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クローズドイベントは、海外の日産自動車関係者とプレスを対象としたもの。同日「東京モーターショー2007」で発表された「Nissan GT-R」のプロモーション・コンセプト“NINJA”をセルフパロディ化したような演出が随所に施されており、まずは会場入口に立つふたりの忍者がゲストをお出迎え。海外における日本文化のステレオタイプ(?)をイメージした一部内装のほか、殿様、くのいち、サムライ、ゲイシャなど演出専門のコスプレスタッフを用意。日本人は、店内スタッフをのぞけば筆者を含め数人程度。満員御礼状態のフロア全体を見渡し「ここは本当に日本なのか?」とひとりつぶやいてしまうほどの盛り上がりを見せていた。 EAは、フロア奥にXbox 360版「ニード・フォー・スピード プロストリート」試遊台4つを設置。内容は10月24日からXbox LIVE マーケットプレースにて配信されている体験版とほぼ一緒だが“ひとつだけ”違う点があった。それは、会場でプレイできた体験版が“Nissan Special”ともいうべき本イベントだけの限定バージョンだったことだ。プレーヤーが実際に操作するのは、Nissan GT-R。選べるレース形式も「スピード」と「グリップ」のふたつ。だが、ライバルカーが「シルビア」、「スカイライン」、「フェアレディZ」と、すべて日産車で占められている。細かい違いではあるが「たった一日、数時間のイベント」のためにスペシャルバージョンを用意するというのは、なんとも豪気な話だ。 前作「カーボン」の箱庭スタイルから一転、世界中のサーキットを転戦する形式になったシリーズ最新作。シリーズのファンには「本格的なレースゲーム志向になって、前作までの“ケレン味”が無くなっていたらどうしよう」と心配しておられる方も少なくないだろうが、コントローラを握ってアクセルを吹かした瞬間、そんな杞憂は一瞬で吹っ飛んでしまう。公道からサーキットに変わったものの、基本的なドライビング感覚は、まさに「ニード・フォー・スピード」シリーズそのもの。安定した土台の上に築かれた新要素が、プレーヤーに新鮮な刺激を与えてくれる。 体験版で味わえる新要素で一番大きいのは、なんといっても物理演算による車体ダメージの再現だろう。接触状況によるが、ボディが歪んでトランクに隙間ができるなどは序の口で、衝撃が大きいとボンネット、バンパーなどのパーツが脱落。周回コースでは、脱落パーツに接触するとさらにダメージを負ってしまう。フィクションとはいえ車自体の安全性に誤解を与えないようシャーシが破損することはないが、それでも高速で横転した場合などは、ピカピカだった愛車が、ほんの一瞬で見るも無残な姿に変わる。ダメージは走行性能にも影響するうえに、レース終了後は修理代まで払わされる二重苦。このあたり、前作までライバルカーを暴力的な手段でねじふせていたプレーヤーには悩ましいところか。
このほかにも、マイクロソフトの「Forza Motorsport2」よろしく最適なラインとスピードをコース上に表示するガイド機能のオン・オフ、レース中の動作アシストが「カジュアル」、「レーサー」、「キング」の3段階から選べるなど、レースゲームの最新トレンドがきちんと押さえられている。なお、前作までプレイしていた人は、動作アシストは最初から「キング」を選んだほうがいいだろう。「カジュアル」はコースや状況に応じてCPUがアクセルやブレーキを自動制御してくれる非常に優れた機能だが、アクセルベタ踏みでもカーブが曲がれてしまううえに、それが決して速くない。「カジュアル」は「レースゲームをやるのは本当に初めて」といった人向けで、慣れた人には「レーサー」でも物足りないはず。限界ギリギリの“攻めの走り”を楽しみたいなら、迷わず「キング」でプレイして欲しい。
■ プロデューサー、John Doyle氏ミニインタビュー
―― 街をひとつ再現して、そこを走り回るというスタイルから一転。今回は世界中のサーキットを転戦することになりました。このスタイルを選んだ理由はなんでしょうか? John Doyle氏(以下John) 今回は“車のパフォーマンス性”を重視し「プレーヤーのみなさんを世界中の(実在するものを含めた)サーキットにお連れする」ことを念頭に置いたため、こうした作りになりました。 ―― 私は前作「カーボン」で繰り広げられたパトカーとの熾烈なチェイスも好きだったんですが……今回「コース中にパトカーが乱入してくる」なんていうことは?(笑) John あったとしても、とても短いチェイスになるでしょうね(笑)。