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★PCゲームレビュー★

軍用機の追加でダイナミックな飛行体験を実現
高難易度のミッションで操縦技術を鍛えよう!!

マイクロソフト フライト シミュレータ X:栄光の翼

  • ジャンル:フライトシミュレータ(拡張パック)
  • 開発/発売元:マイクロソフト
  • 価格:6,090円(動作には別途本編が必要)
  • 対応OS:Windows XP/Vista
  • 発売日:2007年12月14日(発売中)



 今回紹介する「マイクロソフト フライト シミュレータ X: 栄光の翼(原題: Microsoft Flight Simulator X: ACCELERATION)」は、「FSX」の公式拡張パック第1弾として、「ミッション」の大幅な拡充、新たなチャレンジの提供という点に主眼を置いたエンターテインメント色の強いパッケージだ。

 新たな航空機として追加されたのは、やや少ない感じもする3機種。しかし、その3機種とも「FSX」本体にはほとんど存在しなかった軍用機、高運動性能機で固められており、旅客機や小型飛行機では不可能だったダイナミックな飛行体験が楽しめる。ミッションの内容もそれに伴って高難易度のものが追加されており、高度なテクニックを要求するチャレンジングな内容が特徴だ。


■ 高性能の機体3機種を追加! 旅客機とは一味違うフライト体験をメインに据えた拡張パック

 「栄光の翼」で追加された航空機は以下の3種類。どれもミリタリー色の強い、高性能な機体だ。「FSX」本体にはジャンボジェットなどの旅客機、自家用クラスの小型飛行機など民生用の航空機が収録されていたため、これはかなりドラスティックな追加要素だといえる。その性能ゆえに、全く違う飛行体験が味わえるのだ。

・「Boeing F/A-18 Hornet」
 米海軍の艦載機の主力として活躍する高性能戦闘機。強力なジェットエンジンを2基備え、旅客機には不可能な加速/上昇性能を誇る。また、「FSX」本体を通じて唯一の超音速機でもある。本作ではミサイルなどは使えないが、極めて優れた飛行特性、運動性能が再現されており、最先端のファイターパイロット気分を楽しめる貴重な機体だ。

「Boeing F/A-18 Hornet」:強力なエンジンによる巨大な推力はジェット戦闘機ならではの迫力。スロットルを全開にするとアフターバーナーが点火し、グングン加速してあっというまに音速を超える。機体の挙動は素直の一言で、実は初心者にも操縦しやすい機体だ

・「NorthAmercan P-51D Mustang」
 第二次世界大戦末期に登場した、「究極のレシプロ戦闘機」とも呼ばれる航空機。本作に登場する機体は、エアレース用に大出力のエンジンに換装したスポーツモデルだ。3,000馬力のモンスターエンジンは、軽々と500マイル/毎時以上の加速性能を備え、フルスロットルでは簡単に焼け付いて故障するほどだ。それだけになかなか扱いが難しい機体だが、乗りこなせば「究極」の何たるかを実感できるはずだ。

「NorthAmerican P-51D Mustang」:第二次世界大戦末期に活躍した戦闘機ゆえに運動性能は折り紙付き。本作のレースチューンされた機体は、スロットルを半分より上げるとエンジンがすぐに焼けてしまうためかなり扱い辛い。乗りこなすには練習が必要だ

・「AgustaWestland EH101」
 現在第一線で活躍する高性能の汎用ヘリコプター。世界中の軍、警察、行政機関や企業で採用されており、輸送や救助、災害対応など多目的に使われている機体である。日本においても警視庁航空隊に配備されており、機体名「おおぞら」として活動中。本作では機体下部に荷物を吊り下げる「スリングフック」や側面ドアから人員を上げ下ろしする「ホイストアーム」を使い、輸送や人命救助など高難易度のミッションで登場する。

「AgustaWestland EH101」:警視庁航空隊にも「おおぞら」号として就役中の本機体は、スリングフック、ホイストアームを使ってのミッションが特徴だ。正確なホバリング技術を要求されるシーンでは精緻な操縦が要求され、非常に難しい


■ 37個の追加ミッションは高難易度揃い。フライトの腕を磨かないと歯が立たない?

