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China Digital Entertainment Expo 2007現地レポート

上海ゲームショップ特別レポート 完全保存版
人気ハードはPSP。海賊版の常態化でソフトビジネスは壊滅状態

7月12~15日開催

会場:Shanghai New International Expo Center

入場料:50元(約800円)

 アジアのコンシューマゲーム事情を探ろうと思ったら、ゲームショップを見て回るのが一番手っ取り早い方法だ。ところがこの中国では、よく知られているように海賊版が横行し、かつコンシューマゲームの販売が法的に認められていないため、表向きゲームショップが存在しないことになっている。

 そこで今回は、2007年2月のTaipei Game Showレポートでご好評頂いた台湾ゲームショップ特別レポート 完全保存版と同じノリで、ゲームと親和性の高いショップが入居する動漫城と電脳街に狙いを付けて上海各地を巡ってみた。

 なお、念のため述べておくと、このレポートの目的は、中国上海におけるゲーム市場の実態調査であって、上海旅行者に対して便宜を図るものではない。海賊版の購入、国内への持ち込みは法で禁止されているので、利用しないように注意してもらいたい。中国では海賊版が、市民はおろか観光客にもあまりにもありふれた存在であったため、念を押させていただいた次第である。


■ 中国のオタクの拠点“動漫城”。並行輸入版、海賊版、中古版まであらゆるものが揃う

動漫城の元祖的存在である「眩動楽百動漫城」。現在は動漫城の看板は外され、改装が進められている
1階には新しいゲームショップがオープンしていた
 まずは、アニメ、漫画、キャラクタグッズ、ゲームグッズ等を扱う動漫城から攻めてみた。動漫城は、アニメデパートといった意味だが、中身は秋葉原に点在しているようないわゆるオタクショップだ。上海在住のアニメファンに話を聞く限りでは、ここ数年、上海に増えてきたという話だが、「どれもズレてて全然ダメ」という。

 今回「眩動楽百動漫城」と「上海動漫城」と「都市風情街」の3箇所を周ったが、確かにアキバ系のオタクショップと、街のホビーショップとデパートの玩具コーナーを足して4で割って薄めたような、たとえば人形だったら精巧な美少女フィギュアから、欧米にあるようなドールやリアル系のゲームフィギュア、ケロロ軍曹の等身大人形、キティちゃんといった具合で、焦点の定まらない品揃えが印象的だった。特定のテナントショップレベルでは、経営者の趣味が爆発したようなもの凄い品揃えの店もあるが、全体としてはオタク文化をカバーするまでには至っていない。このあたりのキャッチアップは、台湾のほうがうまいという印象だ。

 さて、「眩動楽百動漫城」は、昨年も訪れた2年以上の歴史を持つ動漫城だ。現在は、不人気のためか、それとも取り締まりがあったためか、改装中のエリアが目立ったが、1階には新しいゲームショップができていた。ショップ名はTG BUS。上海に5店、中国全土に20店舗もの支店を持つゲームショップチェーンだ。

 正規のゲームショップであるにもかかわらず、ゲームソフトがほとんどないのが中国らしいが、ハードウェアの品揃えは充実していた。日本や欧米から持ち込んだ並行輸入品がメインで、一部はiQue DS Liteのような正規品も置かれている。また、中国で企画生産されたWii用の充電機や、冷却用の送風機、レースゲーム用のハンドルなども置かれていたが、プラットフォーマーの許諾を受けたオフィシャルグッズではなかった。

 ゲーム機は、Wii、PS3、PS2、PSP、ニンテンドーDS、ニンテンドーDS Lite、Xbox 360まで一通り揃っており、価格は競争の激しい電脳街と比べてさらに1~2割ほど高かった。たとえばWiiは、2,188元(約35,000円)、PSPは1,600元(約25,600円)と、値引き交渉前提の値付けだ。店頭ではWiiの体験コーナーも設けられ、並行品が多いとはいえ、まともなショップの部類に入るといっていいだろう。

 2階に上がると、ゲームを扱う小さなテナントショップがずらりと並び、その奥には、フィギュアやコスプレ、アニメなどを扱うショップが点在していた。この2階のゲームショップは、完全にイリーガルなアイテムばかりを取り扱っている。ダウングレードキット付きのPSPを筆頭に、チップを埋め込んだXbox 360やPS2、テーブルの上には、パッケージのジャケットをファイルしたクリアファイルがずらりと並ぶ。もはや隠されていないことに驚かされた。

 価格は、Xbox 360タイトルが10元(約160円)、PSPが8元(約128円)、PS2が5元(約80円)。「DSは?」と聞くと、500本入りのCD-ROMパッケージを取り出して見せてくれた。価格は40元(約640円)。常連になればさらに半額になるという。正規の価格からすればもはやタダのような値段で売られていることに大きな衝撃を受けた。

【TG BUS】
TG BUSは、日本人を警戒するショップが多い中(その理由は容易に想像できる)、こちらが拍子抜けするほど取材に協力的だった。品揃えが並行輸入品という点を除けば、ほぼ模範的なゲームショップ。中国でも正規のゲームショップを開こうという意志はあることが伺える

