【Watch記事検索】
最新ニュース
【11月30日】
【11月29日】
【11月28日】
【11月27日】
【11月26日】

G★(GSTAR) 2007現地レポート

CJ Internet本社訪問レポート
幻想的なMMO「PRIUS ONLINE」ほか、韓国大手パブリッシャーが5本のオリジナルタイトルを市場に投入

11月8日~11日開催(現地時間)

会場:韓国国際展示場(KINTEX)

入場料:5,000ウォン(前売り3,000ウォン)
子供3,000ウォン(前売り2,000ウォン)


 CJ Internetはオンラインゲームポータル「ネットマーブル」を運営し、カジュアルゲームで韓国で人気を集めている会社である。昨今では対戦型FPS「SUDDEN ATTACK」が競合するタイトルを圧倒し、韓国国内でヒットを記録した。オンラインゲームパブリッシャーとして大手のメーカーの1つである。

 CJ Internetは「大航海時代Online」の韓国国内でのパブリッシング、「SDガンダムカプセル戦記オンライン」や「イースオンライン」、「ドラゴンボールオンライン」といった日本の有力IPを使ったオンラインゲームの開発を行ない、日本のユーザーからも注目される活動をしているメーカーである。今回は「G★2007」に先がけて本社を訪問し、最新タイトルや今後の戦略などの話を聞いた。

 CJ Internet本社はソウル南西部、九老区にある。九老区は“デジタル団地”と呼ばれた再開発が行なわれ、モバイルゲームのメーカーなど様々なメーカーが集まっている。CJ Internetのある「デリュングポストタワー」の2フロアを本社が、さらに1フロアを子会社のアニパークが使っている。

 今回の訪問の目玉は、CJ Internetが開発する、「5本のオリジナルタイトル」である。これまでCJ Internetはパブリッシャーとして知名度は高いもののオリジナルコンテンツを生み出してはいなかった。CJ Internetは2005年からオリジナルコンテンツ開発に着手し、今回、一気に5本ものタイトルを市場に投入し、デベロッパーとしての存在をアピールする。本稿ではこの5本のタイトルを中心に紹介したい。


■ パブリッシャーからデベロッパーへと生まれ変わるCJ Internet。5つのタイトルを相次いで市場に投入

CJ Internetの今後の戦略を語るGame Publishing 4 Dept. / General ManagerのChongmin Kim氏
「PRIUS ONLINE」のアニマ。画面を見ただけで開発者の強い思い入れと、独特の世界観が伝わってくる
日本のコンシューマゲームに引けを取らないスピード感とアクション性を実現している「KOONGYA ADVENTURE」
 今回、インタビューをしたのはGame Publishing 4 Dept. / General ManagerのChongmin Kim氏。Kim氏は現在開発中のタイトルとして、MMORPGの「PRIUS ONLINE」と「イースオンライン」、アクション性の高い横スクロール型アクションMMORPGとして「KOONGYA ADVENTURE」、「HERE WE GO」、「OZ CHRONICLE」という5本のPC向けオンラインタイトルを今年の冬に一気に投入していく。

 サービススケジュールとしては「イースオンライン」と「KOONGYA ADVENTURE」はオープンβテストを実施中で、他のタイトルはクローズドβテストを数回行なっているところ。冬から春にかけて正式サービスへ移行していく。全てのタイトルがアイテム課金方式を採用していく。本格的なMMORPGファン向けには、「PRIUS ONLINE」と「イースオンライン」、3本のアクションは「HERE WE GO」が20代のプレーヤー向け、低年齢層向けに「OZ CHRONICLE」と「KOONGYA ADVENTURE」を投入していく。

 話を聞くだけだと同じような年齢層、ジャンルの作品を市場に投入するように感じたが、実際タイトルを見たところ、かなりタイトルの特徴ははっきりしている。「PRIUS ONLINE」は非常に美しいグラフィックスと、プレーヤーの後ろについてくるかわいらしい「アニマ」と呼ばれる女の子の形をした従者が特徴で、「イースオンライン」は本格的なMMORPGとしてハードなイメージを前面に押し出している。

 「G★2007」では、横スクロールタイプのオンラインアクションゲームが多く見られた。似たようなジャンルとインターフェイスを持つゲームが大量に市場に投入されるのは特に韓国オンラインゲーム業界で見られる特徴だ。「KOONGYA ADVENTURE」も同じジャンルに入るゲームデザインだが、細かく書き込まれたフィールドと、「スーパーマリオ」を思わせる軽快なアクションではっきりとオリジナリティを感じさせる作品となっている。

