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会場:品川 ザ・グランドホール
最も注目されるのは、テクモとしてニンテンドーDSに正式参入を決定したことだろう。今回、「DS 西村京太郎サスペンス 新探偵シリーズ『京都・熱海・絶海の孤島 殺意の罠』」、「かいて しゃべって はじめよう! モンスターファームDS」、「NINJA GAIDEN: Dragon Sword」の3タイトルが発表されたが、それぞれ違ったジャンルで、それぞれ違った方法でニンテンドーDSの機能を活用したタイトルとなっており、ゲームとして注目されるタイトルに仕上がりつつあるようだ。 発表会の冒頭、壇上に立った安田善巳テクモ代表取締役社長は「ゲームの新しい未来を切り開く情熱を持って企画し開発を行なってきた」と語り始めた。具体的には、安田氏自ら開発者と対話することでテクモのゲーム制作における目標を話し合っていったのだという。「世界中の人を楽しませる」事を目標とし、「我こそは!」と名乗り出た人をプロデューサーとして抜擢し、新機軸タイトルを次々と立ち上げ、それがついに発表できる段階となったのだという。 安田氏は、テクモのこれまでのユーザー層を「10歳代後半から20歳代」とし、比較的ゲーム好きなユーザーが多いと分析。しかし今回発表されるタイトルは「女性や年齢層の高い人でも気軽に楽しめるタイトルや、新しいゲームの提案を行なっているタイトル、タッチペンを使いアクションゲームの新境地を開く新しいスタイルのゲーム、これぞハイエンドのゲームエンタテインメントだと自信と自負を持って言えるクオリティのタイトルまで多彩なラインナップとなっている」と同社として挑戦的なラインアップであると語った。 さらに安田氏は、「今回の本格参入を皮切りに、今後もニンテンドーDS用タイトルをコンスタントに出していく」と明言。「コンソールゲームに加えて携帯ゲーム機用ゲームを制作することで、初心に戻るというか、遊びの原点に戻る」とし、「ゲームを作ることの楽しさを我々は感じている」と制作体制が充実していることを強調した。最後に「我々のワクワク感を伝える発表会としたい」として挨拶を締めくくった。
今回の発表会では安田氏の挨拶にあるようにニンテンドーDS用タイトルが非常に目立つ内容となっている。が、そこは老舗メーカーであるだけに、単純にニンテンドーDSの機能を使っただけのタイトルに留まらない仕掛けがなされているようだ。本稿では、「DS 西村京太郎サスペンス 新探偵シリーズ『京都・熱海・絶海の孤島 殺意の罠』」、「かいて しゃべって はじめよう! モンスターファームDS」、そして最近同社が力を入れているネットワークゲーム事業の中では今回唯一の発表となった「ロード・オブ・ザ・リングス オンライン アングマールの影」についてお伝えする。 ■ ゲームシニア層を狙ったサスペンスADV「DS西村京太郎サスペンス 新探偵シリーズ」
設楽氏はまず同作を制作する経緯について説明。理由のひとつとして自身の経験を語った。設楽氏の母はゲームに対して理解のない部分もあったという。しかし設楽氏が昨年末に実家に帰ると、母親から「ニンテンドーDSと脳トレを買ってきて」とお願いされたのだという。「これまでは『ゲームばかりしてないで勉強しなさい!』とか (ネガティブな) ゲームのイメージがあったが、市場の変化を実感した」と感心したのだという。 ここでニンテンドーDSのユーザー層を調べたデータを示し、40歳以上の中高年層のユーザーが30%もいるとし、ニンテンドーDSの全ユーザー1,600万人から逆算すると中高年層だけで480万人ものユーザーがいると計算。この層がどういったソフトを楽しんでいるかと言えば、言わずとしれた「教養系」のソフトであると設楽氏は指摘。これをゲームシニア層と名付け、これまでにない市場として開拓していこうと考えたのだという。 しかし現状ではゲームシニア層のプレイするソフトは教養系に限られており「教養系のソフト以外選択肢がない」と設楽氏は説明し、この層が楽しめるゲームとして今回のゲームタイトルに結びついていったのだという。 設楽氏は「DS 西村京太郎サスペンス 新探偵シリーズ『京都・熱海・絶海の孤島 殺意の罠』」を制作するにあたって3つの点に気をつけたのだという。ひとつは“あんしん”。サスペンスという王道のジャンルを選択することで、シニア層でも安心して手に取れるようしたという。さらに西村京太郎氏の原案・監修とすることで、誰もが知っている安全印の内容であるようタイトルでもわかるようになっている。次に“かんたん”。操作難易度の低いアドベンチャーゲームを選択し、さらには親切設計を徹底することでシニア層でもプレイできるようしているという。