★Xbox 360ゲームレビュー★
唸るチェーンソー! 炸裂するパワフルグラフィックス!
カバーポジションを駆使して戦うハードコア大作
「Gears of War」 |
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- ジャンル:アクション
- 発売元:マイクロソフト株式会社
- 開発元:Epic Games
- 価格:7,140円
- プラットフォーム:Xbox 360
- 発売日:発売中(1月18日発売)
- CEROレーティング:Z(18歳以上のみ対象)
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筆者と「Gears of War(以下、GoW)」の最初の出会いは、2006年のE3だった。多数のXbox 360用タイトルが出展されている巨大なマイクロソフトブースにおいて、「GoW」は一般向けのスペースから隔離された招待客用の豪華なクローズドスペースに置かれていた。商談やインタビューなどを終えた来場者を誘導してプレイさせていたようだ。それほどに特別な扱いをされているタイトルの存在に驚きつつ、筆者もプレイさせてもらった。
あまり英語に慣れていない筆者にスタッフが「(敵に近づいて)Push B! Push B! 」と声をかけてくる。言われるままに敵の近くでボタンを押すと、アサルトライフルについているチェーンソーがグイーンと唸りをあげてそのまま敵を切り裂いた! 「Wow! 」と声をあげるスタッフとハイタッチ。気合の感じられるグラフィックスもあいまって、「あ、このゲームはなんだかすごいぞ」と感じたのは言うまでもない。E3 2006の中でも非常に印象の強い思い出となった。(ちなみに、そのときの記事はこちら)
さて、いきなり思い出話からはじめてしまったが、「GoW」は北米版とアジア版が先行して発売され、300万本を超える販売実績を誇るという大作アクションシューティングタイトル。GDC 2007にてGame Developers Choice AwardsのBEST GAMEに選ばれるなど、世界的なヒット作となった。開発は「Unreal」シリーズを手がけるEpic Games。本作にも次世代グラフィックエンジン「Unreal Engine 3」が使われており、リアルな挙動と美麗なグラフィックスが魅力になっている。過激さばかりではなく、障害物に隠れるカバー、リロードアクションなど、ゲーム性も豊か。
なお、チェーンソーで敵を切り裂く描写を筆頭に、本作にはリアルで残虐なシーンがあるため、CEROレーティングは「Z区分(18歳以上のみ対象)」となっている。大変残念だが18歳未満のゲームファンは、本作のプレイを18歳になるまでお待ちいただきたい。
■■ 注意 ■■
- このゲームはCEROレーティング:Z(18歳以上のみ対象)であり、18歳以上でない方の記事の閲覧はお断りいたします。
- GAME Watch編集部では、この記事についての個別のご質問・お問い合わせにお答えすることはできません。
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■ 地底から次々と湧き出るローカスト軍と戦うCOG軍のストーリー
「GoW」は、地中より突如現われる異形の怪物「ローカスト」軍と、統一連合政府「COG」軍を代表にする人類の戦いが描かれている。舞台である惑星「セラ」は、激しい戦争によって90%以上が廃墟と化した荒廃した世界だ。ハードな世界観、Z区分にあたる描写など、ゲーム全体の雰囲気は殺伐としている。
主人公は過去に英雄とも呼ばれたマーカス・フェニックス。彼は父親の命を救うため上官の命令に背いたとして、懲役40年の罰を受けた囚人だ。マーカスが投獄されてからも戦況は悪化の一途をたどる。ローカスト出現から14年後。彼が服役中の刑務所にもローカスト軍が押し寄せる。その事態に部隊の迎えを受けたマーカスはCOG軍の戦線に復帰する。ゲーム中のシナリオはこのシーンから始まる。
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OPムービーより。地球に近い文化を持つ平和な惑星セラ。だが、突如として地底からローカスト軍が現われ、殺戮が開始された。人類はCOG軍を筆頭に抵抗するも戦況は悪化。占領された都市や基地を軌道衛星からの粒子ビームによって爆破するという賭けに出た。こうして惑星セラは90%以上が廃墟となった |