今年6月にオープンしたばかりの上海動漫城。上海の一等地にあり、子供でも入りやすい雰囲気だ
緑が広がる公園の地下に広がる都市風情街。ゲーム方面は弱いが、フィギュアやプラモデル、鉄道模型などマニアックなホビーショップが詰まっている
 お次は「上海動漫城」。こちらは6月に出来たばかりという新しい動漫城で、テナント形式ではなく、単一の企業が各階ごとにジャンルを分けて、さまざまな動漫グッズを扱っている。具体的には、1階はガチャガチャ、2階はガンプラ、サンリオ、レゴ、3階はキャラクタグッズ、ラジコン、漫画、アニメ、ゲーム、そして4階はキッズ向けのアトラクションコーナーといった具合だ。

 ゲームに関しては、PCゲームの正規パッケージがメインとなっていたが、その隣にさりげなく海賊版が並んでいた。こちらの海賊版は、紙製の簡易パッケージにビニール包装がなされた一見まともな外装で売られていたが、その内容は、PCゲームだけでなく、PS2やPSPなども扱われている。ただ、パッケージを裏返してよくよく見てみると、ゲームそのものではなく、ゲームのプロモーションムービーや壁紙といったものもあった。海賊版の海賊版のような見るも無惨な話である。価格は10元(約160円)から15元(約240円)。

 3カ所の「都市風情街」は、正確には動漫城ではなく、公園の地下に作られた小規模のテナントが密集した地下街である。名前からもなんとなく想像できるように、単なる地下街ではなく、'30年代の上海の港町の雰囲気を再現したオシャレな地下街となっている。地理的に観光客はまず通らないところにあるが、レトロな雰囲気が味わえて、むしろ観光客向きの地下街だ。

 内容的には、コスプレ、マニキュア、入れ墨、鉄道模型、ボーイズラブ系、おもちゃ、プラモデル、美少女フィギュア、ゲームとサブカルチャー系ならなんでもありといった感じで、テナントに入居しているオーナーの趣味が全開の地下街といった印象である。

 ゲームに関しては、日本語版の中古品を扱うお店が数店あったぐらいで、ゲームファンがわざわざ定期的に足を運ぶような類の地下街ではないようだ。ただ、フィギュアやプラモデルに関しては、買い付けのために定期的に日本を訪れているようなショップが数店有り、その筋のファンには行く価値があるのかもしれない。

【上海動漫城】
品揃えはまず間違いなく上海随一。ガンプラ、ラジコン、レゴ、ドール、アニメグッズ、ゲームグッズ、レゴ、ゲームソフト、漫画、アニメとなんでもかんでも集めている感じだ。ゲームに関しては、正規版と海賊版が混在している

【都市風情街】
レトロな雰囲気をただよわせた地下街「都市風情街」。ゲームに関しては日本から流れてきた中古品が少々といったところ。フィギュア、プラモデル、鉄道模型ならここが一番だ。もっとも人気が高かったショップはフィギュア専門店「模玩堂」だった


■ 海賊版がどこでも手に入る電脳街。「ゲーム機+ストレージメディア+海賊版」が基本セット

淮海路にある電脳城は「賽博数碼広場」。ビルが違うと扱っている商品の系統がまったく異なるので要注意だ
Wiiの上にPSPを積み上げてゲームの取り扱いをアピール。あまりにも右に倣えなので、何かの符号かと勘ぐってしまう
 さて、電脳街は、淮海路(ワイハイルー)と徐家匯(シージャーフェイ)の2カ所を訪れてみた。ちなみに、便宜上、電脳街と呼んでいるが、上海の場合、日本の秋葉原や台湾の光華商場、あるいは韓国のヨンサンのように街全体がIT系ショップというわけではなく、実際には大規模なデパート街のひとつがPC系ショップ専門になっているだけで、正確には電脳城と呼ぶ。その中に無数のテナントがひしめいているというイメージだ。韓国のテクノマートやシンガポールのフーナンセンターのような電脳ビルが、デパート街にドカンとあると表現すると伝わりやすいだろうか。

 淮海路にある電脳城は「賽博数碼広場」。ビルに入ると、VAIOやDell、Lenovo、Acer、BenQといったメーカーの正規店が目に飛び込んでくる。扱っているのはノートPCが中心。デスクトップPCは、3~4階に自作PCエリアで、イスに座って店員と膝詰めで自作PCを組むというスタイルが一般化しており、自作PCの誘いの声がかまびすしい。

 ゲームを扱っているショップは主に2階に集中していた。どの店も判を押したように店頭にWiiとPSPの箱が積み上げられ、ガラスケースの中には周辺機器、記憶メディアがずらりと並ぶ。ゲームプラットフォームはほぼすべて揃っており、人気ハードはダントツでPSP。そしてWii、ニンテンドーDS Lite、Xbox 360と続く。PS3はほとんど見ることができなかった。

