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「三國志 Online」では、プレーヤーは「荊州水鏡村」と呼ばれるいわゆるチュートリアルエリアからスタートし、戦闘の基礎やパーティープレイ、生産技能などを学びながら中立都市「長安」を目指す。長安では「魏」、「呉」、「蜀」の3つの勢力のいずれかに仕えることができるが、どこにも所属しないというプレイも可能である。 ゲームでは関羽や周瑜といったおなじみの武将も数多く登場する。プレーヤーは架空の「三国志」世界の住人として、多くのプレーヤーや武将達と時には助け合い、時には敵対し合いながら、乱世の世界を生き抜いていくこととなる。古代中国の神話要素も取り入れられており、本作ならではの世界観も魅力だ。
■ 6つの武器を使うことで様々な能力を発揮するキャラクタ
クローズドβテストバージョンで実装されるフィールドは“荊州水鏡村”の他、“荊州”、“司隷”、首都“長安”、ダンジョン“石林”となっている。また、キャラクタのレベルキャップは20で、レベルが上がるペースは正式なものに比べて早めに設定している。戦闘と、生産スキルも導入されており、本作の基本要素を体験できる。 今回のテストでは、キャラクタの育成、本作ならではの戦闘システム、生産システムを体験できるだけでなく、クエスト、徒党(パーティー)による冒険、複数の徒党によって編成される「連合」、同じ勢力が集まって結成できるギルドのような「部曲」システムも導入されている。また、三勢力が争う「合戦」のテストも予定されている。合戦では大きな威力を持った「攻城兵器」も登場する予定だという。なお、発表会でその姿を見せた聖獣は未実装となるようだ。 まず体験したのはキャラクタメイキングだ。「三國志 Online」では男女4タイプからキャラクタの基本体型を選ぶ。やせ形からがっしりしたものまであり、特に女性は小さな女の子のようなモデルも用意されている。体型は更にスライドで身長が変更可能になっている。 髪の色や瞳の色、肌の色はもちろん、髪型や顔も多くのバリエーションが用意されており、個性的なキャラクタ像を追求できる。目鼻立ちがくっきりしたエキゾチックなものからおっとりした顔まで様々なものが用意されている。ちょっと意外だったのは「髭」がなかったこと。「三国志」であるならば、髭をたくわえたキャラクタでプレイしたいと思うプレーヤーも多いのではないだろうか。 生まれたばかりのキャラクタが降り立つのは荊州水鏡村である。ここは「初心者村」ともいうべき場所で、テスト開始時には多くのキャラクタでごった返すことになるだろう。ここでプレーヤーは戦闘の仕方や生産方法を学び、クエストにも挑戦する。水鏡村を拠点に冒険をくり返しているうちにプレーヤーは徐々に己のキャラクタの方向性を定めていくことになる。 本作のキャラクタは“武器”によって様々な能力を獲得できる。「三國志 Online」での武器の選択は他のMMORPGのジョブの選択に等しく、武器の選択によって使用可能なスキルが代わり、パーティープレイにおける「役割」が大きく変わってくるものとなっている。 本作の武器には6つの系統がある。いわゆる二刀流である「双手系武器」を装備したキャラクタは攻撃力を大きく増し、敵に多くのダメージを与えるスキルを獲得していく。右手に片手用武器、左手に盾を装備する「片手武器系」は防御力が高く、味方の防御力もUPさせることができる。槍や矛の「両手系武器」は敵の防御力を下げたり、麻痺させたりと敵を不利にさせるスキルを持つ。杖などの「練丹系武器」を装備したキャラクタは回復役として活躍する。扇や木剣の「妖術系武器」は妖術で敵にダメージを与え、弓や弩などの「投射系武器」は遠距離攻撃に力を発揮する。 6つの武器にはそれぞれ個別にレベルが設定されていて、これを上げていくことで様々なスキルを獲得できる。基本的には一番高い武器レベルがキャラクタのレベルになる。1つの武器を集中的にレベルアップするのも良し、いくつかの武器を上げていくのも良いだろう。いくつかの能力を獲得しておけば、徒党を組む際に役割を変えることでより強いチームとなれる。時間をかけることでマルチな能力を持つキャラクタを作ることができるのは特にヘビーユーザーにとって大きな魅力となるだろう。 最初の基本的な武器はスキルを教えてくれるトレーナーに話しかければ入手できる。6つの武器を次々に装備して戦うことは単純に面白い。まずは6つの武器すべてを体験してみるのをオススメしたい。