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「GoW」の代表的なアクションのひとつ“カバーポジション”。敵味方問わず、障害物に身を隠しながら戦う |
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身をかがめてダッシュするローディーラン。ドカドカと足音が鳴り、カメラワークもガクガクと揺れ動く |
「GoW」は後方視点型のシューティングアクション。略称でいうところのTPS(Third PersonView Shooting)だ。次々に現われるローカストをチームの仲間とともに殲滅し、シーンごとのタスクを完了させていく。チームはマーカスを含めて4人の小隊だ。移動中はもちろん、戦闘中にも仲間からの声がリアルタイムに聞こえてくるため雰囲気がよい。シナリオが進むと、部隊のリーダーとしてプレーヤーが仲間にチームコマンドも出せるようになる。
本作は移動のアクションに特徴が多い。最も代表的なのは身をかがめながら前方にダッシュする「ローディーラン」と、障害物にはりついて隠れる「カバーポジション」だろう。ローディーランでザクザクと重そうな音を立ててダッシュする様はなかなかに格好がいい。直線的に走るため、左右にスティックを入力すると、その場で方向転換するわけではなく、高速で走る車のカーブのような慣性がかかる。また、腰をかがめて移動するので、通常よりもカメラ位置が下がり、視界は悪化する。
カバーポジションで近くの壁や柱、瓦礫などに体を隠し、敵の攻撃から身を守りつつ応酬するのもリアルだ。体を半分出して狙いを定めることもできるし、体を隠したまま武器だけを出して射撃する「ブラインドファイア」も可能。ブラインドファイアはリスクが少ないが照準は定まらない。主に、敵への牽制的な役割になる。
カバーポジションからの動きも豊か。移動に使う左スティックと移動アクション用のボタンを組み合わせることでさまざまな移動方法につながる。「マントル」という動作は、低い障害物に隠れている体制からよじ登って前に進む。「スワットターン」は、カバー状態から近くにある別のカバーポジションにすばやく移る動きだ。近くにカバーポジションがない場合は「ダイブ」という飛びのく動作になる。多少複雑ではあるが、慣れて使いこなせるようになると、実践的なそれらしい動きができる。本作はカバーポジションが最大の特徴であり、そこから派生するアクションや動きが新しい。
ローディーランとカバーポジションは、移動アクション用のボタンを押しっぱなしにすることで連続的に行なえる。身をかがめて前方にダッシュ、そのまま障害物に身を隠しブラインドファイアでけん制射撃。スワットターンで近くの障害物へと移りながら、隙をみてローディーランで移動する。ちなみにカバーポジションの動作は敵のローカストの兵士も多用してくる。障害物に身を隠しながら、射撃を繰り返しつつ互いの距離を詰めていくローカスト軍とチームの仲間たち。その様子は自然で雰囲気抜群だ。
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カバーポジションからローディーランで次のポジションに移動し、ブラインドファイアという3コマ。この動作を流れるように行なえる |
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カバーポジションを乗り越える動作「マントル」から、ローディーランで次のポジションへと移動の3コマ。こうした移動のアクションが本作の醍醐味だ |
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ライフが減少すると苦しそうにひざまづいてダウンする。近寄ってリバイブしてあげると回復する |
高精細で美しいグラフィックスも特筆すべき点だ(映し出されているものは死体等のグロテスクなものであったりするが)。建物、爆煙、ローカストたちとCOG軍の複数のキャラクタが陰影の描写をしっかり受けて空気感すら伝わる世界の中で動く。だが、グラフィックスの質というかニュアンスは自然なものだ。こうした高精細なグラフィックスだと細かすぎて画面が見づらくなってしまうため、タイトルによってはキャラクタの輪郭に縁取りをつけたり、アイコンの類を多用したりする。「GoW」はそうしたことをせずに、いずれも自然に映している。
