特別インタビュー
オンライン化、そして3D化で生まれ変わった「メテオス」
「メテオスオンライン」(後編) |
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- ジャンル:打ち上げパズル
- 開発/運営:キューエンタテインメント株式会社
- サービス形態:定額プレイ料金無料/アイテム課金
- オープンβテスト中
11月22日12:00より正式サービス開始
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キューエンタテインメント株式会社の手がけるオンライン打ち上げパズルゲーム「メテオスオンライン」が、11月22日より正式サービスを開始する。今回、キューエンタテインメントCTOで本作の開発ディレクターを務める平井武史氏と、チーフデザイナーを務める堀田 昇氏にお話を伺う機会を得た。11月17日に掲載したロングインタビューの後編をお届けしよう。
→前編はこちら
――そういえば、最初に合宿をされたとか?
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平井武史氏。アイレム、セガ・エンタープライゼス、ユナイテッドゲームアーティスツを経てキューエンタテインメントの設立に参加 |
平井氏 DS版のローカライズが終了した時点で、チーフ陣で河口湖に僕と堀田と、プログラマ、企画の4人で合宿に行ったんですよ。ここで「オンライン」の仕様を決めようと。そのとき実は攻撃メテオのパターンが決まりました。通常の攻撃と、燃えカス流星群、列柱落とし、ダークマターの4つですね。
実はもう1つあったんですが、これは2006年の春ぐらいにボツになりました(笑)。通常攻撃とあまり効果が違わない、という理由で。一瞬にして攻撃できるもの、貫通するもの、継続的に攻撃するものと、今までのものということで4つの方向性でまとめました。ダークマターはプレーヤーの皆さんにはだいぶ嫌われているようですが(笑)。
――私も好きじゃないです(笑)。それと、前回の記事でも言いましたが、「メテオス」は、画面からの情報が多いので、最初は「一生懸命打ち上げているのに3倍ぐらい返されてる」という感じで、プレーヤーの情報が一見した際にわからないことがあったりしました。パズルゲームとしても、アクション性が高くて、戦略性もありますし。対戦は面白いな、と思いましたが、最初は戸惑いました。
平井氏 しかも使っている色も多いですしね(笑)。メテオの種類は、DSの時ですら12種類あって、「オンライン」ではさらにもう少し増えてます。まだ1つしかお見せしていませんが。
DS版でも対戦が面白かったのに、一般のユーザーさんはなかなかその機会がなかったんですよね。アンケートやイベントで一般の方の意見を伺ったときに、「対戦ができません」という意見が多くて……。イベントで全国を回りましたが、みんな大会の会場で壇上じゃないところでも対戦してるんですよ。そういう風景を見て、「これは絶対にオンラインにすべきだ」と思いました。
それと、これは裏話で、堀田に言うと怒られるかもしれないんですが、僕は九州に友人がいるんですよ。彼が「おれは『メテオス』が強い。お前より強い!」って豪語するんですよ。「じゃあ、対戦してみよう」と、たまたま彼が東京に来ることがあったときに、対戦しようとしたら、彼が「DSもって来ていない」と言うんです。逃げたんですね。「じゃあ、彼に言い訳できない環境を作ってやろう」と思って(笑)。「オンライン」を作れば彼と対戦できるだろうと。「お前のマシンで動くようにしてやる、そして負かしてやる」と考えたときに思ったんです。「DS版で僕と同じ感想を持っていたユーザーさんは多いんじゃないか」と。これが「オンライン」の企画での裏話でもあるんです(笑)。将来的には、皆さんに海外の友人とも対戦できるような環境を作っていきたいですね。
――DS版が発売されたころは、任天堂さんのWi-Fiコネクションはまだスタートしてなかったんですよね?
平井氏 「もう少し早く教えてくれれば……」という状況でした。DS版がFIXした状態で聞いたんです。あれがあったらまた違った展開に確実になっていたと思います。
――「オンライン」の前にWi-Fiコネクション対応版のDS版を出そう、という話はなかったんですか?