また、双手系武器の「強撃」や練丹系武器の「簡易回復」など、スキルによっては武器が違っても使用できるものがある。基本的に経験値は戦闘終了時に装備をしている武器の系統に入るのだが、これらは他の武器を装備していても使用することでそれぞれの経験値も獲得できる。 戦闘システムはフィールドを歩いている敵をダブルクリックすると始まるリアルタイムバトルだ。ショートカットキーか、画面のアイコンをクリックすることでスキルが発動する。ショートカットキーはオプションで自由にカスタマイズ可能だ。戦闘中に武器の切り替えはできない。ゲームの操作はマウスクリックだけでなく、W、A、S、DのFPS方式の操作なども取り入れられている。今後はゲームパッドにも対応する予定だ。 今回はスタッフの方とパーティープレイも体験させてもらった。仲間のフォローがあると戦闘の楽しさは大きく増す。特に本作では6つの役割をどう振り分けて戦うか、という組み合わせも楽しい。攻撃役と回復役を交代したり、弓と妖術で敵が近付く前に倒す、といった作戦を試してみることもできそうだ。 今回は体験できなかった部分ではあるが、「三國志 Online」の本当の楽しさは、魏、呉、蜀の3つの勢力が中国大陸を統一しようと争うその歴史の“うねり”に身を投じていく所にある。本作では三国志でおなじみの多彩な武将や英雄達とゲーム内で出会い、深く関わり合っていくことができるという。武将はクエストなどを通じて出会うだけでなく、街で偶然であったりすることもあるという。戦場で心強い味方として、あるいは強大な敵として登場する。
ゲーム世界で彼らを前にしたとき、自分は何ができるのか? プレーヤーがキャラクタを育成するのは来るべき英雄達との邂逅に備えて、あるいは武将達に勝るとも劣らない活躍をして、その名を天下に轟かすためだ。もちろん、勢力に所属せずに自由な生き方を求めることも可能だが、自らの、もしくは自分が所属している団体の名を中原に轟かす、という目標に向かって多くのプレーヤーが努力することになるだろう。
■ より強力なアイテムを作成できる生産システム、細部まで描き出された古代中国の世界
生産・採集系統に属すスキルは、すべて水鏡村で習得できる。今回筆者は、概念的に理解しやすい「伐採」と「木材加工」を取ってみた。伐採はフィールド上に生えている大木で行なえる。現在のバージョンでは伐採できる木とできない木の違いがわからず、伐採できる木に巡り会えたのは村からずいぶん離れた場所だった。「木材加工」スキルでは1レベルから様々な品物が作れる。生産品は店で売っているものより性能が良いものを作れるとのことで、こちらの取引も活発になるだろう。 生産スキルを使用する場合は、特定の施設に設置してある設備を利用して各種アイテムを生産することになる。常時多くのプレーヤーでごった返すことになりそうだ。ちなみにクローズドβバージョンでは“チャンネル”にあたる「インスタンス」が複数用意されている。スタート地点はすべてのプレーヤーが同じなためあまりに人が多いと感じたらインスタンスを移動するのが良いだろう。インスタンスの移動は村やフィールドにある「祠」で行なうことができる。 最初の村では簡単なお使いクエストが多数用意されている。ゲーム内の地理や生産、戦闘の基本もこれらのクエストを通じて学ぶことができる。注意したいのはクエストクリア時に入手できる経験値は現在装備している武器系統に入るということだ。経験値はきちんと自分の望む武器技能の育成に使いたいところだ。 レベル10に到達したキャラクタは荊州の北から司隷へ移動し、そしてこの時代の首都である長安を目指すことになる。長安では更に上位のスキルを取得できるほか、魏、呉、蜀の3つの勢力に所属することも可能だ。今回は特別に長安にワープすることで見せてもらったのだが、街の作り込みに改めて感心させられた。特に献帝のいる宮殿はスタッフが細部までこだわって作った自慢の建物だという。 長安にたどり着くことでプレーヤーははじめて中国全土を三分する三大勢力のいずれかに所属することができる。冒頭で触れたように勢力に所属するのは強制されないが、勢力に所属し、仲間とともに勢力のために力を合わせるというのが、同作の基本コンセプトとなっている。無所属という一種アウトローの遊び方を追求するのは、ゲームになれてからでも遅くはないだろう。ちなみにこの都市は「中立都市」として世界の中心を担う。多くのプレーヤーが自勢力、部曲(ギルド)への勧誘を行なっていくことになりそうだ。