自然な描写やリアリティを重視したタイトルでは、ゲームとしての仕掛けが背景に埋もれてしまってゲームとしては遊びづらくなってしまうこともありがちなのだが、そうした事柄も気にならなかった。遠景ほどボケる被写界深度のフィルターがかかっているのも、描写の精度だけでなく、視認性の高さにも寄与していると思われる。COGの仲間が一種のガイドになるため、道に迷うこともないし、マップ上のギミックなども自然と目に付く作りをしている。部分的なアピールをあまりしなくとも成立させる“優等生”的な印象を受けた。
ハードコアでシビアな戦闘に没入できるのはもちろん、高解像度ならではの遠景描画も秀逸だ。HD時代のタイトルで最も大きいのは、やはり遠景の描写ではないだろうか。近距離の敵と応戦しつつも、別方向から敵が現われたこともしっかりと視認できる。こうした結果、かなり遊びやすい。第1作であることもあって、まだまだ進化・洗練の余地はありそうであるが、日本・アジアのタイトルとは異なる方向性の遊びやすさ、レベルの高さを感じられる。
ゲームの難易度はそこそこ高め。ローカストの攻撃は常に激しく、ゲームの難易度を最低のカジュアルにしても、筆者の腕ではだいぶ苦戦した。負傷すると画面に赤いデスインジケータが表示される。インジケータは連続的に攻撃を受けると濃く、はっきりとしたドクロマークになっていく。ライフは時間回復するので無理をせず慎重に応戦しよう。無謀なプレイをするとあっけなく倒されてしまう。
また、一定以上の攻撃を受けると、敵味方を問わず膝を突いて苦しそうにダウンし、動けなくなる。ダウンした仲間は苦しそうな声をあげて助けを求める。近づいてリバイブ(蘇生)すると回復してあげられる。ダウンしたキャラクタや、マップのオブジェクト、ローカストが出現する穴「ローカストホール」などは、Yボタンを押すことでその場所をアップにし、注目できる。仲間の位置やギミックの所在がわからなくなったときに有効だ。
キャンペーンモードのシナリオ展開は1本道ではあるが、途中にルートが分岐するようなシーンがある。分岐シーンでは2人ずつの2チームに分かれて進むが、単純に分離するのではなく、別ルートを進むチームの姿が見えていることが多い。援護射撃などでサポートすることもでき、なかなか面白い。
場面によってはローカストが固定機銃を使って、手のつけられない激しい攻撃をしてくるシーンもある。そうしたところでは仲間からの声がヒントになることがある。たとえば、正面から激しい攻撃を受けているシーンでは、「右だ!」という声が聞こえてくる。右側を向いてみると中を進めそうな建物を発見。そこ通って迂回すると敵の側面を突いて固定機銃の敵を倒す。こうした正攻法で突破できないところには、パズル的な遊びも感じられる。
他にもキャンペーンモードにだけある仕掛けは多い。例えば、空を何百匹の大軍で飛びまわるコウモリのようなローカスト「クリル」が待つチャプターでは、暗がりに立ち入るだけでローカストも人類も区別なく食い殺されてしまう。襲ってくるローカストと応戦しつつも、常に光のある場所にいることが求められるのだ。筆者は最初にプレイしたとき、わけもわからずやられてしまい困惑した。何が起こっているのかを冷静に考え、見回して答えを見つけたときの面白さは、やはりパズル的な面白さだ。
車に乗り込みレースゲームさながらに爆走するシーンでは、老人の「○○時の方向じゃ!」という声を頼りにクリルの大軍にライトを浴びせて撃退する。ストーリー中のアクセントとしてあるほんの一部だけのシーンではあるが、これも通常の戦闘とは全く異なっていて面白い。また、目が見えず、音に反応しながら襲ってくる凶暴な「ベルセルク」は通常の武器では歯が立たない。衛星からの粒子ビーム砲を浴びせる“ドーンハンマー”を使える状況を作るべく、ベルセルクと死の鬼ごっこを展開することになる。
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こちらに突進してくる凶暴なローカスト「ベルセルク」。普通の武器では太刀打ちできないため、突進を避けつつ進む |
銃器では対抗できないベルセルクや巨大なローカストに有効なのが、ドーンハンマー。衛星と交信して天から粒子ビーム砲を浴びせるという破壊力絶大の兵器だ。ただし使用するにはさまざまな条件がある |
