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特別インタビュー

次世代機初の「ACE」シリーズの魅力に迫る!!
Xbox 360「ACE COMBAT 6 解放への戦火」



 衝撃の発表からはや1カ月。「エースコンバット」シリーズ最新作となる「ACE COMBAT 6 解放への戦火」は、プラットフォームをXbox 360に定め、ついに次世代機への名乗りを上げた。ファン待望のオンラインプレイも実現。キャンペーンモードを1人で遊ぶゲームから、高解像度のビジュアルや大規模な部隊同士の戦闘、ライバルたちと腕を競い合う、共同で大空を舞うといった多彩な新要素を引っさげての登場となった。

 そこで、まだまだ明らかにされていない「ACE6」の実像に少しでも迫ってみようという気持ちから、「Project ACES」――株式会社バンダイナムコゲームスのプロデューサーの一柳宏之氏、ディレクターの井﨑夏樹氏にお話を伺うことにした(上写真は左から井﨑氏、一柳氏)。開発中の画面を見せていただきながらのインタビューとなった。(文中敬称略)


■ 「期待感の高まっているうちに最新作を出したい」タイミングに合ったXbox 360

 初めてオンラインに対応する「ACE6」。16人までを目標としたマルチプレイに対応するべく、制作が続けられている。対戦はもちろん協力プレイなど、マルチプレイならではの醍醐味を味わえるルールもたくさん盛り込まれる予定だ。Xbox 360をプラットフォームに選択したその理由は? というところから質問してみた。

一柳 「Project ACES」は、従来からハイスペックなハードに向けて開発を行なってきました。そして、僕らとしてはそろそろ最新作を出したい、と感じたタイミングが、今Xbox360で出すことだったのです。

井﨑 「タイミングがすごく大事」ということを一柳と話していまして、これが例えば「ACE6」が2008年に登場するとしたら、「ファンの皆様を待たせすぎだろう」と。「AC04」から「ACE5」までかなり……3年ぐらいブランクがありましたよね。そのときに、「待ってるんだけど」というお叱りの声を多数いただきました。

 もちろん会社的にもそうですが、ファンの方々から「ACE」の次回作を強く望まれている、ということをプロジェクトメンバー一同実感していまして。「新しい『ACE』を提供するなら、待たせすぎるのはよくないだろう」ということで。そうなると、発売して2年弱ぐらい経つXbox 360がいい選択ではないかということですね。一番大事なのは、期待感の高まっているうちに出したい、ということです。

――市場的にも、開発環境的にもということですね。

一柳 かねてからの要望で、「オンラインに対応して欲しい」という声が大きくありました。ですから以前から「ACE6」ではオンラインモードを導入したいと考えていたし、今後も力を入れていきたいと思っています。

井﨑 次世代機の環境としてここまでお膳だてをされると、もはややらないわけには……と(笑)。だからといってオンラインへの興味は国ごと、ユーザーさんごとにも差が大きいので、どれだけ関心をもって参加してくれるのかは発売してみないとわからない部分もあります。というわけで、スタンドアローンの部分もこれまでの「ACE」シリーズ以上に十分力を入れています。その上でのオンライン、というところは徹底していますね。

一柳 ボリュームのあるキャンペーンモードで十分遊べて、かつオンラインプレイができるということで、ユーザーの皆さんがどちらに注目してくれるのかに興味があります。

井﨑 例えば、新しいゲームシステムを満載したスタンドアローンに加え、オンラインのルールもたくさん用意してありますから、そのなかで評判の良いものはどれか、何に注力していけばよいか、といった今後の開発に影響する部分もありますよね。反応がとにかく知りたいです。

――PSP「ACE-X」でのアドホック対戦のノウハウも活かされているということですか?

