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ついに2007年到来。「ファイナルファンタジー」の運営も5年目を迎え、昨年の4月より始まった本連載も2年目突入となる。本年も微力ながらヴァナ・ディールの生活をより楽しく過ごせるような提案を行なっていくつもりなのでよろしくお願いしたい。 さて、新年を迎えたばかりの今回は、新春特別編をお届けする。昨年12月13日に、正式対応ではないながら「ファイナルファンタジー XI」がプレイステーション 3でプレイ可能になった(※スクウェア・エニックスのサポート対象外)。そこで今回は、「FF XI」が動作するハードを総当りでチェックし、グラフィックスやパフォーマンス、付加機能の違いについて調べてみた。
冒頭ではヴァナ・ディールの年末年始のイベントの模様を取り上げる。年が変わった瞬間の盛り上がりや、お正月イベント「瑞獣祝(ずいじゅういわい)」を紹介する。
● ヴァナ・ディールで迎えた2007年
例年だと「ファイナルファンタジー XI」の新年の瞬間は、ジュノで新年を祝うユーザーの間で、様々なシャウトが溢れ盛り上がっていたのだが、今年は少々異なっていた。というのも「アトルガンの秘宝」登場により、冒険者の大半が拠点をアトルガン白門やアルザビに移していたためだ。 日本時間は2006年12月31日の23時30分。アトルガン白門にいると、これから花火をバザーで配るのでみんなでお祝いしましょう、というシャウトが聞こえてきた。筆者もこれに参加。新年の瞬間が近づくにつれ、人も増え、アトルガン白門の噴水近くは冒険者で溢れかえった。そして新年! 一斉に桜花爛漫や無鉄砲といった花火アイテムが吹き上がる。
海外のユーザーとは新年の瞬間が異なることもあってか、ゲーム内で統一的な動きがないのは致し方ないところだが、ログインページは日本時間の1月1日より、新年仕様に切り替わっていた。
「瑞獣祝」の開催期間は、1月1日から15日17時頃まで。三国周辺から聖地ジ・タ、ユタンガ大森林、ヨアトル大森林、さらにクフィム島に至るまで各地をWood Bugard、Fire Bugard、Earth Bugard、Water Bugard、Gold Bugardという、五行に基づいた名前を持つ巨大なブガード達が歩き回っていた。かなりの巨体と地響き、そしてブガードの顔。迫力がありすぎるためか、レベル上げ中などに予期せず遭遇すると非常に怖い。 先頭の一番大きなブガードに何でもいいのでアイテムをトレードすると、「ブフォッ! ブフォッ!!!」という鳴き声と共に、運勢が占われる。筆者の場合、「計り知れない幸せがくるかも、と言いたいらしい。」という結果だった。ちなみにトレードした直後はプロテスやシェル、エンサンダーなどのちょっとした強化魔法がかかる。通常の魔法よりも効果時間の短いものたが、レベル上げ中に恩恵が得られるとちょっと嬉しい。
トレードした結果まれにもらえるのが「オトシダマ」。これ自体にも謹賀新年など新年のメッセージが付属しており、使うと釣りスキルが一時的に上がるのだが、北サンドリア、バストゥーク商業区、ウィンダス港にはこのオトシダマを欲しがっている子供のNPCがいる。オトシダマをあげると、お礼として3つの選択肢が出現。子供がリンクパールで会話している謎のおじいちゃんに何かを聞いてもらうか、おじいちゃん自身のことを聞くか、というおじいちゃん関連のものが2つ。そして、3つ目は何かモノをもらうというものだ。モノをもらうを選ぶと羽子板のような片手棍「胡鬼板」が手に入った。
最後は、気になるおじいちゃんのことを聞いてみる。すると、高いところは気持ちいい、有料なのはいただけない、何往復もしている、というようなおじいちゃんのいる場所のヒントがもらえた。有料で高いところで往復する場所、とくれば答えは簡単だ。 というわけでいくつかある高い場所のひとつで、ついに謎のおじいちゃんを発見。子供にもらった「胡鬼板」を手にして話しかけると、自分の作った胡鬼板のできばえに満足げなおじいちゃん。黒インク2つと靱皮紙を持っていくと、家具として飾れる水墨画「古塔」を描いてくれた。即席で描いたとはとても思えないほど立派な水墨画だった。
これにて2007年お正月の「瑞獣祝」は完了。来年の子年は鼠。どのようなイベントが展開されるか楽しみだ。
これにより、「FF XI」の対応クライアントはPS2版、Xbox 360版、Windows版の3種類、プレイ可能なハードはPS2、PS3、Xbox 360、Windowsと4種類に広がった。気になるのはやはりPS3でPS2版「FF XI」をプレイするとどうなるのかだろう。また、ラインナップが充実し、年末に人気の高まったXbox 360版が気になっている人も多そうだ。そこで今回はこの4機種で「FF XI」クライアントを総当りにチェックしてみた。