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ストーリー中には画面のようなルート分岐がある。2人ずつに分かれて進む |
陽の落ちた街を進むチャプターでは、こうもりのようなローカスト「クリル」に襲われる。画面のように灯りを作って進んでいく |
ローカストの固定機銃を使った猛攻で、正面からは進めない。右側にある通路を通り、迂回して固定機銃を奪取するのが進み方だ |
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本作を代表する攻撃方法“チェーンソー”。回転する刃が敵を真っ二つにする |
武器にはCOG軍の標準的な装備であるアサルトライフルをはじめ、近距離で絶大な威力を発揮するショットガン、ピストル類、スナイパーライフル、グレネードなど、こういったタイトルに欲しい種類はしっかりと抑えられている。さらにローカスト軍が用いるライフルやブームショット(ロケットランチャーのようなもの)、変わったものでは爆発性の矢を放つトルクボウなどもあり、場面によって奪い使い分けることが重要になる。
武器類で本作を代表する存在なのは、冒頭にも書いたアサルトライフルでの近距離攻撃だ。Bボタンを押し続けると先端部についたチェーンソーが起動し、そのまま敵に近づくと相手を真っ二つに切り裂く。敵の叫び声があがり、インパクトは絶大だ。一撃必殺ともいえるチェーンソーだが、起動までに少しの時間がかかり、近づくまでに攻撃を受けると止まってしまうので、扱いは思いのほか難しい。先にあげたカバーポジションをうまく使って隙をつくように近づき、接近攻撃を決めると爽快。
弾薬のリロード中は横に進むゲージが表示される。このとき、もう一度リロードボタンを押すと「アクティブリロード」になる。ゲージ上の白く狭い範囲に止めるとパーフェクト、その周辺の灰色の範囲でも成功となり、リロード時間が短縮される。パーフェクトの場合はリロード時間の短縮に次弾の威力が上がる効果も加わる。できる限り狙いたいが、他の部分で止めると失敗になり、銃はジャミングを起こしてしまう。「クソーッ」と声を出して銃を叩くマーカス。慣れてくると自然にタイミングが身についてアクティブリロードができるようになってくるが、混戦時などに焦るとジャミングしてしまうことも。心理面が出やすく面白いシステムだ。
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マップ中の至るところには、本作のトレードマークでもあるギアにドクロのマークがペイントされている。それは周辺にCOGタグが落ちているという目印だ。COGタグを集めることで実績のロックが解除される。 |
キャンペーンモードはまず本作の世界観や大筋を捉えるというもっともな役割があるが、他にも各種の操作や武器に慣れる意味合い、純粋にプレイを楽しむ意味合い、マルチプレーヤーに向けて腕を磨くなど、人によって様々なプレイ目的があるだろう。後述のCO-OPによる協力プレイでは、さらに楽しみが広がる。
アクションタイトルの肝心なポイントである操作感は、なかなかに良質だ。重量感が感じられる動きながらも、ゲーム全体のテンポは速めで気持ちいい。少し残念なのは、視点変更スティックの操作変更オプション項目。上下は反転できるが、なぜか左右の反転項目がないのか不思議であり、残念だ。
殺伐とした言葉使いや、グロテスクな死体の描写などは、オプションのEXTREME COMTENTの項目をON/OFFすることで多少の調整ができる。また、「GoW」のような昨今のリアルグラフィックス系のタイトルは、暗部の表現なども緻密で、見えづらいシーンがある。本作にはオプションにブライトネス調節があるほか、「デフォルト」、「ブライト」、「スーパーブライト」、「ソフト」という画面のテイストを変える3種類の設定もある。自分の環境にあうものを一度見比べてみるのがオススメだ。
キャンペーンモードのボリューム自体はそこそこ。人によっては短めに感じるぐらいだろうか。シーンの区切りごとに自動セーブされるため、いつでもプレイを終了できる手軽さがある。それゆえに止め時をつけられずに没頭して遊び倒してしまうこともあった。ストーリーの雰囲気としては、ハリウッドのSFアクション映画のような印象が残った。
■ Xbox Live! を介してのオンライン協力プレイ「CO-OP」が楽しい
