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会場:Shanghai New International Expo Center
入場料:50元(約800円)
■ ゲームコンソール「EZ STATION」は撤退、再びオンラインゲームパブリッシャーの道へ
ただ、昨年まで、盛大は独自のゲームプラットフォームの展開に注力していた。2005年のChinaJoyで「SHANDA STATION」という名で正式発表し、2006年には「EZ」シリーズとして実機が公開された。弊誌でも本社取材の際に体験レポートとして取り上げたことを記憶している方もいるだろう。 「EZ」シリーズは、テレビ用のリモコン大の無線コントローラをインターフェイスに、家庭用のテレビで、ゲーム、映像など各種デジタルコンテンツが楽しめるゲームプラットフォームとして設計された。ハードウェアは完全にWindows PCで、DVDレコーダーのような外観をした「EZ STATION」、その小型版「EZ CUBE」、PCに接続する「EZ POD」の3種類の発売が予定されていた。 ところが実際に発売されたのは「EZ POD」のみで、残るゲームコンソールのほうは無期延期状態となった。このプロジェクトの失敗で、盛大の勢いは大きく後退するものと見られたが、中国最大手のポジションを維持し続けた。さすがに最大規模のユーザーを抱える最古参のメーカーと言うべきだろうか。 現在は、「Legend of Mir」シリーズを柱とした2DベースのMMORPGタイトルのほか、「カートライダー」や「BnB」など、韓国NEXONのカジュアルオンラインゲームを新たな柱として据え、豊富な資金力を活かした自社タイトルの開発や子会社Actozの新作タイトルのパブリッシング、そして「DOA ONLINE」のような新規コンテンツのライセンスビジネスを主に展開している。ちなみに、日本産のタイトルは、サイバーステップの「Get Amped」が最初で、「DOA ONLINE」は2タイトル目ということになる。 今年の盛大ブースは、「EZ」シリーズの失敗を払拭するかのように、イメージを一新していた。オンラインゲームのみの出展に切り替え、再びオンラインゲームパブリッシャーとしての立ち位置を明確にアピールした。 出展タイトルは、テクモの「DOA ONLINE」、韓国Wemadeの「蒼天」、韓国Actozの「X-UP Table Tennis」、Disneyからライセンスを受けて自社開発している「Disney Magicboard Online」の4タイトル。すでに展開済みの13タイトルは出展無しというかなり割り切った構成だ。 先日のレポートでもお伝えしたように、ブースの半分以上を「DOA ONLINE」に割き、ブースの中央に人工ビーチを設営して来場者の度肝を抜いた。プールサイドには、多数の水着姿のコンパニオンを侍らし、さらに特設のテントでは「DEAD OR ALIVE」シリーズのグッズの販売、そしてXbox版「DEAD OR ALIVE 4」の試遊を行なうというこだわりようで、その他、「DOA」シリーズに登場する有名キャラクタのコスチュームを着たコンパニオンも勢揃いするなど、実に力の入ったプロモーションだった。
他の中国メーカーのブースが、武侠、三国志、ダンスの3つのカテゴリでほとんど収まる展開内容だったのに比べると、盛大ブースは非常に新鮮であり、新しい息吹のようなものを感じさせてくれた。
■ 「DOA ONLINE」詳細レポート。同作運営プロデューサーに、中国展開戦略を聞く
話を伺ったのは、「DOA ONLINE」運営プロデューサーのJim Feng氏。まず、中国でのサービススケジュールは、テクモの発表通り、2008年8月の北京オリンピックの直前にあたる6月から7月頃を予定。盛大ではオープンβサービスと呼んでいるが、実質的にはこれが正式サービスにあたり、あとは適宜、アイテムモール等を実装して、名実共に正式サービスへ移行する予定だ。 その前段階として実施されるクローズドβテストは、2008年2月頃の開始を予定。数千人が接続した状態でのサーバーパフォーマンスや、有料アイテムの値段などをリサーチしていく予定だという。このクローズドβテストは、残念ながら中国限定で、日本からはプレイできない。 見込みユーザー数は当初の発表通り500万人。中国で「DEAD OR ALIVE」シリーズがサービスされたのは'90年代のアーケード版しか存在しないが、中国ゲームファンは、その後展開されたコンシューマタイトルを輸入版や海賊版を通じてプレイしており、少なくとも100万人以上の「DOA」ファンが存在し、500万人の獲得は決して難しいことではないと考えているようだ。 ビジネスモデルは、基本プレイ無料のアイテム課金制を採用する予定としている。メインとなる対戦格闘ゲームの部分は、無料で遊べることになるが、中国ではネットカフェのユーザーが圧倒的に多く、ネットカフェからのロイヤリティ収入で十分ビジネスになるようだ。ただ、これはあくまで中国の話で、日本を含む他国では状況が異なるため、同じビジネスモデルにはならないだろう。 1ワールドあたりのキャパシティは、カジュアルゲームということから2万から3万人を想定。プレーヤーの強さを示すキャラクタランクによって複数のチャンネルに分け、数万人が同じ世界で頂点を目指していく。見込み通り500万人が集まれば、100以上の数の膨大なワールドが生まれることになる。 ゲーム世界は、プレーヤーの分身となるKIN(カイン)たちが暮らす世界がベースとして存在し、その仮想世界の中で「DOA」の世界大会「DOA China」が開催されるというストーリーラインの中で物語が進行していく。任意のキャラクタ同士がマッチングすることで、対戦格闘ゲーム「DEAD OR ALIVE」のバトルがオンライン上で楽しめるというスタイルだ。やや乱暴な言い方をすれば、無数のKINたちが棲息するビジュアルロビーの中で、「DEAD OR ALIVE」が楽しめるゲームが、「DOA ONLINE」ということになる。 気になるグラフィックスクオリティについては、現在落としどころをテクモと調整中ということだが、ひとつの目安としては中国のネットカフェ市場をフルカバーするために下限をGeForce4に設定するという。その上で、スケーラビリティの高い設定にして、ハイエンドPCを持つユーザーには、そのパフォーマンスをフルに活かしたハイクオリティのグラフィックスを実現する。それが「DEAD OR ALIVE 4」より上なのか下なのかは現時点では未定だという。ゲーム解像度は、フレームレートに不公平が出ないようにある程度固定にし、その代わり、ビジュアルエフェクトやテクスチャの解像度に段階を持たせる設計を考えているようだ。 マッチングについては、1対1を基本とし、ギルドに相当するユニティ間で争われるユニティバトルでは5対5を想定。先鋒、次鋒、中堅、副将、主将といった形で、勝ち抜き戦のスタイルで行なわれる。 キャラクタについては、KINと「DOA」キャラクタは、まったく別のものとして存在し、カスミでプレイする場合は、KINの性別を問わず、カスミのコスチュームを着ることで、バトル内でカスミとしてプレイできる。登場キャラクタは、有名キャラクタを優先的に選び12人から14人の間で現在調整しているという。
「DOAキャラクタ」のコスチュームは、それぞれ8~10種類程度のバリエーションを用意。場合によっては、これらが有料アイテムとして販売されるようだ。値段は現在調整中だというが、1着だいたい1,000円程度を想定しているという。また、Feng氏は「HPポーションなども用意する」と予想外のコメントも聞くことができた。いつ、どのように使うかについては教えてくれなかったが、まだ見えていない要素もあるようだ。今後の発表を楽しみにしたい。
□China Digital Entertainment Expoのホームページ (2007年7月13日) [Reported by 中村聖司]
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