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会場:インプレス本社会議室
具体的には、オープンβテスト開始後のアップデートに大幅な遅延が発生している。今月中にクラブ間対戦を実現するPvPシステム「クラブバトル」機能や、採取・製造などを含めたアイテム生産システム、そしてゲームパッドへの対応を終わらせ、年内にはアイテムモールを実装し、正式サービスへと移行する計画だった。しかし、現状では、それらの“大ネタ”はすべて2007年にずれ込むことは必至の状態となっている。 実はGMO Gamesはこうした再延期劇は初めてではない。2004年に同社がネットクルー事業部だった時代に「コルムオンライン」のβテストで経験している。当時はラグやアイテムロストといったクリティカルな問題を抱えつつ、本来開発側だったトラブルを、粘りの運営で乗り切り、最終的に商業的な成功へと導いた実績がある。そういう意味では一種のお家芸的な印象もあるが、今回も粘りの運営を期待したいところだ。 そうした中、開発元Actoz Softから同作プロデューサーのLee se min氏と、GMO Gamesの子会社であるNetclueローカルチーム部長のKang,Bong Suk氏が日本に訪れた。目的は、日本の運営状況の確認と、日本のユーザーの意見の吸収、打ち合わせなどとのことだが、絶好のタイミングなのでこの機会に再延期の理由と、今後の展開について話を伺ってみた。
■ ゲームパッド対応は2月予定、アップデートは1カ月遅れで実施。正式サービスは“今春”
Lee氏: まだ1カ月ですので何とも言えない部分もあるのですが、「アニス&フリッキー」の良いところ、弱い点の評価をユーザーから指摘されています。 編: ユーザーから指摘されているのはどのようなところなのでしょうか。 Lee氏: 弱い点はとしては「難しい」という指摘が多いですね。良い評価だと「斬新だ」、「興味深い」といったところでしょうか。今考えているのはこの弱点をどうカバーし、良いところを伸ばしていくかが重要だと思います。 編: 日本のユーザーの「難しい」という声に対して、Leeさんはどうお考えですか? Lee氏: 難しいという評価には2つの理由があると思います。1つはこのゲームが新しいから、やったことがないから。そしてもう1つが単純に難易度が高いということです。新しさにとまどうユーザーに対してはもう少し親切に案内していきたいです。難易度が高いという意見に対してはこちらの方で話し合ってバランシングを調整していこうと思っています。 編: 新しさに対する対応としては、チュートリアルモードのさらなる充実と言うことでしょうか? Lee氏: チュートリアル以外のシステムも考えています。 Kang,Bong Suk氏: 具体的には、チュートリアルはキャラクタ作成時でしかプレイできないのですが、“ヘルプ機能”のようにいつでも操作の仕方を確認できるシステムを考えています。基本的にはテキストによる情報を出していこうと思っています。 編: バランシングの具体的な調整を教えてください。 Lee氏: ゲーム中、連続してジャンプしなくてはいけないところがありますが、そういった難しい部分は調整していこうと思っています。もうひとつ、進んでいるとモンスターが攻撃して来る、という点に関しても、モンスター、キャラクタの強さを調節していきたいと思っています。 Kang氏: トンキーレースなども含めた全体での調整は考えています。それから操作面での難しさを解消していくのも課題です。モンスターやキャラクタのステータス、アイテムといったバランシングも考えています。 編: 個人的にはこのゲームが、ゲームパッドでプレイできれば、とても簡単になるのではないかと思うんですが。 Lee氏: ゲームパッドに関しては1カ月前くらいからNetclueと協議しているのですが、もう基本的な部分はできています。後は日本にどういったコントローラがあるのか、数多く存在するスキルをどう割り当て、どう発動させるかを調整しています。 編: ゲームパッドの正式対応はいつぐらいになりますか。 Kang氏: ゲームパッドへの対応はアナウンスしていたのですが、それが遅れているのはこの作品が元々ゲームパッド向けに作られていないため、その点で開発の難しさがありました。ゲームパッドを使うユーザーは、ジャンプやキャラクタの操作だけでなく、ゲームパッドで全部の操作をしたいと思うので、それを実現させるために調整するのに時間がかかっています。 実際開発してみるとキーボードでのUIも少し変えなくてはいけなかったり、クエスト用のボタンなど、思ったよりも作業が多かったですね。