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【G★2007現地レポート】

「パンヤ」開発元のNtreevが3年ぶりの新作を発表
新感覚レース「Project Alice(仮)」、FPS「BLACKSHOT」を公開

11月9日 開催(現地時間)

会場:韓国国際展示場(KINTEX)

 Ntreev Softという会社は、日本ではあまり表に名前を出さないので、ピンとこない人もいるだろう。同社は、「PANGYA(スカッとゴルフ パンヤ、運営はゲームポット)」と「TRICKSTER(トリックスター0 -ラブ-、運営はジークレスト)」という、日本でもトップクラスの人気を誇る2つのオンラインゲームを開発した韓国のゲームメーカーである。

 韓国での知名度は決して低くはないのだが、「PANGYA」以降の新作がなかった。今回同社は、G★2007の開催に合わせて発表会を行ない、新規開発タイトル「Project Alice(仮)」と、パブリッシングタイトル「BLACKSHOT」の2作品を発表した。自社開発となる「Project Alice(仮)」は、実に3年ぶりの新作となる。

 ちなみにNtreevは現在、韓国の携帯キャリア最大手のSK Telecomの子会社となっており、モバイルを除くゲーム部門を担当。G★2007ではSK Telecomブースの一角を使って出展している。「BLACKSHOT」はブースに試遊台が置かれているが、「Project Alice(仮)」については発表会での映像上映のみとなった。ブースの様子は別途レポートを行なうことにして、ここでは発表会で扱われた2タイトルに絞って紹介する。



■ 騎乗レース+アドベンチャー「Project Alice(仮)」

少女と馬が描かれた「Project Alice(仮)」のイメージイラスト
馬は急加速やスライディングといった車のレースの要素に加え、ジャンプや羽を生やして飛ぶ動きも用意されている
ペガサスのように羽を広げて飛ぶ姿は、やはり印象強い。ゲームにも多彩なアドベンチャー要素を与える大きな一因となっている
 まず本作の内容を一言でいうと、馬に乗って走るレースゲームである。美しい自然の中にできたコースを、他のプレーヤーと競い合いながら駆け抜けていく。

 本作の紹介の際のキーワードとして、「レース+アドベンチャー」という言葉が使われていた。まずレースについては、馬を走らせる、加速させる、ジャンプする、ドリフトのように滑る、といった要素がある。また2段ジャンプすると羽が生えて、ペガサスのように空中を駆け抜けられる。車でのレースゲームに、ジャンプや飛行の要素が加わったというイメージだ。

 ずっと飛んでいれば一番早そうな気がするのだが、飛んだり加速したりといった操作には、馬のスタミナが必要になり、使った分だけスタミナゲージが減っていく。このスタミナは、コース上にあるニンジンなどのアイテムを拾えば回復する。タイミングよく2段ジャンプすれば取れるアイテムも用意されており、スタミナの使いどころを考えつつ、アイテムを回収していくという展開になる。

 次にアドベンチャーについて。「大自然に無謀に挑戦する」というコンセプトで作られたマップは起伏に富んでおり、ジャンプで越えられる障害物だけでなく、切り立ったがけのような場所もある。そこは前述の羽を生やして、なだらかに滑り降りていく。

 またレース中に巨大なモンスターのようなものが現われ、目の前で橋を壊していくというシーンが見られた。このとき、2段ジャンプで羽を生やして飛び越えるか、そのまま水に入ってゆっくり泳いで進むかという選択を迫られる。飛ぶとスタミナを大きく消費するので、どちらが有利になるのかをプレーヤーが判断することになる。

 さらに、コース中には抜け道のようなものが用意されており、柵を飛び越えたり、扉を蹴り開けたりすると通れるようになる。ショートカットができたり、メインのルートにはないアイテムが取れたりするようだ。

 会場で公開されたムービーを見ていると、群がるこうもりを短剣で切り払ったり、巨大な飛行モンスターを弓で射るといった戦闘のシーンや、キャラクタが馬からジャンプして離れ、再び乗り込むという場面も見られた。馬だけでなく、キャラクタのアクションも考えられているようだ。ただ他のプレーヤーを邪魔する、攻撃するといった要素は、今回の映像では見られなかった。

 ゲームの映像が公開されたのは今回が初めてで、韓国では2008年上半期にクローズドβテストを行なう予定としている。まだサービス開始までは時間があり、細かい仕様は今後詰めていくものと思われるが、現時点でもゲームのユニークさや透明感のあるビジュアルのよさが感じられる。来年の今頃にどのように仕上がってくるか、今から楽しみなタイトルだ。

