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【連載第115回】ゲームライフに役立つグッズをレポート

Xbox 360用「ワイヤレスレーシングホイール」登場
実際の使用感やHORI「ステアリングコントローラEX」と比較してみる

当連載は、ゲームライフに役立つグッズを発掘し、実際に使用してみようという試みをレポートするものである。ネタに困ったときはお休みしてしまうかもしれないので不定期連載である。ちょっとした投資や工夫で、よりよいゲームライフを送っていただけるよう、鋭意努力していく所存である。


 Xbox 360用の周辺機器「Xbox 360 ワイヤレス レーシング ホイール(以下、レーシングホイール)」が発売された。Xbox 360ではドライブシミュレーター「テストドライブ アンリミテッド」や「Forza Motorsport 2」など良質なレースタイトルが続いている。それらのタイトルを熱中して楽しんでいる人にとってレーシングホイールは非常に気になる存在だろう。だが、大型、かつ価格もそれなりに高く、導入に悩んでいる方も多そうだ。

 そこで今回はこのレーシングホイールを「テストドライブ アンリミテッド」と「Forza Motorsport 2」の2本のタイトルで試してみたので、その使い勝手や使用感を写真とともにお伝えする。また、第61回で紹介したHORIの「ステアリングコントローラEX」とも比べてみた。

【今週のおしながき】
Xbox 360 マイクロソフト「Xbox 360 ワイヤレス レーシング ホイール」



● マイクロソフト純正のステアリングコントローラ「Xbox 360 ワイヤレス レーシング ホイール」

「Xbox 360 ワイヤレス レーシング ホイール」

    メーカー:マイクロソフト
    価格:13,650円
    2.4GHz ワイヤレス
    ハンドル回転角:264°(左右各132°)
    ハンドル直径:約25.5cm


ペダルユニットは全体に薄く平べったい。少し重量が足りないだろうか
ハンドルの中程にはコントローラと同様のボタン類が備わっている
付属の乾電池パックのほかにバッテリーパックも使用可能
 「Xbox 360 ワイヤレス レーシング ホイール」は純正周辺機器となるステアリングコントローラ。ステアリングユニット、ペダルユニット、着脱式のテーブルアタッチメントで構成されている。本製品の最大の特徴は、ワイヤレスで動作すること。Xbox 360本体とは、ワイヤレスコントローラと同じく2.4GHz帯の無線方式でつながる。ただし、ステアリングユニットとペダルユニット、さらにステアリングユニットに装着するACアダプタは有線となる。

 ステアリングは純正コントローラでいうところの左スティックに対応する。そのほかステアリング中央には方向キー、Back/Startボタン、A/B/X/Yボタンを搭載。このあたりのコントローラにもあるキーおよびボタン類は、コントローラとほぼ同じ素材のようだ。操作した感触も同様に感じる。

 ハンドルの中心部にはXboxガイドボタンがあり、本体の電源ON操作など純正コントローラ同様に操作できる。ステアリングの背面左右にはパッドステアがあり、L/Rボタンに対応、ペダルユニットはL/Rトリガーに対応する。フォースフィードバックと振動機能、さらにハンドルが自動的に中央に戻るセンタリング機能を持つ。

 ステアリングユニット本体は横長の筐体が目をひく。ステアリングコントローラというと、最近は膝で「はさんで」使用するアダプタが付いていることが多く、箱形の形状をしていることが多い。だが、本製品では、ステアリングユニットの下部にカーブがついていて、はさむのではなく膝の上に置いて使う形状になっている。

 筐体の左側面にはコントローラと共通のバッテリーパック装着箇所がある。製品には電池収納タイプのカバーと単三乾電池が2本付属しているのでそれだけでも使用可能だ。また、ワイヤレスコントローラ用のバッテリーチャージパックなどを別途用意して装着して使うこともできるし、ACアダプタからの給電でバッテリーパックの充電もできる。

 筐体前面の右端にはコントローラにあるものと同系統のヘッドセット装着用端子があり、ここにマイクをつなげればボイスチャットももちろんできる。また、その横にはコントローラを本体に認識させるペアリングボタンがある。純正コントローラ同様、最初に登録を行なえば、次からはXboxガイドボタンを押すだけで済む。

 肝心のハンドルの質感だが、なかなかにがっしりとした印象。細かい滑り止めがついたラバーがハンドルの7割を覆っていて、ラバーのない下側はクロムメッキ加工がされている。ハンドルは握ってみると金属的な堅さを感じ非常に頑強に感じた。反面、大ぶりで横長の筐体はプラスチックがメインなので、少しギャップを感じるだろうか。ハンドル部の質感、高級感においては不満のないデキだ。回転角は左右ともに132度。

