雛見沢に来てから、楽しい毎日を過ごす圭一たち。そんな彼らの前に、突然現われた刑事――大石蔵人。彼は綿流しの日に行なわれた殺人事件の聞き込みをしているのだという。が、仲間たちは皆、一様に協力的でない。逆に、何かをひた隠しにしているかのような……。圭一は、レナや魅音の脅しに口をつぐむ。そんな彼を、冷ややかに見つめる瞳。――それは、下級生の古手梨花だった。
綿流しの夜、詩音からこの村にまつわる連続殺人の話を聞いた圭一。4年連続?? じゃあ今年も誰かが?! ……と噂をしている時に魅音がやってくる。逃げるようにその場から立ち去る詩音。
「あの子、圭ちゃんに何か言ったの?」
「え、いや……別に?」
「…………なんで隠すの?」
「へ……?」
「隠したって、すぐにわかるんだからね。」
翌日の放課後、魅音に来客があった。わざわざ学校に? 誰が?? 昨夜の件もあったので、思い切って訊いてみる圭一。いきなりズザッと魅音が立ち止まった。キッと振り向いて、俺を見つめる魅音の目。ま……また、あの目……。
「……ゆうべって……?」
「え……?」
「ゆうべのことって……何……」
「だ、だから……祭りの後に、何か起きたのかなって……祟りとか……」
「誰から聞いた?」
「……え?」
「誰から? 誰から? 誰? 誰? 誰っ? 誰っ?! ダレッッ?!!」
……凄みのある問い詰めに固まる圭一。
「……詩音だね。」魅音はぼそっ……と確かめるように言う。
「……おいたが過ぎるね、詩音も。あんまり嗅ぎ回るようなら……仕方ないね……」
――――『仕方ない』…………?
その言葉だけが、薄ぼんやりと見える魅音の影からぞくりと、忍び寄るように聞こえる。ひぐらしの鳴く声が……再び辺りに響き渡っていた。
数日後、今年も殺人事件が発生したことを知った圭一。訪ねてきた警察の大石から事件や魅音について色々と問われる。解放されて帰宅すると、玄関前ではレナが待って……いや、「待ちかまえて」いたのだった。
「圭一くん。何を聞かれたの?」
もしも、自分たちのことを裏切ったら、どうなるかわからないよ? レナの目が、そう語っていた……。
自分は何も悪い事をしていない……と思う。それでも魅音に問い詰められ、大石に尋問され、レナに念押しされ……憔悴しきった圭一は、村の御三家の頭首でもある梨花に相談する。だが、梨花から発せられた言葉は……冷たく、残酷なものだった。
「さよならなのですよ」
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