井﨑 そうですね。対戦部分に関わったスタッフが総出で製作中です。とはいえ、単に「ACE-X」の対戦部分そのままではなく、より発展させたものになりますので、ご期待下さい。

一柳 改めて強調しておきたいんですが、「オンライン」に注目が集まるのはもちろんですが、1人で遊ぶキャンペーンモードの部分も今まで以上に楽しめるようなクオリティとボリュームに仕上げていますので、ご安心ください。

 オンラインプレイで明らかになっているのは、プレーヤーVSプレーヤー、およびチーム戦があるということ。最大16人の同時対戦を目指して開発中ということだ。スタンドアローンのメインとなるキャンペーンモードでは、このシリーズでは今まで、「自分がヒーローになっていく」という達成感をメインに制作してきたが、このオンラインモードの狙いはどこにあるのだろうか?

井﨑 オンラインでは役割分担が重要なスタイルになります。“敵をやっつけたやつがヒーロー”というだけでなく、それぞれの役割を果たしたプレーヤーがヒーローということになるようにしたいですね。

 オンラインモードのマップは、キャンペーンの地形から流用する形になります。使用可能機体もキャンペーンで獲得したものを使うことになります。みんなが仲間となって戦う協力プレイでは、チームワークの面白さが引き出せるようなオンライン専用のステージ内容を用意します。

 どのような遊びが用意されるのか? 初のオンラインモードにも期待したいところだ。


■ オリジナルシェーダーによる自然なグラフィックス

 さて、実際に「Tornado GR.4」で戦場を飛んでいる映像を見させていただいた。エメリア共和国の首都グレースメリア上空を飛行中。この都市は、ストーリー上でも重要な場所で、キャンペーンモードでは何度も登場することになるそうだ。

 実際のゲーム画面を見ていると、これまで発表になっているグラフィックスとは異なるいろいろな違いがあることがわかった。

 まず、メインのスクリーン左右に小さいウィンドウが出ている。これは、今までなら敵を注視するのはアナログスティックで行なっていたが、このサブウィンドウがあることで、敵機の様子なども常に確認できる(セリフなども表示される)ようになったのだ。このサブウィンドウはほかにも役割を持たされているが、それは後述する。

 さらに違いに気づいたのは、高度をいろいろ変えても、なかなか地形が消えないこと。まだ完全ではない、ということだが、高高度で戦闘しているときにカメラを下に下げてもみても、地面の様子はそれなり……というか、筆者が実際に旅客機の窓からのぞいた眼下の景色にとてもよく似ている。

井﨑 今回、超高高度の映像にも注目してもらいたいですね。以前では地面が消えてしまっていたりしましたが、今回はかなり高度をとっても地面をきちんと描画しています。3次元空間で自由に遊べるゲームだからこそ、どの場所で戦っても最高の気持ちよさを味わえなければいけませんからね。

一柳 今までPS2で制作していた僕らが「こういう風に作れば早い」と思っていたやり方とXbox 360での効率のいいやり方が違っていて、最近ようやく板についてきた感じですね。「ここまではっきり描いていい感じになるんだ」という。これからどんどんよくなっていきますよ。

 今度は「A-10A Thunderbolt II」での飛行だ。まず気づいたのは、背後視点では、エンジンの排気による周囲のゆらぎなども再現されていること。改めてモデリングを眺めていると、輪郭やパネルラインなど、非常に緻密で、立体感のある機体表現になっている。そしてコクピット視点。第1報で明らかになったとおり、すでに計器類が動いている。視界も広がり、今までのシリーズとは違った、立体感のある風景ながら、キャノピーの中にいる、といった独特の感覚がうまく再現されている。

 さらに、高度を下げても、以前のシリーズより、はっきりと高密度の地形が描画されていることがわかった。首都グレースメリアにはビルが立ち並び、その数はハンパではないのだが、調整中とはいえ、いかにも「都市」然としたたたずまいがうまく表現されていた。今までならタイル状のテクスチャが拡大していった超低空の映像も、かなり見やすくなり、リアリティもある。さすが次世代機、と思えるところの1つだ。

井﨑 機体1機1機に関しても、コクピットの中まで含めて丁寧にモデリングしています。計器も連動しますし。コクピット視点では、キャラクタの足がキー入力に連動して上下し、フットペダルの操作を再現していたり、視点もいろいろ試して見栄えや機能面でちょうどいいところに設定するなどの変更を加えて、キャノピーの中にいる、という感覚を感じてもらえるようにしています。

――シェーダープログラムはオリジナルのものなんでしょうか?