平井氏 実はすごく要望が多いんですよ。「オンライン」を作り始めて大分経っていたということもあったんですが、ビジネスラインナップから考えなければならないこともあります。ハードの普及台数という背景もありましたが、実は、日本版のDS版「メテオス」の業績はそれほど高いものではなかったんです。「これは、安易にWi-Fiを付けたからといって、ビジネス的にそれほど大きく変わるものでもない」ということもあります。
それから、PCオンラインゲームでは、「何かをしながら待つ」ということができるじゃないですか。DSだとOSもないので、対戦待ちをしている間はDSの画面に常に集中していなければならない。つまり、PCはDSに比べて“対戦待ち体感時間”がはるかに短いと言えます。それに、ユーザーがWi-Fi対戦ができる状況が確実に存在するか、と言われると「わからない」という他ありません。また、相手の状況をリアルタイムに表示できるか、4人同時にプレイできるものが作れるか、というところも懸念事項としてありました。
それができる環境がPCにはあって、インターネット接続人口が8,000万人いるという数字を考慮した上で、「この環境で一度勝負すべきではないか」と思いました。その英知を得た上で、自分たちが次に何を考えるか、というところに次のDS版が存在するんじゃないかと考えています。ですので、DS版の次、というものに関しては、まったくネガティブには捕らえていないです。それはDS版からの進化でPCオンライン版要素を取捨選択して入れたものになる可能性が高いとも思えます。今後も検討する課題だと僕も考えています。
――「オンライン」ではWindowモードになっているのもそういった意味なんですね。
平井氏 そうですね。Webとの連動を含めて、フルスクリーンにはしないでおこうと。あくまでカジュアルに楽しんでもらいたい。特に、初めてオンラインゲームを遊ぶ人が、いきなりフルスクリーンになったらびっくりするじゃないですか。OLさんや主婦の方が、フルスクリーンに画面が変わったら「どうやって変わるんだろう? どうやったら元の画面になるんだろう?」ってESCキーを連打する……と戸惑ってはいけないわけです。
――メーカーさんによっては「ゲームに没頭してもらいたいからフルスクリーン」といったところも多いと思いますが?
平井氏 僕はそれを逆に考えたんですよ。対戦を待っている間にいろんなことをしてもらいたい。そのおかげで、クローズドβでは「ルームに入りっぱなし」という人もいたみたいですが(笑)。これは今後も要検討課題ではありますね(笑)。でもやっぱり、普段遊んでいる世界の中に「メテオスオンライン」も一緒にいてもらいたい、という位置づけでいいんですよ。
■ 4人チームでは多い、2人では少ない……6人同時プレイにこだわったわけ
――対戦人数の「6」という数はどうやって決定されたんですか?
平井氏 6人ですか……個性を出したかったんですよね。DS版のころは惑星の個性に関して、打ち上げ方の個性はあったんですが、打ち上げ終わった後の個性がなかったんですよね。チーム戦を考えた場合、「攻撃する人と防御する人は必ずほしい」ということになると、それだけでは2×2で4通りしかないんですよね。これだけではパズルとしての方法論が少ないので、「3on3にするしかない」と。
こうすれば、中立的立場にいる人間が、攻撃側に回るのか、防御側に回るのか、全員が攻撃に行くのか、ということで戦略が変わってくる。それで今回、「フレンドメテオ」という要素を入れさせてもらって、「味方から味方へのトスをどうする?」ということも考えてもらいたいと。3人になれば戦略のバリエーションが増えるし、攻撃や防御を考えることで、相手の意図を阻止できたりもできます。こういう構造が頭の中で閃いたんです。でも、4人チームでは多い、2人では少ない。だから3人なんです。一番最初の段階からずっとこれを言ってましたね。
堀田氏 ずっと言ってましたね。
平井氏 「でき上がる前から何を言ってるんだ」って感じでしたでしょうけど(笑)。
――「6」という人数は遊んでみてわかりました。
平井氏 ゲームメイクする人間がどう立ち回るかがまた面白いんですよね。それと、「CPUプレーヤーをどう参加させるのか?」という考え方もありました。「CPUプレーヤーとユニットを組むのではさびしい」、「人がいる空間にCPUがうまく入ってほしい」ということもあって、3on3にしたということもあります。
堀田氏 そのしわ寄せが現場のほうに……「何で6人なんだ」と。何か問題があると6のせいにしてましたね(一同笑)。
平井氏 通信も2人分多いわけですから。途中で「もう4人でいいじゃないですか」とも言われましたね。でも、「戦略上どうしても必要なんだ」って言い続けました。
――プラス2人分、というだけでも大変ですよね……。
平井氏 確かに普通は2人チームですよね。でも、僕の頭の中では、カップルというよりもファミリーでプレイしている絵面を想定しているんですよ。お父さんとお母さんと子供たち、とか。βプレーヤーの統計は取っていませんが、スタート時はDS版のへヴィユーザーが多かったという感触です。それはなぜかといいますと、ルームに入った瞬間から、「メテオス」用語を使っていたからです。「“メテオ”はこうしてああして……」と皆で話していて。“ブロック”じゃないんですよね、最初から(笑)。実際に対戦していても、いきなり全消しですからね。だれもPC版になっても困っていない(笑)。うちの社長も対戦したんですが、すぐに負けてやさぐれてました(笑)。
――皆うまかったですね。
平井氏 「メテオス」はうまくなるのも早いゲームだと思っているんですよ。最初は3しか揃えられないところが4つ、5つと。2次点火、3次点火、ステップジャンプとスキルをひとつずつ憶えていける楽しみがあります。
――協力プレイに関しては、どういった方針で?
