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【悪魔城ドラキュラ X クロニクル】 価格:5,229円
トークでは、小島氏はこのようなイベントに出演するのは初めてとのことで、司会者が質問し、それに答えながら2人がトークを展開するという形式で行なわれた。本稿でもそれに従い、対話形式でイベントレポートをお送りする。 ――発売日を迎えた、今の心境は? IGA氏: 作ったものが世に出ると考えると非常に興奮するんですよ。一番ドキドキするのは、「バグ出ないかな」と心配したことです。今回のゲームは面クリア型ということで、お客様の反応が非常に気になるところなのですが、出てほっとしたという安心感プラス「これからやるぞ」とスタートする感じです。 ――PSPへ移植するにあたって、PSPならではの変更点はありますか? IGA氏: 今作はPCエンジン版の「血の輪廻」を移植したんですが、もともとすごく良くできたゲームでほんとにそのままでもいいかなと思ったんですが、今出すのにそのままというわけにもいかないというのがあったので、2Dのグラフィックスなのですが3Dで表現してほしいという要望がありまして、今回やろうと。あと、PSPは携帯ゲーム機なので、電車の中でプレイしているときとか、途中でやめたいじゃないですか。途中でやめられるように中断セーブができるようになっています。 せっかく移植するにあたって、1つくらいは全部作り変えたい気持ちもありました。「5’(ダッシュ)」、「5裏面」と言っているんですが、PCエンジン版では、「俺の求めてるドラキュラはこんなんじゃねぇ」と言ったあるスタッフが、昔のドラキュラっぽいステージ構成を、他のステージから寄せ集めたパーツで作っていた“おまけステージ”だったんです。それを作り直しました。 あと、海外の取材を受けるとリプレイ時間について必ず言われるんです。それで今回、もともと1回クリアしても戻れるという仕様になっていたので、パワーアップ要素みたいのを入れて、最初ブロックされていたものも前に戻ってそこをクリアするとアイテムが手に入ります。 PCエンジン版を3D化したもののほかに、オリジナルのPCエンジン版とPS版の音楽が入っていて、音楽アイテムを拾い集めると、ステージの曲を好きなステージの曲に入れ替えたりすることもできます。 ――オリジナルゲームはどうやったらプレイできますか? また、何か変更したところはありますか? IGA氏: PCエンジン版のオリジナルは、最初から遊ばせるのもなというのがあったので、3Dアレンジ版のゲームの中に「ゲーム」が落ちているのでそれを拾ってもらう形にしました。「ゲーム」は、3裏と4面に落ちていますので、そこで探していただければあります。 変更点ですが、「月下の夜想曲」は僕が初めてドラキュラシリーズに関わったタイトルなんですが、開発中にどうしても削ってしまったものがあったんです。途中でマリアが出てくるんですが、ほんとはマリアと戦ってもらう予定だったんです。あとマリアでもプレイできるようにも考えていたのですが、泣く泣く削りました。今回はマリアのところを変更し、この部分を追加しています。 ――Xクロニクルのイラストを描く時にオリジナルの影響を受けたり、あえて違う部分をだしましたか?
リヒターさんなんですが、胸のバッテンは「Xクロニクル」の「X」をちょっと考えたり、考えなかったりしました(笑)。あと、テラという女性のキャラクタが途中で出てくるのですが、私がデザインを描いていたときに持っていたイメージと、ゲーム中で動いているイメージが全く違っておもしろかったです。 IGA氏: 今回のドラキュラは、「クロニクル」ということでおもしろくしてもらう意味でも、黒い髪の毛のオールバックにしてください、とお願いしてやってもらったのですが、海外の人に聞くとみんな「僕に似てる」と言って、「参考にされてるんですか?」と必ず質問されるんですよ(笑)。 小島氏: ドラキュラは今までに何度か描かせていただいたのですが、わりと白髪というか薄いイメージでした。今回は黒髪といわれて、ドラキュラはパワーがみなぎってるというか、精力なんとかとか言われました。 ――小島文美さんのキャラクタが3Dになりましたが、それを見た印象を教えてください IGA氏: 文美さんのキャラクタを3Dにするのは初めてではないので、今回特に、というのはありませんでした。3Dではやっちゃいけないこととかあって、それを擦り合わせて、お願いして修正してもらったのですが、今回はそういうことを言わなくても、もうわきまえてらっしゃるなと。マリアのスカートもほんとは描きたかったらしいんですけど、ポリゴン的にごめんなさいしてもらって、髪の毛もちょっと無理だったのでポニーテールにしてもらいました。ある程度ダメなところはこちらで見切るというのもあるんですが、細かいところは3Dでできるようになっていて、成長したなと思いました。 小島氏: 私はそもそもゲームにあまり詳しくなくて、ドット絵にしたりだとか3Dにするといった現場の技術的な作業の成り立ちがわからないんですね。だから、こちらで素人なりにドット絵では色の塊にデザインを考えたりしました。