露店を出すプレーヤーも集まり、とても活気のある場所になるに違いない。この街を中心にどのような人の動きが生まれるか楽しみだ。 本作の世界を歩いてみてうれしく感じられたのはやはりコーエーならではの「こだわり」が随所に散りばめられていたことだ。長安の細かくリアルな作り込みや、都市ならではの活気ある雰囲気だけでなく、荊州のひなびた雰囲気、米を作っているのが水田ではなく、陸稲であるところなど時代や地域性に関して細かく調べているところがよくわかる。こういった“歴史知識”がちりばめられているところがコーエーのゲームの大きな魅力だ。 体験会ではダンジョンである石林も見ることができた。ごつごつした石の柱が天に向かって伸びているその光景は不気味で、フィールドには巨大な蜘蛛やサソリが闊歩している。石林には長安からNPCに話しかけることで入ることができる。「三國志 Online」ではパーティーのみが入ることができるプライベートダンジョンも今後実装される予定だが、クローズドβテストの今回は他のパーティーも冒険しているパブリックダンジョンのみが実装されている。 このダンジョンでは凶暴な動物のたぐいのみならず、モンスターが登場し、急にゲームの雰囲気が変わる。本作は人里離れたところでは神話や民話に語られる恐ろしい魔物達が闊歩する世界が広がっているようである。ダンジョンの敵は強力なため今回は無敵キャラクタで見学したのだが、石の壁は似たような景色が続き深奥部にいるボスまで到達できなかった。多くの仲間と共に挑んでみたいところである。 今回体験会で本作を触れてみて、今までのコーエーのMMORPG以上にカジュアルな作品だな、と感じた。キャラクタを作って基本的なチュートリアルを覚えてスキルをショートカットに登録すればすぐ街の外で戦い、キャラクタを育てることができる。戦闘になれてきたらパーティーメンバーを募るも良し、クエストに挑戦することも、更なるフィールドに足を伸ばしてもいい。本作のハードルがかなり低いのは、海外産MMORPGも意識しているのかな、とも感じさせられた。 カジュアルさだけでなく、世界観の厚みや6つの武器系統、生産システムなど、プレーヤーがこだわることで本作は更なる深みを発揮する。間口は広いながらも効率的なパーティー構成や、スキルの組み合わせ、戦い方や生産方面ではプレーヤーの熱い議論が交わされそうだ。 更に「三國志 Online」の最も大きなテーマである「合戦」はとても気にかかる要素である。発表されている基本的なコンセプトは“数百人のプレーヤーが広大なフィールドを舞台にぶつかる”とのことだが、どのくらいの規模になるかは、今回のテストで調整する方針のようだ。連合や徒党によって運営される「陣形・戦法」や、戦場で建造することができれば強大な力を持つ「攻城兵器」も今回のテストでは体験できるという。今後は「武将」や、多くのプレーヤーが協力して呼び出す「聖獣」といった要素も合戦には絡んでくる。本作の最大のセールスポイントともいえる合戦には大いに期待したい。 今回本作を触ってみて、やはり現在まだこの世界には「核」が足りないなと感じた。三国志はやはり多くの武将達のドラマによって語られる物語である。彼らが登場しない現在の世界はやはり“舞台”にしか過ぎない。プロデューサーの上野氏によれば本作はある程度時代設定に幅を持たせた世界となっており、時代の枠を越えた有名武将が一堂に会するものになるという。現在のところ1勢力につき7人の有名武将が登場する予定だという。どの武将が選ばれるか、三国志ファンとしては非常に気になるところだ。また、董卓や呂布といった3勢力以外の武将達がどのような形で扱われてくるのかも、楽しみに待っていたい。
実施されるクローズドβテストはあくまで「三國志 Online」の序章に過ぎない。武将達が戦場を闊歩し、3つの国が覇権を争う、その世界でどう生きていくか、仲間と共にこの世界で何をなすか、……プレーヤーの様々な“夢”をかなえるためにはクローズドβテストによる基本システムのテストが不可欠である。このテストを実施することでより明確なゲームの具体像が明らかにされていくだろう。
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□コーエーのホームページ (2007年1月24日) [Reported by 勝田哲也]
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