平井氏 スポーツです。個人で最強はあってもチームで最強とは限らない。その可能性を見たくて、また感じて欲しくて。推奨していたこともあって、クローズドβの最後はチーム戦が増えてました。チームで戦ったほうが大きな攻撃もできるし、敵も早く倒せる可能性が高い。それから、チームを組むと「なかよし度」も上がります。今後は奇数でできない、という欠点もありますが……。まとまった人数が集まらないといけないので、対戦だけで3人が組む、というところは単純には難しいと思います。
チーム戦をやりやすくする努力は今後も続けていきますが、3人でチームを組んでいるといいことがある、というコンテンツの追加を今後増やしていく可能性が高いと思います。まだ詳しい内容をお伝えできないのが残念なんですが、こういった方法で促進していこうと思っています。
――マッチングシステムは今後どうなっていくのでしょうか?
平井氏 自動マッチングシステムを付けようと思っています。バトルロイヤルがしたい人やチーム戦がしたい人、自分よりレベルが上の人とのマッチングですとか、レベル上下どれぐらいまでマッチングするとか、それを自動で探すシステムは入れていきたいですね。
■ とにかく3つそろえればいい……メテオの横移動可能秘話
――「オンライン」でよりカジュアルよりになったイメージなんですが?
平井氏 テイストを含めてそうですね。もちろんヘヴィユーザーもそうですが、幅広いユーザーに気に入っていただけるようにいろいろ仕掛けています。欲張りなんですが(笑)。ゲームが面白いデキに仕上がったと思っていますので、これをマスに広げようということで、今回いろんなモデルを開発しました。横移動が可能にしたのもそういった側面からです。僕も堀田もDS版のとき、5大都市にイベントで行ったんですが、初心者の方に「メテオは縦にしか動かせません」って言っても皆さん横に動かそうとするんですよ。字を書く感覚に近いんですかね? 左から右へと動かそうとするんです。何度も言ったんですが、なかなか伝わらない。そのとき、「縦にしか動かせない」というルールを説明するのがすごく難しいということに気づきました。
これは「どうやってもいいから3つそろえたら打ち上がる」ということをマストにして、覚えていった結果として、一番うまくなるプレイが「縦に動かしたほうがいい」ということだとわかっていただければいい、という風に考え直したんです。横に動かしても縦に揃う確率の方が高いですから。DS版からのヘヴィユーザーからすれば「なぜ?」ということもあると思いますので、「縦にしか動かせない」というルールにも設定ができます。「メテオス」を愛しているスタッフ内でも、やはり「縦だけで遊んでほしい」という意見もありましたし、協議に協議を重ねた末に決定しました。
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堀田 昇氏。DS「メテオス」でもチーフデザイナーを務める |
堀田氏 ヘヴィユーザーさんの反応が、開発で起こった反応とまったく同じだったんですよ。「メテオス」を愛して作っているものですから、最初は「横に動かすのはどうなんだろう?」という反応だったんですよ。それが、実際に横に動かせるようになってプレイしてみたら「今まで何で横に動かせなかったんだろう?」と(笑)。
「そういえば何で縦だけだったんだっけ?」と、DS版の開発当時、なぜ縦にしか動かせないようにしたのか、理由がわからないんですよ(一同笑)。今ではDS版を遊んでても、横に動かそうとして「あっ」と……(一同笑)。最初は戸惑いもありましたが、「そのうちこれが普通になるだろう」とあまり心配してなかったです。
平井氏 惑星によっては横に移動させたほうが有利になるところもあるんですが、そこの調整もしっかり行なっています。「とにかくたくさんの人に遊んでもらいたい」、「そのためにルールもわかりやすくしたい」という一心なので、ご理解頂きたいと思っています。
――キーボードで一番下にメテオを入れ替えられるようにしたのも……?
