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会場:韓国国際展示場(KINTEX)
入場料:5,000ウォン(前売り3,000ウォン) CJ Internetは「大航海時代Online」の韓国国内でのパブリッシング、「SDガンダムカプセル戦記オンライン」や「イースオンライン」、「ドラゴンボールオンライン」といった日本の有力IPを使ったオンラインゲームの開発を行ない、日本のユーザーからも注目される活動をしているメーカーである。今回は「G★2007」に先がけて本社を訪問し、最新タイトルや今後の戦略などの話を聞いた。 CJ Internet本社はソウル南西部、九老区にある。九老区は“デジタル団地”と呼ばれた再開発が行なわれ、モバイルゲームのメーカーなど様々なメーカーが集まっている。CJ Internetのある「デリュングポストタワー」の2フロアを本社が、さらに1フロアを子会社のアニパークが使っている。 今回の訪問の目玉は、CJ Internetが開発する、「5本のオリジナルタイトル」である。これまでCJ Internetはパブリッシャーとして知名度は高いもののオリジナルコンテンツを生み出してはいなかった。CJ Internetは2005年からオリジナルコンテンツ開発に着手し、今回、一気に5本ものタイトルを市場に投入し、デベロッパーとしての存在をアピールする。本稿ではこの5本のタイトルを中心に紹介したい。
■ パブリッシャーからデベロッパーへと生まれ変わるCJ Internet。5つのタイトルを相次いで市場に投入
サービススケジュールとしては「イースオンライン」と「KOONGYA ADVENTURE」はオープンβテストを実施中で、他のタイトルはクローズドβテストを数回行なっているところ。冬から春にかけて正式サービスへ移行していく。全てのタイトルがアイテム課金方式を採用していく。本格的なMMORPGファン向けには、「PRIUS ONLINE」と「イースオンライン」、3本のアクションは「HERE WE GO」が20代のプレーヤー向け、低年齢層向けに「OZ CHRONICLE」と「KOONGYA ADVENTURE」を投入していく。 話を聞くだけだと同じような年齢層、ジャンルの作品を市場に投入するように感じたが、実際タイトルを見たところ、かなりタイトルの特徴ははっきりしている。「PRIUS ONLINE」は非常に美しいグラフィックスと、プレーヤーの後ろについてくるかわいらしい「アニマ」と呼ばれる女の子の形をした従者が特徴で、「イースオンライン」は本格的なMMORPGとしてハードなイメージを前面に押し出している。 「G★2007」では、横スクロールタイプのオンラインアクションゲームが多く見られた。似たようなジャンルとインターフェイスを持つゲームが大量に市場に投入されるのは特に韓国オンラインゲーム業界で見られる特徴だ。「KOONGYA ADVENTURE」も同じジャンルに入るゲームデザインだが、細かく書き込まれたフィールドと、「スーパーマリオ」を思わせる軽快なアクションではっきりとオリジナリティを感じさせる作品となっている。 「HERE WE GO」はカプコンの「ビューティフル ジョー」を彷彿とさせる独特のタッチで世界を描き、爽快感のある格闘アクションを実現。「OZ CHRONICLE」は頭身の低いキャラクタが活躍する、最もオーソドックスなアクションMMORPGだがスキル使用時には過剰とも言えるアクションシーンが展開する。どの作品も個性とテーマがはっきりしており開発者のゲーム制作への強い熱意を感じさせられた。 CJ Internetは2005年からパブリッシング事業を進めながら、オリジナルコンテンツの開発体制を整えていった。現在6つの開発チームを動かしている。特に「PRIUS ONLINE」と「KOONGYA ADVENTURE」はオリジナリティが強く、CJ Internetが自社を象徴するタイトルとして力を注いでいる。 「イースオンライン」は既存のゲームエンジンを使用し、「OZ CHRONICLE」はAniparkという開発会社を子会社化して制作しているが、そのほかのタイトルはゲームエンジンから全てを1から作り上げている。CJ Internet自社の技術力の高さをアピールしていくために、あえてオリジナルのゲームエンジンの開発に着手した。CJ Internetはこれらの作品で、パブリッシャーからデベロッパーへの転身をアピールしていく。 CJ Internetは「SUDDEN ATTACK」や野球ゲームの「魔球魔球」など、カジュアルゲームではいくつものヒット作に恵まれているが、MMORPGでは代表作という物にこれまで恵まれていなかった。自社タイトルとしてMMORPGを投入したのも、この分野でのヒット作を造りたいためだったという。 これらのタイトルに関しての日本展開も気になるところだ。日本でも知名度の高い「イースオンライン」はまず韓国での成果によって、サービス時期は変わってくるかもしれないとのことだ。現在は日本ファルコムと調整中であり、CJインターネットジャパンによる運営をしていきたいとしてローカライズなどの準備をしている。この他のタイトルに関しても、ローカライズが可能な設計を最初からくみこんでいる。 現在開発中の「ドラゴンボール オンライン」はまだ発表できる段階ではないため、来年サービス予定ということ以外まだ何も言えないとのことだ。「SDガンダムカプセル戦記オンライン」も海外パブリッシングに関してはバンダイコリアが権利を持っているため、CJインターネットはコメントできないという。