本作で追加されるミッションは全37種。ミリタリー色で高難易度のものが多いのが特徴
リアジェットでの螺旋降下アプローチミッション。難易度は「EASY」にカテゴライズされているが、実は結構難しい
「レッドブル」のコースは複数のパイロンを巡っての飛行となる。難易度は「EXPERT」だ
 本作では、新機体が追加されたと同時に、新規ミッションが37個追加されている。その内訳は、難易度別に「EASY」が2個、「NORMAL」が13個、「HARD」が14個、「EXPERT」が8個と、高難易度のものが中心だ。そのうちおよそ半数が、3種類の新機体を使ってのミッション、残る半数が既存の機体を使ってのミッションとなっている。

 追加されたミッションの全体の雰囲気としては、新機体の特性を生かしたミリタリー風味、そしてスポーツといった、チャレンジングな内容が中心だ。既存の機体である「リアジェット」を使ったミッションでも、「エドワーズ空軍基地ツアー」は文字通り軍事基地めぐりのミッションで、同乗する国防長官の機嫌を損なわないように飛ぶ必要があって、なかなか難しい。同じ機体の「コークスクリュー」は、戦時の空域でのタクティカルアプローチ、つまり滑走路の真上から螺旋降下して着陸するという難しいテクニックに挑戦できる。

 特に難しいのはヘリコプターのミッションだ。新機体「EH101」の特徴である、機体下部にたらしたロープに荷物をくくりつけて輸送するという「スリングフック」や、隊員をロープで下ろして人命救助を行なう時等に使う「ホイストアーム」を使うミッションは、対象物の真上で高度・姿勢を維持する正確なホバリング技術が必須であり、高度なテクニックが求められる。

 「EH101」は重く、安定させるのが難しい機体で、ホバリングさせるだけでも微調整の連続。これらの機能を学ぶチュートリアルミッションも用意されているが、それですら難易度は「HARD」。スリングフックで荷物を運び、ホイストアームで遭難者を救助するというチュートリアルに何度も挑戦してみた筆者だが、失敗の連続でジョイスティックを握る手が疲労の限界に来てしまった。これはなかなか手ごわい。

 追加ミッションのもうひとつの目玉は、既存の機体である「Extra 300s」に本格的なチャレンジのシリーズが登場したことだ。その名も「レッドブル エアレース」。これは、現実に存在するエアレーシングの名称で、高度20メートル、幅10メートルほどのパイロンで作られたコースで完走タイムを競うというスポーツ。

 この「レッドブル エアレース」は、欧米を中心にワールドシリーズが毎年開催されており、多いときには50万人以上の観衆が詰め掛ける人気ぶり。本作では、現実のレースで使われる機体と同じ「Extra 300s」で、2006年シーズンで戦われたうち3つのコースを飛行し、タイムを競うことができる。現実ではアクロバット飛行士のトッププロが腕を競う競技であるだけに、難易度は非常に高く、ペナルティなしで完走するだけでも至難の業。狭いパイロンの間を規定の姿勢で通過し続けるというだけでも相当なものだ。これに高速、低高度、高G旋回と難しい条件が加わる。練習を重ね、高度な飛行技術を身に着けて挑戦したい。


■ 「フライト シミュレータX サービスパック2」を内包。目玉は「DirectX 10プレビュー」

 本作をインストールすると、2007年末にリリースされた「マイクロソフト フライト シミュレータ X サービスパック2」が「FSX」本編に適用された状態になる。これは、「FSX」本編に対するアップデートでもある。本作を導入したユーザーと、「FSX」本編のみのユーザーがマルチプレーヤーゲームを行なう場合、本編のみのユーザーはこの「サービスパック2」の適用が必要だ。

 さて、この「サービスパック2」の目玉機能は、なんといってもDirectX 10用の新機能が実装されたということに尽きる。マイクロソフトはこれを「DirectX 10 プレビュー」と呼んでおり、今後の拡張を見据えての第一段階ということのようだ。素の「FSX」に本作をインストールするか、サービスパックを適用すると、オプション画面に「DirectX 10」のスイッチが現われる(Windows Vistaのみ)。

 これにより有効になるグラフィックエフェクトは、目立つところでは2種類。3Dコックピット内のリアルタイムシャドウ表現と、水面の表現の向上だ。水面は従来のものより深く、リアルに描写されるようになる。風が強い時には表面が波立つような表現も入れられているあたりはフライトシミュレータならではのテクノロジー応用と言えるだろう。

 また、DirectX 10モードでは新しいレンダリングパイプラインを使うようになっており、基本的に、同等の画質であれば従来のDirectX 9モードよりも良いフレームレートが得られる。このあたりは、Windows Vistaを導入済みのユーザーにはありがたいアップデートだといえるだろう。このほかの面では大きな違いを感じることはできなかったが、パフォーマンス向上が得られた分を画質の向上に回せるメリットは大きい。今後、より高画質な設定でプレイできる機能作りをマイクロソフトに期待したい。

