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任天堂、「Developer RoundTable」を開催
「Super Mario Galaxy」、「ゼルダの伝説 夢幻の砂時計」を解説

7月12日(現地時間) 開催

会場:Loews Santa Monica Beach Hotel

 任天堂株式会社は、現地時間の12日に、E3で恒例の「Developer RoundTable(開発者合同記者会見)」をメディア向けに開催した。北米での発売を控えるニンテンドーDS「The Legend of Zelda:Phantom Hourglass(ゼルダの伝説 夢幻の砂時計)」について、青沼英二氏が出席、昨年E3で公開されながらも今年のMedia Briefingでは触れられなかったWii「Super Mario Galaxy」について、宮本 茂氏がメディアの前に姿を見せ、実機による操作を交えて解説した。

■ 「全体的にとても理想的な開発ができた」DS『夢幻の砂時計』

「トワイライトプリンセス」、「夢幻の砂時計」と暖めてきたタイトルが発売を迎えたからか、すっきりした表情が印象的だった青沼氏
 「The Legend of Zelda:Phantom Hourglass」では、プロデューサーとして関わった青沼氏。日本ですでに発売されているが、「発売初週で売り切れが続出し、今も勢いは続いている。本作で特徴的なのは、『ゼルダ』初心者、とくに女性が買ってくれている。『ゼルダ』は今まで、発売週はコアユーザーが買ってくれていて勢いがあるが、その層にいきわたると販売面がなかなか伸びなかったが、今回は継続して売れている。これは、DSのインストールベース(販売数)が広い層に伸びていることはもちろん、重要なのは、遊んでくれている人たちが、コアユーザーも初心者も満足してくれているという結果が出ていること。少し前までは、この2つの層どちらにも満足させられる『ゼルダ』は無理だと思っていた」と、日本での手ごたえを一気に語ってくれた。

 今作はタッチペン1本での操作をメインに統一したことによって、今までの「ゼルダ」とは一味違うと思ったのは記者だけではあるまい。青沼氏は「『ゼルダ』はやはり難しい謎解きがわかったときの手ごたえこそ“『ゼルダ』っぽさ”だと思う。タッチペンの操作は『ゼルダ』の遊びを簡単にはしない。タッチペンで謎解きに集中できるようになった」とタッチペンの採用について述べた。

 また、「例えば海王の神殿。ここは時間制限があり、今までのシリーズとは遊び方がぜんぜん違う。これを作っている間、今までの『ゼルダ』を知っているスタッフほど“難しくて解けないよ”と言っていたが、ところが、初め遊ぶ人はサクサク解けていく。固定概念があると思うが、マニアも新鮮に感じてもらえると思う。Wi-Fiでのバトルゲームも同じ。テクニックを磨けば勝てるというものではない。相手の動きを読んで戦う心理戦のような遊びになっている」と、“新しい『ゼルダ』”ぶりをアピールした。

 それに加え、青沼氏は「ディレクターをはじめ、多くのスタッフのおかげ」と本作の制作陣に感謝の言葉を述べた。「彼らは『ゼルダ』を初めて作る人が多かった。多くの固定概念を覆したのは、DSの機能と若いスタッフの柔軟性によるところが大きかった。ディレクターは初めてディレクションを担当したが、以前からニンテンドーゲームキューブの『ゼルダの伝説 風のタクト』を分析し、その魅力を磨いて魅力を詰め込んでくれた。例えば『風のタクト』にもあった『サルページ』。これもDSの2画面で海の深さを表現できるので新たに作ったものの1つ。全体的にとても理想的な開発ができた」と今作のできばえには相当満足の様子だった。

