃せない作品になりそうだ。2008年夏発売予定で、価格は未定。
(C)2008 Nintendo / TECMO,LTD.
■ 未就学児がメインターゲット ~DS「親子で遊べるDS絵本 うっかりペネロペ」
タイトル紹介に先立ち、プロデューサーの設楽昌弘氏は、2007年10月に発売したDS「西村京太郎サスペンス」を引き合いに、同社の重要戦略「新規顧客層の獲得」について触れた。同作は、2007年末の時点で22万本を出荷。アンケート結果から、30代を中心とした購入者の約86パーセントがテクモ作品を初めてプレイしたという。「シニア層へのアピールには一定の感触を得た」と判断した同社は、新たな取り組みとして“未就学児を擁するファミリー層”をターゲットにすることを明らかにした。 厚生省の出生率調査によれば、未就学児(2~6歳)は全国に560万人いるという。未就学児のいる家庭へのDS普及率は79パーセント(株式会社マクロミル調査)といい、結果として440万人のユーザーが存在し、これらは「ゲームユーザーの源泉と呼べるのではないか」と設楽氏はいう。同社はここを重要なマーケットと位置付け、本作を開発し未就学児向け市場に参入したと説明する。 本作のキーワードは「あんしん」。テクモは事前に1,000人規模のアンケートとグループインタビューを実施し、未就学児の母親からゲームに関する意見を調査。「子供が夢中になりすぎて他のことができなくなりそう」、「小さいうちから戦いを見せたくない」、「どうせ買い与えるなら、ためになるものであってほしい」といった声を、開発に反映させていったという。「将を射んとすれば……」ではないが、未就学児が自らゲームを買い求めることはあまり考えられず、このあたりは実に堅実かつ正統なアプローチといえる。 対象年齢が3~5歳ということもあり、本作は見た目からインターフェイスにいたるまで、最新の注意が払われている。絵本やアニメのタッチが忠実に再現されたグラフィックスは、見ているだけで暖かみが感じられる仕上がり。キャラクタなどのボイスは、TVアニメと同じキャストを起用。遊び方は、タッチペンで画面に触れるだけ。ひと言で表現するなら“インタラクティブな絵本”といったところか。 部屋のなかにあるノートをタッチすれば、タッチペンを使った「お絵かき」、ドアをタッチして他の場所にいけば、リビング、お風呂、キッチン、お店など、出先でさまざまなイベントが楽しめる。デモプレイでは、キッチンでケーキをデコレーションしたり、お風呂場では湯気でくもった鏡をこする(マイクに息を吹きかけると、また曇る!)、好きな楽器を選んでタイミングを目安に鳴らす「演奏会」、八百屋さんの店先で「キャベツはどれ?」などのミニゲームが披露された。庭では、四季に応じてトンボが飛んだりカエルが出現したりと、細かい部分にもぬかりがない。 これらのイベントやミニゲームは、いずれも知育、情操教育に役立つよう作られている。ミニゲームを通して物の名前や色を覚えたり、四季の移り変わり、挨拶、片付けなどを身に付けるといった内容に不安を覚える親御さんはほとんどいないかと思われる。一方で「あまり長時間これで遊ばれても困る」という親御さんには、オプションでプレイ時間を制限する機能が用意されている。また、子供が描いた絵本の内容をあとから確認したり、どんなゲームをたくさん遊んでいるか、ゲーム中でどんなキャラクタと一番仲がいいといった「子供のプレイ傾向」についても、オプションから随時確認することが可能となっている。
DS「西村京太郎」シリーズで中高年の新規顧客層を獲得したテクモの“次の一手”となる本作。筆者は不勉強なため「うっかりペネロペ」を今日まで知らなかったが、同社調べによれば、未就学児を持つ親御さんの認知度は、2006年から2007年にかけて約70パーセントまで向上しているという。これが実態とかけはなれていなければ、本作は十分な訴求力を持った強力なコンテンツといえる。2008年春発売予定で、価格は未定。早期購入者にはペネロペのオリジナルグッズがプレゼントされる。
Penelope by Anne Gutman and Georg Hallensleben (C)Gallimard Jeunesse Licensed by Nippon Animation Co., Ltd. (C)うっかりペネロペ製作委員会 (C)TECMO,LTD. 2008
■ DS「DS山村美紗サスペンス 舞妓小菊・記者キャサリン・葬儀屋石原明子 古都に舞う花三輪 京都殺人事件ファイル」
本作は、グラフィックスに実写背景を使用。プロデューサーを務める設楽氏によれば「サスペンスドラマといえば、土地々々の舞台、旅情感が大切な要素。実写背景を使うことによって、高い臨場感を演出する」と説明。一瞬「キャラクタのグラフィックスが浮き上がってしまうのではないか?」と思ったが、スクリーンに投影された画面を見る限りキャラクタが自然に溶け込んでおり、違和感はまったく感じられない。 システム面では、調べたいところをタッチペンで触れて画面を拡大する「タッチアンドアップ」、聞き込みなどで登場人物の相関関係が少しずつ明らかになっていく「人物相関図」の2点がポイント。前作「DS西村京太郎」はトリックを解き明かしていくところに醍醐味があったが、本作は山村美紗さんの作品で重要な位置を占める“登場人物同士の関わりあい”に主眼が置かれており、「人物相関図」はそれを表現するうえで相応しいシステムといえる。 スペシャルゲストは、山村美紗さんの娘で女優の山村紅葉さん。紅葉さんは、前作「DS西村京太郎サスペンス」のプロモーションキャラクタを務めており、その縁から「山村美紗さんの作品(をゲーム化して)はどう?」といった話になったという。 京都の実写背景が使われている点で非常にリアリティがあり、登場人物もかわいく、格好よく描かれており、さらには登場人物の人間関係をあらわす「人物相関図」がヒントになる点など、母親である山村美紗さんの作風や特徴をきちんと踏まえた作りが非常に好印象だという紅葉さん。会場では、ストーリーテラーとなるディフォルメキャラクタ「美沙ちゃん」のほかに、サプライズとして「紅葉ちゃん」が初公開。さらには、ドラマで夫婦を演じている俳優の船越英一郎さんの応援ビデオレターが上映されるなど、紅葉さんには驚きの連続。
「母の13回忌にあたる年に、母も大好きだったゲームで……ファミコンのやりすぎで腱鞘炎になったことがあるくらい『なんで左手も腱鞘炎になるんですか?』といわれたくらい大好きな母の供養になると思います。とても楽しいものになっていると思いますので、できるだけ多くの人にプレイしていただきたいと思います」とコメントしてくれた。2008年春の発売予定で、価格は未定。
(C)2008 YamamuraMisa Office All Rights Reserved. (C)TECMO,LTD
■ DS「NINJA GAIDEN Dragon Sword」
(C)TECMO,LTD.Team NINJA 2008
□テクモのホームページ (2008年1月30日) [Reported by 豊臣和孝]
また、弊誌に掲載された写真、文章の転載、使用に関しましては一切お断わりいたします ウォッチ編集部内GAME Watch担当game-watch@impress.co.jp Copyright (c) 2008 Impress Watch Corporation, an Impress Group company. All rights reserved. |
|