「DirectX 10プレビュー」としてフィーチャーされたレンダリング上の機能で目立つのは、操縦席内のシャドウ表現(左)と、海面の表現力向上(中央・右)である。全体的なパフォーマンス向上も成された


■ ミリタリー風味を利かせた新ミッションはF/A-18による空母への着艦やUFO追跡が楽しい

F/A-18では、ちゃんと空母のカタパルトが機能する! 物凄い加速で一気に空へ旅立つ感覚が気持ち良い
 さて、追加ミッションの中でも特に興味を惹くのは、やはりジェット戦闘機「F/A 18 Hornet」を使った軍事ミッションだ。本作はミリタリーフライトシムではなく、あくまでも飛行を楽しむソフトウェアであるので、戦闘機とはいえ射撃をすることはないし、できない。では何をするかというと、空域のパトロール、未確認機の追跡、そして空母への着艦である。

 パトロールは最も簡単なミッションだ。「ロケット打ち上げ警備」と題されたミッションでは、空母から発艦後、ロケット発射台の周囲をパトロール飛行することになる。ルートは隊長機が先導してくれるのでそう難しくはなく、難易度は「NORMAL」だ。まずはこのミッションでF/A-18の飛行特性に慣れておきたい。

 海軍機ならではのミッションが「航空母艦 発着演習」と題されたミッション。筆者は「栄光の翼」をインストールするなり真っ先にこのミッションに挑戦してみた。空母への着艦は一般的に難度が高いと言われており、正確なスピードコントロールとアプローチの精度を問われるという楽しいチャレンジであるためだ。

 本作での着艦もかなり難しい。甲板へのアプローチ中は着艦誘導員からの無線で随時指示が入り、「高過ぎる!」、「低すぎる!」、「速過ぎる!」、「右に逸れたぞ!」など、適切な速度、高度、角度を保つ為のアドバイスをもらえるので、効率的に練習できるのがありがたい。

 ミリタリーフライトシムの「Lock On: Modern Air Combat」では確実に着艦できる筆者だが、本作ではかなり失敗を繰り返してしまった。本作では、甲板への接地時に機首を上げ過ぎていたり、スピードが速すぎたりすると、着艦フックがロープを捕らえた衝撃で機首が勢い良く下がり、衝撃で機体が破壊されてミッション失敗となってしまうためだ。成功させるためには非常にデリケートな操縦が必要で、高度の緊張を強いられる。それでも練習を繰り返し、確実に着艦させられるようになるのが何よりの楽しみだ。

 一風変わったF/A-18のミッションでは「未確認飛行物体を追跡せよ」なんていうものもある。未確認飛行物体とは文字通りUFOなのだが、航空機には有り得ないジグザグルートで飛行する物体に近接した状態を長時間続けるという内容で、難易度は「NORMAL」ながら異常に難しい。シミュレーションのリアリティを最高に設定していると、F/A-18の性能では加速力が強すぎ、すぐにオーバーGでブラックアウトして目標を見失ったり、高速を出しすぎて過負荷により機体を損傷してしまう。操縦はデリケートに、を心がけよう。

着艦は正しい速度、姿勢、角度を保ってアプローチすることが重要。速度が微妙に速かったり、降下速度が大きかったりすると、せっかく着艦フックを捕らえても、右の写真のようになってしまう。完璧な制御が肝心だ


■ スポーツ性の高い「レッドブル エアレース」はやり込み甲斐あり。最速タイムを目指そう

エアレースは「Extra 300s」の性能を全て引き出す格好の舞台。高速で正確な操縦が肝心だ
エアレース本戦のパイロンは、本当に機体1機ちょっと分の幅しかない。微妙にズレただけで10秒のペナルティだ
 1度クリアしたら満足してしまうミッションが多いなか、「レッドブル エアレース」関連のミッションは何度でも挑戦したくなる魅力に溢れている。というのも、やはりタイムアタックということで、どこまでも高みを目指していける余地があるからだ。このミッションでの機体は、現実でも最高の運動性を持つエアロバティック機「Extra 300s」。エアレースでは、この機体の性能を100%出し切ることからゲームが始まるといっていい。

 本作のミッションとして再現されている「レッドブル エアレース」のコースは、2006年シーズンのイスタンブール(トルコ)、ロングリート(イギリス)、テンペルホーフ(ドイツ)の3種類。イスタンブールは都市に面した海上で、筆者の環境でもフレームレートがキツめで、かなり飛行に苦労した。ロングリートは樹木の多い地帯を縫いながら飛ぶような形で、ちょっとコースをずれただけで樹木に激突してしまうためかなり難しい。テンペルホーフは開けた飛行場でのレースで、比較的コースを攻めることに集中できるため、筆者はこのコースをやりこんだ。