ユーザーの皆さんに扱いやすいゲームパッド向けの操作法を作るのに時間がかかりました。まだ公式発表というわけではないのですが、2月末を目処に実装を考えています。 編: オープンβテストが始まる際に発表した、今後のスケジュール予定がいま手元にありますが、12月と1月に有料化を含め色々な新要素の実装が予定されていますが、まだほとんど入ってませんね。これは何故なのでしょうか? 大柳竜児氏: 純粋にActozさんの開発が遅れていまして、12月の予定は1月の大規模アップデートという形になりました。1月に予定していたものに関しては、ゲームパッドを含めた形で2月になる感じです。正式サービスも2007年春にずれこんでおります。 Kang氏: 開発が遅れているのは事実ですが、課金と合わせて戦略的に遅らせた部分もあります。開発はほとんど終わっていて、日本語化だけの部分もあるのですが、ユーザーの反応を見ながらいつ導入すればいいかを再考している形です。 編: 開発チームが現在最も注力しているコンテンツは何ですか? Lee氏: 「採集システム」、「オプションシステム」、「クラブ間戦闘システム」です。「オプションシステム」というのは武器についている追加効果を他の武器に移す、といったイメージのものです。オプションという名前は、実装時に世界観に合わせた名前に変更する予定です。現在こういった要素は開発はだいたい終わっていて、テストしている段階です。 編: これらが実装されるのはいつになるでしょうか。年内に大きなアップデートはありますか? Kang氏: 大きなアップデートは年内はないのですが、GMO GamesとNetclueで、1月の半ばまでゲーム内イベントを大きくやっていこうと思っています。イベントやPR活動を通じて、「アニス&フリッキー」のブランド化を計っていきます。
今後の予定としては、1月に「採集システム」、「製造システム」、「オプションシステム」の生産要素の実装を1月末に、ゲームパッドへの対応や「クラブ間戦闘システム」、そして新しいテーマのフィールドの実装を2月に予定しています。
■ 童話とおもちゃをテーマにした新フィールド。ストーリーも一区切りを 編: 新しいテーマについて教えてください。 Lee氏: 新しいテーマは童話とおもちゃをモチーフにした世界です。開発内で「ポンカウン」という名前で呼ばれていますが、これはあくまで仮の名前です。今よりも明るい雰囲気で、遊園地のアトラクションのような要素を考えています。 編: レベルデザインやモンスターはどのようなものになるのでしょうか。 Lee氏: 現在のキャップが7Rank8Gradeまでなのですが、次の世界は8~9Rankを考えています。 編: 高レベル向けのフィールドですね。アクションの要素はどうでしょうか。また、何層で構成されているのでしょうか? Lee氏: 現在実装されているテーマ以上に難しいマップもあります。しかし、全部のマップが難しいわけではありません。私たちは1Rankで2フロアくらいを考えているので、今のところ4フロアくらいですね。 Kang氏: 現在企画しているのは高レベル向けですが、下のランクの人も追加で楽しめる要素も考えています。 Lee氏: 現在考えているのは、同じテーマでも「セット」によって違いを出そうと思っています。1つのセットではおもちゃ要素を強くして、違うセットではアトラクション要素を強くしたりですね。 編: ユーザーがそのフィールドへ向かう目的は何でしょうか。 Kang氏: レベルアップ、新しいモンスターと戦う楽しみ、新しいアイテムなどですね。まだ確定ではないですが、9Rankをレベルの頂点と考えてまして、新しいフィールドで一端ストーリーの区切りがつく予定です。現在もボスが登場するインスタンスダンジョンがありますが、新フィールドでも強力なボスモンスターが登場します。 インスタンスダンジョンには非常に面白いモンスターがいます。未来テーマではタコ型モンスターが登場しますが、まだ見たことのないユーザーが多い。見てもらうためにどう誘導するかも今考えています。 編: 他のゲームでは、「エピソード」といった区切りでストーリーを追加していったりしていますが、「アニス&フリッキー」ではどうでしょうか。何かタイトルのようなものは付けるのでしょうか。
Lee氏: 2月末で入るアップデートで、1つのストーリーの区切りがつきます。ストーリーの名前に関しては、スタッフの中で冗談で考えていますが、正式なものはありません。壮大なタイトルにするのか、「アニスとフリッキーの恋愛話」、といったコミカルなものにするのか現在調整中です。
■ 新しいプレーヤーキャラクタ、課金アイテムのアイデアは?