最後に“役に立つ”。これは、推理は頭の体操になるといった観点で販売戦略的な側面も強いが、ターゲットとするそうには強いアピールのひとつとなるだろう。 ゲームは前述の通り、非常にオーソドックスな内容で、ゲームの流れとしては事件が発生し、聞き込みや証拠集めといった捜査を行ない、推理して物語の核心に迫っていく展開だ。モードは大きく分けて2つ用意されており、ひとつはじっくりと物語を楽しめる「長編」、もうひとつは気軽に1問5分程度で楽しめる「短編」となっている。「長編」では、プレーヤーは主人公「新 一新 (あらた いっしん)」となり次々と起こる難事件を解決していく。舞台は京都、熱海 (新幹線) といった西村氏の作品ではおなじみのものに加え、タイトルにもあるとおり絶海の孤島も舞台となっている。設楽氏によれば、西村氏が長年温めていた構想をモチーフとしているという事からもかなり期待できそうだ。 操作系で特徴的なのは「カットインパネル」システムだろう。現在捜査中の場所が上画面に表示され、その中でも怪しげなところがいくつか下画面に大きくカットインのように表示されるシステムで、この下画面をタッチペンでタッチして捜査を行なっていく。誰もがわかりやすく捜査できるよう工夫したという。 「短編」では、選択肢を選ぶといった単純な内容ではなく、たとえば文章が表示され、文章中の謎をタッチペンでなぞって指摘してみせたり、表示された見取り図の中を犯人がどのように行動したか行動の経緯を図に示してみせたり、電車の時刻表を使ったトリックを見破るなど、10種以上の様々なアイディアが盛り込まれているという。こちらはまさに頭の体操といった雰囲気だ。 発表会には、原案・監修を担当した西村京太郎氏と、プロモーションキャラクタを務める女優の山村紅葉さんが主席。西村氏は「『西村京太郎の……』とタイトルについているので責任を取らなければならないと、ストーリーや人物の名前など参考となるように話をした」と監修内容について説明。名前の付け方については「印象的で忘れられない名前ということで決めました」と言及。山村さんの「設定が気が強いということで、母 (山村美沙さん) をイメージしたのかと思いましたが」と問いかけると、「思い出しながらやりました (笑) 。(設定画を見ながら) あぁ、美人ですね。良かった」とコメントする一場面も。 西村氏は今回ゲームに携わるきっかけについて「最近、小説が形態で連載されたり、電子書籍とかあるでしょ。そういう時代なので、参加しないと時代遅れになるんじゃないかと思って」と笑いながらコメント。西村氏は実はゲーマーということで、毎日麻雀ゲームをプレイしているという。そういった意味でもご本人の中にゲームに参加する意欲がこれまでにもあったのかもしれない。 一方、山村さんは今回のプロモーションナビゲーターを引き受けた背景として「撮影所での待ち時間でも最近では、みんなニンテンドーDSなどを楽しんでいる。そこにサスペンスが来るとなると、テレビの2時間サスペンスにたくさん出させていただいている、サスペンスの裏女王としては出て行きたいと思ったんです」と説明。ゲームはプレイしないということで、「ゲームは若い人の物」と思っていたそうだが、前述の通り撮影所での経験から「これだけ年配の人もプレイしているのだから、共通の話題として私のサスペンスを見ている主婦の人でも楽しんでいただければ」とアピールした。 さらに山村さんはプレイしてみた印象として「これまで『脳トレ』と『お料理ナビ』くらいしかやったことがなかったんですが、説明書もいらないで、順番にやっていってペンでタッチしていくと進んでいくんですが、奥が深いんですよ。実際にいるような臨場感と、推理を読み解いていくような推理感とがあって、でもゲームですのであれこれやっているうちに、あっという間に時間が過ぎていくんです」とかなりはまっている様子だ。画面なども綺麗で感動したそうだ。ちなみに登場人物では強烈な女性の大家さんのキャラクタがお気に入りだと言うことで、「テレビドラマだったらわたしこの役、譲れないわ」と言うくらいだそうだ。
ゲーム内には西村京太郎氏の分身として「京太郎くん」というお助けキャラクタも登場するという。そういった意味ではただの原案・監修に止まらない活躍と言えそうだ。設楽氏は「西村先生は色々とこだわりのある方なので、勉強させてもらいながら作っている」ということで、推理ものとしての完成度が気になる1作となりそうだ。
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■ DS「かいて しゃべって はじめよう! モンスターファームDS」