井﨑 社内オリジナルですね。今まではキャノピーは「半透明にリフレクションを入れればOK」といったところでしたが、デザイナーのメカマニアたちが更なるこだわりを持って頑張っています。シェーダーに関しては、社内の基礎研究チームからも技術的レクチャーを受けたりしていますね。

 機体に関しては、逆光になったときによりリアリティを増しています。PS2までの場合だと、シェーディングがわりと単純なものだったので。今回はアンビエントオクルージョン(※)を採用して、複雑な機体各所に落ちる陰影で質感と立体感を強化しています。他にはトーンマッピングにより、明順応、暗順応の再現もできるようになりました。暗い所から明るいところに、あるいはその逆に移動したりすると、より強く明るさ/暗さが表現されます。そして徐々に目が慣れて普通の明るさに見えていくような、実際の肉眼と同じような現象が起こります。明るい太陽を見た時、雲の中から抜け出たときなどに、特に今までと違ったリアリティを感じていただけるのではないかと思います。

――セルフシャドウ部分は?

井﨑 セルフシャドウはシンプルではありますが、ステンシルボリュームシャドウを採用しています。反射はフレネル項(※2)を使って、機体毎に質感を変えて、それぞれの機体の表面の素材感を出しています。次世代機になってやれることが増えたため、写実と誇張のバランスをとるのに時間を費やしていますね。例えばキャノピーの質感などに1日費やしてデザイナーが議論したりしています(笑)。自然すぎてもシェーダーの効果を実感できないし、かといって誇張しすぎても全体から見ると浮いてしまう。「ACE」ならではのバランスを模索している最中ですね。ただ、いろんな意味で誇張していく方向性でいこうかなと思っています。なるべく次世代機ならでの進化をわかりやすく、派手にしていきたいですね。

一柳 品質は業界一といってもいいですね。

井﨑 これは僕らも初めてのケースなんですね。いろんな技術の中から、「可能なもの」でなく「適切なもの」を選択する時期に来ているんだろうなという。シェーダーの経験は次世代機を扱って初めてわかってきたことだと思うんですが。

 今までシリーズの開発に携わってきたスタッフが勉強しながらやっているところなんですが、目指すところは今までの開発上の延長線上にあります。PS2の戦闘機を見慣れている人にとっては、実は今回のグラフィックは違和感無く受け入れてくれているんじゃないでしょうか。ハード移行する際にありがちな、悪い意味での違和感はなるべくなくしていければいいなと考えています。

※アンビエントオクルージョン……球面調和関数を用いた影のシミュレートを行なう機能。ラジオシティ(環境内の全ての光の相互作用を、視点に依存しない方法で計算する)のようなリアルなやわらかい影を高速に得ることができる
※2フレネル項……反射と屈折の割合を視線と反射面の位置関係で変化させる仕組み

 もう1つ気づいたのは、煙や雲の表現だ。特にミサイルの煙は今までのシリーズでは割と早いうちに消えていた記憶があるのだが、今回は多数の機体から発射されるミサイルの煙が、いい雰囲気で空間に漂っている。「ACE」といえば、個人的には「雲や空の表情」に特徴があると思っていたのだが、雲の表現もより「らしく」なっているのは当然として、このミサイルの煙による「空間の表現」は次世代機ならではなのでは? といった印象を受けた。

井﨑 「大軍vs大軍の、砲火入り乱れる壮絶な大戦場」が今回のコンセプトの主要部分ですからね。派手で迫力ある、熾烈さ、アクティブさが伝わるような戦闘空間を表現するため、ミサイルによる煙も長い間残るようにしていきたいと考えています。4~5分残すとさすがにやりすぎですけどね。100本近く残っていたりすると、累積していって逆に画面が見えにくくなりますので慎重に調整しています。

 今まではバラバラだったんですが、今回は雲もミサイルの煙も同じ描画方法を採用しました。そうすると、視界が悪くなってしまうんで、残すところは残す、消すところは消す、といったプレイのしやすさを優先します。雲はさらにシャープに、立体的になります。先日公開した雲の画像はPS2でのノウハウの発展系で作ったものですので、いずれもっと驚いていただける映像をお見せできますよ。

