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会場:台北世界貿易中心
入場料:大人200台湾ドル(約700円) Funtownは昨年のTaipei Game Showでは最大規模のブースを出し、その存在を大きくアピールしたメーカーである。Funtownはこれまで麻雀をはじめとしたオンラインのテーブルゲームを運営しており、MMORPGは手がけていない。しかし2007年に突然「Hellgate:London」の台湾でのサービスを発表し、そしてTaipei Game Show2007で派手に出展したことでその存在感を大きくした。
今年のFuntownはブースの規模こそ前回より縮小されたものの、「Hellgate:London」と「Holic」、そして「NBA Street Online」という3本のタイトルを出展し、来場者の注目を集めていた。本稿ではこの3つのタイトルにかけるFuntownの意気込みとユーザーの反応を中心にお伝えしたい。
■ セクシーなコンパニオンが踊る2つのステージでパブリッシングタイトルをアピールするFuntownブース
ステージの裏のブースでは「Hellgate:London」、「Holic」、「NBA Street Online」の試遊台を設置してプレーヤーにタイトルを体験させると共に、「NBA Street Online」は専用のステージとバスケットコートを設置、こちらのステージではメインステージとは別にダンスイベントや、バスケットコートでのシュート大会などもひっきりなしに行なわれていた。 ブースには「Hellgate:London」のフィギュアや等身大の人形が設置され、「Holic」の着ぐるみの人形が歩く。ステージを終えたコンパニオン達が来場者のカメラの前でポーズをとるなどブース全体に華やかな雰囲気が立った。 Funtownはこれまで台湾ではMMORPGのサービスはしていないという。Funtownがどうして世界的に知名度のあるオンラインアクションRPG「Hellgate:London」の台湾での運営権を手に入れ、さらに複数のタイトルのサービスを計画することができたのか。これはFuntownが、アジアやヨーロッパで子会社を通じてオンラインゲームを展開する台湾Gigamediaに買収されたためだ。Gigamediaの戦略をバックに、Funtownはオンラインゲームパブリッシャーとして生まれ変わることになったのである。 昨年の取材では2007年の夏に「Hellgate:London」の台湾展開を行なう予定であったが、実際の所「Hellgate:London」は北米をのぞく他の地域でのサービススケジュールは見えていない状況で、台湾もまたどう動くか見えていない。これは北米でユーザーから「完成度においてまだまだ」という評価を受けている背景が大きい。2007年に“派手なデビュー”を飾ったFuntownだがオンラインゲームパブリッシャーとしての本当のスタートはもう少し先というところだ。 本当のスタートをしていないFuntownの不安定さは出展にも微妙に影響していたように思える。Funtownの出展タイトルはどの作品も世界観がはっきりしていて、画面を見た瞬間触ってみたくなるタイトルばかりだ。スタッフも積極的にプレーヤーを試遊台に誘導し基本操作を教える。しかし、「どう楽しむか」というところをフォローできていなかったように感じる。スタッフが離れるとすぐにユーザーは不安そうに周りを見回し、そして試遊台から離れていってしまうのだ。ほんの少し先にユーザーがゲームにのめり込める場所があるのに、後一歩スタッフがそこまで誘導できていないように感じた。 Taipei Game ShowやG★などアジアのゲームショウでは試遊台を置いただけでユーザーを放置するというメーカーも少なくない。しかしFuntownはスタッフはユーザーを見守り声をかけるという積極性をきちんと持っていながら、後ほんの少しの所で空回りしていたようで残念だった。これはひょっとしたら、実際のコンテンツでユーザーをサポートする経験値が足りないためなのかもしれない。
Funtownブースとスタッフからは本当のスタートに向けてのコンテンツとユーザーへの期待と意気込みを強く感じさせられた。新進のオンラインゲームパブリッシャーとしてどこまでユーザーをサポートできるか、実際のサービスでの経験値の蓄積と、そして来年のより洗練された、ユーザーの楽しめる出展に期待したいところだ。
■ 巨人と小さな選手のバスケットゲーム? 様々な要素を追加しハチャメチャなゲームが楽しめる「NBA Street Online」
