|
会場:台北世界貿易中心
入場料:大人200台湾ドル(約700円) 出展されていたアーケード筐体は1台限りだったが、日本未発売の新製品のフルローカライズバージョンということもあり、カップルや親子を中心に長い行列ができていた。本稿では、ブースの出展内容と台湾のアーケード市場の最新動向をお伝えしていきたい。
■ ゲームセンターは禁止なのに、「太鼓の達人」は人気。そのからくりとは?
まず、台北市では、市の法律により、いわゆるゲームセンターの営業が禁止されている。このため、台北市街では、アミューズメントスポットは一切無く、当然のことながら日本を中心とした海外のアーケードゲームも見ることができない。 もちろん、アジアビジネスの常識として、並行輸入品があるにはあるが、10年以上前の筐体をだましだまし使っているような状態で、まったくの泡沫市場に過ぎない。これが中国なら古びたビルの中位階に、最新のアーケード筐体がズラリと並んだピカピカのゲーセンがあったりして度肝を抜かせてくれるが、台北市ではよほど取り締まりが徹底しているのか、強力な並行業者がいないのか、その辺のニュアンスは不明ながら、ゲームセンターと呼べるような店舗は存在しない。 それではなぜ、「太鼓之達人11 亜洲版」に行列ができうるのかというと、当然現地で遊ばれており、人気があるからである。ここが台湾のユニークなところだが、ゲームセンターの営業を禁止しているのは台湾の中心地の台北市だけで、それ以外の台北エリア、そして台中、台南では、営業が認められている。台湾におけるアーケードのメッカは、台南の高尾市で、ここを中心にアーケードゲームが遊ばれているのが現状だ。 バンダイナムコゲームスは、台湾へのアーケードゲームの展開は行なっていないのだが、そこはなんといってもアジアであり、台中、台南に存在する「太鼓の達人」はすべて並行輸入品となる。同社が確認しているだけでも200~300台の並行品がアジア地域に入っているという。曲目は当然日本語ばかりだが、現地での人気は高く、さらに中華電信が台湾で携帯電話向けに提供している「太鼓の達人 流行月租」が10万ダウンロードを誇る人気タイトルとなっていることから、同社ではアジアに市場性があると判断し、「亜洲版」誕生の運びとなったわけだ。
バンダイナムコゲームスとしても、アーケード版「太鼓の達人」シリーズとしても、アジア展開は今回が初めてとなる。折しも中国では、2007年頃から、アーケード市場が開放に向かいつつある。このことも多少追い風になったと見られるが、セガに続く、大手アーケードメーカーの参入は、アジア圏のアーケードゲームファンにとっては嬉しいニュースだろう。
■ テキスト/音声をすべて中文化し、24曲のC-POPを収録した「亜洲版」
ベースとした筐体は最新バージョンである「太鼓の達人11」。その特徴は、楽曲が新しく追加されるほか、女性でも握りやすいようにバチが細く軽量化された。また、荷物の置き場所を用意するために、中央のバチ置き場を撤廃し、2つの太鼓の真下にバチ袋を用意。目の届く位置に手荷物を置いて、太鼓が叩けるようになっている。ゲームプレイでは、子供向けの「かんたんこーす」で、両方の太鼓の入力を受け付け、保護者が手助けしやすく改良されている。「太鼓の達人11 亜洲版」でもこうした特徴はそのまま引き継がれている。 日本では3月頃の出荷が予定され、アジアでは4~5月に、台湾を皮切りに、香港、中国、シンガポールといった地域へ順次展開していく予定としている。価格は日本で95万円前後で、アジアでも同水準となる見込み。並行輸入品は、輸送費等のプレミアムを付けて120~130万円程度で流通しており、価格的なメリットも多く。並行品に対して決定的な影響をもたらしそうだ。 プレイ料金は20元(約70円)前後を想定。前後としているのは、台湾ではいったん現金でコインを購入し、コインをマシンに投入するトークン方式が採用されているため、店舗によって価格はばらつきが出るためだ。日本の200円に比べると約3分の1程度の設定となるが、物価水準から考えると妥当な設定といえる。 日本では現在全国に5,000台が設置されており、アジアの潜在需要はその倍の1万台を見込んでいるという。「太鼓の達人11 亜洲版」の初期出荷については、アジア参入したてということもあり、受注は少数に留まる見込みで、口コミでの広がりを期待しているという。今後の展開については、現地法人と協力して営業活動を続け、その一方で、残るアジア地域である韓国展開に向けて準備を進めていくという。アジアとのビジネスはまさにこれからといった印象だ。 なお、「亜洲版」はあくまでアジア限定バージョンであり、日本を含むその他地域での展開は予定していないというが、今年3月に開催されるAOUショウではアジアのバイヤーに向けて参考出展するということなので、興味のあるユーザーは見てみるといいだろう。 ブースでは、若いカップルを中心に、いつ見に行っても長い行列が耐えない状態だった。バイヤーの飛び込みの商談もあるということで反応は予想以上に上々だったようだ。日本ではひところのブームは去り、やや落ち着いた状況になっているが、今回現地に視察に訪れていたアーケード版「太鼓の達人」プロデューサーの藪下達久氏は、台湾ユーザーのプレイを後ろで眺めながら、「日本でリリースされた直後の熱気を彷彿とさせてくれますね」と興奮気味に語ってくれた。アジアでふたたび「太鼓」ブームが訪れるのかどうか。今後の展開に期待したいところだ。
(C)2000-2008 NAMCO BANDAI Games Inc.
□バンダイナムコゲームスのホームページ (2008年1月26日) [Reported by 中村聖司]
また、弊誌に掲載された写真、文章の転載、使用に関しましては一切お断わりいたします ウォッチ編集部内GAME Watch担当game-watch@impress.co.jp Copyright (c) 2008 Impress Watch Corporation, an Impress Group company. All rights reserved. |
|