一柳 前作を隣において比較して見たいですね。

井﨑 艦船なども1つ1つ細かく作っています。今回、助けた仲間が一緒に戦ってくれるシステムを導入しましたが、戦闘機だけでなく、こういった艦船も一緒に砲撃してくれるんですよ。地形表現に関しても、スペキュラマップを用いた照り返しなど、光の表現に力を入れています。ビルの窓や水面、雪原などに太陽光が当たった感じは見ものです。

 フィールドは大体100km四方なんですが、市街地や港湾地域や山岳地帯など、ステージ1つの中にも見所となる部分が多く含まれ、飛んでいて飽きないようになっています。

 眼前に広がる風景は、「ACE」シリーズらしい空気感があふれる映像。第1報で公開されている映像は決して静止画だけのものでなく、実際にあのクオリティのものが動いている、と筆者には感じられた。こうなると期待したくなるのがリプレイだが……。

井﨑 リプレイに関しては今、まさにスタッフで議論しているところです。ビジュアルを多面的に楽しむ方法の1つだと思っているので、力を入れていきたいと思っています。旧来からあったカメラアングルはもちろん、次世代機ならではの見せ方を研究中です。また「ACE-X」でも搭載された、リプレイカメラの保存機能についても検討中です。ご期待下さい。

 PS2時代から、その独特の空気感でファンをうならせた「ACE」シリーズだけに、ビジュアル面も注目していきたい。


■ 「多くを語らず、プレイヤーに想像の余地を残す」……新たな仲間との関係

 さて、今回見せていただいたのは、味方部隊が3方向に集まって激しく戦う、ゲーム中、もっとも小さい形式のミッションだ。小さいとはいえ、すでに過去シリーズとは比較にならない味方、敵の数が表示されているのがわかる。

井﨑 「ACE6」では、“生きている戦場”をキーワードの1つにしています。それぞれの部隊には目的が設定されていて、戦車が走り回って射撃する戦場に、兵士たちも戦っている。そういった戦場の感覚を再現することを大事にしています。

 今回、「ACE-ZERO」で復活した帰還ライン(ラインを超えると補給が行なえる)に加えて、基地の滑走路を占拠して着陸し、補給を行なうといった仕掛けも用意しています。ミッションの中には、基地を防衛しようとする敵の高射砲部隊をなぎ払って占領したり、逆に敵の長距離砲が味方基地の部隊を痛めつけていて、基地が壊滅すると着陸できなくなるというシチュエーションもありますね。

 戦略上、敵機を撃墜する、重要拠点を爆撃するだけでなく、補給施設の確保も今作の重要な戦術になっていきそうだ。もう1つ気になるのは、プレーヤーが属する部隊や、戦いの鍵を握るであろうバディ……僚機の存在だが?

井﨑 「ACE5」が“編隊”をクローズアップすることでチームメイトの存在を意識することが多かったと思うんですが、今回も僚機に相当するキャラクタがいます。彼は群像劇を構成する1人という意味で、そのキャラクタの目的を持っていて、プレーヤーの戦う理由を代弁するという形を取りました。 主人公がしゃべらないゲームですからね。

 僚機以外の陸、海、空の味方のキャラクタにもそれぞれ個別に名前があります。しゃべり方も個性的だったりとか、そういったところで、大勢の人間が巻き込まれるような、戦場の大きさを感じされるような作りになっています。

 味方なり敵なりの描き方は「AC04」、「ACE5」、「ACE-ZERO」でそれぞれ違ってきたと思うんですが、今回は敵、味方両軍にいる大勢の兵士たちの姿をより広くピックアップした、という感じですね。

一柳 「ACE5」では、一緒に戦う味方の登場人物をピックアップして、姿を見せたり声を聞かせたりなどして具体的に描き、プレーヤーがその一員となってパイロットの仮想体験ができるという手法でした。今回の「ACE6」は、「ACE5」よりは「AC04」に近い方向性ですね。「多くを語らず、プレーヤーに想像の余地を残すことで、イメージをふくらませて楽しんでもらう」という手法を取り入れている度合いが高いです。