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CO-OPプレイのホストリスト。自分がホストになってもいいし、ホストのゲームに参加してもいい |
ストーリーモードはCO-OPゲームという、Xbox Live! を介したオンライン協力プレイで2人同時プレイが可能だ。プレーヤーのどちらかがホストになり、そのゲームに参加する。リストに表示されるホストのゲームに参加することができ、友人とのプレイももちろん可能だ。ストーリーモードを1人プレイ中に、友人がオンラインになったとき、ゲームへの招待を送るとそのままCO-OPプレイに移行できるのも嬉しい。
ボイスチャットももちろん使える。筆者は友人とたわいも無い話をしながらのCO-OPプレイが大変楽しかった。声でやりとりができるのは圧倒的に楽だ。1人プレイ時だと自分ことマーカスが致命傷を負うとそのままゲームオーバーとなるが、協力プレイ時はダウン状態が間に入る。もう片方のプレーヤーが近寄ってリバイブさせることで復活する。復帰のチャンスがあるぶんプレイは楽になるが、そのかわりにどちらかが絶命した場合はゲームオーバーになる。
ちなみにルートが分岐するシーンでは、1人ずつが別チームに振り分けられて両方のルートを進む。建物越しなどに双方の様子が見えたり、銃声が聞こえてくるなど、これもまた面白みがある。また、車に乗り込む突き進むシーンもあるのだが、そこでは運転役と攻撃役にわかれる。
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画面左下のように参加したプレーヤーが通知される。画面は1人プレイ時とあまり変わらない |
ゲームの難易度もはっきりと変わるのが体感できる。ストーリーを1人で遊ぶ前提では、最低難易度のカジュアルでもけっこう難しく感じたが、CO-OPプレイなり、上下画面分割なりで2人プレイをするとサクサク進める。こうしたタイトルの初~中級者にとって、文字通りカジュアルな難易度だ。本作は1人で遊ぶことももちろん抑えてあるが、CO-OPやマルチプレーヤーのオンラインにバランスが取られているように感じる。もちろん、2人で遊ぶ時の楽しみは何度も繰り返しているとおりなので、環境がある方には積極的にオンラインプレイを勧めたい。
なんといっても、ボイスで意思の疎通ができることで、文字通りLive! な協力プレイができるところが一番の魅力だ。特に話すことなどなくても、「やばいやばい、助けてー」とか、それこそ乱暴な言い方かもしれないが、「あー」とか「うわー」とか声を出しているだけでも十分楽しくなる。海外プレーヤーとのプレイでは、十分な英会話ができずとも、雰囲気で何を話しているか理解できたり、相槌をうっているだけでもなんとか成立することが多い。ボイスチャットでのやりとりにはまだまだ心理的な敷居の高さ、苦手意識のある方も多いかと思うが、照れを捨てて飛び込んでみるとなんとかなる。ぜひトライして頂きたく思う。
こちらがダウンしたときに、「助けてー」とか「ヘルプミー」などボイスでアピールすれば、リバイブしようとがんばってくれる仲間がいる。“助け合っている感”というか“協力している感”が高まる。力をあわせて真剣にクリアを狙うもよし、COGタグ集めや実績の解除を互いに教えあったりするもよし。なにはともあれ1人プレイ時よりも豊かに遊べるのは間違いない。
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デスインジケータが満タンになるとダウンになる。互いをリバイブしあえるので、1人プレイ時よりも楽にすすめる |
■ 4vs4で世界中のプレーヤーと戦う、スポーティなマルチプレーヤーゲーム
FPS、TPSといったシューティングタイトルでは、オンラインでのマルチプレーヤーゲームも大きなポイントだ。「GoW」のオンライン対戦は、「TRUESKILL」という一種のポイントランキングが影響する「ランクマッチ」と、ランキング対象外の「プレーヤーマッチ」がある。接続しているユーザー数はさすがの大作。海外、国内を問わないのであれば、いずれの時間帯でも対戦相手に困るようなことはない。いつでもクイックにゲームが始められる。