 「レッドブル エアレース」で難しいのは、コースとして順番に通過しなければならないパイロンの間隔が、機体幅よりやや広い程度しかないということと、パイロンの色によって、通過する姿勢が決まっているということだ(青パイロンは水平、赤パイロンはナイフエッジ)。パイロンに接触すれば10秒のペナルティ、通過時に高すぎたり、規定の姿勢を外れていれば3秒のペナルティと、タイムアタック以前にペナルティ無しで飛ぶだけでも相当に難しい。

 水平に通過しなければならない青パイロンを正しく通過するためには、当然、通過前に必要な角度を正確にターンしておく必要がある。タイムを縮めるには減速して余裕をもって姿勢制御する時間などないため、旋回しながら青パイロンに差し掛かるや通過する瞬間だけ機体を水平にして、一瞬後には次のターンのためにバンクを開始するという機動になる。「キュッ、キュッ」と90度のロールを続ける感じだ。当然機体のロール性能は100%引き出す必要があるため、ジョイスティック操作は左右へ最大限度に切り返し続けるという、一瞬のミスで地面に激突するような操縦となる。

 筆者の場合にありがちな失敗は、90度バンクしたナイフエッジの状態で通過しなければならない赤パイロンに差し掛かる前に高度を上げ過ぎ、「高度を下げながらナイフエッジ」という状態にしてしまうことだ。これをやってしまうと、機体を傾けて失われる浮力と、高度を下げつつある運動が合成され、急激に機首が地面に向いて危険な状態となる。

 ここで機体を地面にぶつけないためカウンターのラダーペダルを強く蹴る必要が出るわけだが、「Extra 300s」という機体はラダーが非常に敏感で、急激に操作すると機体が安定を失ってスピンする。スピードを失うだけですめばよいが、スピンが大きいと地面に接触しがちだ。とにかく規定高度でパイロンを通過しなければならないということで、常に低空を飛ぶためにこの手の失敗が多くなる。コースを攻めるには、各パイロンを通過する時の姿勢を考え、前もって正確なコースを飛び続けることが重要というわけだ。

 筆者がテンペルホーフではじめてペナルティなしにコースを完走できたのは、練習を始めて数十時間経過してからのこと。そのときのタイムは1分53秒といったところで、ミッション内の判定では3位入賞だ。ミッション内で1位になるには、あとどれくらいタイムを縮めればよいのかわからないが、まだしばらくタイムアタックを続けてみたい。

 参考として、現実のエアレースの同コースでは、ハンガリーのペトル・ベゼネイ氏が1分27秒台を叩きだしている。さすが世界の最高峰は凄いなあ、というところだが、本作の「Extra 300s」の性能ではおそらくこのタイムは不可能。スピードはいいとしても、ロール性能が悪すぎる。本物のほうが倍ほどクイックにロールできるのだ。筆者の感覚としては、本作のこの機体で狙える最速タイムは1分40秒前後といったところ。ちなみにこれは「レッドブル エアレース ワールドシリーズ」における、同コースの10位以下のタイムである。マイクロソフトには、本作のためにレースチューンの「Extra 300s」を用意してほしいところだった。まあ、ピーキーすぎて乗りこなせないのかもしれないが。

レースミッションでは先行するレーサーの飛行を外部カメラで観察できる。コース取りの研究に使おう(左)。テンペルホーフのコースは12のパイロンを潜る高速旋回の多いコースながら、構成は覚えやすい(中央)。完走してもペナルティが課せられると記録が伸び悩む。走りこみならぬ飛び込み(?)を繰り返したい(右)


■ ヘリミッションは鬼のような難しさ。高い操縦技術を持つ上級者向けの内容か

「EH101」はとにかく操縦が難しい。思い荷物を吊り下げていると強い慣性が働くのでなおさら厳しい
 本作で追加された機体「EH101」用のミッションは、どれも非常な難しさだ。ヘリコプター自体、固定翼機と違って、空中で絶妙なバランスを保ち続けないと姿勢維持できない乗り物である上に、「EH101」という機体は、非常にクセのある動きをするためだ。