 ゲーム中の無線通信でよく見かける味方兵士の名前があったとして、その人はプレーヤーの支援要請に応えてこのような手助けをしてくれた……といった登場人物の表現をすることで、プレーヤーがその人の名前をきっかけに世界の存在感・奥深さを感じてもらえるような作りにしています。

 「プレーヤーが飛んでいる世界に多くの人の意識が存在する」と無意識に感じてもらえる手法は、これまでも「ACE」シリーズですごくやってきたことでした。このようにマップ内の配置物1つにまでこだわって世界観を作り出す努力を、今回のディレクターの井崎は「AC04」からずっとおこなってきてるんです。こだわりを持って。

井﨑 それを次世代機でやるとどうなるかということで、彼らが載っている車両や戦闘機、時にはパイロットの姿がサブウィンドウに登場します。彼らは役割分担もしっかりしています。戦艦なら大火力、長距離射程、パイロットであれば空の戦いでの頼もしい仲間、といったゲーム面から語る「仲間感」です。プレイヤーのアクションに対して反応を返してくれ、感情への訴えかけとともに攻略にも役立ってくれるという、ゲームならではのものですよね。

 先ほどのサブウィンドウがここで一役買っている。助けた仲間の様子もこのサブウィンドウに表示されるのだ。彼らが搭乗している戦車や艦船、機体の動きが表示され、さらに音声や字幕で通信の様子が語られる。そして攻略においても頼れる味方の存在……それが「ACE6」での仲間との絆を築いてくれる助けになるわけだ。

 キャラクタを印象付けるという意味でもう1つ注目したいのは、ムービーの類だ。今作でも、ミッションとミッションの間には、7人のメインキャラクタがそれぞれの立場からの視点で「戦争」を描き出していく。ほかにも、ミッション中にもリアルタイムムービーが流れる。

井﨑 ミッションとミッションの間に流れるムービーでは、キャラクタを立てるというコンセプトで、7人それぞれが自分の立場からこの戦争を語る形式をとっています。いわゆる群像劇方式です。特徴やクセのあるキャラクタばかりですね。

――今回、リアルタイムムービーを多用されていますが、その意図は?

井﨑 まず、ゲーム本編のリアルタイム映像のクオリティが上がれば上がるほど、ムービーがプリレンダだと、微妙な雰囲気の差で、プレーヤーが世界に入り込めず、「鑑賞物」になってしまうということがありますね。また、解像度の点でディスクに収録するのもつらいという都合もあります。人物をリアルタイムで動かす技術も、今後役に立っていくだろう、という制作側の意図もあってのことです

 スクランブルシーンなど、ミッション中に流れるムービーでは、モデルはゲームモデルを使用。主人公が選んだ機体がちゃんと反映されるので、さらに思い入れは深まるだろう。


■ 「ACE6」は“恩返しゲー”……支援要請の仕組み

 「ACE」シリーズには、今まで「特殊兵装」と呼ばれる装備が存在した。「特殊兵装」は、通常のミサイルや機関砲といった兵装とは別に、1つだけセットアップした強力な装備。広範囲に対地爆撃を行なう爆弾や、複数の敵を同時にロックオンして攻撃できる空対空ミサイルなどがそれにあたる。この「特殊兵装」に関してはまだ明らかにされていないが、「ACE6」での活躍も期待したいところだ。

 そして今作では、「支援要請」の使いどころが大きな鍵を握るようだ。「支援要請」は、敵を撃破したり味方を助けたりしていくことで蓄積されるゲージがある一定量蓄積されることで使用可能なシステムで、助けた味方戦力が戦闘機や戦車、艦船といった種別問わず、それぞれの個性的な攻撃手段で一斉に射撃を行なってくれるというものだ。実際に見せてもらったが、一斉射のシーンは思わず「おおっ」と声が出てしまうほど。ボスキャラ戦などで威力を発揮しそうだ。