累計販売が300万本を超える「モンスターファーム」シリーズだが、その特徴をきかれたら、恐らく誰もが“モンスターの生成方法”と答えるのではないだろうか。初代プレイステーション版では音楽CDから、プレイステーション 2版では音楽CDとDVDからモンスターを生成することが可能だったが、今回のDS版は据置型のシリーズ作品を上回る多彩な生成バリエーションを実現している。 モンスター生成方法のひとつめは「魔方陣再生」。タッチパネルに表示された方眼紙のようなエリアにタッチペンで好きな図形を描く。デモンストレーションで西澤氏が大きな正方形を描くと、シリーズナンバーワンの人気モンスター「モッチー」が可愛らしい鳴き声とともに姿をあらわす。続いて何やら怪しい図形を描いたと思えば、これまたシリーズを代表するモンスター「スエゾー」が出現するといった具合。
タッチペンというデバイスから類推される使い方としては決して奇抜なものではないが、フリーハンドで描かれた図形からどんなモンスターが生成されるのか、といった具体的な内容までは想像しづらく、これが実に興味をそそられる。この時点で筆者などは「どんな法則性があるのだろう」などと、発売前にも関わらずあらぬ妄想にふけってしまう。
続いて披露されたのは音声認識によるモンスター生成で、ゲーム中では「呪文再生」と呼ばれる。DS本体の音声認識機能により、発生パターンからさまざまなモンスターが生み出される。デモンストレーションでは、西澤氏が開口一番「さくらもち!」と叫ぶ。会場内の誰もが「あぁ、なるほどモッチーが出てくるのね」と思い気や、出現したのはなんと「ゴールディー」。「えー、本来ならモッチーが出てくるはずなんですが……これはこれでカッコイイからありでしょう(苦笑)」と会場内の笑いを誘う。
現時点では音声認識の精度に微妙なズレがあるようだが、正式発売のあかつきには音声ならぬ「呪文」でさまざまなモンスターを生み出すことが可能になる。これまた音声に限らずさまざまな効果音、環境音などを試してみたくなる、魅惑的なフィーチャーだ。
会場では披露されなかったが、この他にもゲームボーイアドバンスのカートリッジを読み込ませてモンスターを生み出す「石版再生」といった機能も用意される。この時点で、モンスターを生成する方法は計3種類ということになる。
生成したモンスターは育成が可能なほか、大会に出場させてランクアップを目指したり、合体させて新モンスターを作ることもできるという。モンスター育成は、ファームを使った訓練のほか、スゴロク形式の育成メニューも用意される。シングルプレイのほか、通信対戦も可能。シリーズ10周年にふさわしい、質実ともに充実した作品に仕上がりそうだ。7月12日発売予定で、価格は5,040円(予価)。
(C)TECMO,LTD.2007
■ MMORPG「ロード・オブ・ザ・リングス オンライン アングマールの影」 冒頭で説明したとおり、ここのところネットワークゲームに注力しているテクモとしては珍しく、ネットワークゲームに関する発表は、この「ロード・オブ・ザ・リングス オンライン アングマールの影」のみに止まった。壇上にはさくらインターネットの笹田亮社長が上がり説明を行なったが、基本的なリリース内容に止まっており、そういった意味では若干残念だった。 逆に言えば、スケジュールの発表に終始したという点では開発が順調な証なのかもしれない。まず発表されたのは、「ロード・オブ・ザ・リングス オンライン アングマールの影」をLieVoパッケージの第1段タイトルとして5月に発売するということ。対応機種はWindows XP/Vistaで、価格は5,040円。発売時期は5月となっている。笹田氏によれば「ゴールデンウィークが明けたころかな」とコメントした。 気になるパッケージ内容だが、クライアントソフトの他、限定アイテムとして購入者がキャラクタを作成したときに「はやての指輪」というアイテムが手に入る。さらにプレイチケットとしてクライアント料3,000円、月額プレイ料1,500円の合計4,500円分が含まれている。クライアント料を支払い済みの場合は、月額プレイ料金が3カ月分となり、結果的には同額得する仕組みとなっている。 今後の予定としては、4月6日にクローズドβテストの詳細が発表され、4月24日からクローズドβテストが開始となるという。
そしてパッケージが発売になるということで、今後の展開も徐々に見えてきそうだ。
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□テクモのホームページ (2007年3月30日) [Reported by 船津稔 / 豊臣和孝]
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