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China Digital Entertainment Expo 2007現地レポート番外編

上海新世界世嘉遊芸有限公司 総経理代理 青山茂樹氏インタビュー
「三国志大戦」が大人気。「物価水準を飛び越えてのニーズがある」

7月収録

会場:プレイヤーズアリーナ

 セガが中国で展開するアミューズメントスポット「プレイヤーズアリーナ」は、極めて戦略的なビジネスだ。店舗そのものを中国市場開拓ミッションのひとつと捉え、将来の大規模展開に備えてあらゆる側面から中国市場に関するリサーチを続けている。

 素人目で見ると、日本より高いコストで機材を仕入れ、日本より安い値段で展開する、このひとつ取ってみても、いかに人件費が安かろうとビジネスとして成立するはずがないと思える。しかも、中国市場のライバルは、続々と日本からアーケード筐体を並行輸入し、1プレイ5角(8円)から1元(16円)という信じがたい値段で遊ばせて客を集め、24時間営業で回転率を高めたり、賭博ゲームで客単価の桁を跳ね上げるなど、なりふり構わないビジネスを展開している。展開そのものが認められていないコンシューマゲームに比べればビジネスができるだけマシだが、認められたところで一筋縄ではいかないのが中国市場の特殊性といえるだろう。

 それでもセガがプレイヤーズアリーナの運営を継続しているのは、市場として大きな有望性を感じているためであり、今年見た限りでは、無料開放や価格の値下げ、ボーナスポイントの付与など、中国ユーザーの嗜好にマッチした改善を行ない、本業であるオペレーション部分ではしっかり黒字化を果たそうという意欲が感じられた。今回は、運営2年目を迎えたプレイヤーズアリーナの現状と今後の展開について、上海新世界世嘉遊芸有限公司 総経理代理 青山茂樹氏に話を伺った。


■ 運営2年目を迎えたプレイヤーズアリーナ。運営1年目はどうだったのか?

上海新世界世嘉遊芸有限公司 総経理代理を務める青山茂樹氏
青山氏に見せて貰ったプレイヤーズアリーナグッズ。イベント等で無料チケットを配布すると、日本より断然高い回収率を示すという
編: 2006年5月の運営から1年が経過し、2年目に突入しましたが、この1年間の変化を教えてください。

青山氏: 大きな部分では顧客の認知が拡大し、一定の成果が出てきていると考えています。元々入場料制のクローズドな空間での営業を考えていましたが、顧客の動向を見ているとむしろ開放して遊びやすくしていく方が、中国市場を作っていく上で重要だと判断し、入場無料に切り替えました。これからも市場の状況を見ながら、柔軟に対応していきたいです。

編: 失敗したことはどういったことがありますか。

青山氏: 当初の事業のイメージでは、閉鎖的な空間を考えてしまったので、レイアウトの変更がやりにくい状況になってしまったことがあげられますね。それからこれは失敗ではありませんが、中国の方が最初に受けた印象で高いと思われたことがあったようです。適正化の流れの中の一段階として価格改定も行なっています。

編: 入場無料ということですが、1日平均の来場者数はどれぐらいですか。

青山氏: 平日で1,000人~1,500人、土日祝日で5,000人~6,000人です。今までで最高が、6月1日のこどもの日に記録した12,000人です。中国のこどもの日は、日本の5月5日とは少しニュアンスが違って、お誕生日のような感じでお父さんやお母さんが子供にプレゼントを買ってあげるような日です。入居している新世界はデパートですからその点で強くて、おもちゃを買った後、プレイヤーズアリーナで遊んでいただくという流れが作れました。

編: 日々の来場者のうち、新規ユーザーは何割くらいなのでしょうか。

青山氏: 大体5割から6割くらいです。難しい捉え方ですが、リピーター層を強める方がいいのか、新しいお客さんの認知が減っていないのかと捉えるかです。

編: プレイヤーズアリーナカードはこれまで何枚ほど出ているのでしょうか。

青山氏: 購入時にデポジットを入れており、回収もしていますので実数ではありませんが、今年5月までのユーザー数は1年間の累計で約100万人といったところです。120万人が目標でしたので若干少ないですね。

編: 客単価はどのくらいと見ていますか。

青山氏: 入場無料ですので、正確な数字はわかりませんが、カードベースで見て、だいたい80元(約1,280円)~90元(約1,440円)くらいを2人くらいで使っているので、あえて表現するならその半分の40元(約640円)~50元(約720円)程度だと思います。