井﨑 終盤あたりはすごい敵の数になります。それをばったばったなぎ倒すといった面白さ、爽快感が狙いです。ですから、クリアするためのいい方法に気づける……つまり支援要請を使っていくと効果的というところがはっきりしています。上手に使うことで楽になるのはもちろん、うまく使うことでクリアに近づいていく、といったものですね。

 今、使いどころの判断の面白さを追求しているところです。攻略性だけでなく視覚的インパクトも含め、敵味方が多数集まって壮絶な一斉射撃で戦うシーンは純粋に面白さを味わっていただけるかなと。

一柳 プレーヤーが助けた味方が、支援要請に応じて敵に向かって一斉砲撃します。アニメの「マクロス」のようにハデに(笑)。

井﨑 一番的確な表現かもしれません(笑)。

――例えば、「支援要請」を行なったときに、味方が別の目的に向かって行動中だった場合はどうなるんですか?

井﨑 支援要請は、場合によっては「今は無理」ということもあります。仲間は基本的にはAIコントロールになっています。助けた仲間は基本的にフリーの状態になっていて、自分のサポートをしてくれます。レーダーに支援要請可能な味方機も表示されています。

一柳 「ACE6」は「恩返しゲー」ですね。

井﨑 「ACE」シリーズの1つの要素として、「褒めゲー」みたいなところがあるじゃないですか。今まではそれを無線という形で想像で演出していたわけですが、それを実際の形の出来事として、味方が自分の行動で褒めてくれる、といった狙いがありますね。

 キャンペーンモードは、通常のミッションでは「集団戦闘の魅力」を追求。それに対して、シリーズではおなじみのボス戦は巨大兵器の集団と戦う、倒し甲斐、爽快感を追求している。

 通常ミッションでも、「AC04」から導入された無線がとにかくパワーアップしている。サブウィンドウにも表示される味方の部隊から、「被弾した! 離脱する」といったひっきりなしに味方の無線が入る。これにより、今までのシリーズよりもさらに臨場感を感じさせるだけでなく、その数から戦域の大きさを感じられた。

 続いて、「まだ未完成ですが……」という断りはあったものの、ボスキャラ戦も見せていただいた。詳細は今後の楽しみということで言明を避けるが、画面がボスキャラの編隊で多い尽くされるような印象だ。

井﨑 今作では、次世代機ではないとできないボスが登場します。もちろん、単体の巨大ボスもいます。今お見せしているのは、「アークバード」に匹敵する幅を持つ巨大な航空兵器です。「空中艦隊」といえるボスキャラですね。このほかに、秘密兵器も登場しますよ。

 こういった圧倒的な敵部隊に対して、うまく「支援要請」を使う快感、それが「ACE6」の醍醐味になりそうだ。そうとうボリューミーになりそうだが、プレイ時間はどれぐらいを想定しているのだろうか?

井﨑 6つ同時に作戦が進行しているようなものでは、1つのミッションが30分を越えるかな、という感じですね。ただし、そうした長いものは、途中でやられたらまた最初から、というだけではなく、切りのいいところからやり直すこともできます。いろんな部分でとっつきやすく遊びやすいものにする工夫を取り入れてあります。

 長いステージでも、展開なくただ壊し続けるということではなくて、1つのオペレーションを解決することによる達成感の盛り上げも慎重にデザインしているので、例えば最初からやり直そうということになっても、うんざりすることのないような作りにしています。

一柳 完璧主義な人は最初からやり直すんでしょうね。そうやってやり直しても、すっきりできるようには作ってありますよ。

 「ACE」のコアプレーヤーさんは、「なりきり」を重視している人が多いと思うんですよ。どんどんコンティニューしていって、勢いでクリアするというよりは、ちゃんと戦略を考えながら、パイロットとしてなりきってじっくりと遊んでいるという。もしうまくいかなくてやり直すとしても、救済策はいくつか入れていますから、わずらわしく感じることなくプレイできると思いますよ。