平井氏 あれは、実は「DSのタッチペンの操作に勝てる方法」をすごく考えた結果なんですよ。いくらマウスやキーボードを使っても、「DS版の『メテオス』の操作には勝てない」とずっと思っていたんですよ。それを考えに考えていて思いついた操作方法なんです。人間の脳は考えてから動かす、という順序になると思うのですが、この「動かす」を簡単にすれば、DSの操作に勝てるんじゃないかと。「メテオス」の操作は、一番下にメテオを下ろすという操作が最も多いので、この動作を省略できるようにしました。そうすれば、目線を動かさずにずっと考え続けることができ、タッチペン操作と同等か、もしくはそれ以上になると確信しました。
これが考え付いていなければ、「オンライン」をリリースすることにはならなかったと思います。マウスだけの操作だったら、おそらくリリースはできていないでしょうね。
堀田氏 いくらやっても、マウスだけだとうまくいかないんですよ。動かすことに集中してしまうので、次のブロックのことを考えられない。「次のブロックを見ながら動かす」という感覚なんですが、マウスだけだとどうしても……。
平井氏 目線の移動をさせないで、なおかつというところで、今のインターフェイスは自分なりに画期的だと思っています。
――ヘヴィユーザーからみたら鬼に金棒のシステムですよね?
平井氏 もし、DSの「メテオス」とクロスプラットフォームで対戦することができたら、それに勝てるものにしたかったんです。1回対戦してみたいですよね。
――ホイールでのカーソル移動だけではだめだったんですね?
平井氏 現状カーソル移動はできますが、それだけではだめでした。横に移動できるものもないですし。DS版はタッチペンがあったから爽快感もあったと思っているんです。その分、PC版は今のシステムを思いつくまでがつらかった。同等の爽快感を再現することが本当にできなかったんですよ。
スタッフ以外、会社内の誰に聞いても最初は「なんとかなるよ」しか言ってもらえなくて(笑)。「なんともならないよ」と思いながらも、僕も「なんとかなる。爽快感が出るようになる。できるできる」って自分に言いきかせてました。それでもなかなか答えが見つからなくて、思いついたのは2005年の12月から2006年の1月ぐらいですね。言い続けてよかったな、と思います。僕が「無理だ」って言ったら終わっていたかも知れませんし(笑)。
■ テストも倍々ゲーム……「アイテム課金」モデルの難しさ
――アイテム課金モデルに関してはどうお考えですか?
平井氏 僕らもアイテム課金を確実に意識したのは半年前からです。日本ではアイテムを購入した人のほうが絶対的に強い、というのは認められないという風潮がありますよね。逆にアイテムを購入した人が有利でないと、購入した側も認めない。そしてビジネスモデルとして成り立たないといけない。ゲームシステムがそれを包括して面白い形にしなければならない。この4つ全てを成立させることは非常に難しいことだと思います。
堀田氏 そうですね。
平井氏 そこに僕らならではの答えを出したいと思っているんです。今そこにフォーカスしています。と同時に、そこが見えれば、その次の課金プランが見えてくると思っているんですよ。アイテムを使わせるものをゲームの中に作らないといけないし、使ってもらえるアイテムを作らないといけない。そういう意味ではそのサイクルを作って課金するということをビジネス的側面だけでなく、開発者も理解した上でアイテムは考えないといけないと思っています。
今はまだ作ったアイテムを全部入れてない状態です。テストで入れていろいろ検討しているところです。安易に何かを入れるとバランスが崩れてしまうので、「HPリカバリー」の回復量や、「フィールドクリーナー」の使用可能回数なども、何度も何度もテストした上で決定してます。
惑星が増えれば増えるほどアイテムが増えれば増えるほどテストしなければいけない数も倍々で増えていきますからね。でもそのおかげで、スタッフは皆うまくなってきました(笑)。
――コンソールゲームだと、通常「開発者は発売される前までが最強」とよく言われますが、そうも言ってられないですね。
平井氏 そうですね。でもプレーヤーさんはすごいですね。信じられないプレイをする人たちがいます。ライブがきれいになってよかったな、と思うのはその人たちのプレイが確実に見えることですね(笑)。
――イベント的なものは今後どんな形で運営されていくんでしょうか?