編: 2人で使うというのは、友達間で使いまわすような感覚でしょうか。

青山氏: そうですね。まとめてポイントを購入するとボーナスポイントがつきます。我々はカード1枚あたりどのくらいチャージしてもらえるかというところを指標にしています。

編: 1年間運営してみて、中国ユーザーにどのような傾向の違いを感じられましたか。

青山氏: 物の価値というか、面白さの見極めが正直ですね。たとえばムシキングは、導入して1年間経ちますが、10台から14台に増え、下げ止まることなく確実に集客できています。

編: 中国でウケのいいコンテンツはどういったジャンルのものでしょうか。

青山氏: 以前からですが、1つはわかりやすいものです。ガンシューティングやレースゲームなどの体感系です。セガであれば「頭文字D 4」が入ったばかりです。

編: 売り上げのほうはいかがでしょうか。

青山氏: だいたい昨年の160%~170%くらいで推移しています。元々クローズドにしていたこともありますが、顧客の動向という点でも色々と敷居を低くし、プレイ単価を少しずつ下げています。「アウトラン スペシャル」は7元を5元にしています。そうした結果、利用の回転の方が上回っています。

編: プレイヤーズアリーナオリジナルコンテンツの「SEGA FORMULA RACER」などの大型筐体も価格を下げたのでしょうか。

青山氏: 1年前に40元でやっていたものを30元に下げました。

編: 実際下げることにより利用者数は増えたのでしょうか。

青山氏: 増えました。あとはアトラクションの利用促進として販売の設定として回数割引を導入したり、パスポートを用意したりですとか、カードプラスアルファの売り上げですね。あとカードの販売メニューも100元と50元に増やしましたし、クリスマスにはスペシャルカードも2,000枚限定で販売したりしました。日本では明快なことが歓迎されますが、中国の場合は飲食店でもそうですが、多数のメニューから選ぶという嗜好も重要なところなのかなと思います。

編: このクリスマスバージョンのプレイヤーズアリーナカードは、クオリティが高くて欲しくなりますね。

青山氏: そうですね。働いている社員が欲しがって、自分でも持っています(笑)。これについてはスタッフがトライアルでやってみたいということで作りました。2,000枚作りましたが、あっという間に完売しました。


■ 中国アーケード市場の部分的規制緩和に伴う変化について

申請をクリアすればビデオゲームの導入は可能という青山氏。中国アーケード市場を取り巻く環境はここ1年でずいぶん変わった
上海大手ゲームセンターのひとつ烈火には、100台以上のビデオゲームが設置されている
編: プレイヤーズアリーナは、元々遊戯施設ではなく体育的施設として認可を受けたと伺っています。アーケードゲームに関しては許可が下りないということでしたが、今年は一気に増えて雰囲気が変わりましたね。

青山氏: 元々健康的な施設ということで、遊園地的な施設として認可いただいています。その中のテーマとして体育をコンセプトとして入ってきました。

編: 今後はジョイポリスと同じように最新のアーケードゲームをどんどん置いていくと?

青山氏: まだビデオゲームは置いていません。ビデオゲームが置けないというのはファジーなルールに基づく自主規制的な部分ですが、ビデオゲームを置くためには遊戯施設としての別途の申請ルールがありますので、それをクリアすればそういった機械の導入はできます。

編: 2006年の9月に北京や上海など大都市を対象に、アーケード施設の部分的な規制の開放が行なわれたと聞いています。

青山氏: 我々もそのように聞いています。ただ、法律で明文化されているようなものではないので、我々として特に意識はしていないです。娯楽場所管理条例といういわゆる日本の風営法のような条例の部分なのですが、そこについて色々な見直しを行ないましょうということで、そのニュアンスの中に前向きなものを感じられるという程度のものです。我々は日本の企業ですので法律の部分をきっちり守った上で考えていくところです。

編: 中国ユーザーの動向では、いわゆるオタク的な文化が徐々に浸透しつつあります。そうした部分のキャッチアップは行なっていないのでしょうか。

青山氏: プレイヤーズアリーナは、広い意味での「エンターテインメントレジャー」を考えていましたが、ここに来てよりセガとしてのアミューズメントを意識して、「三国志大戦」や「WCCF」であるとか「ラブ and ベリー」などゲームを好きな層に対してのニーズにも応えられるような導入を行なっています。

