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【連載第240回】 あの、おもちゃを徹底レポート




アリの生態をシミュレートした大人向けのトイ!
バンダイ「ant's life studio (アンツライフスタジオ)」

「アンツ ライフ スタジオ」
発売 バンダイ
価格 7,980円
電源 ACアダプター付属
発売日 発売中



 あれほど流行った癒し系という言葉も、今やすっかり廃れてしまった感があるが、今回紹介する「ant's life studio (アンツライフスタジオ)」こそ、筆者にとって究極的といってもいいほどの癒し系のトイだ。内容をひと言でいえば、「アリの生態シミュレーター」。液晶画面の中にアリたちが巣を作り、エサを取り、さらに仲間を増やして巣を大きくする……。そんな様子を眺められるのだ。

 登場するアリは、日本全国で最も多く見かけるクロヤマアリ。クロヤマアリの生態は、日本蟻類研究会が監修をし、緻密で正確なものとして描かれる。


かいがいしく働くアリたちの様子をのんびりと眺める

 本体は、白を貴重にしたシンプルなデザイン。これならリビングでも仕事場でもどこにでもマッチングする。大人を意識したデザインといえる。液晶画面は、青色LED。バックライトを搭載し、青色の画面が心臓の鼓動のようなゆったりとしたテンポで強く光ったり、弱く光ったりと、強弱の演出が付けられている。

 液晶画面の中の世界には、我々と同じ時間が流れ、時折、ヒグラシや鈴虫、あるいは落ち葉が落ちる音などが響き渡る。

 本体には、さらに振動センサーが内蔵され、本体を叩くことでアリをビックリさせたり、クモやミミズなどの天敵を追い払うこともできる。

 基本的な概要は、こんな感じだ。

青色に光る液晶画面がクールで落ち着いた雰囲気をかもし出す 操作は極力シンプル。直感的に操作できるため、ボタンの周囲には何も書かれていない 基本画面。時計とアリの巣の上空の光景を映し出す。ボタンを押すと、アリの巣を映し出す画面に切り替わる


 プレイの内容は、基本的には眺めているだけ。

 アリたちの暮らしぶりを眺めているだけだが、アリたちはかいがいしく働したり、コミュニケーションを取ったり、卵や幼虫の世話をしたり、とさまざまな行動を取っているので、見ていて飽きることがないのだ。

 オープニングは、結婚旅行を終えた女王アリが地上に降りてくる場面。飛ぶ必要のなくなった女王アリは、身をよじって羽を落とし、すぐに巣穴を掘り始める。

 最初の部屋は約1~2日で完成する。部屋が完成すると、女王アリは卵を2~3個産み落とす。卵から幼虫がかえると、女王アリは体をなめたり、移動させたりしてかいがいしく世話をする。

 幼虫はやがてさなぎとなり、卵から約1日ではたらきアリとなる。

女王アリが巣穴を掘り始め、最初の部屋を作るまでの様子。やがて幼虫が生まれ、巣の中が次第ににぎやかになってきた


時間はリアルタイムで進行し、背景は季節に応じて変化する。このように雪が降る日もある
 はたらきアリたちは一生懸命に働く。毎日巣穴を広げ、大きくする。卵や幼虫の世話をする。エサを捕獲し、分け合う。仲間と出会うと、触角をふれあい、挨拶をする。取ってきたエサを一時的に貯蔵する。仲間が死んだら墓を作る。巣穴内で出たゴミをゴミ捨て場に捨てる……。

 少し例を挙げただけで、これだけのことを行なうのだ。見ていて飽きるわけがない。筆者などは情がわいてしまい、毎日、はたらきアリの数を数えては、「よかった! 今日も4匹いる」とか「おおっ1匹増えたぞ!」などと一喜一憂している。

 基本的には、時間はゆったりと流れている。巣穴が広がるスペースは液晶画面の上下2画面分があるのだが、始めてから9日間が過ぎた今でも、巣穴は上画面の半分にも広がっていない。

 最初は、このペースになじまずに「もっと早く巣が広がらないかな~」とイライラしたものだが、そのうちにこれがアリたちの暮らしのペースなのだと理解したときに気にならなくなってきた。

 毎日、少しずつ巣穴が広がる様子に喜ぶ。はたらきアリたちのかいがいしく働く様子を眺めては、目を細める。あくまでのんびりと楽しむ大人のトイなのだ。筆者が冒頭で癒し系と称したのは、このためだ。

 そんなアリたちの地味な生活だが、ときには大きな事件も起きる。虫の捕獲と、天敵の出現だ。虫の捕獲は、もちろんそのままエサになる。小さな蝶やダンゴムシ、カメムシ、イナゴなど、はたらきアリたちの体の何倍もある虫を捕獲して巣穴に運びこむさまは、感動的だ (見とれるあまりシャッターチャンスを逃してしまったが……)。

 天敵の出現の際は、本体から警告音が鳴るので、すぐにわかる。ジグモや敵アリ、カエルなどが出現し、はたらきアリを食べようと大暴れをする。天敵が現われたら、本体の上部を連続で叩くことで追い払うことができる。はたらきアリの存亡をかけた重要な任務だ。

 ただし、叩きすぎには注意だ。力を入れすぎると、巣穴が崩れ落ちてしまうことがあるのだ。

天敵のジグモが現れた! アリたちの危機だ! ユーザーの出番だ 天敵が現われたら、上画面を叩き、振動を与えて追い払う ただし、振動を与え過ぎると、巣穴が崩れてしまう恐れがあるので注意だ


アリ釣り。1匹釣ると1点が手に入る。連続で成功しないとおしまい、という点がスリリングだ
 ユーザーは、直接アリたちの生活に干渉することはできないが、いくつかのいたずらをすることができる。

 1つ目は、モノを置くこと。角砂糖や小石、塩などを地上に置き、アリたちの反応を見ることができるのだ。

 2つ目は、アリ釣り。糸を垂らして、地上にいるアリを何匹連続で釣れるかを競うゲームだ。地上にたくさんのアリがいるタイミングを狙う、アリの動きを予測して、その1歩先に糸を垂らす、など、いくつかのテクニックがある。

 3つ目は、アリの巣に棒をさして、巣を崩したり、アリたちのあわてる反応を見たりすることができる。このデジタルなアリたちにすっかり感情移入している筆者にとっては、なんて非道な行為だろう! と感じられるのだが、振り返ると子供の頃にこんな遊びをさんざんやったことを思い出す……反省。

角砂糖を置くところは、任意で決められる。ただし、巣穴の出入り口に置くことはできない さっそくエサを発見といわんばかりに角砂糖に群がるアリたち
棒差し。アリや卵を押しつぶすことはないが、巣が壊れる可能性がある。やり過ぎに注意! シミュレーターのデータ画面。経過日やはたらきアリの数、釣りの得点などが表示される


 筆者の「アンツライフスタジオ」は、始めてまだ9日ばかり。液晶2画面分に巣穴が広がるまでには、まだまだ序の口だろう。季節もまだ冬しか体験しない。春や夏には、何が起きるのだろう、と想像するとワクワクしてくる。末永く楽しむつもりだ。

(c)BANDAI 2006


□バンダイのページ
http://www.bandai.co.jp/
□製品情報
http://catalog.bandai.co.jp/item/4543112440693000.html
□「ant's life studio (アンツライフスタジオ)」のページ
http://www.asovision.com/ant/


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(2006年12月7日)

[Reported by 元宮秀介]


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