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【連載第136回】ゲームライフに役立つグッズをレポート

「リモート起動」可能になったPS3「リモートプレイ」を試す
「まいにちいっしょ」や「忌火起草」もプレイできる!

当連載は、ゲームライフに役立つグッズを発掘し、実際に使用してみようという試みをレポートするものである。ネタに困ったときはお休みしてしまうかもしれないので不定期連載である。ちょっとした投資や工夫で、よりよいゲームライフを送っていただけるよう、鋭意努力していく所存である。


 今週は、11月8日に公開されたプレイステーション 3のシステムソフトウェア バージョン2.00を試してみた。2.00の基本的な概要はこちらで紹介しているので、研究所では「リモート起動」ができるようになった「リモートプレイ」を使ってみた。PSPだけでPS3の電源をオンにできるようになったことで、ぐっと活用しやすくなった。接続の模様から、リモートプレイでどんなことができるか、遊べるタイトルはなにかなどを調べてみた。

【今週のおしながき】
・PS3/PSP「リモートプレイ」
 PS3の「起動」ができるようになった「リモートプレイ」
 実際にリモートプレイしてみる - 「家庭内で接続する」
 実際にリモートプレイしてみる - 「インターネット経由からの接続」



● PS3の「起動」ができるようになった「リモートプレイ」。実は一部のゲームも遊べる

インターネット経由でも、家庭内使用でもリモートプレイが使える
 まず、「リモート起動」を使える最新のリモートプレイを使う準備だが、システムソフトウェアバージョン2.00の「PS3」、システムソフトウェアバージョン3.72の「PSP」だ。PS3だけでなくPSPも最新バージョンにしておくところに注意いただきたい。リモートプレイ自体はAV watchの
こちらの記事で詳しく触れられているので、併せてお読み頂きたい。研究所ではバージョン2.00のリモート起動やゲームプレイに重点を置いてみた。

 まず、リモートプレイには、「インターネット経由で接続する」と「家庭内で接続する」の2種類がある。家庭内での接続はPS3に内蔵された無線LANがアクセスポイントとなり、PSPをそこに接続させる(CECHA00:HDD60GB、CECHH00:HDD40GBモデルの場合)。インターネット接続がPS3に繋がっているかはリモートプレイ自体には関係なく、PS3とPSP間だけの通信となる。HDD20GBモデル(CECHB00)の場合、家庭内LAN接続(有線)を経由し、無線LANルータとPSPを接続することでリモートプレイが可能だ。もちろんリモートプレイ越しにネットワーク接続が必要なコンテンツを使う場合は、PS3をインターネット接続する必要はある。

 一方、インターネット接続はその名の通りインターネット回線を経由してPS3とPSPを通信するモード。外出先や旅行先、友達の家など、自分の家以外でかつ無線LANがある環境で遠く離れた自宅のPS3を操作するというわけだ。こちらはPS3がインターネット接続と繋がっていることが前提になる。リモートプレイのこれらのモードは以前からあったものだが、PS3の電源オン操作はできなかったため、事前に電源をオンにしておく必要があり使い勝手が悪かった。

 リモートプレイの下準備としては、PS3とPSPをUSBケーブルで繋ぎ、認証する必要がある。PS3側のアカウント認証画面より機器登録を済ませる。これ自体は簡単な作業だが、認証させることでPS3用の無線LAN設定、SSIDやセキュリティ設定のWPA-PSK(AES)がPSP側に保存される(CECHA00:HDD60GB、CECHH00:HDD40GBモデルの場合)。少々難解な無線LAN設定を自動で設定してくれるほか、他人のPSPから無差別にリモートプレイされることを防いでいるのだろう。