 値札は一切付いていないため、見つけるたびに値段を聞いてみたところ、値段はPSPが1,250元(約20,000円)から1350元(約21,600円)、Wiiが1800元(約28,800円)から1900元(約30,400円)、ニンテンドーDS Liteが980元(約15,680円)から1150元(約18,400円)。流れが速いためか動漫城より1~2割程度安いが、それでも日本に比べるとずいぶん高い。

 特徴としてはやはりゲームソフトの扱いが極端に少ないことと、いくつかの店には、POS用と見せかけたノートPCが置かれ、購入者に対してゲームソフトのコピーサービスを行なっていたことだろう。1階にはデカデカと「海賊版を辞めよう」というスローガンが掲げられていたにも関わらず、やはりコピーは行なわれていた。

【淮海路】
淮海路にもゲームを専門に取り扱うショップは存在した。ユーザーは購入に際し、必ず箱を開け、状態をチェックしてから購入する。そこまではいいが、その後、クリアファイルを開いて、“中に入れる”ゲームを選んでいく。その一連のプロセスにためらいがないのが何より深刻なところだ

上海最大規模の電脳街「徐家匯」。海賊版はこのエリアがもっともひどい状況だった
地下鉄の構内からしてこの風景が各所に見られた。購入者のためにPSPに保護シールを貼る姿は健全だが、モニタに映し出されている風景が最悪である
 続いて足を運んだ徐家匯はもっとひどい有様だった。こちらは、太平洋数碼広場2期と百脳匯の2カ所の電脳城を周ったが、地下鉄駅構内のテナントショップからして、大勢の利用者がいるにも関わらず白昼堂々とコピーが行なわれていた。昨年訪れた際は、テーブルにコピー用のノートPCがあからさまにおかれているような光景は見られず、並行輸入の証拠を示す空の段ボールすら、日本人だとわかるといそいそと隠すような状況だったのに比べると、確実に昨年より状況が悪化している。

 徐家匯の電脳城は、淮海路よりゲーム機の品揃えがよく、PS3やXbox 360もよく見かけられた。PSPに関しては、ゲーム機というよりデジタルメディアプレーヤーの最高級製品というような位置づけでほとんどのショップで販売されていた。

 ガラステーブルの中にはストレージメディアがずらりと並び、奥にはテーブルが置かれ、その上にはエクスプローラが起動したノートPCが鎮座している。極端な例になると、ガラステーブルに海賊版を選ぶためのクリアファイルが無造作に置かれていることもあった。クリアファイルはPS2、PSP、Wii、Xbox 360と、PS3以外はすべて揃っていた。この街でゲームソフトビジネスが成立するはずがないことをまざまざと見せつけられた。

 アジアの海賊版というと、少なくとも2000年前半までは、駅前の路上で古びた木箱にギッシリ詰めたCD-ROMの束をゲリラ的に売っていたり、路地裏の一軒家風の建物の中や、店の奥の隠し扉の奥にこっそりあったりと、いかがわしさとワンセットの存在だった。しかし現在は、PCやネットワークと直に結びついたことで、皮肉なことに、より洗煉された形で、よりおおっぴらに海賊版が出回ってしまっている。

 深刻なのは、Xbox 360やWiiといった現行機もすでに海賊版が出回ってしまっていることだ。これらはやがて近隣諸国に広がり、日本や欧米といったメジャーな市場にも流れてくることは間違いない。現行機を展開するプラットフォーマーとしては極めて憂慮すべき事態だ。

 唯一の救いは、PS3が今のところ海賊版をシャットアウトしていることだが、これもPS3が本格的に普及してくれば保証の限りではない。海賊版を元から絶ちきるために、完全なデジタル流通化やアクティベーションシステムなどの導入も考えられるが、本来遊びの道具であるゲーム機にそうしたシステムは好ましくないだろう。やはり期待したいのは、正規ビジネスの本格参入による違法業者の駆逐である。実際、台湾ゲーム市場では、SCE Asiaが正式参入したことで目に見えて海賊版が激減した。中国でも近い将来、ゲームソフトウェアビジネスを成立させ、市場として大きく成長させるためにも、ドラスティックな変革を期待したいところだ。

【徐家匯】
徐家匯の状況は一言でいって最悪だ。海賊版がごくごく当たり前に取り扱われている。幼児が無邪気に遊ぶ新品のニンテンドーDS Liteのスロットには海賊版のカートリッジが刺さり、その隣では別の親子が「Wiiでやわらかあたま塾」を10元(約160円)で買っている。どこから是正していくべきなのか、めまいを覚えるような光景だ

□China Digital Entertainment Expoのホームページ
http://www.chinajoy.net/
□関連情報
【2007年2月12日】台湾ゲームショップ特別レポート 完全保存版
驚きの連続だった台湾コンシューマゲーム最新事情 http://game.watch.impress.co.jp/docs/20070212/tgs_shop.htm

(2007年7月16日)

[Reported by 中村聖司]



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