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★PSPゲームレビュー★
最近のシューティングゲームは、縦スクロールが主流となっているが、初代「R-TYPE」が登場した'80年代後半のシューティングゲームは、横スクロールの全盛期だった。そんな横スクロール全盛期に、同じ横スクロールの作品ながら、他の作品に埋没することなく、生物的な造形による独特の世界観と、攻防両面に使用できる「フォース」といった個性的な攻撃システムで、多くのシューティングファンを引き付けたのが、初代「R-TYPE」だ。
その後アーケードや家庭用ゲーム機などでシリーズ化され、2003年7月発売の最終作「R-TYPE FINAL」をもってその流れは完結を迎えていた。しかし、4年の沈黙の時を経て、本作「R-TYPE TACTICS」が登場した。それも従来の横スクロールシューティングゲームではなく、シリーズ作としては初めてのシミュレーションゲームとしてだ。この大胆な新ジャンル開拓は、「R-TYPE」シリーズとしてどのような位置づけになるのか、その点をメインにチェックしていこう。
■ システムとしての敷居は低く、シミュレーション初心者でも挑戦可能
マップ上に配置できるユニットは、旗艦となる宇宙戦艦や輸送艦、「R-TYPE」シリーズの自機としておなじみの戦闘機R-9(アールナイン)シリーズのほかに、爆撃機や人型兵器や工作機など多岐に渡っている。また、「R-TYPE」シリーズを語る上で外せないオプションユニットのフォースも、「R-TYPE TACTICS」ではひとつのユニット扱いで様々なタイプのフォースが登場する。単独で使ってもいいし、戦闘機と組み合わせて多様な攻撃を行なえるようにしてもいい。シリーズ作同様、フォースの使い方が戦略を左右する場面が「R-TYPE TACTICS」でも見られるだろう。 いろいろな種類のユニットを保有するには、ユニットを生産しなければならない。このユニットの生産は、マップ上で生産するのではなく、ミッション開始前のインターミッションで行なうことになる。生産には、そのユニットを開発するための資源が必要になり、この資源はマップ上で入手していく。そのため、ミッションマップでは、勝利条件の達成だけを考えず、制限ターン数内に、先を見据えて資源も確保していく必要があるだろう。 また、ユニットを生産できたとしても、搭乗させるパイロットがいなければ使用できないのも見逃せない要素だ。このパイロットには、熟練度という設定があり、戦闘や補給活動などを行なって熟練度が上昇すると、攻撃力や回避率などがアップし、それだけ有利に戦闘が進められる。パイロットは、ミッションを進めていくうちに増えていくので、いろいろなユニットを使って活躍させるには、まずはミッションを進めなければダメ、ということだ。
いずれにしろ、シミュレーションにありがちな「物量で押し切る」といった単調な戦略は選択できないので、この点についてのみ頭の片隅に置いてプレイしていただきたい。
以上のように、説明書を読まなくてもプレイを始められるルール設定のため、序盤ならシミュレーション初心者でも気負わずにプレイができるはずだ。「R-TYPE」シリーズは好きだがシミュレーションはあまり遊んだことがないプレーヤーでも問題ないだろう。
■ 「波動砲」や「フォース」など、シリーズ作品の売りはしっかり継承 「R-TYPE」シリーズの自機である戦闘機R-9(アールナイン)。その特徴は、溜め撃ちを行なうことで通常弾よりも強力な貫通性能を待つ「波動砲」が放てること、オプションユニットの「フォース」を装着させて通常弾以外の多彩な攻撃が行なえること、またそのフォースを単独で放てば、フォースでも攻撃ができること。大きく以上のような特徴が上げられ、またその特徴が「R-TYPE」シリーズの爽快感と戦略性の高さを担っていた。当然「R-TYPE」シリーズを継承する「R-TYPE TACTICS」に登場する戦闘機R-9シリーズにも、この特徴が継承されている。 波動砲は、チャージ武器として設定され、数ターンの経過を待ってフルチャージにすることで使用できる。このチャージ武器は、射程距離内のユニットは敵味方問わず、強力なダメージを与えられる。まとめて敵ユニットを撃墜させたときの爽快感は、従来の「R-TYPE」シリーズ以上だろう。チャージ武器を主体に敵ユニットをまとめて迎撃していけば、有利に戦いを進められるはずだ。ただ、フルチャージにならないと使用できないこと、チャージ中に攻撃を受けるとチャージがリセットしてしまうこと、機体の向きである右方向へしか放てないこと、など制限があるため、使いどころを厳選する必要があるだろう。 また、自軍だけでなく、敵側にもチャージ武器を使用してくるユニットが存在する。こちら側同様、チャージ武器の使用タイミングを虎視眈々と狙っているので、注意しながら進軍したい。