マルチプレーヤーゲームは、いずれもCOG軍4人チーム対vsローカスト軍4人チームというチーム戦になっている、昨今増えた大人数な擬似戦争タイプのゲームではなく、個人の力量が出やすいスポーツライクなスタイルだ。ゲームルールは「WARZONE」、「EXECUTION」、「ASSASSINATION」という3種類。「WARZONE」はシンプルにどちらかを全滅させるゲーム、「EXECUTION」は基本は「WARZONE」と同様だが、至近距離の攻撃でのみとどめがさせるようになっていて、他はダウンする。ダウン時は時間経過で回復するほか、ボタンを連打することで回復を早めることもできる。「ASSASSINATION」は互いのチームにリーダーが決まり、敵のリーダーを倒せば勝利になる。
マップはデフォルトで12種類だが、すでにXbox Live! には無料でダウンロードできる追加マップもある。今後も増加する可能性はあるだろう。どのマップにも共通するのは、開始直後のローディーラン。優位な状況を作るためにもゆっくり歩いてなどいられないのだ。ドカドカと音を立てて走るチームの姿はなかなかに格好いい。
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街の一角が舞台のGRIDLOCKより。このマップは画面の左側が駅のターミナルでスナイパーライフルが、右側にはブームショットが置かれている。シンプルだがどう動くか悩むマップだ |
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ターミナルのスナイパーライフルを早々に手に入れ離脱、ターミナル周辺の様子を見に進んできた敵を狙撃している。状況に対応することが重要で、決まった戦いかたなどはない |
マップや状況によって武器や立ち回りを変えるがこうしたタイトルの醍醐味のシューティングタイトル。本作では、特に位置取りが鍵を握る。どのマップも共通してカバーポジションに使える障害物が点在していて、互いのチームが正面から撃ちあうだけでは致命傷にはそうそう至らない。
ではこれをどうするのか。例えば、敵の正面から1人か2人がカバーポジションを使いつつ、後ろに下がりながら撃つ。すると、敵チームの何人かは誘い込まれるように前進してくるだろう。その間にマップの裏手や横側から回りこんでいたメンバーが、敵の側面や背後から挟み撃ちするような形に強襲する。最終的には挟み撃ちや十字にクロスするように敵を撃てる形になるのが理想的だ。敵のカバーポジションを崩した、数的有利のある戦い方ができるだろう。
もちろん、これはあくまでも、無数に考えられるチームプレイ戦術の一例。書いたように綺麗に決まるとは限らないし、状況によって変化させ、対応することが求められる。ともあれ、そうしたチームプレーをするには、プレイの熟練とボイスでの意思疎通が欠かせない。
チームプレイを重視して本格的に戦い方を練って高みを目指すのも面白いし、各々が自由にその場判断で楽しむのも気軽でいい。ともあれ本作では、「どうしたらもっと勝てるか?」を考えていくと、チームプレイに帰結していくような予感はする。チームプレイの奥深さは無限と言えるほどの広がりがあるだろう。まずは敵の位置情報をボイスで仲間に伝えるだけでもはじめてみると、チームプレイの第一歩目に繋がるかもしれない。
単独のキル数だけを考えてみると、ショットガンの存在感が強いだろうか。先にあげたように、動き回りつつカバーポジションを互いに活用する本作では、単独のライフル射撃だけでは致命傷を取りづらいためだ。近接射撃と攻撃でのみトドメをさせる「EXECUTION」では、その傾向はさらに高まる。そうしたこともあって、チームプレイが薄めのときには、アサルトライフルでの中距離射撃戦はあまり生きず、最終的にショットガン戦に帰結していくことが多かった。
海外のプレーヤーとプレイしたときは、すでにそうした事例を通り越えているのか、それとも好みの問題か。一気に距離を詰めてショットガンを撃ちあう近距離戦に持ち込んでいる場合が多かった。そのため、あっけないほどに早く決着がつくケースが見られる。狙いすましてヘッドショットを狙うというよりも、近づいてショットガンを敵のいる方向にドンッと撃つ。単純明快ではあるが、ちょっと味気ない気もする。
近距離戦といえば、本作の代名詞的存在であるアサルトライフルのチェーンソーがある。これはうまく決まれば一撃必殺となるものの、硬直が長いのが難点だ。チェーンソーを決めた直後に、近くにいたほかの敵に一撃必殺されるというリスクがあり、ダメージを受けると起動しなおしになるのも辛い。そのため、使える場面は数的不利がない場合に限られてくる。これはダウンした敵を踏み潰してトドメをさすストンプキルも同様だ。ショットガンでの0距離射撃や銃での打撃のほうが手早くリスクも少ないため、バランスが傾いているのは少し残念に感じる。