編: 市内を歩きましたが、日本の最新のアーケードゲームを集めたゲームセンターがいくつもできていましたが、これについてはどのように見ていますか。

青山氏: 上海の人が日本のアーケードゲームに触れる機会が増えるのはいいことではないかと思います。

編: プレイヤーズアリーナとしては、これらの存在を援軍と捉えるのでしょうか。ライバルと捉えるのでしょうか。

青山氏: 我々の将来の展開も含めて前向きに捉えたいと思いますが、中国はいまだ開放的な市場ではありません。プレイヤーズアリーナでは、許認可に基づいた上で、新しい機械を施設内に展開することが可能なので、まったく同じ土俵ではないのですが、市場を牽引していく責務があるのかなと思います。ショールーム的な意味合いも含めて積極的に新製品をいち早く導入していきたいと思います。

編: ということは、採算を度外視したビジネスになるのでしょうか。

青山氏: というわけではありませんが、採算を取ることだけが唯一のビジネスではないと考えて本社に対しても訴えていきたいと思います。というのも、日本と中国では経済格差もありますので、日本の機械を入れれば税金や輸送のお金がかかります。さらに、日本と同じプレイ単価で機械を展開できるかといえばできませんし、価格設定も日本の半分から3分の1というのが現状です。それでも日本以上の回転が見込める実績が出てきていますので、セガとしてもコストを下げた市場展開を考えていきます。今後本社に対して「こういった機械を作りましょうよ」といった提案ができればなと思います。

編: 先ほどショーケースと仰っていましたが、たとえば、上海でゲームセンターを開こうという事業者さんが来て、「この『三国志大戦』をウチにも入れたいんだけど?」という依頼があった場合はどうするのでしょう?

青山氏: ここはあくまで施設になりますので、いまのところ中国の法律によって日本の販売担当にまわしています。法律あっての中国事業ですので、そのお店に入れられるかどうかは我々ではなく本社側の判断になります。

編: それでは仕入れの窓口を務めるような、事業形態の変化というのはないのですね。

青山氏: まったく考えておりません。

編: 昨年に比べると施設が充実しましたが、メンテナンスはどのように行なっているのでしょうか。

青山氏: 日本のジョイポリスに近い形で対応しています。日本人のメンテナンスの管理職が2名常駐しており、安全管理を行なっています。中国では法定点検は1回だけなのですが、セガにはより厳しい安全基準が設定されていますので、日本からそういうメンテナンスの部隊も入って、日本とまったく同じ管理体制でチェックが行なわれています。

編: 大きなトラブルは発生していないのですか?

青山氏: 機械的な部分では起こっておりませんが、難しいのはパーツの補充ですね。パーツの交換が必要になったからといって、「はい、そこにあるよ」とはいえないのでどうしても時間やコストがかかってしまうことがあります。パーツに関しては、セガとしての課題だと思います。

編: 中国のユーザーはアミューズメント施設に慣れていない部分があって、勝手がわからず荒っぽい扱いをするという話を聞いたこともありますが。

青山氏: 我々も当初そのような懸念があり、入場料制等の対応をしていたのですが、実際には治安もいいですし、マナーという意味でもどんどん変わってきています。例えば横断歩道ですとか、白線から出るとすぐにピピピピと交通整理を行なっていますし、モラル的な部分も変わってきたと感じます。


■ 7月5日に稼働を開始した「三国志大戦」。ユーザーの反応は上々

「三国志大戦」に確かな手応えを感じているという青山氏。日本円の感覚でいうと1プレイ1,000円でどんどん遊ばれている。確かにこれは凄いことだ
「三国志大戦」は、ゲームをレクチャーできるスタッフが常駐している。出てきたカードに対して、スタッフと談笑を繰り広げるシーンも見られた
編: 人気を集めていた「三国志大戦」についてですが、ポイントをたっぷり購入してじっくり遊ぼうというユーザーの姿が目立ちました。すでに一定のファンがついたことを伺わせますが、ファンに対するイベントは行なっていないのでしょうか?

