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G★ 2005現地レポート

新生Gravityの新作はカジュアルFPS「ペーパーマン」
「ラグナロク2」は未出展、カジュアルゲームが中心

11月10日~13日開催(現地時間)

会場:韓国国際展示場(KINTEX)

入場料:5,000ウォン(約500円)
子供3,000ウォン(約300円)


 柳日栄CEO体制になってから初の大規模出展となるGravity。最大規模のブースを構え、メインステージを中心とした派手なイベント攻勢で来場者にアピールするなど、例年通りの存在感を示していた。

 ただし、ブースで受けた印象は例年とは異なる。同社の代名詞的存在である「ラグナロク」カラーはずいぶん薄くなっており、「ラグナロクオンライン」関連コンテンツは、似顔絵等のファンサービスと新グッズの公開に留まり、期待された「ラグナロクオンライン 2」も未出展だった。

 その代わりに新コーポレートロゴと共にブースを飾っていたのは、G★が初公開となる「ペーパーマン」を筆頭としたカジュアルオンラインゲーム。同社の確かな変化を感じ取れた出展内容だった。

【ラグナロクオンライン】
今年のGravityブースは「ラグナロクオンライン」は控えめな出展だった。出展規模は決して小さくはないが、従来の全面展開に比べるとずいぶん大人しめである。退任した金正津体制からの変化を感じさせる

【ラグナロクオンライン 2】
「ラグナロクオンライン 2」は、東京ゲームショウで流した映像の拡張版を公開し、試遊台は置かなかった。同社によれば戦略的な判断からということだ。詳しい内容は、別途、開発者インタビューにてお届けするのでお楽しみに。掲載写真は、同作に登場する3種族(Norman、Ellr、Dimago)の設定イラスト。Ellrはずいぶん可愛らしいキャラクタ設定だ


■ 紙製のキャラクタが戦う異色の“First Paper Shooting”「ペーパーマン」に注目

Gravityではすっかりお馴染みのステージイベントはG★でも健在。たえまなく終日行なっているのはGravityぐらいだろう
「ペーパーマン」のイメージイラスト。「Quake 4」や「Counter-Strike」の対極に位置するFPSといっていい
ショウ2日目にはプレスを集めて発表会も行なわれた。既存FPSとの差別化と、初心者層の取り込みをアピール。着想は米人気アニメ「サウスパーク」から得たという
 今年のGravityブースで光っていたのはなんといっても「ペーパーマン」だ。「ペーパーマン」は、初日のレポートでも紹介したように、Gravityが自社開発で取り組んでいるカジュアル層をターゲットにしたアクションシューティング。開発に約1年、オリジナルエンジンを採用した意欲作である。

 その特徴は、キャラクタが1枚の紙をくりぬいた形をしていることだ。紙ゆえに、銃弾を受けるとポツポツ穴が空き、炎に触れると燃え上がり、手榴弾の爆風を受けると体が宙に煽られる。致命傷を受けると、羽毛のマクラを撃ち抜いたかのように紙くずが吹き出し、ピアノ線が切れたかのようにパタッと倒れる。また、1枚の紙で出来ているために、真横から見ると線にしか見えず、銃弾が当たらない。その戦う姿は非常にユーモラスだ。

 ゲーム性そのものは、FPSの代名詞である「Counter-Strike」に近い、クラン戦を意識したチームベースのラウンド制を採用している。銃器もBB弾の模造品ではなく、実銃を採用。銃器だけはやけにリアルに描画されているため、1人称視点ではごく普通のFPSに写る。

 しかし、ひとたび戦闘が始まると、ぺらぺらした文字通りの紙の体をしたキャラクタたちが、ステージを所狭しと暴れ回り、各所で銃撃戦を展開する。その姿は、街角にいそうなおしゃれな服だったり、体操服姿だったり、ネコミミメイド服だったりするわけだが、このシビアな銃撃戦と、それを演ずるキャラクタたちの可愛らしさのギャップがもの凄い。この違和感が大いにプレイ欲をそそらせてくれる。落としどころが絶妙なゲームデザインだ。

 ビジネスモデルは、韓国のトレンドである、クライアント無料、基本プレイ無料のアイテム課金制を採用。プレーヤーは、男女別10種類前後のバリエーションから1キャラを選び、戦功を上げることで蓄積されていく経験値によってレベルアップを図ることができる。ただし、レベルを上げてもキャラクタの性能に変化はなく、身につけられる服装がより多くなるといったレベルに留まる。

 身につけられる装備品は、銃器、ハンドガン、ナイフ、手榴弾と、そして衣服。銃器は、マシンガンやスナイパーライフルなど、プレイスタイルに応じて複数のタイプが用意されており、最大3つまで同時に携行できる。衣服に関しては、アーマーやヘルメットといった防弾アイテムは影も形もなく、ブーツまでおそろいのワンピースやゴーグル、ネコミミ、髪飾りなど、とてもFPS用のアイテムとは思えないような非実用アイテムで埋め尽くされている。

 ゲームモードは、最大8対8の16人対戦までサポートし、ステージは地下鉄やカフェ、ディスコなど、一般に馴染みのある風景が採用されている。現在は3ステージのみだが、今後も続々マップを追加し、12種類程度は揃えるという。

 韓国でのサービス開始時期は、年内にクローズドβテストを開始し、3月までにオープンβテスト、オープンβテストでの反応を見つつ、順調にいけば2006年上半期にも正式サービスへ移行する方針だという。気になる日本展開については「現在パブリッシャーと交渉中」とのことだ。カジュアル路線からFPS界に殴り込みをかけるというアプローチが非常に斬新。日本展開を大いに期待したい要注目のタイトルだ。