平井氏 定期的にやっていきたいと考えています。大会もそうですが、俗に言う「ギルド」のようなものだとか、ほかにもいろいろ用意する予定です。
■ 「日本のクリエーターが良質なオンラインゲームを作っていける土壌を開拓する礎になれれば」
――「オンライン」で特徴的なものとしてはプレイキャラクタの存在もありますね。
平井氏 チアリーディングを彼らにやってもらいたい、と思って作ったんですよ。いいプレイをしたら彼らが喜んでくれて、悪い状態になっていれば彼らが悲しむ。自分のプレイを助長してくれる存在にしたかった。そういう意味で彼らを置いています。
――デザイン的に、あの惑星に人間が立っているというのは面白いな、とおもったんですが?
堀田氏 そこまでくるまでにはいろいろ……。見えないものがあったんですが(笑)。最終的に今の形に落ち着きました。ユーザーさんからしてみれば、「どうせなら宇宙人くんを使いたい」という要望もあったかと思うんですが、それは不思議とスタッフ内では最初からでてこなかったですね。
――最初は宇宙人くんからスタートしたのかと思っていました。
堀田氏 彼らはそれぞれの星に住んでいるので、「プレーヤーと一緒に行動することはないんじゃないか?」、むしろ「プレーヤーは彼らの住んでいる星に宇宙旅行で訪ねていくんだ」という世界なんです。星と宇宙人くんは一体になっているものなので、どちらかというと訪ねていく感覚が強くて、彼らを連れて行こう、という感覚はありませんでした。
だから、その星にやっといけるようになって出会えたらうれしいな、という「出会いたい」気持ちを大切にしたかったんですよ。だから気楽に出したくなかったんです。
――宇宙旅行というわりにはカジュアルな衣装も多くて(笑)。
堀田氏 基本装飾は宇宙服っぽい衣装なんですけどね(笑)。そこはあまり縛りを入れないほうがいい。個性を出さずにプレーヤーが思う衣装のキャラクタをパートナーにしてもらいたいということを考えていました。そういうわけで「自由にできるようにしましょう」ということで今の形に落ち着きました。実際に皆さん好き勝手に着てますね(笑)。デザイナーの想像を超えたコーディネートで(笑)。
平井氏 我々の想像を超えた変な格好をしてますね(笑)。
堀田氏 作り甲斐があっておもしろいですね。「そんな組み合わせをするんだ」と(笑)。
平井氏 逆もありますけどね。やっぱりこう来たか、というものも(笑)。まだ僕らが用意しているものはいくつもあるんですが、「多分これを出したら皆着るんじゃないかな」というものもあります。早くお見せしたいですね。堀田が作ったんですが、テストでスタッフに見せると、皆がそれを着ていて「これはやばい」と(笑)。
堀田氏 プレイキャラクタに関しては、ユーザーの皆さんと創っていくものだと思っていますので、どんどんいろんな意見を取り入れて、良いものにしていきたいと思っています。
――最終的な数は相当なものになりそうですね。
平井氏 オープンβでもクローズドβからカラーを変えられるものを作っていたりするので、見た目は3倍以上になってます。これからもたくさん増えていきますよ。
装飾を変えるとアニメーションやボイスが変わったりもするので、クライアントのデータ量が増えると思います。惑星が増えるより、そっちのデータ量の増加のほうが多いかもしれません(笑)。こういう格好をした人はこうアニメーションしてほしい、こういう顔の人はこういう声だろう、というのがあって。それを入れてあります。これはかなりいいですよ。今までのゲームでは固定したキャラには予め声や動きが用意されているのが普通ですが、「オンライン」ではいろんな人がいてほしいと思って。
堀田氏 言うのは簡単なんですけどね……(一同爆笑)。
平井氏 いったんこういうシステムを作ってしまえばこっちの勝ちですよね(笑)。
堀田氏 「わかりますか? モーションが倍になるんですよ? 掛け算なんですよ?」ということがありましたね。
平井氏 よく言われました。あと帽子についても言われましたね。ツンツンしたとがった頭であっても帽子を被れるんですが、髪型に合わせて、見えるところはちゃんと被る前のものが反映されて、帽子の部分だけが被れるような頭に変わるんです。通常なら、どんな頭でも被れるような大きな帽子を作ったり、全体が共通の髪型になったりするんですが、「そうじゃない!!」と。「帽子を被ったら共通の頭に戻るのはいやだ」と言ってみたりしました。
堀田氏 「また倍……」(一同爆笑)。
平井氏 見えづらいところなんですが、そのこだわりが楽しいんですよ。細部に渡って丁寧には創れていると思います。
――ちょっと今気が遠くなった気がしました(笑)。
堀田氏 どれも手を抜かないで作っているとは思います。