今回チェイス要素はないんですが、今後の作品では、場合により警官が戻ってきたり、オープンワールドになったりと、「NFS」には色々な可能性があると思います。 ―― 会場に出展されている体験版は、このイベントだけの「スペシャルバージョン」だとうかがいました。 John そうです。これは「日産車限定」のものになります。 ―― この記事を見て、ここでしか体験できないと知ったファンのなかには「えー、自分たちもスペシャルバージョンを遊んでみたいよ!」といった声もあるかと思います。このスペシャルバージョンが一般公開されることはあるんでしょうか? John もし需要があれば考えます(笑) ―― それは、どのような手段でメッセージを伝えればいいんでしょう? 直接メールなど? John 我々は世界中の掲示板などに目を通しておりますので、そこで需要が本当に高ければ、考えますよ。 ―― では、私もファンサイトに書き込んでおきます(笑)。体験版では「Nissan GT-R」がプレイできますが、それについて日産側から特別な協力などはありましたか? John (日産は)パートナーとしては最高の会社です。例としては「GT-Rを登録車として是非入れて欲しい」というのがありました。弊社のタイトルは世界中でディストリビュートされておりますので、お互いにWIN-WINの関係だと思います。 ―― 設計中のモデリングデータなどの提供は? John CADデータをいただきました。 ―― では、文字どおり「本物」が遊べるわけですね。John氏は、もう「Nissan GT-R」の実車に搭乗されましたか? John 来月、ロサンゼルスで試乗する予定です。 ―― ゲーム全体に収録される車の種類は、全部で何台? John 現時点では60種類以上を予定しておりますが……色々ありますので、詳細は後日楽しみにしていてください。 ―― ここは日産のイベント会場ですが、それは一切に気にしないという前提で(笑) John氏一番のお気に入り車は何ですか? John GT-Rのプロトタイプが、一番楽しく運転できますね。とても速くて、ハンドリングが楽です。 ―― 今回、車のパフォーマンスに注力されたとお話がありましたが、再現などで苦戦された点はありますか? John ダメージの再現ですね。リアルタイムでダメージがどんどん反映していきますから。とても大変でした。 ―― ダメージの再現ですが、本当にギリギリの線、つまりシャーシには及びませんよね。 John そこまで致命的なダメージに至らない、グシャリと衝突させないことを前提に作っています。なかから人が飛び出してくるとか……そういうのは無しで(笑) ―― シャーシの件は、メーカーさんの意向「安全性に誤解が生じるような表現は止めて欲しい」というのが一番大きいのではないかと推察します。ですが、クリエイターの立場として「その先を描きたい」といった欲求みたいなものはないのでしょうか? John それは、このゲームの主旨ではありませんから。実際に車を運転して「どれくらい速く走れるか」が一番です。 ―― 最後に、発売を心待ちにしているファンの方々にメッセージをお願いします。 John 今年の「ニード・フォー・スピード」は“ショック!”を前面に出せていると思います。次世代機、従来のコンソール、PCなど多数のプラットフォームで展開しますので、そちらのほうでもみなさんにおおいに楽しんでいただきたいと思います。 ―― ありがとうございました。で、最後の最後に……パトカーは本当にないんですか?(笑)
John それはまた来年!(笑)
■ Xbox LIVE マーケットプレースにて体験版が配信中 前述のとおり、EAでは10月24日からXbox LIVE マーケットプレースにて「ニード・フォー・スピード プロストリート」体験版(英語版)を配信している。プレイできるのは「スピードチャレンジ(使用車種:BMW M3)」と「グリップレース(同:Nissan GT-R)」の2種類。製品版で4つ用意されるバトルモードのうち、半分を体験することができる。興味がある人は、この機会にぜひ一度プレイしていただきたい。
また、「ニード・フォー・スピード プロストリート」の公式サイトではNISSAN GT-Rのドライビングムービーが25日から公開されている。こちらも合わせてチェックしてみてはいかがだろうか。
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□エレクトロニック・アーツのホームページ (2007年10月25日) [Reported by 豊臣和孝]
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