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会場:台北世界貿易中心
入場料:大人200台湾ドル(約700円)
■ 規模縮小に歯止めがかからず。ショウを牽引するのは海外メーカー
ソフトウェアの即売会としてスタートしたTaipei Game Showも、2002年以降のオンラインゲーム興隆後は、大きくその姿を変え、ステージショウが大々的に取り入れられたり、SCE AsiaやMicrosoftといったコンシューマゲームメーカー参入後は、ゲームの試遊が本格的に取り入れられたり、ガイド役のコンパニオンを置いたりなど、徐々にゲームショウらしくなりつつあるが、即売コーナーは必ず設置してあるところがユニークだ。 それはSCE AsiaやMicrosoftといった海外メーカーでも例外ではなく、ゲーム機とソフトウェアがバンバン売れていく光景は、まさにTaipei Game Showの風物詩と言っていい。一方、地元の台湾メーカーは、オンラインゲームのスターターキットやプリペイドカードを値下げして販売するほか、Taipei Game Show限定のアバターチケットを格安で販売していたりする。普雷伊をはじめとしたゲームショップも会場内にTGS限定店舗を設置し、“歳末大セール”を繰り広げる。東京ゲームショウでオフィシャルグッズを売るという光景は見られるが、ゲーム機やゲームそのものをバンバン売るところが特色である。 さて、Taipei Game Show 2008は、昨年度と比較して、さらに規模を縮小していた。またメーカー数も減少傾向で、昨年は韓国メーカーが出展を見合わせる傾向が顕著だったが、今年は台湾大手メーカーまでが出展を見合わせるか、規模を縮小するかしており、今年目立っていたのはソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)のアジア部門SCE Asiaの台湾支部SCET(Taiwan)と、Microsoftという海外のゲームコンソールメーカーだった。 具体的には、Gamaniaは未出展、Softworldはショウステージのみ、Softstarは即売のみといった具合で、大手メーカーではFunTownぐらいだろうか。これでは台湾ゲームファンの期待に答えるのは難しく、海外から訪れたバイヤーも興味を失うだろう。台湾大手が軒並み出展を取りやめたため、昨年の特色だった台湾産タイトルの出展もあまり見られず、国際的な競争力はおろか、認知すら覚束なくなりつつある。 なお、今年は、そうした状況を少しでも緩和するためか、海外バイヤー向けにBtoBコーナーを新設し、さらに海外から有識者を招いてセミナーも企画されたが、認知が十分ではなかったようで、BtoBコーナーはガラガラ、セミナーもゲーム業界に就職を希望する学生や現役クリエイターが参加している様子も見られず、極めて中途半端な内容だった。
こうした状況は、韓国のアミューズメント協会がオンラインゲームショウを主催していたKAMEXの末期の状態に近く、台湾のPC産業の協会がゲームショウを主催しているところにそもそもの無理がある。その後、韓国が政府主催のGStarを立ち上げ、インターナショナルゲームショウへと新たに生まれ変わったように、Taipei Game Showも時代の変化にマッチしたゲームショウへと生まれ変わる時期に来ているように思える。
■ SCEとMicrosoftが2年ぶりにそろい踏み。SCEがクリエイター育成プログラムを発表
SCETは、まさに日本と欧米からかき集めたといった感じで25本ものPS3タイトルと、10本のPSPタイトルをプレイアブルで披露し、過去最大規模での出展となった。初日の発表会では、テレビカメラを含め、多くの現地報道人が集まる中、SCE Asiaプレジデントの安田哲彦氏をはじめ、台湾政府の経済部、行政院、そしてコーエーやバンダイナムコゲームスといったサードパーティーのトップが参席し、華やかな雰囲気でオープニングセレモニーが行なわれた。 目立った発表内容としては、アジア限定の真っ赤な「朱宝紅」カラーのPS2を発表し、旧正月直前の2月4日に発売されることが告知されたことと、SCETと政府が協力して「台湾クリエイター育成プログラム」を2008年9月からスタートさせることが明らかにされた。いずれもSCE Asiaの台湾での7年の蓄積から生まれた新たな取り組みであり、アジア限定カラーについては、SCE全体におけるアジアのウェイトが拡大していることを伺わせ、また、「台湾クリエイター育成プログラム」については台湾政府との信頼関係が極めて良好で強固であることを実感させてくれる。 