井﨑 NPCの設計としては、汎用のAIを用意していますが、スクリプトでの制御も併用しています。それぞれが「形だけ違って結局撃ち合っている」というものではなく、敵の飛行場を制圧してプレーヤーが利用できるようにするだとか、今までの自分と敵、という図式から第三者を介することで、またヒロイズムを感じられるように制作しています。「戦場の再現をもっと本物に近づけていこうよ」というところがありましたので、AIとスクリプトのあわせ技で、どういった行動をとっても別々の体験が得られるようなものをご用意します。

 リアルタイムに部隊が移動する「ダイナミックミッション」システムを採用した今作では、そのタイミングによってさまざまな展開が繰り広げられる可能性がある。やりこみ派には悩ましいかもしれないが、AIによる制御とスプリクトによる制御が組み合わさっているということなので、うまく戦局を読みきれば、さらに高得点を狙っていけるようなつくりになっているようだ。


■ 細かいところまで手を入れて、より「ストレスフリー」で遊べるように

 また、第1報で明らかになっているように「ACE6」は幅広い層のプレーヤーに楽しんでもらえるよう、敷居の高いゲームにならないように、イージーモードでは“地面に激突してもミスにならない”といった初心者救済機能も搭載。

 選択した難易度によって違いを用意しているので、ベテランプレーヤーにも歯ごたえがあるものになる。操作面、そしてバランス面を含めて、より遊びやすく、そして奥深い体験ができるような配慮がされている。

一柳 「ACE」シリーズが皆さんに受け入れられた理由に、まず、誰でも習得できる簡単な操作ということがあると思います。それも1つなんですが、ロード時間だとか、ゲームを進めるうえで不愉快なことをなるべくなくしていきたい、ということが裏のテーマとしてあるんですよ。

井﨑 そうですね。「AC04」、「ACE5」、「ACE-ZERO」と作っていく中でいろんなご意見をいただきましたが、ハードのスペック上など、いろいろできなかったことを洗いなおして、皆さんに気持ちよく飛んでもらうために、初心者がイージーミスを起こさないようにすることはもちろんのこと、上級者の方々が使いこなすと、とても気持ちよく戦えるような操作も取り入れました。先ほどのリスタートの話もそうですが、今回、「ストレスフリー」という部分は自信を持ってアピールしたいところです。

 操作系統も過去のタイトルからそのまま持ってきたわけではありません。いくつかの操作モードを試していただければわかると思いますが、今回初の、今まででベストの形の操作感覚が実現できたと思っています。細かくカスタマイズできますし。

一柳 しかもゲームプレイ中にすぐに変更できるようにしています。

――難易度の変更による調整はどのように手を入れられているのでしょうか?

井﨑 主に敵の数や種類、攻撃の激しさなどで調整していますね。味方に関しては、局地戦の判定はAIですが、ドラマチックな大逆転といった演出的なものもスクリプトで盛り込んでいくといった形になっていますので、特に難易度を下げたからといって働いてくれない、ということはありません。

――ストレスフリーということでお伺いしたいのですが、「ACE5」のラストにありましたが、リスタート直後の会話はキャンセルしたいなー、と思ったことがありましたが、今作ではどうですか?

井﨑 あの部分の徹底的な反省の上に立っていますので、今回は演出的な部分で会話が続いた直後にミスした場合は、その会話をキャンセルできるようにしています。

 大ボリューム、巨大なボスキャラ……これだけ聞いていると、「ACE6」のパワーアップはボリュームに振られているように感じられるかもしれない。しかし、初心者救済やロード時間の短縮、そして会話のキャンセルといった細かいところにも手が入る、という。遊びやすく、さらに奥深く……そんな「ACE6」の完成を筆者も楽しみに待ちたいと思う。


※画面はすべて開発中のものです。
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□バンダイナムコゲームスのホームページ
http://www.bandainamcogames.co.jp/
□バンダイナムコゲームスチャンネルのホームページ
http://www.bngi-channel.jp/
□「ACE COMBAT」シリーズ公式サイト「ACES WEB」
http://www.acecombat.jp/
□関連情報
【3月23日】Xbox 360「ACE COMBAT 6 解放への戦火」
大規模集団戦闘とXbox Live対応でオンラインマルチプレイを実現
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20070323/ace6.htm

(2007年4月27日)

[Reported by 佐伯憲司]



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