 まず、機体が重いことと関連していると思われるが、操作に対する反応がやや遅い。ヘリコプターのチュートリアルで使う「Robinson R22 Beta II」という小型の機体に比べると、「鈍重」という表現がぴったりだ。そして、飛行中は機体に強いヨーが働く。意識せずに操縦していると、前進中は左に、後退中は右にぐいっと旋回してしまう。カウンター方向のペダルを常に踏みしめながらの飛行になるわけだ。

 ミッションでは、「EH101」の個性的な機能であるスリングフック、ホイストアームを使った飛行を行なうことになり、対象物の上空で正確に停止し、スリングフックが荷物にかかるまで待つ、あるいはホイストアームから下ろしたロープに遭難者がしがみつくまで姿勢を維持するという、ホバリングの技術が大変重要だ。ところが、機体の持つクセがホバリングを非常に難しくしており、ミッションの難度がとても高いものになっている。

 機体が微妙に前進を始めると左に大きくヨーしてしまうため、事前に察知して右ペダルを踏み込む。微妙に後退を始めればその逆を正確に、過不足なく行なう。この操作を、高度維持、姿勢維持の操作と完全に同調させつつ行なう。1秒間に5回くらいは何らかの微操作をしているような感覚だ。筆者の場合、ホバリング状態を保つのに大変な集中力を要するのだが、遭難者の真上を維持しようとしても微妙に前後左右にズレていってしまい、何度もリトライするうちに30分もホバリング操作をし続けていた、ということもあった。これは相当消耗する。

 というわけで、筆者は「EH101」のスリングフック、ホイストアームの使い方を学ぶチュートリアルミッションを数時間かけてクリアできずに頓挫してしまった。同機体のミッションでクリアできたのは、「沿岸警備隊の輸送」ミッションのみ。このミッションはホバリング技術を必要とせず、ごく狭い空間に正確に着陸するだけで完了できるため、他のミッションに比べると非常にラクだ。もっと楽しむためには、まずホバリングの技術を完璧に習得する必要がありそう。

荷物を吊り下げてタンカーの上に輸送。降下中に機体がブレると、荷物が暴れだして操縦が難しくなる(左、中央)。遭難者の真上にホイストロープを下ろし、適切な高度を維持したまま数十秒間ホバリング。ちょっとでもズレたらやり直しだ。これでチュートリアルというのだから恐ろしい


■ 「FSX」本編をやり尽くした腕利きパイロットへお勧めしたいパッケージ

 ご紹介したとおり、本作「マイクロソフト フライト シミュレータ X: 栄光の翼」は、非常に難易度の高いミッションで構成されており、本編をやりつくしたプレーヤーに新たなチャレンジを多数提供するというゲーム的な拡張パックだ。その意味で、「マイクロソフト フライト シミュレータ」シリーズの歴史を彩ってきたサードパーティの各種アドオンソフト、シーナリーやリアリズム向上のための各種パッケージとは、かなり趣を異にしている。

 まさにそこが、マイクロソフトの狙ったところだろう。フライトシミュレータは、もっとライトに遊びたい人々にしてみると、敷居が高いという以前に「何を楽しめばよいのかわからない」というところで、魅力薄なところがあるのは確かだった。そこにゲーム的な「ミッション」を中心に持ってきて、シミュレータの側から能動的に楽しみ方を提供する姿勢は非常に好感が持てる。

 この拡張パック「栄光の翼」は、そういった面での「FSX」の魅力に惹かれ、本編のミッションをやり尽くし、新たなチャレンジを求めるユーザーのためのものだ。

 追加された機体は高性能、スポーティ、高難易度と3拍子揃っており、ミッションはチュートリアルもひたすら難しい。それでも攻略したい、クリアしてやろうという意欲をもてれば、ゲーム的楽しみを通じて操縦技術が鍛えられていく。本作は、そういうソフトウェアだ。腕自慢のバーチャルパイロット諸兄は是非、本作の高難易度ミッションに挑戦してみよう。相応の手応えを感じられるはずだ。

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□マイクロソフトのホームページ
http://www.microsoft.com/japan/
□「マイクロソフト フライト シミュレータ X:栄光の翼」のページ
http://www.microsoft.com/japan/games/fsxa/
□関連情報
【2007年11月29日】ゼネラルオートサービス、Saitek製ゲームコントローラが
「マイクロソフト フライト シミュレータ X:栄光の翼」の推奨デバイスに認定
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20071129/fs.htm
【2007年11月20日】マイクロソフト、「フライト シミュレータ X」の拡張パックを発売
WIN「マイクロソフト フライト シミュレータ X:栄光の翼」
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20071120/fsx.htm

(2008年1月9日)

[Reported by 佐藤“KAF”耕司]



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