青山氏: まさに直近の課題ですね。現在、プレイヤーズアリーナを会場にした大会を企画しています。今まではライトユーザーを取り囲むところから、コア層を引き上げていくために「WCCF」や「三国志大戦」を導入しました。こうした中国に無い筐体で大会を行なっていったりだとか、コアな層のニーズに応えていくのが今後の課題になると思います。

編: 「三国志大戦」は中国史をモチーフにしたゲームですし、大会は相当盛り上がりそうですね。

青山氏: 「三国志大戦」は期待できますね。「三国志大戦」についてはコア層によるインターネットのBBSによる書き込みやサークルで、DS版との繋がりはわからないのですが、設置している段階で写真を撮りに来る人がいて、写真を撮っているので注意したんですが、しっかり「入るぞ」と写真付きでブログにアップされていましたね(笑)。「みんなで遊びに行こう」と話題になって、7月5日の夕方以降に稼動してからは、土曜にはグループで遊びにきていただきました。

編: もともと注目度が高かったのですね。

青山氏: 非常に高いですね。敷居の高い日本語での提供となるなど、我々としては不安な部分があったのですが、今はむしろ設置台数を増やすことも考えなければいけないと感じています。

編: 中国のユーザーさんは日本語の壁を感じていないのでしょうか?

青山氏: そこは微妙なところですが、新世界百貨店と情報交換をする限りでは、今20代30代の方は、日頃から日本のゲームをプレイして日本語に慣れているということですので、あまり壁は感じていないようです。それだけゲームに慣れた層を対象にしているわけですので、今後ゲームを本当に中国で本格的に考えていったときに、当然そこらへんを意識しなければ障害になってくると思います。

編: ちなみにカードはどうやって仕入れているのですか?

青山氏: 日本から日本語版を取り寄せています。現時点では日本語版での展開となります。

編: 大きな盛り上がりを見せた場合は、別途中文版を検討していくと?

青山氏: それはこれからの話ですね。我々の使命としては中国のユーザーの反応を見ることです。その反応を我々が捉え、ビジネスに活かしていくかということです。そこで反応がよければ、日本のセガに対してこういう状態なのでこういう風に考えられないだろうかという連携をとっていくことになるでしょうね。

編: 青山さんとしてはどのような期待をされていますか。

青山氏: 現在はまだ日本語版の状態ですので、中国語バージョンができて、中国語版の機械生産がセガとしてできるようになれば嬉しいですね。

 中国では「三国志大戦」に限らず、ゲーム全体に対する反応が日本ではありえないようなスピードで返ってきます。当然単価が安いので、売り上げは低いのですが、中国全体で個人の経済レベルが日本の20分の1といわれている中で、上海は7分の1といわれています。その7分の1に対して3分の1から2分の1の価格設定をしていて、予想を上回る回転を得られるということは、それを飛び越えてのニーズがあるということです。

 今後は、事業者やユーザーに対して遊びやすい価格で出し、さらにセガとしての利益も出すことを考えていかなければいけないはずです。我々は先陣部隊ですので中国はこういった状況ですということと、今後こういうことが必要ですということを提案できたらいいなと思っています。

編: 2年前中国を訪れた時は1元が13円くらいでしたが、今は16円ほどになっており、まだまだ上がりそうな気配があります。こうした通貨の勢いは、プレイヤーズアリーナのビジネスにどのような影響をもたらしていますか?

青山氏: どうでしょうね。実際の生活ではわからない部分です。実際問題遊んでいる方には関係ないのかなと思います。多少の割高感はあっても、それを超えて需要があるというのは確かですね。適性ラインを探った1年間でした。


■ ビデオゲームや最新メダルゲームの導入はありえるのか?

青山氏は、ビデオゲームの納入には慎重な構えを見せる。やはり露骨にゲーム機であることが懸念材料のようだ
このビルの最上階にある阜康遊技場も大きかった。レンタル限定筐体の「バーチャファイター5」を除いて、セガの最新ビデオゲームはほとんどあった
編: 機材についてですが、「バーチャファイター5」などのビデオゲームの導入についてはどのように考えていますか。

青山氏: ビデオゲームについてはまだ考えているところで、場合によっては遊戯場というライセンスを一部取って規定に基づいて展開していくことも可能性としてはあります。考えてはいますけれども、今のところいつからとは考えていません。

編: というと、今の免許ではビデオゲームは置けないということですか?