フォースは、先にも説明したが、ひとつのユニットとして登場する(当然フォースにパイロットが搭乗しているという設定になる)。各戦闘機に合体させることで、通常弾程度の攻撃しかできなかった戦闘機が、通常弾よりも攻撃力が高く射程も長い様々なレーザー攻撃が行なえるようになる。また、単独で使って、体当たり(フォースシュート)させれば、より多くのダメージが与えられる。 ただ、ひとつのユニットとして登場するため、各戦闘機とフォースをセットで出撃させると、爆撃機や工作機など、他のユニットの出撃枠が制限されてしまう。また、フォースにもいろいろな種類があり、その種類によって合体できる戦闘機も決められているため、あまりいろいろなフォースを出撃させにくい。さらに、一番のポイントが、フォースにHPが設定されているため、攻撃を受けたり、体当たりしたりすると、HPが減ってしまう。HPがゼロになると、マップ上から消滅してしまう(次のミッションまで使用不可)。強力なフォースだが、使いどころが難しくなっていると言えそうだ。
■ PSPとの相性は良好、読み込み時間も気にならない? 「R-TYPE TACTICS」とPSPというプラットフォームの相性だが、プレイ前はシミュレーションということもあり、読み込み速度の問題などから心配していたところ、これが心配したほど問題はなく、むしろ相性としては良い方に感じている。
戦闘画面は、攻撃の射出から着弾までが演出される。最近は過剰に凝った結果、読み込み時間も余計にかかり、なおかつ冗長に感じてしまう演出が目立つなか、短時間で見せたい部分を見せてくれる。チャージ武器の攻撃時などは、かなり格好良く、戦闘結果も含めた爽快感を演出してくれるだろう。この画面をいろいろ見たいがために、いろいろな機体を出撃させてみたくなるほどだ。 また、ミッションマップの大きさは、それほど大きく感じることはなく、PSPの画面で把握できるレベルだ。これはユニットの移動速度や索敵範囲、マップ上の障害物の配置も含めてバランスがとれていると言えるだろう。 じっくり腰を落ち着けて1マップをプレイというより、ちょっとした時間にレジューム機能を使いながら徐々に進めていく、そんなPSP的な遊び方が合っていそうだ。
■ シリーズ作の新ジャンル開拓は成功? 地球側としてのミッションは全部で30と、そこそこのボリュームがある。しかし、ユニットの移動速度が全般的に速くないことや、バイド側に自己修復機能を持つユニットが多いこと、その上でチャージ武器の強力さもあって、戦略の組み立てがどうしてもチャージ武器主体になりがちだ。プレーヤー側で、いろいろな機体を使ってみたい、高いスコアでミッションをクリアしたいなど、それぞれ目標を持たないと、ちょっと詰まるとプレイに対するモチベーションが下がりやすくなるので注意したい。 ただ、地球側で30のミッションをクリアした後は、バイド側での27のミッションが待っている。すでに経験しているミッションマップでも、バイド側のユニットは地球側のユニットよりもクセが強いので、地球軍の時と同じようにプレイしていたのでは攻略できないだろう。この点も含めてじっくり楽しめるゲームということは間違いない。「R-TYPE」シリーズの新たなジャンル開拓は、ひとつの成果を収めたと言えそうだ。 とはいえ、どんなに「R-TYPE TACTICS」がおもしろくても、個人的にはPSPの横画面で「R-TYPE」シリーズのシューティング最新作を遊んでみたい気もする。それまではゲームアーカイブスの「R-TYPE DELTA」をダウンロードして、久々に遊んでみようと思う。 (C)2007 IREM SOFTWARE ENGINEERING INC. All rights reserved.
□アイレムソフトウェアエンジニアリングのホームページ (2007年10月17日) [Reported by 梶原製作所]
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