写真中央のようにハンドルの回転角は132度までとなる。筐体の右側にはマイクを接続できる。ワイヤレスのため、最初にはペアリングが必須だ

付属のACアダプタを使えばフォースフィードバックやセンタリング機能が有効になる
 このステアリングユニットは、バッテリー単体の完全なワイヤレス状態でも動作するが、機能としては振動のみとなり、フォースフィードバックやセンタリング機能はオフになる。この状態のハンドルは非常に軽い。

 ACアダプタをつなげるとフォースフィードバックやセンタリング機能が働くようになる。ゲーム内ではフィードバックの強弱が個別に異なることもあり、まずはダッシュボード画面で操作してみる。ACアダプタを差し込むとセンタリング機能によりハンドルが0度に戻り、フィードバックもONになった。フィードバックのついたハンドルはそこそこに重い。この時点での感触としては他の家庭用ゲーム機向けステアリングコントローラのフィードバックと同様の印象だろうか。個別のゲーム中に感じた強さは後述する。

 設置の自由度については独特の筐体形状であることもあって、一長一短の印象がある。まず、膝上に置くスタイルならば、そのままステアリングユニットのカーブを活かしてしまえばいいが、テーブルに置く場合は底面のカーブがあるためそのままでは使用に適さない。そういう場合はテーブルアタッチメントを装着して使うことになる。本体だけでは膝上、またはテーブルに置いて視線が平行になることが設置の前提だ。

ステアリングユニットの底面。写真左と中央はテーブルアタッチメントを装着したところだ。テーブルをはさんで固定する。写真右は未装着状態だが、膝上を意識したカーブがついている

ペダルユニットは若干固定力にかける印象。うまい設置場所を模索したいところ
 続いてペダルユニットをみていこう。ペダルユニットはアクセルペダルの表面にメタルパーツが使われているものの、全体はプラスチック製。土台部分が薄いので、軽すぎて滑ってしまう。一応、かかと部分に引っかかるような形状をしているが、それでも片足で操作すると、やがてアクセルペダルを中心に回転してしまったり、奥へとずれてしまう。これは足の大きさにもよるだろうが、明らかに靴を履いてのプレイが前提になっているようだ。底面には滑り止めの丸いゴムが4カ所についているものの、机でペダルを引っ掛けて固定するか、フローリングなどの凹凸の少ないところではグリップするが、カーペットの上に置くような環境では滑ってしまう。

 踏み込んだ感触は悪くない。ペダルは軽いので、先ほどとは逆の感想になってしまうが、靴などを履いた状態では逆に操作しにくい。とくに、微妙なアクセルワークを要求されるハイパワーマシンをドライブしているときなど、感覚がわかりにくくなってしまう感じだ。また、前述のとおり土台が滑りやすいため、踏み込んだときに土台の手前側が浮き上がってしまうこともある。



・「Forza Motorsport 2」で使ってみる

膝上に置いて実際に使用している様子。フォースフィードバックが強いときにはステアリングユニットも少し不安定になってくる
 「Forza Motorsport 2」で使う際にまず驚かされるのは、設定の細かさだろう。ステアリング、ブレーキ、アクセルのin/outのデッドゾーン設定、つまり各種操作のはじめと終わりにある「遊び」(操作が反映されない余白のようなもの)をどれほど与えるかを設定できる。ステアリングユニット単独が持っている遊びももちろんあるのだが、「Forza Motorsport 2」、「テストドライブ アンリミテッド」ともにゲーム内のオプション設定で好みに調整できることで補われている印象が強い。

 車種が豊富なリアルシミュレータだけに、それぞれでフィードバックの強弱は異なっている。全体的には少しフィードバックの感触がそれほどガツガツしておらず、ロジクールの「GT FORCE Pro」などに比べるとマイルドだ。一般乗用車ではかなり重さを感じる車種もあったが、レーシングカーでは全体に軽い。車重や足回りのセッティングがそのまま反映されている感じがする。

 特筆すべきは、コーナリング中のグリップ感覚。オーバースピード気味に進入した後、タイヤのリアが抜ける感じの片鱗とでもいうのだろうか、それはきちんとステアリングを通して伝わってくる。リアがブレイクするとき、きちんと車の進行方向に対してきちんとフロントタイヤが従おうとするので、高速コーナーでのカウンターは充てやすい。逆に意識してカウンターを充てすぎると、とっちらかってふらふらしてしまうのだが。また、コースアウトしたときもグリップがなくなるときのフィードバックと振動が組み合わさったときの感触はなかなかよい。

 「Forza Motorsport 2」を楽しむにあたってコントローラでは表現が乏しくなりがちな車種の特性や違いを、ステアリングレベルで感じられるところは非常に大きい。とびぬけたリアルさが売りのタイトルである点でも、実際に走行する際に繊細な操作を求められる点においてもステアリングの存在を大きく感じた。