もうひとつ近距離戦において大切なテクニックとしては、グレネードを敵に刺すというものがある。グレネードを装備して敵を殴るとできる技だが、硬直も少なく刺した相手は確実に死亡する。さらにほかのプレーヤーも爆発に巻き込んで倒せる可能性があるなど、利点の多いテクニックだ。
マルチプレーヤーゲームは、プレーヤースキルとチームプレイのスキルが問われるストイックさ、位置取りの奥深さが印象深い。1ゲームはスピーディーでテンポがよく夢中になれる。次はこうしてみよう、もっと敵の動きに早く反応できるようがんばろう、なんて思いつつ遊んでいるうちに、とんでもない時間が経っていることもあったほどだ。マップの作りや武器配置のバランスなどは、とてもうまく取られている。
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マルチプレーヤーゲームより。マップの作りや武器を駆使して立ちまわる。4人というチーム人数は個人のスキルとチームプレイの両面が結果に強く現われる数字だ。スタンドプレーで結果を出すもよし、協力して数的有利な状況を作り出すもよし |
■ 全体の満足度は高いがゆえに、さらなる進化を期待したくなる一面も
美麗なグラフィックスで描かれるシビアでハードコアな世界観。アメリカンなマッチョキャラクタたちと、不気味なローカストたちとの戦い。骨太なストーリーモードをひとしきり楽しんだ後は、CO-OPでの協力プレイ、テンポよく遊べるマルチプレーヤーゲームなど、遊び方が広がっている。全体のクオリティの高さ、遊びやすさはとても優等生的。日本人が思う優秀なゲームの形とは少し異なるかもしれないが、世界規模の大ヒットもうなづける。
本作で最も魅力に感じたのは、オンラインの扱いかたやテンポの良さ。とても秀逸でストレスが貯まらず遊びやすい。海外タイトルにありがちな大雑把さはテイストとして残ってはいるものの、嫌な大雑把さではない。シンプルでスピーディーにプレイに没頭できる。唯一欲をいえば、マルチプレーヤーゲームには、もう少しバリエーションがあったら満足度はもっと高まったかもしれない。
なにはともあれ、本作はZ区分のタイトルだ。年齢制限を守っていただくのは当たり前として、年齢を満たしている方でも、趣味嗜好が合うかが最初の敷居だ。
システム的な魅力はやはりカバーアクションだろう。ストーリーモードにおいても、マルチプレーヤーモードにしても、移動アクションを使いこなすことは必須になる。これまでの他のシューティングタイトルでは、ゆらゆら~っと動き回りながら射撃しあうというシーンが見られた。よくよく考えてみるとずいぶんと大胆な話だ。本作ではカバーポジションを常に意識して立ち回り、理にかなった応酬が自然に発生する。
だが、カバーポジションシステムには難点も感じる。例えば、近距離戦などで敵の攻撃を回避するべくダイブしようとすると、すぐ横の壁にべたっと張り付いて身動きがとれなくなる……。こんな事態に遭遇したことが何度かあった。横っ飛びのような動作をするダイブと、カバーポジションの操作が同一のボタンを使うためだ。そうした現象も意識したうえでの操作が身につけば、別のテクニックに繋がっていくのかもしれないが……。どちらかというと直感的ではなく、予想外の動きをしてしまうことがあった。できれば次回作などにはもう一段の進化を期待したいところだ。
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□Xbox 360のホームページ
http://www.xbox.com/ja-JP/
□「Gears of War」公式サイト
http://gearsofwar.jp/
□関連情報
【3月11日】GDC2007レポート
ゲーム制作のアイデア、シナリオ制作のアプローチから見る「GEARS OF WAR」
北米ファンに賞賛されたゲームはいかにして生まれたか
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20070311/gow.htm
(2007年3月16日)
[Reported by 山村智美]
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