Lee氏: 未定です。現在は、当初1月までに予定していた内容を、2月のアップデート盛り込むために開発に集中しています。計画そのものはありますが、具体的な計画についてはまだ決まっていませんね。 Kang氏: 実は、一度完成して、実装が検討されるところまでいったんです。アニスやフリッキーは電脳世界に接続しているテスター、つまり人間なのですが、3番目のキャラクタはそうではありません。ペットのような動物っぽいイメージです。独特なキャラクタなのですが、世界観と合わないという意見もあって、どうするか検討しています。私も見せてもらったのですが、もうちょっとかな、とも思いました。 グラフィックスは良いのですが、設定部分はまだで、現在の状態で実装されてしまうと、「こいつ何?」といった感じで、浮いてしまう印象が強かったんです。それで今後、ということになりました。 編: アニスとフリッキーの方は、新しい職業などは登場するのでしょうか。 Lee氏: 職業の追加はないです。先の将来はまだわかりませんが、2月まではありません。 Kang氏: ユーザーから新職業に関しての声が多ければ考えていくのですが、現在は2月のアップデートに力を注いでいるところです。 編: 日本のユーザーから多い要望はどんなものがありますか。 Lee氏: やはりゲームパッドの要望が大きいですね。 Kang氏: あとは操作が難しい、マップも難しいと言われています。これは解決していこうと思っています。操作を簡単にしようと言うことで、マウスで移動できるようにもしてみたのですが、実際はその移動機能を使っている人がいません。マウスで移動するとジャンプのタイミングがつかめないんですね。 編: 2007年春に実装されるというアイテムモールの品揃えと、どういったことを考えているかを教えてください。 Kang氏: 課金の具体的な日付は改めて発表しますが、アイテムに関してはNetclueと開発で協議しながら考えています。課金システムに関しては時期が早すぎてまだお話ができないというのが正直なところです。Netclueとしては、「コルムオンライン」の経験があるので、どういったものが人気があるのかを考えています。 開発の方で検討しているのは「アニス&フリッキー」のアクション要素、アドベンチャー要素を活かせるアイテムです。例えばロータスの回数を増やすものや、消費型アイテム、アバターアイテム、色々ですね。 編: アクション要素を活かしたアイテムについてもう少し詳しく教えてください。 Lee氏: ロータス以外には、トラップで割れてしまったハートを回復するアイテム、あとは死の道に関するものですね。死の道に関しては、「ここまで行ったのに落ちてしまってご破算になってしまった」という様なことを救済するアイテムとかも考えています。まだアイデアベースで具体的な話ではありませんが。 Kang氏: 「途中セーブ」というイメージになるかもしれませんね。後は高いところから落ちてもダメージを緩和するアイテムかなと。 編: 私はユーザーさんが「アニス&フリッキー」のアクション要素を誰もが同じように楽しんでいるかというと少し違うと思うんです。中にはアクションが苦手で、友達と一緒に遊びたいけど、アクション部分は自信がないからできれば避けたい、というプレーヤーもいると思うんですね。 そういったユーザーを救済するような要素が入ってくれば良いなあと思うのですが。例えば、「ゼルダの伝説」のかぎ爪つきロープのような、高いところに一瞬で上れるようなアイテムや、身体能力を高めて大ジャンプができるようになるとか。落ちてもバリアでダメージが回避されたり、空をちょっとだけ飛べたりとか。 Kang氏: 良いアイデアですね(笑)、バランスも考えて参考にさせてもらいます。 Lee氏: ただ、死の道のような一生懸命努力してクリアするユーザーがやる気をなくすようなアイテムは避けたいです。バランスを考えたいですね。 編: 死の道のような、クリアすることでステータスになるような場所はシビアにして良いと思うのですが、パーティーで一般フィールドを進んでいて、アクションが苦手なために置いてきぼりになってしまっているユーザーは救済しても良いかなと思います。
Kang氏: そうした部分はこちらとしても認識しているところで、バランスを考えています。