アルカードのときも、彼のキャラクタのイメージからすると黒尽くめになるのですが、それではあまりにも不親切ではないかというのがありまして、いくつかの部分の色を明るくしてみたりとかしました。 それで今度の3Dでは、また違うところを考えなくてはならなくて、実際にデザインしてみないと、現場の判断でこれは動かせるとか、これは動かせないといった具体的な案を出していただいて、それで練っていくという感じでした。ベルモンドさんのコートなんですが、18世紀ならこんな格好なのかなと描いてみたら、「ベルモンドコート」と呼ばれて大変でした(笑)。 IGA氏: あのコートはですね、非常に3Dにしやすいという素晴らしいコートでして、こちらとしてはラッキーだったなと。足元にかからないというのがポイントで、なんて素晴らしいんだろうと。 小島氏: あと2Dでは横向きで一定方向からしか見えないのですが、3Dでは全方位見え、またプレーヤーに背中を見せて走ることから、背中のデザインを重点的にやってくださいと言われたのですが、現在のデザインに至るまでにはラフを何度もお見せしました。 あと十字架なんですけど、日本では十字架を深く考えたことはなかったんですけど、ベルモンドさんが座ったときにお尻に敷かないようにとか、扱いに悩みました。 IGA氏: たしかに十字架は大変でした。炎が十字架の形になっているシーンを描いたんですが、そうしたら「秘密結社のマークに見えるから変えてくれ」と言われたことがありました。また、「十字架を投げるなんて言語道断だ」と言われたりして、「手裏剣」を投げています。PCエンジン版を海外に移植するとなったときに、十字架が出てくるんですが「投げるのはOKだが、殴るのはやめてくれ」と言われたこともあります(笑)。 ――初めてドラキュラのイラストを描いた時とクロニクルのイラストを描いた今回で何か変化したことはありますか? また、変わらなかった事はありますか? 小島氏: 「月下の夜想曲」のときに初めてゲーム会社から依頼を受けて、友達に相談したりしながら、資料をいただいたのですが、きれいな感じのものでした。アクションゲームときれいな世界観が私の中で繋がらなくて、結構悩みました。あとゲームの業界でやっていいこととやっちゃいけないことの基準がわからなくて、思い切って描いたものがカットされちゃって、いまだに日の目を見ないキャラクタとかがいます。 IGA氏: 補足しますと、「サキュバス」のキャラが入っていて、全裸でばばーんと描いてあったんです。さすがに出せないよということで、必ずトリミングされています。 小島氏: 例えば狼男とか、裸というか服を着てないので、魔物だから裸でもいいかなと思っていたんですけど、人の形だとダメだというのがわかりました。「Xクロニクル」では、そういう基準がわかったところが変わりました。 変わらない点では、みなさんファンタジックで自由なデザインをしているのですが、私は融通がきかないというか地味な感じで、オーソドックスなデザインになっています。
IGA氏: 行き当たりばったりで作っていることはうすうす感づいているかもしれないですけど、個人的には好きなので今後もやっていきたいなと思います。最近はWiiのバーチャルコンソールなどで過去の作品がプレイできるようになっていて、これはどうなのかというのはありますが、今回のような3Dアレンジなどのようなリメイクが期待されているのであれば、できるだけやっていきたいなと思います。 新作の話は言えないんですけど、ニンテンドーDSのほうで進めているものがありまして、これが終わって、売り上げが出た後くらいに発表できればいいなぁと思っています。 ――据え置き型ゲーム機での新作の予定は? IGA氏: いろいろと考えています。どのプラットフォームでやるとは言えないのですが、今、ずっと携帯機をやっていて、そろそろ据え置き機でも欲しいよねと考えていまして、スタッフを集めて「据え置き機でどうすればいいかねぇ?」というのを話し合ったりしています。「悪魔城ドラキュラ」は今後据え置き機で展開するにあたって、機種はどうしよう、ゲームはどうしようと考えている段階なので、まだまだ先の話になりますが、ぜひ進めていきたいなと思っています。 ――マリアちゃんの持っている花は四聖獣を表わしていますか? 小島氏: 実はそうなんです。そういっていただけるとほんとありがたいです。 ――制作中に音楽は聴いていますか? IGA氏: デザイナーはよく聴いていますね。プログラマは半々くらい。僕も昔はよく聴いていたのですが、最近は打ち合わせが多くて聴けないです。今日も打ち合わせがあったのですが、イベントということで抜けてきました(笑)。
小島氏: 今おっしゃったようによく聴いています。「ドラキュラ」シリーズのサントラもよく聴いてイメージを膨らませたりしています。好きなジャンルはロックです。
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□KONAMIのホームページ (2007年11月8日) [Reported by 滝沢修]
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