|
本作が最初のお披露目となったのはG★ 2005のGravityブースで、Gravityの自社開発タイトルとしてプレイアブルデモと共に発表された。社内向けにも発表直前まで本作の存在は伏せられ、文字通りの隠し玉タイトルであった。本作の開発はGravity創業者の金正律氏が、Gravity会長退任後に立ち上げたCykanによって継続された。 プレイアブルデモ公開から1年半を経て、クローズドβテストを通さない強気のオープンβテストスケジュールとなった。現在のところ今後のサービス予定の発表は無いものの、昨年の東京ゲームショー2006ではCykanブースでプレイアブルデモが公開されており、日本での展開も確実視されるタイトルである。 本稿では、ペラペラのキャラクタ達が織り成す一風変わった「Paperman」の世界観と、公開された5マップと共に、アクション面での特徴についてファーストインプレッションをお伝えしていく。
■ 横を向けば無敵、焼ければ黒こげ!! コミカル要素満載の新感覚スポーツFPS
8対8の最大16人によるチーム戦モード、個人戦モードを楽しむことができ、操作感やネットワーク面において、スポーツ系FPSのコアプレーヤーも納得の出来に仕上がっている。本テストで公開されたゲームモードでは、相手チームの全滅をかけた「チームデスマッチモード」とセッション参加者全員を相手に戦う「FFAモード」の2つで、モードだけを見ればマルチプレイ専用の硬派なタイトルといえる。 本作はコミカルな世界観に目を惹かれるが、本格的なFPSタイトルとしての実力を備えている。とりわけオンラインアクションゲームにつきものの、ネットワークの遅延(ラグ)や、混戦時の描画落ちに起因するパフォーマンスの低下をほとんど感じないのには驚いた。プレイ環境面では、サービス中のオンラインFPSのどのタイトルよりも抜きん出ている印象だ。 「Paperman」の企画面でのコンセプトは、プレーヤーが「紙」であることに尽きる。キャラクタ作成開始時には、ユーザーのキャラクタは人型の型紙だ。これに服を着せ、表情を貼り付けることでユーザー自身のキャラクタを作り上げていく。 キャラクタが紙であることは、ゲームプレイ上でも大きな影響を及ぼしている。たとえば、横を向いたら無敵になる。厚みの無い紙なので、横を向くと当たり判定ができる「面」が無くなってしまう。移動時やリロード時は敵と正対せず横を向くことで、生存率が飛躍的に伸びる。 このおかげで、敵と鉢合わせになってもお互いに主武器の弾を撃ち尽くすまで倒しきれないことも多くなり、主武器を撃ちつくした後に待ち受ける奥深い心理戦を存分に味わうことができる。攻撃をかわしつつ連射可能なメイン武器をリロードするか、サブ武器の拳銃でリロード時間の代わりに連射性を犠牲に、一気に仕留めにいくかを考えたいところだ。 また、グレネードの使われ方も面白い。敵キャラクタに手榴弾を命中させると、キャラクタが上空に向かってポーンと舞い上がり、ひらひら舞いながら静かに下りてくる。グレネードを食らって敵を舞い上げ、操作不能に陥ったスキを狙って、下から仕留めるのが非常に気持ち良い。上空の敵を倒すと、紙吹雪となってバラバラになってしまうのだ。
他にも焼夷グレネードを投げると火がつき、そのまま他のキャラクタに接触すると燃え移るといった要素もある。キャラクタが紙という奇抜なアイデアを随所に落とし込むばかりでなく、斬新なゲーム性の演出に直結できているところが本作の魅力となっている。
■ 個人戦2マップとチーム戦3マップの計5マップを公開。最大16人対戦をサポート
実際にプレイした印象としては、ゲームプレイ全体を通してラグがほとんど無く、ゲームを進行する上で環境的にストレスを感じるシーンはほとんど無かった。現時点では、キャラクタに当たり判定が無いため、ナイフで切りあうような乱戦はいまひとつだったが、間合いを取って撃ち合うシチュエーションでは、本作の楽しさを存分に味わわせてくれた。 参加していた韓国のユーザーにとっても好感だったようで、「Quake」や「Counter-Strike」といった本格派のスポーツ系FPSプレーヤーの評価も高い。良質なネットコードやサーバープログラムなど、表面から見えない部分が「Paperman」の企画面を支える良好な器に仕上がっているといえるだろう。 キャラクタアバターや衣服、武器は商店で購入可能で、今回のテストではアバターの種類による性能差は設けられていない。主武器ではMP5 SD、MP18、Tommy Gun、AK47、G36、SPAS12と、近代武器から第二次世界大戦レベルのものまで選択可能で、狙撃ライフルやショットガンを除く一般的な小銃はいずれを選んでもバランスの差はさほど感じない。ブレや反動の差などもほとんど無く、商店での価格も一律の為、正式サービスに向けた性能面・価格バランスなどの調整が今後の主要課題となってくるだろう。 また、キーカスタマイズ機能や、解像度の変更もできないため、克服されることが期待される。さらに付け加えておくと、キャラクタが紙である理由や、「Paperman」の世界のストーリーについてCykanからはまったく語られておらず、こうした部分も補強していくべきだろう 「Paperman」の登場は、「Counter-Strike」の登場後、長らく多くのユーザーを掴む新規タイトルが不在であったスポーツ系FPSに、思わぬ伏兵が登場したと言えるのではないだろうか。チュートリアルマップやシングルでの練習モードなど、初心者向けのカバーがサービスに盛り込まれれば、初心者からコアユーザーまでを広くカバーするタイトルとなるだろう。今後のサービス展開が楽しみな一作だ。
Copyright (C) Cykan Co.,Ltd. All Rights Reserved.
□Cykan Entertainmentのホームページ (2007年4月11日) [Reported by 三浦 尋一 / Dong Soo “Luie” Han]
また、弊誌に掲載された写真、文章の転載、使用に関しましては一切お断わりいたします ウォッチ編集部内GAME Watch担当game-watch@impress.co.jp Copyright (c) 2007 Impress Watch Corporation, an Impress Group company. All rights reserved. |
|