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■ ロックワークスの2007年の戦略は、実績のある武侠MMORPG2タイトル
ロックワークスの新たな韓国産タイトルとなる「十二之天」と「九龍争覇」の2タイトルは、同社が2007年の主軸として位置づけているタイトルだ。すでに両タイトルとも、公式サイト等を通じて発表済みで、「十二之天」については、3月26日からクローズドβテストを実施している。今回の発表会では、残念ながら具体的なサービススケジュールやビジネスモデル等は発表されず、「近日発表予定」と伝えるに止まった。 順序としては、すでに韓国では正式サービスを実施している「十二之天」をまず初めにサービス開始し、次いで「九龍争覇」という流れになるようだ。ビジネスモデルについては、アイテム課金制を想定しているが、未確定としている。 「十二之天」と「九龍争覇」は、韓国での開発元も運営元も異なり、直接の関係はないものの、おもしろいほど共通項を持つタイトルだ。まず、韓国オンラインゲーム市場で根強い人気を持つ“武侠モノ”であり、共にすでに韓国で正式サービスをスタートしている。また、ビジネスモデルも月額課金制から途中へとアイテム課金制へとビジネスモデルを転換し、その過程でグラフィックスエンジンも入れ替えている。
つまり、両タイトルは純粋な完全新作ではないが、その分、これまでに十分な開発経験やサーバーの安定性といった確かな実績を積み上げてきている。オンラインゲームビジネスの難しさは、必ずしも真新しい新作が良いとは限らないところであり、その意味では、ロックワークスの取り組みは、既存の韓国新作タイトルを同時配信するライセンスビジネスとは異なる新手のビジネスという見方もできそうだ。
■ 三つどもえにフォーカスを当てた「十二之天」、武侠ストーリーなら「九龍争覇」
基本的なゲームデザインは、多対多の戦いに焦点を置き、「白道十三天」、「覇王破天連」、「血茂教」の3勢力の存在を背景に、勢力の象徴「聖石」をかけた三つどもえの争奪戦や、ダンジョン争奪戦などが楽しめる。 派手なエフェクトを発しながら地上を駈けたり、空を飛翔したりといった要素はいかにも武侠らしいが、モンスターや武具のデザインは、アジア各地の神話も取り入れたオリエンタルな雰囲気を漂わせており、ガンホーが展開している「TANTRA」あたりと競合しそうなデザインである。 「九龍争覇」は、韓国のデベロッパーINDY21が開発し、2005年12月に正式サービスを開始している。韓国でのパブリッシャーはNEXONで、2006年8月からアイテム課金に切り替えている。 「十二之天」と比べると、1年ほど新しいタイトルだけにグラフィックスは綺麗だ。キャラクタモーションもモーションキャプチャを利用して、少林寺をはじめとした9つの門派の技を豊かなアニメーションで再現している。ビジュアル的な訴求力は「九龍争覇」のほうがやや高い。 ゲームにはタイトルにもなっているように9つの勢力(門派)が登場する。プレーヤーは浪人からスタートし、いずれかの門派に入門することで、門派間の争いや白道対黒道という大枠での争い、そして個人戦「天下武闘会」といったさまざまな種類の戦いを楽しめる。 具体的には、開幣、魔教、黒龍幣、武当派、鉄拳門、秘宮、緑林盟、少林寺、世家連合の9つの門派が存在し、その頂点に立つものを九龍と呼ぶ。各派閥は白道、黒道、中立のいずれかに属しており、離脱、移籍なども可能だという。また、浪人のまま過ごすことも可能だという。「九龍争覇」は、個人、門派、白道対黒道という3つのレイヤーで争われるのが最大の特徴となっている。 と、こう書くと「九龍争覇」も「十二之天」と同様に対人戦がメインのMMORPGになっていると思われがちだが、「九龍争覇」のもうひとつのウリが、武侠小説風の濃厚なストーリー展開である。帝龍行(九龍の軌跡を辿る)、侠客行(門派を超えた物語)、奇縁行(出会い、別れの物語)、武林行(所属門派の物語)、武林小事(所属門派のサイドストーリー)といった複数のストーリーカテゴリが存在し、これらストーリーの軌跡がそのままログとして記録され一個の武侠小説「江湖風雲録」として記録されるという。武侠が好きで、なおかつ対人戦と武侠ストーリーに興味があるならもってこいのMMORPGと言えそうだ。 実際のイベントの内容については、「十二之天」と「九龍争覇」の比較対決という構図は悪くないと思ったが、内容がすべて引き分けという予定調和の内容には辟易させられた。ライセンサーに遠慮して作品の善し悪しを伝える意志がないのなら、最初から比較対決という構図を持ち込むべきではない。会場には多数の関係者が詰めかけていたが、「結局、似たようなMMORPG」という認識しか抱けなかった参加者は多いのではないかと思う。
繰り返しになるが、サービススケジュールは未定としている。「十二之天」はすでにクローズドβテストがスタートしているため、順調にいけば夏前にはプレイできそうだ。「九龍争覇」に関しては、ストーリー部分のテキスト量が多いことに加え、技のエフェクトにハングルが組み込まれており、日本語のスクリーンショットも未公開ということから、ローカライズにまだしばらくの時間が掛かりそうだ。武侠モノ2連発という戦略が吉と出るか凶と出るかはわからないが、今後の展開に注目していきたいところだ。
「十二之天」
「九龍争覇」
□ロックワークスのホームページ (2007年4月9日) [Reported by 中村聖司]
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