【ペーパーマン】
初公開されたスクリーンショット。FPSの部分の開発はほとんど終えており、今後はキャラクタ部分の拡充を図るという。少しプレイしてみた限りでは、FPS部分もしっかりしており、初心者のみならず、コアゲーマーがプレイしても楽しめそうな感触だ
観戦モードで見ると、より楽しめる。画面は体操服姿で、ディスコのスタッフ用通路を疾走する女性キャラクタ。体操服、運動靴姿でスナイパーライフルを構える。ここがポイントである
こちらがアイテムモール。衣服は試着しながら買うかどうか選択できる。キャラクタは正面と後ろから姿を確認できる。紙なので横がない。画面は、ポニーテールの女性キャラクタにメイドセットとネコミミ、花飾りを付けてみたところ。続けて携行する銃器を選ぶ。メインはAWPか、MP-5か。このギャップがなんとも楽しい


■ オンラインゲームプラットフォーム「スタイリア」はコンテンツを拡充して2006年に始動

大々的な出展を行なっていたオンラインゲームプラットフォーム「スタイリア」。2006年上半期の正式サービス開始を目指す
「スタイリア」のイメージイラスト。キャラクタはいわゆる萌え路線とはやや異なるポップな感じだ
 初日のレポートでもお伝えしたように、韓国大手メーカーは、自社のコンテンツ開発力を活かし、カジュアルゲームにフォーカスした独自のゲームポータルビジネスに力を入れてきている。NCsoftの「PlayNC」、Nexonの「NEXON.COM」などがその代表だが、Gravityは少し違ったアプローチでゲームポータルビジネスに参入しようとしている。それが「スタイリア」である。

 「スタイリア」は、厳密にはゲームポータルではなく、オンラインゲームプラットフォームというべき存在で、「スタイリア」の先には、通常のゲームプラットフォームと同様に、膨大なゲームコンテンツが用意されている、というイメージだ。

 「スタイリア」のプラットフォームたるゆえんは、自らの分身であるアバター(キャラクタ)を「スタイリア」で一元管理し、「スタイリア」で作成したキャラクタを、そのまま様々なゲームコンテンツで使えるというところにある。通常のゲームポータルでは、ゲームポータルのアバターと、ゲームコンテンツ内のキャラクタは別物であり、アイテム課金はそれぞれ別に発生していた。それをプラットフォームとして一元管理することで、メーカーとユーザー双方の無駄を無くそうという、他社よりさらに1歩進んだ考え方だ。

 このため「スタイリア」では、アバターの服装に関しては「スタイリア」で揃え、銃器やスポーツ用品などゲーム専用アイテムはゲームコンテンツで揃えるというスタイルを採る。1stタイトルであるオンラインテニスゲーム「LOVE FORTY」を例に取ると、服装は「スタイリア」で揃え、テニスラケットやシューズは「LOVE FORTY」で揃えるということになる。「スタイリア」内のコミュニティで得た仲間と一緒に、テニスをやりに「LOVE FORTY」へ行く。試合が終わった後は「スタイリア」に戻って歓談といったプレイスタイルをイメージしているようだ。

 ビジネスモデルもユニークで、アバターアイテムに関しては、各コンテンツの同時接続者数に応じて折半し、ゲーム内アイテムはGravityとコンテンツ開発側で半々となる。一見、Gravityが非常に有利なビジネスモデルのようにも見えるが、Gravity側は「スタイリア」運営者として、コンテンツ開発元に対して、「スタイリア」プラットフォームとアバターの利用権、そして開発キットを無償で提供している。まさしくオンラインゲームプラットフォームと呼ぶにふさわしい構想である。

 今年9月、東京ゲームショウで出展された時点では、まだサードパーティーの参加が不鮮明で、企画倒れになる恐れがあったが、今回はプレイアブルは「LOVE FORTY」のみだったものの、すでに発表済みの「LOVE FORTY」(テニス)、「THE TV HEROES」(横スクロールアクション)、「HOOPS」(ストリートバスケ)の3タイトルに加えて、新たに5タイトルが発表された。

 具体的なラインナップは「Jump Starz」(ジャンプアクション)、「Snow GT」(スノーボードアクション)、「Jelly Jelly」(クイズ)、「不良ドッジボール」(ドッジボール)、「Storm Fighter」(対戦アクション)の5タイトル。いずれも新興のメーカーが開発を手がけたサードパーティー製というところが最大の特徴で、光明が見えてきた感がある。

 ゲームポータルとゲームコンテンツは、それぞれ独立した部分があるため、いずれかが優秀であれば、力押しで成功することがままありうるが、「スタイリア」は両者が直結しているため、双方の連携が欠かせない。ゲームポータルとしてはもっとも高いポテンシャルを誇る「スタイリア」がどう進展していくのか、今後も注意深く見守りたいところだ。

【「スタイリア」コンテンツ】
左がテニスゲーム「LOVE FORTY」、右が横スクロールアクションの「THE TV HEROES」。一見普通のカジュアルオンラインゲームに見えるが、同じタイプのキャラクタが活躍している。これが「スタイリア」最大のウリである

【タイム&テールズ】
G★で初めて発表されたMMORPG「タイム&テールズ」。「巨商」や「君主」を開発したスタッフが手がけた2DベースのストーリーMMORPG。MMORPGとRTSをミックスさせ、5人の傭兵を雇うことで1人でも6人パーティーで冒険が楽しめる、ソロ機能の高さがウリになっている。冒険の舞台は古代韓国からスタートし、時空を超えて日本やイギリスにも旅することになる

□G★ 2005のホームページ
http://www.gstar.or.kr/

(2005年11月12日)

[Reported by 中村聖司]


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