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ガンホー、「グランディア オンライン」を26億でファンドに売却
財務体質の強化とコンシューマ事業人員強化のため

12月28日発表



 ガンホー・オンライン・エンターテイメント株式会社は、12月28日、同社が現在開発しているMMORPG「グランディア オンライン(「グランディア ゼロ」)」を、投資事業有限責任組合オンラインゲーム革命ファンド1号(OGRファンド)に26億円で売却する契約を締結したと発表した。引き渡しは同日28日で、12月31日に決算日を迎える第11期決算の収益に寄与する見通し。

2004年9月東京ゲームショウガンホーブースでの契約締結式の様子。左から順にゲームアーツ代表取締役社長宮路洋一氏、ガンホー代表取締役社長森下一喜氏、ガンホー取締役開発本部長堀誠一氏。この初期構想は崩れ、同プロジェクトは新たな局面に突入した
2007年7月に開催されたコンシューマ事業戦略発表会で公開されたスライド。この時点で発売時期はふたたび未定となっていた
東京ゲームショウ2007のオンラインゲームセッションでは最新映像を公開。この際、森下氏は2007年サービス開始を強調したが実現しなかった
 売却の理由はコンシューマ事業強化と、同グループの財務体質の強化のためとしている。「グランディア オンライン」は、「ラグナロクオンライン」に続く同社の新しいフラッグシップタイトルとして、グループの総力を結集して開発に取り組んできたタイトルだが、今回の売却は、同社のオンラインゲーム事業における大きな軌道修正となる。

 「グランディアオンライン」は、2004年9月の東京ゲームショウにおいて、当時新たにグループ入りしたゲームアーツとの共同プロジェクトとして発表された「グランディア」シリーズの最新作。その後、ゲームアーツからガンホーへの開発移管や、開発基幹システム「Rondo-Framework」の採用、そして「グランディア ゼロ」へのタイトル変更といった水面下での変化を経ながら3年以上にわたって開発が継続されてきた。

 「グランディア ゼロ」の対外的なほとんど唯一の発表内容は、「2007年中サービス開始予定」という情報だけだったが、土壇場の28日に発表された内容は、サービス開始時期の延期ではなく、タイトルそのものの売却だった。タイトルも再びコンシューマゲームと差別化を図るために「グランディア オンライン」に戻し、サービス開始時期は再び「未定」となった。同社の財務体質は強化された一方で、同プロジェクトは再び暗礁に乗り上げた格好となる。

 具体的な売却内容は、「グランディア オンライン」のすべての著作権で、日本及び海外の配信権が含まれる。その範囲はあくまで「グランディア オンライン」のみで、「グランディア」シリーズのIPはゲームアーツが今後も保有し続ける。

 26億円の算定基準については、これまでの開発費全額と日本、海外への配信権をふまえた額としている。ガンホーでは今回の売却により「収益を早期に確定」させており、この資金を元手に、ガンホーグループのコンシューマ事業の総本山であるガンホーワークスをはじめとしたコンシューマ事業に対して人員強化を図っていく方針としている。

 気になる今後の開発および運営については、「現在、OGRファンドと協議中であり、コメントできない」としている。選択肢としては、開発元、運営元共にガンホーグループから離れるケース、開発だけ、運営だけ行なうケース、両方行なうケースの4種類が想定されるが、同社としてはこれまでの有形無形の資産を活かす意味でも、両方の継続を希望しているという。

 いずれにしても、2007年9月にガンホー代表取締役社長森下一喜氏にインタビューした際には、森下氏がプロデューサー、堀誠一氏(取締役開発本部長)がディレクターという、同社の二枚看板を投入して、2007年中のサービス開始に向けて意気込みを語ってくれたばかりだけに、この急転直下の展開は正直に言って驚きだ。

 開発断念ではなく、あくまで権利保持者の移行であり、ゲームの開発は継続されるのが救いといえるが、スキームの変化によるスケジュールの遅延は免れず、開発現場のモチベーション低下が懸念される。今後、同プロジェクトがどのように推移するのかは新たな発表を待つしかないが、期待しているユーザーを裏切らないようなアプローチを希望したい。

□ガンホー・オンライン・エンターテイメントのホームページ
http://www.gungho.co.jp/
□投資事業有限責任組合オンラインゲーム革命ファンド1号との 開発ソフトウェアの売買契約締結に関するお知らせのページ
http://www.gungho.co.jp/ir/pdf/2007/irs20071228.pdf
□関連情報
【2007年7月4日】ガンホー、「事業説明会」においてコンシューマ事業戦略を発表
「RO DS(仮)」などDSタイトル3本を発表、「RO II」は8月16日よりCBT開始
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20070704/gungho07.htm
【2007年10月11日】ガンホー代表取締役社長森下一喜氏インタビュー
次期主力MMORPGとコンシューマ事業の今後の展開について聞く
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20071011/gungho.htm
【2007年9月20日】「TGSフォーラム2007 オンラインゲームセッション」レポート
ガンホーが「グランディア ゼロ」、「北斗の拳 Online」の最新情報を公開
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20070920/tgsogs.htm
【2006年9月22日】TGSフォーラム オンラインゲームセッションレポート
ガンホーが「北斗の拳 Online」の画面を初公開。年内サービスインを改めて強調
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20070224/aogc_hs.htm
【2月24日】ガンホー堀氏、開発基幹システム「Rondo-Framework」を正式発表
アニメGM橘紀菜から始まった4年越しのプロジェクトの歴史と展望
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20070224/aogc_hs.htm

(2007年12月28日)

[Reported by 中村聖司]



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