本作は試遊台の画面を一見しただけで強烈なインパクトを与える。バスケットコート自体は普通なのだがそこにいる選手の中の何人かがゴールに手を伸ばせばそのまま届いてしまう“巨人”なのだ。普通の大きさの選手は巨大な選手の膝くらいの身長しかない。一体これはどんなバスケットゲームなのかと思わず画面を二度見してしまう。 「NBA Street Online」はリアルさよりもハードルを低くしたわかりやすい面白さにフォーカスを当てたオンラインバスケットボールで、選手の身長差に代表されるようなはちゃめちゃな場面が多発するユニークな作品だ。ゲーム進行中にコートに様々なアイテムがポップし、それをとることで選手の身長が大きくなったり、スピードが速くなったりという効果が生まれる。巨大化したとしても必ず有利というわけではなく、普通サイズのキャラクタのドリブルについて行けなかったりする。 一方巨大な選手同士が頭上でパスを回すと小さな選手はいくらジャンプしても届かない。スピードを早くしすぎると制御できなくなりブロックする選手にぶつかりやすくなるなど様々なメリットデメリットがある。ポップするアイテムには「自分以外の選手を転ばせる」といったような効果もある。 1on1、3on3が可能でアイテムが登場しないリアルな駆け引きを楽しめるゲームモードも用意されている。シングルプレイも楽しめ、よりコンシューマゲーム的な楽しさも併せ持っている。シングルプレイではボスとしてNBAの選手が登場し、勝つとチームメイトのNPCとしてオンラインプレイ時に招集することも可能になるという。 オンラインゲームの「特性」としてはキャラクタの成長要素がある。「NBA Street Online」のプレーヤーキャラクタはパスが得意だったり、シュートがうまかったりと8種類のキャラクタタイプが用意されている。試合を重ねていくことでキャラクタはレベルを上昇させより多彩なアクションができるスキルを獲得していく。
この他に“生産”要素もあり、試合をこなしていくと「シューズのひも」といったアイテムをゲットし、これを集めると限定のバスケットシューズなどを作ることができるという。課金アイテムはアバター要素の他、経験値アップアイテムなども登場する予定だ。スポーツゲームにオンラインゲームの要素をプラスしたユニークなバランスのゲームになるようで、日本での展開も楽しみである。
■ 「ルナティア」として知られるMMORPG「Holic」。台湾ではオリジナル要素を追加し夏頃から展開
「Holic」は日本でもテストを繰り返し、新マップの追加やゲーム要素などのコンテンツの充実、キャラクタバランスの調節などを行なっている。現在もまだオープンβテストに移行できていない作品で、サービス開始までじっくりと時間をかけている印象のあるタイトルだが、台湾ではさらにコンテンツの充実を図っていくという戦略だ。 本作の第一の特徴は非常にかわいらしいキャラクタデザインにある。体の各部が丸く、目の大きなデザインで、着ている衣装の細部には細かい装飾がされていて制作者のデザインへのこだわりが感じられる。人間の他、頭身の小さな“獣人”でプレイできる。小さな手足を一生懸命動かしてフィールドを駆け回る姿は思わず笑みが浮かんでしまう雰囲気がある。フィールドの建物などにも独特のセンスが感じられる。このデザインは台湾ユーザーにも大きな魅力のようで、プレイしている人の画面をのぞき込む来場者も多かった。 「Holic」は「ユーザーがダンジョンを作れる」という要素が大きくクローズアップされている。他にもパーティー内で役割を考えクラスの特性を追加できる「副業」を育てられるシステムや、パーティーで協力して使えるスキルなど本作はパーティープレイやユーザーの交流に注力している。日本の「ルナティア」ではどのような世界が作られ、台湾や韓国の「Holic」ではまた違ったプレーヤーの交流が生まれるのか、各国の展開も注目したいところだ。
台湾ではあえてスタート時期を遅らせることで、「独自性」を打ち出す計画である。ゲーム内の生産要素をより特化していく方向性、「釣り」といったミニゲームも提案していく。Funtownとしては本作を香港でも展開したいと考えており、中国のプレーヤーの好みも考えると、PvP要素も強化していきたいとのことだ。
■ アジア展開が足踏み状態の「Hellgate:London」。台湾展開での秘策とは?
「Hellgate:London」は昨年、大きく話題を集めながらも実際のサービスには苦戦している印象がある。制作が発表されてから世に出るまでに時間がかかり、北米ではサービスがスタートしてからもユーザーから不具合報告が出された。本作は「DIABLO」の生みの親として知られるBill Roper氏が作る新しいMMORPGということで全世界の期待を集めている。今後この期待に応える事のできるコンテンツへ成長していくことができるのか、注目したいところだ。 筆者は台湾や上海、日本の試遊台で本作に何度か触れている。個人的には軽快な操作性、こだわりを強く感じさせるキャラクタやモンスターのデザイン、そしてなによりも退廃的な世界観に強い魅力を感じている。これからの展開に期待したい。 台湾ユーザーにも「DiabloII」ファンは多く、特にコアプレーヤーにとって本作への期待は高い。Funtownは台湾展開にあたり、細かくアイデアを開発元である米Flagship Studiosに提案しているという。それはオリジナルのクエストであり、アバターであり装備であるという。
具体的にはどのような方向性か質問したところ、「台湾のコアプレーヤー、25才前後の人が子供の頃に親しんでいたもの」だという。そのものズバリは今のところ答えられないとのこと。日本人である筆者にはちょっと想像がつかないため、さらに質問したが、日本のアニメ風でもなく、武侠もの的要素でもないという。一体どのようなものになるか、強く興味がひかれるところだ。
□Taipei Game Showのホームページ (2008年1月27日) [Reported by 勝田哲也]
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