「台湾クリエイター育成プログラム」は、SCETと現地の教育機関が提携し、日本からゲームクリエイターを呼んで、選ばれた生徒たちに、実践的なゲームの作り方を教育する。第1回目は、2008年9月から1年程度の期間で実施し、教育機材にはPS3やPSPを用いる。教育の結果誕生した優秀な作品については、今春サービス開始が予定されている「Home」やPlayStation Storeを通じて配信される予定となっている。その後のキャリアパスについては現段階では不明瞭ながら、長期的視野でコンシューマゲームの開発に興味を持ち、また優秀な才能を持った人材を発掘することを目標にしているようだ。これはなかなか世界に通用するクリエイターが育たないアジア市場を見かねて、SCE自らが育成に乗り出したという見方もできそうだがどうだろうか。 即売コーナーでは、やはり発売されたばかりの深紅(ディープレッド)のPSPが人気だった。発売後、店頭在庫が無くなってしまうほどの勢いで売れたため、Taipei Game Showのために一部取っておいたのだという。 一方、Microsoftは、Xbox 360一色の展開だった。台湾大手液晶メーカーのCHIMEIとタイアップして、52インチのフルHD液晶モニタで、「ロストオデッセイ」や「バーチャファイターV」、「デビル メイ クライ 4」といった30本以上の新作タイトルを試遊させていた。台湾独自のタイトルは見られなかったが、ラインナップに秀れるXbox 360は、52インチ液晶の迫力とも相まって上々の集客ぶりだった。Xbox 360は台湾ではすでに200タイトルがリリースされており、据え置き型ハードとしてはもっとも勢いを感じさせてくれる。
印象的だったのはMicrosoftの即売コーナーで、本体と好みのゲームソフト数本にMicrosoftポイントを付けたセット商品が会場限定で発売され、行列ができるほどの人気だった。タイアップしているCHIMEIの液晶モニタを購入することも可能で、購入するとMicrosoftポイントが付いてくるという仕組みだ。ゲームソフト1本というよりはやはり大物狙いが多いようで、両メーカーの即売コーナーを見ている限りでは、もともとゲーム機狙いでTaipei Game Showを訪れる台湾ゲームファンは意外と多いのかなという印象を持った。
■ 低迷する台湾オンラインゲーム市場。台湾メーカーはどこに向かおうとしているのか?
台湾ユーザー向けの出展では、大手メーカー不在の中、FunTown、IGSといったメーカーが元気だった。両社はもともとオンラインゲーム専業メーカーではないところがおもしろい。 FunTownは、オンライン麻雀の成功で急成長を遂げたメーカーだが、それらの収益と、親会社である台湾大手IT企業GIGAMEDIAの資金をバックボーンに、昨年から海外から「Hellgate: London」(Flagship Studios)や「ファンタシースターユニバース」(セガ)といったタイトルを獲得し、総合的なオンラインゲームパブリッシャーへ姿を変えつつある。今回は、「Hellgate: London」、「NBA Street Online」(Electronic Arts/Neowiz)などを出展していた。 IGSは、台湾では数少ないアーケード系のゲームメーカーで、台湾内ではいわゆるゲームセンターの営業が法律で禁止されているため、韓国や中国への輸出を主なビジネスとしてきたが、こちらもやはり韓国Wemadeと提携し、オンラインゲーム事業へのシフトを進めている。「蒼天」(Wemade)、「We Dancing Online」(Wemade) 今年の台湾メーカーの動き、そして上記2社の動きから伺えるのは、国内指向の強さだ。韓国や中国の積極的な海外志向と比べると、台湾は海外進出への意志が弱く、台湾から国際的なオンラインゲームが生まれる余地は限りなくゼロに近いように感じられた。もっとも、GamaniaやSoftworldといった大手メーカーは、その限りではなく、しっかり複数の開発パイプラインを整え、国内のみならず、海外への展開を目指して準備を進めている。その当たりの事情はメーカー訪問レポートで追ってご紹介していきたい。
□Taipei Game Showのホームページ (2008年1月25日) [Reported by 中村聖司]
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