 日本での展開はまだ未定だが、「PANGYA」と「TRICKSTER」に続くタイトルとあっては、日本のパブリッシャーからの注目が集まらないわけがない。今回、G★2007と同じ会場で行なわれたゲーム開発者向けカンファレンス「KGC2007」で講演したゲームポット代表取締役の植田修平氏に、早速「Project Alice(仮)」の話を振ってみたところ、「とてもいいゲームだと思いました。NTREEVさんは、“他所とは違うことをやろう”という姿勢が見えるのがいいですね」と好印象の様子。「もちろん(日本でのパブリッシング権を)取りに行くんですよね?」と尋ねると、「もちろんですよ。うちを選んでくれるといいですね」と力強く語ってくれた。最終的にどうなるのかは見えないとはいえ、韓国でのサービスからさほど遠くない時期に、日本でもプレイできそうだ。

会場で上映されたプロモーションムービー。実際のゲームの映像も入っており、ファンタジックなイメージを混ぜつつ、美しい大自然をビジュアルで表現している
プレゼンテーションの中で、開発中のゲーム映像も公開された。大自然を駆け抜けるようなコースの中で、障害物をジャンプで避けて進んだり、岩を壊して洞窟を抜けてショートカットしたり、破壊された橋をペガサスになって飛び越えるなど、冒険を感じさせる要素を盛り込んでいる



■ 質実剛健なミリタリーFPS「BLACKSHOT」

 もう1本は、韓国で人気を集めているミリタリーFPSの新作「BLACKSHOT」。Vertigo Gamesが開発しており、NTREEVはパブリッシングを行なう。こちらはSK Telecomブースに試遊台も用意されていた。

 本作はミリタリーFPSの王道を行く内容で、悪く言えばこれといって特徴というべきものがない。ただグラフィックスの質は、現在サービスされている各社のタイトルより一段上を行っており、韓国産ミリタリーFPSによくある見た目の古臭さ(エントリークラスのPCでも動くことが重要なので、ビジネス的には間違いではないが)からは脱却できている。正統進化を目指した作品、という位置づけであろうか。

 おそらく、これはそのように意図して開発されている。ゲームバランスについては、初めから中級者向けにデザインしているという。昨今のFPS人気で、ある程度腕を磨いたプレーヤーが増えてきている現状に合わせたタイトルというわけだ。具体的には、ヘッドショットも比較的きちんと決まる印象。動きもスピーディで、マシンガンの連射も速く、なるほど中級者向けという歯ごたえと爽快感がある。

 ゲームのつくりも丁寧だ。インターフェイスはシンプルにまとめられており、無駄なく邪魔にならない。ダメージ表現も、左右の手足と頭で、どこに当たったかによってのけぞるモーションが異なる。地味な部分ではあるが、実際にゲームをやってみると、違和感が少なくなっているのがわかる(ヘッドショットをきちんと当てられていない証拠ともいえるが……)。

 個人的に気に入ったのが攻撃のヒット表現。画面では点のようにしか見えない遠くの敵に銃撃がヒットしたとき、画面中央に少し赤く血が飛ぶような演出が入る。相手の出血表現が見えるような距離ではないのに、攻撃がヒットしていることがわかりやすい。また敵を倒したときには、一瞬、画面中央に赤いドクロマークが出る。スナイプやヘッドショットが決まったことが一目瞭然でわかり、ゲームの爽快感アップやスピーディな展開にも一役買っている。

 システム的にユニークな機能としては、パートナーシステムがある。味方プレーヤーの1人をパートナーに設定すると、パートナーの視界を小ウインドウで表示できるようになる「パートナービュー」、パートナーと同じ敵を協力して倒すとボーナスポイントがもらえる「パートナーアシスト」、パートナーを倒した敵を倒すとボーナスがもらえる「復讐システム」、自分とパートナーが近いタイミングで倒されると、後で倒されたほうが先に倒されたほうのリスポーン時間に合わせて復活できる「リスポーン時間共有」といった優遇措置が得られる。パートナーと一緒に行動することで、さまざまな利点が得られる仕組みだ。

 ゲームモードは、1killが1点、Flagの持ち帰りが5点となる「Team Death Flag Mode」と、爆弾の設置と解除を行なう「SD Mode」を搭載。7ラウンド先取のシステムも用意されている。

 遊んでみると意外なほど気持ちよく、ゲームに引き込まれてしまう。奇をてらわず堅実な設計にし、プレイする上でのストレスを少なくしたことこそが、本作の特徴といえるだろう。中級者向けとはいえ、いま人気のあるジャンルに真正面から立ち向かっていこうという自信も感じられるタイトルだ。

【スクリーンショット】
静止画だけ見ているとインパクトを感じるものではないが、遊んでみるとバランスや細かな演出のよさに感心する。後半の2枚で画面左に見えるのが、パートナーシステムによって見えているパートナーの視界。これもゲームでどう生かされるのかが楽しみだ
プロモーションムービー
(WMV9形式: 2分45秒 14.0MB ZIP圧縮)


□G★2007のホームページ
http://www.gstar.or.kr/
□Ntreevのホームページ
http://www.ntreev.com/

(2007年11月11日)

[Reported by 石田賀津男]



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