青山氏: ライセンスを取れば認められます。ただそれが新規出店となると別の問題になります。中国では、まず“ゲームセンター”という表現が難しいので、セガとして遊戯に特化した店舗の出店には慎重に対応する方針です。今ある中で、どれを抽出したものが一番いい施設になるのかということを提案していくことになると思います。

編: 現在日本では、オンラインに対応したアミューズメントマシンが主流になりつつありますが。

青山氏: オンライン対応のゲームは将来的にはやりたいなと思うのですが、コストの部分もありますので、まずは店内での対戦で様子を見たいです。日本でもインフラを整備するのにいろいろな問題がありましたので、中国ではまだその段階ではないのかなと思います。

編: ただ、全体の流れとしてアーケードゲームの開発がオンラインにシフトしてきており、中国展開の難しさを感じることが増えているのではないですか。

青山氏: 正直そうですね。たとえば、当店に設置している「頭文字D 4」は海外版ですが、店内対戦用に作られていますので、直面している問題はありませんが、日本の仕様は、どうしてもサーバーの問題があります。ですから現在は、海外仕様ができたときに、いちはやく導入してやっていきましょうという形を取っています。ただ、当然、今後もオンラインに関しては課題として検討を続ける必要はあります。

編: 現在、完全に中文化を行なっているマシンは何がありますか。

青山氏: 「ムシキング」と「ラブ and ベリー」です。それから大型アトラクションの「SEGA FORMULA RACER」などはここのために新規に作ったものですので中文化しております。

編: セガのオンラインショッピングサイト「セガダイレクト」では、フィギュア等のキャラクタグッズが好評ですが、そのあたりの展開はいかがですか。

青山氏: 輸入のコストやライセンスもありますので、商品として中国に入れているのは景品だけですね。セガはディズニープライズの中国販売のライセンスを持っていますので、日本からディズニープライズをUFOキャッチャーに入れたりということはしています。しかし、それ以外はコスト高になってしまいますので入れていませんね。

編: 動漫城に行くと日本からわざわざ輸入したフィギュアがたくさん売られていたりしますが、プレイヤーズアリーナでセガのキャラクタグッズを売っていく流れにはなりにくいと。

青山氏: はい。ここはそういった拠点ではないです。オペレーションの部分での展開になりますのでそういった展開は、別途本社が中国展開を考えたときに我々の意見が述べられればなと。

編: リデンプションマシンの人気の高さにも驚きました。圧倒的なニーズですね。

青山氏: 圧倒的というところまではいきませんが、非常にわかりやすいですよね。街にも普通にあるものですので、我々としてはここのリデンプションマシンの品揃えを上海1番のものにしたいという考え方でやってきています。

編: 現状ですと中国産の比較的古いメダルゲームが中心ですが、日本の最新のメダルゲームの導入についてはいかがでしょうか。

青山氏: 今後、導入を考えていけたらなとは思います。認可の際に機械ごとにシールをいただくのですが、あれだけ大きな機械ともなると事前調整も必要になってきますので、慎重に考えていきたいところです。

編: 市内ではアーケードゲームに対する規制が緩和されたこともあり、スロットマシンを使った賭博行為が増えてきた印象を受けました。

青山氏: 我々も懸念しているところです。我々の施設としてはアミューズメントの将来に向けて健全性を主張していきたいと思います。市内にあるからおこうというわけではありません。新しい機械を導入するに対しても、関連役所の方に事前に打診をして了承を貰って入れているのが現在の状況です。


■ 目標は「上海一のアミューズメントスポット」。プレイヤーズアリーナの今後の展開について

本社に中国市場の現状を訴えかけていきたいと話す青山氏。セガの中国展開が今後どのように進展するか楽しみなところだ
編: 上海駐在の日本人の数は、世界的に見てもかなり多いと聞いています。今回、何人か日本人らしきユーザーを見かけましたが、プレイヤーズアリーナが上海駐在の日本人の憩いの場になっていることもあるのでしょうか?

青山氏: 憩いの場というよりは、こちらに赴任してきた家族の小さなお子様のために「ムシキング」をやりにきたりする程度ですね。「日本のカードを持ってきて使えますか」だとか、「ラブ and ベリーは入らないのですか」とか、特にお母さまからお声がけいただくことはあります。

編: 上海駐在の日本人もビジネスとしてある程度は視野に入れているのでしょうか。

青山氏: 全体としてはもちろん少ないですが、「ムシキング」が入ってから確実に数が増えました。今後も「三国志大戦」や「WCCF」の導入で、日本からの留学生など、日本で見知っている人たちが増えてくるのではないかなと思います。我々としても日本の赴任者が購読する地域情報誌への告知なども機械の導入と合わせて強化していこうと思います。