● 実際にリモートプレイしてみる - 「家庭内で接続する」

自動サインインを「オン」にしておかないと、リモート起動からリモートプレイできない
 さて、実際に「リモート起動」からのリモートプレイを試してみよう。まずは「家庭内で接続する」のPS3とPSPによる直接通信だ。PS3の電源は待機状態(赤いLEDのみが光っている状態)でオンではない。PSP側のXMBメニューからネットワーク、リモートプレイと操作する。PSPがリモートプレイ接続を始めると、「ピッ」と音とともにPS3の電源が入る。特定の通信パケットが検知されると電源が入る「Wake On LAN」機能がこれで、PCの「Wake Up On LAN」と同じだが、PSPからの操作でPS3の電源が入るのはなかなかインパクトがあって「おおっ」と驚いた。

 その後、PSP側ではIPアドレスの取得が行なわれリモートプレイ接続が始まった。ほどなくして、PS3のXMBメニュー画面がPSPのディスプレイに表示される。ここでの注意点として、PS3側はアカウントを自動サインイン設定しておかなければならない。そうしないと、電源の入ったPS3がアカウント選択画面から進めず、リモートプレイが開始されない。

 リモートプレイでは各種ミュージック、ピクチャ、ムービーが無線LAN経由にPSPで視聴できるほか、「PLAYSTATION Store」やインターネットブラウザも利用できる。フレンドとのメッセージのやり取りなども可能だ。「PLAYSTATION Store」の体験版ダウンロードなどをPSPから操作しておいたり、PS3に保存してある音楽、写真、動画といったファイルの再生もできる。「DLNAクライアント機能」を設定してあれば、PC等のファイルも再生できた。無線LANでPS3やDLNA機能を持った機器のファイルを閲覧できる、“ポータブルビューワー”としてPSPを使えるわけで、これだけでもなかなか楽しめるし便利だ。

 リモートプレイを終えるときは、PSPのHOMEボタンを押してメニューを呼び出して「PS3の電源を切る」を選ぶ。このメニューには他にも、リモートプレイの終了、リモートプレイの設定、接続状態の表示などの項目がある。「PS3の電源を切る」を選ぶと、まずリモートプレイ接続が切断され、PS3本体はLEDが点滅した後に電源が切れた。リモート起動によるPS3の電源オンからリモートプレイ、そしてPS3の電源オフまでをPSPだけで完了できた。以前はPS3を操作してそれからPSPを操作して……と正直なところ実用には耐えなかったのだが、これならとても快適だ。寝室などPS3から離れた部屋にPSPを持ち込んで、PS3に保存してあるものやDLNA経由のファイルを再生するなど魅力的な使い方も存分にできる。

リモートプレイで接続しているPSP側の画面。細かい文字は潰れてしまうものの、期待以上の操作ができた。右はゲームプレイ中にHOMEボタンを押したところ。PS3のPSボタン操作はもちろん、電源オフもできる

Blu-rayディスクとしては初のリモートプレイ対応ソフトだろうか。「忌火起草」はこの状態から起動してプレイもできる
リモートプレイ登場当初から対応している「まいにちいっしょ」。リモート起動できるようになったことでPS3を触らずに楽しめるようになった
 続いてはリモートプレイでのゲームプレイを試す。だが、リモートプレイでプレイできるものはまだまだ数が少ない。研究所員の環境で試した限りでは、株式会社ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCEJ)の「まいにちいっしょ」と株式会社セガの「忌火起草」がリモートプレイ経由でプレイできた。また、ゲームではないが「Folding@Home」もリモートプレイで操作できる。

 「まいにちいっしょ」は、文字通り日々トロやクロがいろいろな話題を話すPS3専用コンテンツ。従来のようにPS3で楽しむだけでなく、リモートプレイで寝る前にPSPで楽しむようなスタイルができるようになったのは非常に嬉しい。「まいにちいっしょ」自体は以前からリモートプレイで楽しめたが、今回「リモート起動」ができるようになったので、PSPだけで最初から最後まで操作を簡潔できる。テレビをつける必要もない。

 もうひとつは「忌火起草」。ホラージャンルのサウンドノベルで、音と映像、テキストで楽しむタイトルだ。こちらのプレイはディスクの挿入が必須のため、PS3にディスクを入れておかなければならない。だが、ディスクさえ入っていれば、PSPからリモートプレイでPS3を起動してそのままプレイできる。リビングで迫力のあるテレビ画面でプレイして、その続きをちょっと自分の部屋で……という使い方も可能だ。