平井氏 スタッフの努力には頭が上がらないですね。感謝の言葉でいっぱいです。しかもこの短い期間で……。1年間で何もないところからはじめて、「オンライン」をサービスできた。誰も、キューエンタテインメントがオンライン事業を手がけて、全てを1年でやるなんて、思ってもいなかったはずです。人材採用をやっていても、誰もそこにはなかなかフックされないんですよ(笑)。「僕はオンラインゲームを作りたいんだ」と強く言っても、実績もなかったわけですからなかなか引っかからない。そして人材投入も遅れに遅れて。しかし、希望だけは持って、休む暇を惜しんで制作した結果だと思ってます。「この状況でよく作れたな」と。しかもこれだけ注文を言いながら(笑)。
堀田氏 「これオンラインだよね?」、「カジュアルゲームだよね?」と言いながら(笑)。
平井氏 僕らが使命として感じているのは良い意味で常にユーザーを裏切り続けること。オンラインゲームを制作している日本のクリエイターはまだまだ少ないです。コンソールの最前線で制作している人たちが、オンラインゲームを作っている環境はもっと少ないと思っていて。どうしてもそこにチャレンジしたかった。自分たちがコンソールゲームのクリエイターとして、「オンラインゲームを作ったらこれだけの期間でこれだけのことができるんだ」ということ見せたかったし、見たかった。
堀田氏 これが最初だったということもあると思うんですよ。我々はコンソールから移行したということもあって、コンソールのレベルが当たり前で作っていた。もしこれがオンラインカジュアルゲームばかり作っているところだったら仕上がりは変わっていたと思います。
平井氏 僕らができるということは、コンソールマシンタイトルを手がけているところはかなりの確率でここまで、もしくはこれ以上できるということなんです。そんな企業にどんどんオンラインに入っていってもらいたい。日本のクリエイターが良質なオンラインゲームを作っていける土壌を開拓する礎になれればいいな、と思っています。
また、ここで培ったものをコンソールマシンタイトルに戻すのも面白いと思っていて、この対流を今、僕らは考えています。PCで開発したものをコンソールに持っていったり、携帯電話に持っていったりして、それを連動させるといったものは親和性が高いですし、これから重要になってくると思っています。そういったプラットフォームをたくさん作っていきたいです。
――あとは、キューエンタテインメントさんでポータルを運営するという手段もあると思うのですが?
平井氏 おっしゃるとおりだと思います。ただ、コミュニティはあるけどコンテンツがない、というのは本末転倒なので、自分たちはコンテンツプロバイダとして、まずコンテンツを作って、コンテンツが横並びに充実した上で初めてコミュニティを作って、という形にしたいと思っています。そうでないとユーザーさんにも失礼ですしね。
――NHNさんとも提携されていますね。
平井氏 はい。日本のオンラインゲーム事情において彼らの集客力は素晴らしいと思っております。今後とも、形が変わっていっても、いろんな人に遊んでもらえるものを作る、ということを証明したいと思っています。プラットフォームに依存しない部分を含めて。それには、堀田の協力が必要なんで(一同爆笑)。
堀田氏 そうですね……(苦笑)。
――「メテオス」のゲームシステムをコアにして、更なる広がりもみられそうですね?
平井氏 それほど遠くないです。構想ではもういくつかの展開を検討しています。乞うご期待下さい。
――ありがとうございました。
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※画面は開発中のものです。
□キューエンタテインメントのホームページ
http://www.qentertainment.com/
□「メテオスオンライン」のページ
http://www.meteosonline.jp/
□関連情報
【11月17日】特別インタビュー
オンライン化、そして3D化で生まれ変わった「メテオス」
「メテオスオンライン」(前編)
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20061117/meteo.htm
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http://game.watch.impress.co.jp/docs/20061013/meteo.htm
【9月13日】キューエンタテインメント、PC向けオンラインゲーム事業に参入
「メテオスオンライン」、「AngelLoveOnline」の2タイトルを発表
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20060913/qent.htm
(2006年11月21日)
[Reported by 佐伯憲司]
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