 ここまでは、2007年のGDCでの青沼氏の講演と内容がかぶっていたが、注目の「ゼルダ」の今後についても少し(?)語られた。「ゼルダ」に関しては、今回の「夢幻の砂時計」の路線のほかにも、Wii/GCでの「トワイライトプリンセス」の路線もある分、次はどんなことを? ということで期待が高まったが、「どんなことをやろうか、いくつか暖めており、それを発表しようかと思っていたが、昨日宮本さんに『手ごたえを感じていないのに発表するのか』と怒られた(笑)。自分でアイデアを考え付いたとき、『これはすごい』と思うと言いたくなってしまうのだが、『トワイライトプリンセス』の時のこともあるので、自分で手ごたえを感じてからお話しようと思うので、もう少し時間をください」とした。そして、「『ゼルダ』以外のタイトルも、自分にとっての最大のテーマなのでぜひ挑戦したい」と語っていた青沼氏の姿が印象的だった。

■ 「『マリオ64』に近いぐらい関わっています」という「Super Mario Galaxy」

例年通り、メディアブリーフィングでもこのラウンドテーブルでも大活躍の宮本氏
 「今は『Wii Fit』とこれにべったりです」と話を切り出した宮本氏。「『Wii Fit』は3年間BMI値を記録している。作り手が何に興味を持っているかが大事なことで、それを続けていくこと、続けてきたことを眺めるのも楽しい。『Super Mario Galaxy』は、昔から『マリオ128」と読んでいて、やっと形になった重力のシステムがポイント」という。「重力のシステムはプレーヤーが意識しなくてもいいのですが、特にカメラは力を入れた。どんどん先にいけて、自分がどこにいるかわかるように、しかも酔わないようになりました。これはいろいろテストしてみた結果です」と「マリオ64」以来、「マリオサンシャイン」から引き続いて研究してきたノウハウに自信を見せた。

 また、「初めてプレイする人にもちゃんと遊んでもらえるように「Galaxy」にはアシストモードを用意している。『マリオ64』と同じく、すべてのスターを集めなくてもゴールできる。6つのギャラクシーで全部で120以上の星があるが、クリアするだけなら半分も取ればOK。ブルースターでの操作感が快適で、アシスト時はWiiリモコンで直接助けてあげることもできるし、逆に邪魔することもできる(笑)」と、幅広い層に向けての作りこみの一端を紹介してくれた。難易度については「今、どんどん難しくしているところなんですよ」と語っていた。これは「スターを集めようと思っている人には手ごたえを」ということのようで、かといって無茶な難易度ではなく、やり直してうまくなればクリアできるちょうどいいところに追い込んでいくということだ。

 「今回、ゲームデザインを中心に関わっています。開発は『ドンキーコンガ ジャングルビート』に携わっていたスタッフが中心で、東京がメインなんですが、出張が増えました。『マリオ64』に近いぐらい関わっています。まだ作っている最中で、ボス戦(?)のあたりも、今作っているところですが、新しい仕組みのアイデアもどんどん出てきてます。どれだけそのアイデアを入れ込めるのか、使いきれるかはわかりませんが」と、開発も順調のようだ。「『マリオ』というゲームはユーザーの皆さんが自分だけの技を見つけていったり、仕掛けを発見する楽しみがあると思うんですが、今回はもうデバッグしきれないところもあって、ぜひいろんな技を見つけて欲しい」と言っていたが、逆をいえばこれこそ開発陣の懐の広さというか、余裕を感じる発言だった。

公開されたハチマリオのスクリーンショット
 今回、マリオは「ハチマリオ」に変身することが明らかにされた。そのふわふわした体毛の部分は宮本氏も「お気に入り」といっていたが、他の次世代機ではやらなくなったいわゆるファーシェーダーを使っている。また、ライティングも綺麗で、「これならSD解像度でもまだいける」といえるだけの絵作りはできているようだ。

 また、「Wii Fit」と一緒に公開された「Wii バランスボード(仮)」に関しては、「サードパーティの方々にも使って欲しい。スノーボードゲームなどにも使えると思う。これは大学病院など医療関係方面からも興味を持たれている」と言っていた。「Wii Fit」は「健康」をキーワードに持ってくるあたりがさすがというところなのだが、「Wii バランスボード」の今後の使われ方も興味深い。

□任天堂のホームページ
http://www.nintendo.co.jp/
□関連情報
「E3 Media and Business Summit」記事リンク集
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20070712/e3link.htm

(2007年7月15日)

[Reported by 佐伯憲司]



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