「イースオンライン」、「ドラゴンボール オンライン」、「SDガンダムカプセル戦記オンライン」はもちろんだが、そのほかのタイトルの日本展開も気になるところだ。今回のG★2007や韓国ゲームメーカー訪問を通じて、韓国のゲーム開発の進化を確かに感じた。これまで以上に、韓国発のコンテンツが話題を集めるという可能性もある。この韓国の動きを受けた来年のオンラインゲーム業界の動きには注目したい。
■ 幻想的な世界観と、かわいらしい“アニマ”に強い魅力のあるMMORPG「PRIUS ONLINE」
建物やキャラクタの装備は曲線が効果的に使われていて、全体的にカラフルだが、ぎとぎとした色合いでなく調和しており、夢の世界のような幻想的な雰囲気がある。本作の大きな特徴は、キャラクタ全員がかわいらしい小さな女の子を連れているところだ。このキャラクタは“アニマ”という小さな女の子のような姿をした存在で、妖精のような透明感がある。 アニマはクエストを通じて得ることができるという。アニマにはいくつかの属性があり、現在のところ1つのアニマをずっと連れ歩くという感じだ。アニマは生産要素に関する能力を持っている。プレーヤーは、アニマを連れて行くだけでなく、「アニマモード」でアニマだけ操作することができる。 プレーヤーの操作で動くアニマは小さな手足をちょこまかと動かして走り回ったり、服の裾をひらめかせてジャンプしたり、ちょこんと座ったり、どの仕草もかわいらしい。アニマのアバターアイテムも用意されており、熊のぬいぐるみのような大きな頭装備などもある。着せ替え人形のようで、キャラクタのカスタマイズとはひと味違った楽しさがある。 アニマは生産能力だけでなく、「カイバズ」と呼ばれる戦闘兵器を召喚する能力を持っている。カイバズはロボットのような存在で、プレーヤーとアニマはこれに「乗り込み」戦うことができる。カイバズは巨大な甲冑のような外見をしており、通常のキャラクタの数倍の大きさを持っている。動作はパワフルで、柔らかいデザインのキャラクタとは全く違うプレイ感覚になる。この2面性も面白く感じたところだ。
今回、簡単なデモプレイしか見ることができなかったが、はまずその柔らかで幻想的なグラフィックスに引き込まれ、次いでアニマのかわいらしさ、ガイバズのパワフルさ、そしてフィールド全体の雰囲気に魅了された。是非プレイしてみたいゲームだと感じた。
■ かわいらしいキャラクタが軽快なアクションでフィールドを走破していくアクションMMORPG「KOONGYA ADVENTURE」
本作のゲームデザインは、横スクロールでフィールドを進んでいく「メイプルストーリー」タイプのゲームだが、まず印象に残るのが、その軽快な操作感だ。「スーパーマリオブラザーズ」を思わせるスピーディーでコミカルな動きを実現しており、確かな技術力を感じさせる。タイミングが合うと最大で5段までジャンプが可能で、アクションゲームの得意なプレーヤーならば自由自在にキャラクタを操ることができる。 フィールド、キャラクタ共に細かく描き込まれていて、キャラクタは小さいながら、アバターアイテムを装備するときちんと姿が変わる。全体的に多くのデザイナーが手間を惜しまず作り込んでいることをきちんと感じさせる作品で、看板キャラクタのゲームをアピールしていこうというCJ Internetの気合いを感じさせられる。 ユニークなのが、イメージキャラクタとして韓国の人気女優を起用しているところ。フィールドを歩くといきなり実写の女優の顔が現われる。細かく書き込まれたフィールドに全くそぐわない女優の姿は違和感がものすごいが、「KOONGYA ADVENTURE」のかわいくてコミカルなキャラクタはその違和感さえ許してしまう「軽さ」がある。
キャラクタ、実写の演出など、随所にライトさを感じさせながらも、ゲーム自体はかなり本格的だ。前述の5段ジャンプを使いこなせばゲームはかなり有利になる。ゴーレムのようなボスはモーション、攻撃パターンともに迫力たっぷりだ。お菓子のパッケージに描かれていそうな「KOONGYA」のキャラクタとは明らかにタッチが違う。この感覚も、任天堂作品に近いかもしれない。
■ コミカルでかっこいい、格闘アクションとスピード感が爽快な「HERE WE GO」
本作は、格闘アクションゲームの感触を持っていて、ゲームパッドでの操作に対応している。ジャンプアクション中心の「KOONGYA ADVENTURE」とはまた違う、コンシューマゲームの爽快感とスピード感を実現している作品だ。 ゲームは街で仲間を募り、シナリオモードでの冒険や、対戦を楽しむという展開になる。街ではMMO、各モードではMOになっていて、シナリオモードでは4人、対戦モードでは8人までのプレイが可能だ。シナリオモードではトラップが配置されたフィールドを群がる敵を倒しつつ進んでいく展開になる。2Dの横スクロールのアクションの感覚でプレイできるが、グラフィックスはフル3Dで描かれており、フィールドの移動やイベントシーンではカメラの角度が変わったり、アップになるなどの演出がある。 巨大な鉄球が振り子のように揺れてプレーヤーを阻んだり、時にはしゃがみながら進まなくてはならないなどフィールドの構成も凝っており、左右だけでなく上下にも広いマップが多い。「声」の演出も楽しく、キャラクタやボスはよくしゃべる。ボスモンスターの登場シーンなど演出も凝っていて、アメリカンコミックスのようなカットシーンが入ったり、画面奧から迫ってきたりもする。
「KOONGYA ADVENTURE」でも感じたが、キャラクタのスピード感や、攻撃の感触など、日本のコンシューマゲームに引けを取らない丁寧な作りを感じさせられた。ムービーでは本作のユニークな演出と、スピード感のある戦いを見ることができる。ダウンロードしてお楽しみいただきたい。
□G★ 2007のホームページ (2007年11月12日) [Reported by 勝田哲也]
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