 「忌火起草」はボイスによる会話音声と、情景描写をするテキストと背景画面、そして効果音やBGMが相まって雰囲気を作る新感覚のサウンドノベルだ。特に会話音声の量が多く、雰囲気やリズムを作っており、その辺りはディスク容量の大きいPS3用タイトルならでは。これらは全てリモートプレイでもスムーズに再生された。さすがに音や画面の迫力は、PSPサイズに落ちてしまってはいるのだが、自由な姿勢で楽しめるという強みもある。ちょっと寝る前に続きを読みたいという欲求には十分に答えてくれた。

 画面の印象としては、小さい文字、例えばメニュー画面で見れるストーリーのフローチャートの文字などは精細さに欠けて多少読みとりづらい。ただ、PSPのディスプレイでは根本的に解像度が足りないところを考えると、むしろかなりキレイに表示されているなという印象だ。テキストのスクロールや画面の切り替わりなどもスムーズ。このあたりは無線LAN通信によって具合が変わるかもしれないが、安定した環境ならば非常に快適だ。

 操作のレスポンスに関しては若干遅延の感触がある。ラグではなく通信での遠隔操作ゆえの遅延であり、これは常時つきまとう。サウンドノベルなら支障を感じなくとも、アクションやシューティングは確実に厳しいと思える。それだけに「忌火起草」はリモートプレイに向いていたのだろう。

上段は「忌火起草」、下段は「まいにちいっしょ」だ。「忌火起草」はフローチャートの文字は少し潰れてしまうものの、快適に楽しめる。音声なども損なわれることなく再生される。「まいにちいっしょ」ももちろん快適

 こうして「家庭内で接続する」によるリモートプレイを楽しめたのだが、時間があいてから何度か試したりしていると、ときどきPS3のリモート起動がうまくいかずリモートプレイがタイムアウトしてしまうときがあった。原因の特定が難しいのだが、そうしたときには手動でPS3の電源を入れてリモートプレイ接続を実行すると、電源オフ状態からのリモートプレイが再びうまく行なわれるようになった。リモート起動はまだ少し不安定という印象を受けた。起動されないことにはお手上げになってしまうので、今後により安定化されることを期待したい。

● 実際にリモートプレイしてみる - 「インターネット経由からの接続」

インターネット経由の接続では、サインインIDとパスワードを使う
無事、研究所員の実家から自宅のPS3をリモートプレイできた
こちらはSCEの「THE EYE OF JUDGMENT BIOLITH REBELLION ~機神の叛乱~ SET.1」に同梱されていたPS3用USBカメラ「PLAYSTATION Eye」を使ってみた
リモートプレイ越しにAVチャットでカメラの画像が見れた! 留守中の様子やペットの様子をみたりにいいかもしれない
 次に、「インターネット経由からの接続」、つまり外からの接続を試してみた。まず準備として、
PLAYSTATION3 システムソフトウェア2.00ユーザーズガイドのリモートプレイをする(インターネット経由)を参考に、ルーターにポート設定をした。

 まずは自宅内で「インターネット経由からの接続」をしてみることにした。「インターネット経由からの接続」では、PLAYSTATION NetworkのサインインIDとパスワードを入力してサインインしてから接続という流れになる。PS3の繋がったテレビ画面を見つつ、「インターネット経由からの接続」を進めサインインさせる。すると、PSP側に「しばらくお待ちください」の表示が出てから約1分ほど経ったところで、「ピッ」という音が鳴ってPS3の電源が入った。起動音が流れ、アカウントが自動サインインされていく。

 だが、PSP側はそこで通信のタイムアウトになってしまったのか、「接続エラーが発生しました。」という表示に変わってしまった。同時にPS3側の画面は、「PSPからリモートプレイ接続をしてください。一定時間接続がない場合、自動的に本気の電源が切れます。」という表示になっていた。どうも自宅から自宅へとインターネット経由で接続させるという、本来なら必要のない経路をたどらせているためか、接続が遅かったようだ。すぐさまもう一度PSPから「インターネット経由からの接続」をしたところ、無事にリモートプレイが始まった。