・「テストドライブ アンリミテッド」で使ってみる

ハンドルの角度調整など、設置場所を柔軟にする機構が少ないのが少々残念
 「テストドライブ アンリミテッド」で使用してみたところ、特に設定をいじることもなくデフォルト設定で対応してくれた。ゲーム内のオプションでは、ステアリング感度、リニアリティ、振動感度を設定できる。リニアリティはハンドリングへの影響度合いや一体感の調整で、低くするとステアリングの遊びが増え、高くすると遊びが減るほかフィードバックなども頻繁に強く入る。

 車種にもよるようだが、高速走行時のフィードバックはかなり強かった。フィードバックを感じるというレベルよりも、暴れるハンドルを押さえつけるという感触に近づく。リニアリティの設定などを好みに応じて調整しよう。振動においてもオプションの調節があるので設定によって変わるが、基本的な振動の強さは少し控えめに感じた。

 操作面の難点としては、コントローラで言うところの左アナログスティックの上下がないため(左右はステアリングに割り当てられている。)、GPSマップを開いてのワープができない。また、右アナログスティックにあたる操作もないため視点を左右にふることもできない。ワープについては致命的な操作ではなく、ドライブとしては非現実的なものなので好みの問題だろうか。ただ視点を回す操作ができないのは少し寂しいだろうか。コントローラを併用するのも手ではある。

 上記のほかにも、「Forza Motorsport 2」と比較してしまうとハンドルやペダルの「遊び」などを調整できる項目がないことなども挙がるのだが(この点に関しては「Forza Motorsport 2」が充実しているという言い方のほうが正しいだろう)、ドライブ感を高める製品としてはかなり効果的だ。ハイウェイを飛ばすもよし、海岸沿いを流すもよし。コントローラがステアリングに変わるだけでググッと雰囲気が変わる。



・HORI「ステアリングコントローラEX」と使い比べてみる

HORIの「ステアリングコントローラEX」。使い比べると、フォースフィードバックの表現力など、かなり違いのある製品なのがわかった
 同じステアリングコントローラというジャンルの製品ではあるが、両者の感触は相当に異なる。まずフォースフィードバックの有無が操舵感に大きな影響を及ぼしている。挙動との一体感や表現は「Xbox 360 ワイヤレス レーシング ホイール」が圧倒的といえる。

 製品全体の質感においては、好みの問題があるかもしれないが、やはり「Xbox 360 ワイヤレス レーシング ホイール」に丁寧さを感じた。特にステアリングラバーの質感は大きな差を感じる。デザインにおいてもすっきりとシンプルな「Xbox 360 ワイヤレス レーシング ホイール」と比較すると「ステアリングコントローラEX」は少々無骨だろうか。

 だが、「ステアリングコントローラEX」には設置場所に対する柔軟性がある。「Xbox 360 ワイヤレス レーシング ホイール」の弱点とも言える点で、手軽さや扱いやすさにおいては「ステアリングコントローラEX」の角度調整機能などが非常にありがたい。両者を比較してみるとまったくタイプの違う製品で、一長一短という印象。だが、クルマをドライブしている感覚は圧倒的に「Xbox 360 ワイヤレス レーシング ホイール」が強い。長時間プレイには向かないが、ドライビングアイテムとしての満足感は高いだろう。



・全体の評価

テーブルアタッチメントを膝ではさんでみたが、できなくもないものの厚みなどがあわずやはり苦しい。体感面の機能はなかなかに良いだけに設置を柔軟にする仕組みの追加に期待したい
 繰り返すが、「Xbox 360 ワイヤレス レーシング ホイール」はやはり、ステアリングの素材からはじまり、フォースフィードバックや振動、センタリング機能などの、体感に影響する要素の目立つところがよくできている。ペダルユニットは好みの問題だが、靴を履かなければ、操作に力のいらない「Xbox 360 ワイヤレス レーシング ホイール」のペダルはちょうどいいという人もいるだろう。

 反面、設置の柔軟性が低い点など、バランスの悪さを感じさせるところもあった。ステアリングコントローラとしては、及第点以上のできばえといえるだろう。

 今回は「Forza Motorsport 2」、「テストドライブ アンリミテッド」で試してみたが、これらソフトの魅力に助けられている部分も多く感じる。「Forza Motorsport 2」ではステアリングから伝わってくることで初めて意味を成すリアリティがあり、「テストドライブ アンリミテッド」ではドライブ感を高めるという大きな意義がある。体感面への機能的なフォローは良い点が多く、それらを存分に味わう意味ではなかなかに良質といえる。

 大きい難点である接地場所の難がクリアされれば非常に満足度の高い製品になる。机に設置できれば剛性感もあるが、膝上にステアリングユニットを置いてのプレイでは、フィードバックが強いときにはユニット全体が浮き上がってしまっていた。せっかくのワイヤレスなので設置場所を選んでしまうのは寂しい。膝で挟みこんで固定すればできるアタッチメントなどがやはりほしいところだ。



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□Xbox 360のホームページ
http://www.xbox.com/ja-JP/
□HORIのホームページ
http://hori.jp/

(2007年6月5日)

[Reported by ゲーム環境向上委員会]



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