編: プレイヤーズアリーナの今後の目標を聞かせてください。

青山氏: 随時、改装を行なって、色々なタイプのアミューズメントを遊んでいただける施設にしていきたいと思います。アミューズメントを中国の人に親しんでいただくための、最初の場であり象徴の場にしていきたいと思います。その中で新しい機械などを中国にPRできる施設になれればいいなと思いますね。

編: 第2、第3の店舗展開は考えていないのでしょうか。

青山氏: 法律の壁もありますので、まずはこのお店でしっかりと中国市場を捉えた上でどんな店をやれば一番いいのか検証していきたいなと思います。まずはこの店舗をうまく展開することが目標です。

編: プレイヤーズアリーナの中に、コンシューマゲームやPCオンラインゲームを展開されることは考えていないのでしょうか。

青山氏: 今のところ考えていません。パソコンやネットゲームとタイアップ的にイベントで使ったりすることで相乗効果があるようなら考えていきたいですが、うちのコンテンツとして戦略的に入れることは考えていません。

編: プレイヤーズアリーナのオリジナルコンテンツについては今後いかがでしょうか。

青山氏: スペースの問題もありますし、投資要素が高いところでもありますので、新たに企画開発して導入するという予定はありません。オリジナルコンテンツは、最初この施設の存在意義や差別化という意味で導入しましたが、今後はあそこまで大型のものより、日本では中型小型と呼ばれるアトラクションを導入していって、他のゲームのお店に無いような、「House of the Dead Special」といったクラスのものの導入を検討していこうと思います。あとはさらに筐体のバリエーションを増やして来たお客さんの選択肢を増やしていきたいです。

編: 今後は、日本の展開に合わせて同時展開を目標にしていくと?

青山氏: できることならそこまでしたいなと思いますが、物理的な制約があるので、同時とまでは行かないと思いますね。

編: たとえば、日本では「三国志大戦2」が稼働していますが、こうした最新バージョンを今後どんどん入れていくと考えていいのでしょうか。

青山氏: 前向きに考えていきたいですし、我々としてもそれを目指しています。「2」以降の展開になるとオンライン化は進んでいくでしょうし、このバージョンで十分実績を積んで中国語版ができれば、現場の意見としてはより中国のお客さんに親しんでいただける機械として本社にアピールできればいいなと思います。

編: 来年5月で丸2年を迎えることになりますが、来年はどういった姿になりますか。

青山氏: この1年間は非常に動きが大きかったですからね(笑)。常にお客さんの動向を見ながらカーニバルゲームを入れましょうだとか、中国で人気のあるゲームを追加しましょう、そこにセガの新しいゲームを入れましょうと。上海の代表的なアミューズメントスポットとして認識されて、セガのお店やキャラクタを通じてブランドを構築していく礎となれればいいかなと。

編: 上海一のアミューズメントスポットとなっているだろうと?

青山氏: それは常に我々が掲げている目標です。それで終わりというものではないかなと思います。特に新しいゲームをいち早く導入することを考えています。

編: 中国のユーザーと上海に訪れる日本のゲームファンに一言お願いします。

青山氏: まず中国のユーザーさんに対しては、消費水準が上がってきて、若者は普通に携帯電話を持ってマクドナルドを食べる状況になっていますが、まだまだ遊びの場所が少ないです。遊びの選択肢の1つとして家族であったり、デートであったり、友達同士であったり休みだからここにいこうと。より目的を持ってプレイヤーズアリーナに行きたいと思われる場所にしていきたいと思います。

 日本の方々に対しては、日本やアメリカなどと比べると、やはり中国は遊びが少ないので、旅行者や海外から来た上海赴任者にもぜひ遊んでいただきたいと。特にセガファンの方には、「SEGA FORMULA RACER」や「ヘキサスロン」はここにしかないオリジナルのアトラクションになりますので、そういったものを体験しにきていただけたらなと思います。

編: ありがとうございました。

□セガのホームページ
http://sega.jp/
□関連情報
【2006年8月7日】新世界世嘉遊芸、「プレイヤーズアリーナ」体験レポート
セガが上海で展開する大型アミューズメントスポットに密着
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20060730/china_03.htm
【2006年8月7日】新世界世嘉遊芸有限公司 総経理 川原崎浩嗣氏インタビュー
プレイヤーズアリーナの戦略と中国アーケード市場の今後の展望とは?
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20060807/segapa.htm
【7月31日】「China Digital Entertainment Expo 2007」記事リンク集
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20070715/cdeelink.htm

(2007年7月27日)

[Reported by 中村聖司]



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