掲載している写真は、筆者の所有するテレビであるソニーの「KDL-L32HVX」に各機種の画面を写し、一眼レフカメラにて固定設定で撮影した。ちなみにテレビ側の最大解像度は1,366×768ドット。俗に言うフルHD画素ではない。HD画素のテレビでは、1,366×768ドットのパネルに各クライアントが出力解像度が引き延ばされた形で表示されるが、フルHD画素では1,920×1,080ドットのパネルに各クライアントの出力解像度が拡大されて写る。このため、例えばPS2のように640×480ドットまでの解像度しか出力されないハードを接続すると、大きく引き伸ばされて画像が荒く見えてしまう。本稿はHDテレビでの一例ということをご了承頂きたい。
続いてPS2版の「FF XI」のディスクを挿入するが、ここでHDD対応のゲームのをインストールするには、10GBをゲーム領域に占有させる必要があると表示される。PS3には60GB版、20GB版があるが、60GB版ならまだしも20GB版では総容量の約半分が消費されてしまうことになる。実際にはPS3が容量の一部を使用しているため、ユーザーが使える容量は10GBよりももっと少なくなる。60GBを選択するなり、購入後にHDDをより大容量なものと換装することを検討してもいいだろう。 ゲーム領域の確保が終わると、PS2ソフトとして「FF XI」が起動する。まずはプレイオンラインビューワーのインストールになるが、ここでPS2との体感の違いが感じられた。インストール時には進捗状況を表すゲージがあるが、この進行が明らかに速い。3分ほどでインストールが完了した。本体スペックの向上はもちろん、HDDの接続がPS2のBB UNITと比べて高速なシリアルATA接続になっていることなども大きく影響していそうだ。 続いては「FF XI」クライアント本体のインストール。オールインワンパック2006を使ったインストールでは、終了予測時間が64分と表示されたが、実際は40分ほどで完了した。また、バージョンアップによるファイルチェック、インストールの動作もやはりPS2と比べて高速。Windows版、Xbox 360版と比べ、クライアントが最小構成であるPS2版である点ももちろんあるが、インストールやバージョンアップにかかる時間は、他の環境と比べても最も速いのではと思えた。
インストール、バージョンアップが終わると、いよいよプレイ開始。ちなみにプレイの際には、PS3のホームメニューのゲームに追加される「Final Fantasy XI」のアイコンからプレイオンラインビューワーを起動する。プレイ時にディスクは必要ない。
実際にプレイしてみた感触だが、次世代機であるPS3ならプレイ中の描画や処理の速度が多少速くなるのでは? という期待があった。だが、実際にはあまり体感できるほどの違いは見られず、PS2でプレイしているときに非常に近い感触だった。あくまでクライアントソフトがPS2版であるため、クライアント側の本体メモリーの使い方や描画、処理のタイミングなどがPS2と同じように行なわれており、PS3というハードと本体スペックの違いがあっても変化はあまり出ないという結果になったようだ。 「FF XI」では、パフォーマンスに遅延が発生している状況では、キータイピングがひっかかる、もしくは入力がなかなかできないというようなことが発生する。PS3ではこの引っかかりや遅延などが軽減されていることに期待したが、基本的にはPS2版の感触とほぼ同様という印象にとどまっている。また、顔文字は初期状態では少ないが、PS2版と同様にPOL内のトピックスより辞書をダウンロードして登録することで追加できる。
PS2版から環境を移す方にとってはほとんどメリットがないという結論になってしまった。サポート対象外ということもあり、現状ではわざわざPS2からPS3にプレイ環境を移すメリットは見いだせない。ただ、他の目的でPS3を購入した人にとっては、追加投資なしでPS2版を動かせる、という見方もできる。ともあれ、筆者としてはPS3への正式対応、あるいはPS3版の発売に期待したいという結論になった。
●オリジナル機能が特徴的なXbox 360版「FF XI」
キャラクタが集まっている場所としてアトルガン白門の競売前に行ったときに強く感じられるのだが、キャラクタの表示距離が狭い。近距離のキャラクタ描画が増えてくるのに伴って、それまで表示されていた中距離のキャラクタは消えてしまった。近距離の描画や表示の美しさは圧倒的なのだが、表示距離に関してはWindows版の最高設定と比べると若干劣る。
コンフィグ機能がない理由についてスクウェア・エニックスに確認したところ、「Xbox 360本体およびXbox Live!などですべての操作がA=決定、B=キャンセルとなっていて、ユーザー側でカスタマイズできないため、「FF XI」だけコンフィグで変えてしまうとかえって誤操作しやすくなってしまうためあえて入れていない」という回答をいただいた。