 「HERE WE GO」はカプコンの「ビューティフル ジョー」を彷彿とさせる独特のタッチで世界を描き、爽快感のある格闘アクションを実現。「OZ CHRONICLE」は頭身の低いキャラクタが活躍する、最もオーソドックスなアクションMMORPGだがスキル使用時には過剰とも言えるアクションシーンが展開する。どの作品も個性とテーマがはっきりしており開発者のゲーム制作への強い熱意を感じさせられた。

 CJ Internetは2005年からパブリッシング事業を進めながら、オリジナルコンテンツの開発体制を整えていった。現在6つの開発チームを動かしている。特に「PRIUS ONLINE」と「KOONGYA ADVENTURE」はオリジナリティが強く、CJ Internetが自社を象徴するタイトルとして力を注いでいる。

 「イースオンライン」は既存のゲームエンジンを使用し、「OZ CHRONICLE」はAniparkという開発会社を子会社化して制作しているが、そのほかのタイトルはゲームエンジンから全てを1から作り上げている。CJ Internet自社の技術力の高さをアピールしていくために、あえてオリジナルのゲームエンジンの開発に着手した。CJ Internetはこれらの作品で、パブリッシャーからデベロッパーへの転身をアピールしていく。

 CJ Internetは「SUDDEN ATTACK」や野球ゲームの「魔球魔球」など、カジュアルゲームではいくつものヒット作に恵まれているが、MMORPGでは代表作という物にこれまで恵まれていなかった。自社タイトルとしてMMORPGを投入したのも、この分野でのヒット作を造りたいためだったという。

 これらのタイトルに関しての日本展開も気になるところだ。日本でも知名度の高い「イースオンライン」はまず韓国での成果によって、サービス時期は変わってくるかもしれないとのことだ。現在は日本ファルコムと調整中であり、CJインターネットジャパンによる運営をしていきたいとしてローカライズなどの準備をしている。この他のタイトルに関しても、ローカライズが可能な設計を最初からくみこんでいる。

 現在開発中の「ドラゴンボール オンライン」はまだ発表できる段階ではないため、来年サービス予定ということ以外まだ何も言えないとのことだ。「SDガンダムカプセル戦記オンライン」も海外パブリッシングに関してはバンダイコリアが権利を持っているため、CJインターネットはコメントできないという。

 「イースオンライン」、「ドラゴンボール オンライン」、「SDガンダムカプセル戦記オンライン」はもちろんだが、そのほかのタイトルの日本展開も気になるところだ。今回のG★2007や韓国ゲームメーカー訪問を通じて、韓国のゲーム開発の進化を確かに感じた。これまで以上に、韓国発のコンテンツが話題を集めるという可能性もある。この韓国の動きを受けた来年のオンラインゲーム業界の動きには注目したい。

CJ Internet本社は、ガラス張りのオフィスビル「デリュングポストタワー」にある。自社の看板キャラクタKOONGYAは、たくさんのグッズも製作されている


■ 幻想的な世界観と、かわいらしい“アニマ”に強い魅力のあるMMORPG「PRIUS ONLINE」

虹色に輝く弓を背負うキャラクタ。独特のセンスによって生み出される美しいグラフィックスは本作の最大の魅力だ
 開発者のセンスと丁寧な作りを感じさせるのがMMORPG「PRIUS ONLINE」だ。近日第2次クローズドβテストを準備中で、アイテム課金を予定している。マウスクリックでの移動や、ショートカットでのスキル使用など、基本的なインターフェイスはオーソドックスなファンタジーMMORPGを踏襲しているが、柔らかな雰囲気のタッチで描かれた世界やキャラクタに強い魅力がある。

 建物やキャラクタの装備は曲線が効果的に使われていて、全体的にカラフルだが、ぎとぎとした色合いでなく調和しており、夢の世界のような幻想的な雰囲気がある。本作の大きな特徴は、キャラクタ全員がかわいらしい小さな女の子を連れているところだ。このキャラクタは“アニマ”という小さな女の子のような姿をした存在で、妖精のような透明感がある。

 アニマはクエストを通じて得ることができるという。アニマにはいくつかの属性があり、現在のところ1つのアニマをずっと連れ歩くという感じだ。アニマは生産要素に関する能力を持っている。プレーヤーは、アニマを連れて行くだけでなく、「アニマモード」でアニマだけ操作することができる。