■ プレーヤー社会に新しい交流を生み出す生産システム 編: 新要素について教えてください。まず、1月下旬に実装されるという「採集システム」や「製造システム」について教えてください。 Lee氏: 採集システムは、マップの色々なところから材料を採集できるオブジェクトを配置します。「廃棄物」のような通常のアイテムとは違うようなものも採集できるようにしたいのですが、細かい部分は現在調整中です。スキルを使うことで材料を集めて、製造システムによってアイテムを作ることができます。 さらにオプションシステムによってできた武器や防具に特殊な能力を付与することができます。強力な武器防具を装備して、モンスターを倒すことができる、というのがユーザーの長期的な目標となります。 Kang氏: 採集、製造、オプションはNetclueから提案したものです。目的としては、現在プレーヤーがあまり行かないマップを、材料採取のために活用でき、ユーザーの動きを活発化させることです。それによってアイテム自体の価値も上がり、ユーザーの取引も盛んになるでしょう。このシステムはアイテムモールの活用にも使えると思います。有料アイテムによって特別に良い物が作れたり、という事も可能でしょう。 1つの新しいゲームシステムが生まれれば、それを活用できるアイディアもふくらんでいきます。有料アイテムも様々なものが用意できる可能性が広がります。 編: 製造できるアイテムにはどんなものがありますか。 Lee氏: 作ったアイテムには、“メモリスロット”のようなものがついていて、これに何かをつけることで更に強化できるようになります。モンスターからドロップされるアイテムにはこれがありません。 編: そうなると生産システムは人気を集めそうですね。 Kang氏: 期待しています。そのために、採取、製造、オプションの3つのシステムを1月に一度に投入する予定です。 Lee氏: このシステムによってユーザーの動きも大きく変わってくると思います。 編: 3つのシステムは、別々のスキルが必要になってきますか? Lee氏: 詳しくは明かせませんが、1人のキャラクタが採取、製造、オプションの3つすべて行なうことはできません。他プレーヤーとの協力が必要となります。 編: 次にクラブバトルについて教えてください。 Lee氏: 「リネージュ」の攻城戦をイメージしてくれればわかりやすいと思います。他のチャンネルからも接続できる専用のPvPチャンネルを用意します。この中に5つの拠点があり、クラブでこの拠点を奪い合う事になります。 城や拠点というのはあくまで仮の名称です。拠点にはそれぞれ順位があり、それぞれオープンする期間が決められています。クラブバトルに勝利すればクラブはその拠点を持つことができ、それによってお金や特別な採取アイテムを次の戦いの期間まで得ることができます。拠点は1つのクラブで最高2つまで所有することができます。 「アニス&フリッキー」にはアクション要素があるので、他のMMORPGとは少し違ったバトルが楽しめます。生産システムでより強いアイテムを用意して戦争に備える、というのも楽しいと思います。 編: 拠点の具体的なイメージを教えてください。世界観に即した小さなキューブだったりするのでしょうか? Lee氏: 中央にシンボルのある施設が舞台になります。実際の戦いとしては、モンスターとの戦いと同じようなものになるのですが、防御側は障害物やトラップを配置して攻撃側の行く手を阻んだりすることが可能です。 編: 戦いの最も大きい規模は、クラブの最大人数50人がぶつかり合う50対50の100人規模の戦いになるのでしょうか? Lee氏: 最初に実装するのは、クラブ対クラブ、2つのクラブがぶつかり合うイメージです。このため最大で50対50になります。今後このシステムを発展させていくつもりです。 編: 今後の展望について教えてください。 Kang氏: 今までの話のまとめになりますが、1月の半ばまでPRを行ない、会員を集めていこうと思います。1月末、2月末のアップデートでゲームとしての面白さをどんどん追加させていき、完成度を高めていくつもりです。 編: 最後に、ユーザーへのメッセージをお願いします。 Lee氏: 最初に、私たちが提供したかった新しいゲームを体験してもらっているユーザーには、感謝しています。まだプレイしていない方には、これからもどんどん挑戦的なコンテンツを追加していくので、よろしくお願いします。 Kang氏: X-testやオープンβテストを通じて、ユーザーの皆さんから様々な意見をいただきました。これらの意見を取り入れた要素がどんどん実装されていくと思います。新しい要素をいっぱい持ったゲームです。これからもどんどん充実していきますので、楽しみにしてください。 編: ありがとうございました。
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□GMO Gamesのホームページ (2006年12月22日) [Reported by 中村聖司 Photo by 勝田哲也]
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