最後にこれはXbox 360本体の特徴になるが、ゲームプレイ中に好きな曲をBGMとして再生できる。Windows Media Connectで認識させているネットワーク内のWindowsPCや接続しているiPodなどにあるMP3などの音楽ファイルを使えるのだ。このときは「FF XI」側のBGMが完全にオフになるが効果音等のSEはそのままになる。
他に筆者が残念に思う点が3つある。まず、本体の駆動音が大きいということ。同じ次世代機であるPS3は、PS2+BB UNITの組み合わせよりも静かなほど静音対策が施されているのに対し、Xbox 360は常に冷却ファンおよびDVD-ROMドライブが回転して騒音を発生している。もっともこれは「FFXI」だけではなく、Xbox 360の他タイトルを遊んでいるときにも筆者が大変残念に感じている点だ。 2つ目は、HDD容量の問題だ。Xbox 360のHDDは容量が20GBであり、「FF XI」をインストールすると半分近くを消費する。Xbox Liveでのデモ版配信などが数多くあり、それも大きな魅力となっているだけに、1つのタイトルで半分が消費されるのは痛い。Xbox 360のHDDは大容量モデルの選択肢がないことが残念だ。今後のオプションとして大容量HDDの発売が行なわれることを期待したい。
最後は、プレイオンラインビューワーや「FF XI」を起動するのに「FF XI」のディスクが必須なところだ。これはXboxの仕様上の必須事項ということで、「FF XI」だけなしにするわけにはいかなかったようだが、ちょっとしたデメリットである。 Windows版はテレビにあるPC接続用D-Sub15ピンへ接続した。解像度設定は1,280×720ドットと、Xbox 360版と同じ。まず写真を見て感じるのは、色味の違いだろう。Xbox 360版やPS2版と比べて薄く淡い。また、同解像度のXbox 360版の写真と比べると、ステータスやレーダーの表示が小さく、バランスが取れていない。この問題を解消するには、「FF XI」でフロントバッファー(表示解像度)を下げ、バックバッファー(テクスチャ解像度)を上げる必要があるが、結果として表示解像度は低くなってしまう。PCはもっともポテンシャルの高いプラットフォームであるだけに、もう少し柔軟性のあるメニュー周りのオプションの実装を期待したいところだ。 最後にPS2版クライアントでプレイしてみた。PS2版は最も初期の2002年からある環境であり、さすがにグラフィックのクオリティは解像度レベルからして物足りない。だが、キャラクタ描画の軽快さには一日の長がある。
今回試している3種類のクライアントの中では、同時表示数は最も少ないが、表示キャラクタの描画スピードは群を抜いて速いため、もっとも自然な風景を実現している。この点を重視すべく他のプレイ環境があってもPS2版でプレイしているという方もいるだろう。だが、チャットの入力などは処理が重い場面ではひっかかりや変換の遅延などが最も強く発生する。やはり一定の古さは否めない印象だ。
新年の特別編として、本連載では珍しい季節イベント「瑞獣祝」の紹介と、改めて4機種による3種類のクライアント紹介を行なってみた。クライアントソフトの比較では、各機種ともに一長一短が見られる結果となった。PS3版クライアントの発売を望みたいと強く感じたこと、Xbox 360版の個性が印象的だった。 また、ゲームクライアントとしては、PS2版の描画速度の速さが際だっていた。PS2版は、640×480ドット固定という低解像度表示であり、メモリ制限からプレーヤーキャラクタの表示距離も狭い。だが、近距離のキャラクタ描画は群を抜いて速く、オンリーワンの魅力となっている。今回は検証プレイ中に運よく大人数戦闘のビシージに参加できたのだが、他のクライアントとPS2版ではプレイ感すら変わってくるほどの違いを感じた。とは言え、PS2では解像度面やチャット入力などに明らかなパワー不足を感じる。ここはひとつ、PS3向けのフルモデルチェンジバージョンの登場を期待したいところだ。 現状では、高解像度でプレイ環境が最もバランスよく整えられているXbox 360版も魅力的だ。本体の動作音などクセはあるのだが、フレンドとのやり取りなどXbox Liveの機能がプレイ中も使えること、BGMの差し替えができるなど、独自の面白さがある。
今回はおまけとして年末年始のヴァナ・ディールの模様も紹介してみた。本連載がこのまま続き、来年の今頃にも年末年始の模様をお伝えしたいところだ。昨年に本連載を応援、叱咤激励を頂いた皆様、本年も鋭意努力して様々なことにチャレンジしていく所存なので、今後ともよろしくおつきあいください。 (C)2002-2007 SQUARE ENIX CO.,LTD All Rights Reserved.
□スクウェア・エニックスのホームページ (2007年1月17日) [Reported by 山村智美 / Pomm]
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