 プレーヤーの操作で動くアニマは小さな手足をちょこまかと動かして走り回ったり、服の裾をひらめかせてジャンプしたり、ちょこんと座ったり、どの仕草もかわいらしい。アニマのアバターアイテムも用意されており、熊のぬいぐるみのような大きな頭装備などもある。着せ替え人形のようで、キャラクタのカスタマイズとはひと味違った楽しさがある。

 アニマは生産能力だけでなく、「カイバズ」と呼ばれる戦闘兵器を召喚する能力を持っている。カイバズはロボットのような存在で、プレーヤーとアニマはこれに「乗り込み」戦うことができる。カイバズは巨大な甲冑のような外見をしており、通常のキャラクタの数倍の大きさを持っている。動作はパワフルで、柔らかいデザインのキャラクタとは全く違うプレイ感覚になる。この2面性も面白く感じたところだ。

 今回、簡単なデモプレイしか見ることができなかったが、はまずその柔らかで幻想的なグラフィックスに引き込まれ、次いでアニマのかわいらしさ、ガイバズのパワフルさ、そしてフィールド全体の雰囲気に魅了された。是非プレイしてみたいゲームだと感じた。

スクリーンショット。基本システムはオーソドックスだが、様々な要素を取り入れた作品である
アニマは装備できるアバター要素もまったく違うものになる。小さな女の子としてのプレイは、普段のキャラクタのロールプレイとは違った楽しさがあるだろう
プレーヤーキャラクタは優美なイメージがあるが、ガイバズに乗り込むとパワフルな戦いが体験できる。このギャップは楽しい。
フィールドにも独特のセンスがある。世界を旅して様々な風景を見てみたい


■ かわいらしいキャラクタが軽快なアクションでフィールドを走破していくアクションMMORPG「KOONGYA ADVENTURE」

おにぎりをモチーフにしたキャラクタ。CJ Internetのイメージキャラクタが活躍するオンラインアクションゲームだ
 「KOONGYA ADVENTURE」は横スクロールタイプのアクションMMORPGだ。現在オープンβ中で、アイテム課金を予定。主人公はCJ Internetのイメージキャラクタでタマネギやおにぎり、卵など食べ物をモチーフにしている。キャラクタの姿は頭に手足が生えたような丸くてかわいいデザインで、低年齢層に向けたタイトルとなるという。

 本作のゲームデザインは、横スクロールでフィールドを進んでいく「メイプルストーリー」タイプのゲームだが、まず印象に残るのが、その軽快な操作感だ。「スーパーマリオブラザーズ」を思わせるスピーディーでコミカルな動きを実現しており、確かな技術力を感じさせる。タイミングが合うと最大で5段までジャンプが可能で、アクションゲームの得意なプレーヤーならば自由自在にキャラクタを操ることができる。

 フィールド、キャラクタ共に細かく描き込まれていて、キャラクタは小さいながら、アバターアイテムを装備するときちんと姿が変わる。全体的に多くのデザイナーが手間を惜しまず作り込んでいることをきちんと感じさせる作品で、看板キャラクタのゲームをアピールしていこうというCJ Internetの気合いを感じさせられる。

 ユニークなのが、イメージキャラクタとして韓国の人気女優を起用しているところ。フィールドを歩くといきなり実写の女優の顔が現われる。細かく書き込まれたフィールドに全くそぐわない女優の姿は違和感がものすごいが、「KOONGYA ADVENTURE」のかわいくてコミカルなキャラクタはその違和感さえ許してしまう「軽さ」がある。

 キャラクタ、実写の演出など、随所にライトさを感じさせながらも、ゲーム自体はかなり本格的だ。前述の5段ジャンプを使いこなせばゲームはかなり有利になる。ゴーレムのようなボスはモーション、攻撃パターンともに迫力たっぷりだ。お菓子のパッケージに描かれていそうな「KOONGYA」のキャラクタとは明らかにタッチが違う。この感覚も、任天堂作品に近いかもしれない。

細かく描き込まれたフィールドを高速で駆け抜けていく。イメージキャラクタの女優の絵がいきなり出てくるのが面白い
ボス前のフィールドはかなり難易度が上がるように感じた。友達と一緒に挑戦したい