 とりあえずインターネット経由でも無事に繋がることを確認したので、続いては外へと移動する。研究所員の実家に行って無線LANを使った。自宅でのテストと同様の手順を踏んで接続してみる。すると、自宅で出たエラーもなくスムーズに繋がった。インターネット接続を経由しているためか、LAN内での接続よりもレスポンスが遅いが、充分に活用できる。家庭内での接続と大きく違うところはなさそうで、「まいにちいっしょ」や「忌火起草」もプレイできた。遠く離れた自宅にあるPS3の電源が入り、手元のPSPで操作できるというのは、なんともすごいことに感じる。まだ数が少ないとはいえゲームプレイまでもできるのだから、なおのことだ。

 最後に試してみたのはNTTコミュニケーションズの公衆無線LANサービス「HOTSPOT」。最寄りの駅近辺にあるアクセスポイントから接続を試してみた。サインインをしたが、「PLAYSTATION Networkへのサインイン接続がタイムアウトしました」となることが多かった。HOTSPOTの場合、使用開始時にWEPキーやパスワードの登録はもとより、接続すると毎回Web上でのログイン認証が必要。これは、PSP本体の「ネットワーク設定」を作成する際、SSIDとWEPキーを設定後に「アドレス設定」にて“カスタム”を選択することで、ログイン時にブラウザを立ち上げて認証させることができる。認証後、ブラウザを閉じれば、そのままリモート接続が実行される。ただ、回線状況などでうまくPS3との接続がうまくいかないことが多く、後日試した結果、やっとリモートプレイを実行することができた。

 とりあえず、ある程度の回線環境で無線LANがあれば、インターネット経由でリモートプレイができ、「まいにちいっしょ」と「忌火起草」も家庭内接続同様にプレイできるという結果になった。だが、実際のところはうまく接続されないことも多かった。成功例として実家から自宅への接続模様、そしてHOTSPOTでの接続例を挙げているが、友人宅の無線LANで試したときは繋がらなかった。「家庭内で接続する」で記述したように、リモート起動がうまく動作していなかった可能性を感じたし、トラフィックが高い状況でインターネット経由に接続していると、PSPの接続タイムアウトが起きてしまう可能性もある。インターネット回線と無線LANに関しては、PS3やPSP側では改善のしようがないが、PS3のリモート起動の安定性、PSPの通信タイムアウト設定は改善を期待したいところだ。

 「リモート起動」ができるようになったことで、一気に「リモートプレイ」の魅力が増したと感じられた。PS3本体を操作することなく、ロケーションフリーにPSPでPS3用コンテンツを楽しめる。現状では、リモートプレイで楽しめるゲームタイトルは少ないので、今後増加することを期待したいところだ。PS3とPSPがあれば、ぜひ一度お試し頂きたい。

 最後に余談だが、リモートプレイしているPSP(PSP-2000)に、外部出力用ケーブルの「D端子ケーブル」を繋げて出力を切り替えてみたところ、リモートプレイの画面がそのままモニタに出力された。さすがにここまで機能をフルに使いたくなる機会はなさそうではあるが、遠隔のPS3をインターネット越しに起動し、コントロールして、さらにその画面を出力までできると思うと、驚きだ。

【11月15日追記】記事掲載後、HOTSPOTでの追加検証を行ない、接続を確認できましたので、記述を変更いたしました。それにあわせて、「カスタム」でのWEB接続の過程の記述の誤りについても訂正いたしました。


上段はPS3に保存した写真や音楽ファイルを再生しているところ。下段は「Folding@Home」をリモートプレイで起動したところ



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□プレイステーションのホームページ
http://www.jp.playstation.com/
□「プレイステーション 3」のホームページ
http://www.jp.playstation.com/ps3/

(2007年11月12日)

[Reported by ゲーム環境向上委員会]



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