■ コミカルでかっこいい、格闘アクションとスピード感が爽快な「HERE WE GO」

カートゥーンレンタリングで描かれたキャラクタが、スピーディーで爽快な戦いを繰り広げる
 「HERE WE GO」はカートゥーンレンタリングで描かれたキャラクタが激しいアクションを繰り広げるオンラインアクションゲームだ。来年初頭にオープンβテスト予定で、アイテム課金を予定している。キャラクタのタッチや高速で敵を倒していくゲーム展開はカプコンのアクションゲーム「ビューティフル ジョー」を彷彿とさせる。群れをなして襲いかかってくる敵を連続攻撃でなぎ倒し進んでいく展開は、大きな爽快感をもたらす。

 本作は、格闘アクションゲームの感触を持っていて、ゲームパッドでの操作に対応している。ジャンプアクション中心の「KOONGYA ADVENTURE」とはまた違う、コンシューマゲームの爽快感とスピード感を実現している作品だ。

 ゲームは街で仲間を募り、シナリオモードでの冒険や、対戦を楽しむという展開になる。街ではMMO、各モードではMOになっていて、シナリオモードでは4人、対戦モードでは8人までのプレイが可能だ。シナリオモードではトラップが配置されたフィールドを群がる敵を倒しつつ進んでいく展開になる。2Dの横スクロールのアクションの感覚でプレイできるが、グラフィックスはフル3Dで描かれており、フィールドの移動やイベントシーンではカメラの角度が変わったり、アップになるなどの演出がある。

 巨大な鉄球が振り子のように揺れてプレーヤーを阻んだり、時にはしゃがみながら進まなくてはならないなどフィールドの構成も凝っており、左右だけでなく上下にも広いマップが多い。「声」の演出も楽しく、キャラクタやボスはよくしゃべる。ボスモンスターの登場シーンなど演出も凝っていて、アメリカンコミックスのようなカットシーンが入ったり、画面奧から迫ってきたりもする。

 「KOONGYA ADVENTURE」でも感じたが、キャラクタのスピード感や、攻撃の感触など、日本のコンシューマゲームに引けを取らない丁寧な作りを感じさせられた。ムービーでは本作のユニークな演出と、スピード感のある戦いを見ることができる。ダウンロードしてお楽しみいただきたい。

【「HERE WE GO」ムービー】
【下の画像をクリックするとダウンロードが始まります。LZH形式で圧縮してあります】
【[WMV形式:74.3MB 4分23秒] LZH圧縮】

フィールドの構成と共に、ハングル文字が飛び出す攻撃の演出にも注目したい。シナリオモードでは最大4人で挑戦できる
対戦モードでは8人のプレーヤーが入り乱れる。激しい戦いが体験できそうだ


「イースオンライン」
日本ファルコムのアクションRPGシリーズ「イース」をモチーフにしたMMORPG。開発はCJ Internetで行なっている。現在はオープンβ中だが、課金アイテムはゲームの進行を有利にする補助系が販売される。デモプレイを見る限りでは、恐ろしいモンスターのデザインや、重厚なダンジョンなど本格的なファンタジーMMORPGというイメージはあるものの、「イースらしさ」というものはあまり感じられなかった。「アーツスキル」という特殊能力があり派手な攻撃を行なうことができる。アクション性のある駆け引きが楽しめるとのことで、ゲームをプレイしてその感触を確かめてみたいと感じた

「OZ CHRONICLE」」
かわいいキャラクタが活躍するオンラインアクションゲーム。年末にオープンβテストを予定。開発を行なうAniparkは「魔球魔球」を開発した実績がある。キャラクタは戦士、ガンナー、魔法使いの3種類で、インスタンスダンジョンなども用意されている。全体的にオーソドックスな作風だが、レベルが上がったスキルに強いオリジナリティがある。発動されるとキャラクタがアップになり、敵と自分しかいない空間で、空中に跳ね上げた敵に連続攻撃を食らわした後に、稲妻と共にとどめを刺すなど、スタイリッシュな演出が楽しめる。スキルは武器によっても様々な演出が楽しめるという

□G★ 2007のホームページ
http://www.gstar.or.kr/
□ CJ Internetのページ
http://www.cjinternet.com/

(2007年11月12日)

[Reported by 勝田哲也]



Q&A、ゲームの攻略などに関する質問はお受けしておりません
また、弊誌に掲載された写真、文章の転載、使用に関しましては一切お断わりいたします

ウォッチ編集部内GAME Watch担当game-watch@impress.co.jp

Copyright (c) 2007 Impress Watch Corporation, an Impress Group company. All rights reserved.