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ガンホー、「ラグナロクオンライン」新プロジェクト発表会を開催
今冬にアイテム販売を開始、運営5年目にしてハイブリッド課金へ移行

11月13日発表

会場:ストリングスホテル東京

 ガンホー・オンライン・エンターテイメント株式会社は、11月13日、都内で運営4周年を迎えるMMORPG「ラグナロクオンライン」の新プロジェクトに関する発表会を開催した。発表会では、アイテム販売開始の施策を皮切りに、「Episode6.0」や「RJC2007」、新杵堂との新たなコラボレーション企画、不正対策に関する施策、そして「ラグナロクオンライン II」に至るまで、実に多岐に渡る新プロジェクトが発表された。


■ 運営5年目にしてアイテム販売へ移行、狙いは利便性の向上による上級者コミュニティの活性化

挨拶を行なうガンホー代表取締役社長森下一喜氏。質疑応答では他にもさまざまな企画があると明言。来年以降も「RO」を主体としたビジネス展開を継続していくようだ
「RO」は運営5年目にして月額課金+アイテム販売のハイブリッド課金に移行という大きな転換点を迎えることになった
アイテム販売導入の狙いは、初心者層の定着率を向上させ、有力コンテンツが多い中高レベルへの移行を促し、コミュニティの再活性化を図るというもの。同社の思い通りになるか見守っていきたい
 発表会では、ガンホー代表取締役社長の森下一喜氏の挨拶に始まり、新プロジェクトのコンテンツ面に関しては「ラグナロクオンライン」制作担当の廣瀬高志氏が、マーケティングプランに関しては第1マーケティング部部長代理の飯野平氏がそれぞれ発表を行なった。

 森下氏は、2006年12月に正式サービス4周年を迎えるにあたり、2002年12月の正式サービスから話を切り出し、アニメ、パッケージといったゲーム外施策などの話も交えながら、現在の全24ワールド、180万ID突破に至る同作の現在までの軌跡を振り返った。

 肝心のアクティブユーザー数や同時接続者数は公開されなかったが、同作の世界的な傾向として、不正行為や既存コンテンツを遊び尽くしたことを理由に、ユーザー離れが進んでおり、これは日本でも例外ではない。今回の発表会は、多方面からのテコ入れにより、既存ファンの顧客満足度の向上や、お試しプレイを行なうビギナー層の定着化を狙った一種のリバイバルプロジェクトといっていい。

 そして森下氏から、4周年記念プロジェクト第1弾として「アイテム販売」の今冬開始が発表された。森下氏は独自調査したユーザーのレベル分布図を示しながら、中レベル帯以降のレベル上げの壁が、コミュニティの壁としてユーザー間の乖離に繋がっている現状を報告しながら、この壁をアイテム販売により破壊することで、ゲーム世界全体のコミュニティの拡大に繋げていきたいと抱負を述べた。

 同社が採用するアイテム販売は、カジュアルゲームにおけるアイテム課金とはやや性質が異なり、30日1,500円の月額課金の部分は維持しつつ、プラスオンのビジネスとしてアイテム販売を行なうというスタイルになる。アイテム課金という言葉は使用せず、ビジネスモデルはあくまで月額制で、プラスオンのサービスとしてアイテムの有料販売を行なうという考え方だ。「RO」は運営5年目にして、名実ともについにハイブリッド課金への移行を果たすことになる。

 有料アイテムのカテゴリには、ステータスアップ系、経験値増加系、利便性向上系、精錬成功率アップ系、スキルスクロール系の5種類を用意。アイテム課金制MMORPGでもよく採用されているジャンルといっていい。現時点では含まれていない武器、防具、カードといったアイテムについても、「Gravityと協議次第」との見解を示した。現時点では、どのカテゴリのアイテムを有料アイテムの対象とするかすら決まってない段階というが、今のところ販売アイテムに関して聖域は設けない考えだ。

 なお、利便性向上系アイテムについては、廣瀬氏からいくつか具体的な案が公開された。それによれば、どこでもカプラを呼び出せるカプラ倉庫召喚アイテムや、ハエの羽のPT版に相当するPT全員がテレポートできるようなアイテム、MVPボスの出現時間を画面に表示するアイテムなど、いくつか具体的な案が公開された。

 スタート時の商品の種類や各アイテムの価格帯、トレード/バザーの可否、アイテムの効果期間、具体的な性能などについては、今後開発元のGravityと協議の上設定していくとのことで、現段階では「アイテム販売を今冬中に行なう」ということしか明確ではない。

 ちなみに有料アイテムの購入方法は、ガンホーゲームズのアトラクションセンターを通じてショップポイントを購入し、ゲーム内NPCを通じてショップポイントを消費する形で購入するというスタイルになるという。

 具体的な実装時期については、ガンホー側の意向としては年内を希望しているようだが、今回の新プロジェクトは単にアイテムを用意して売るだけではなく、ショップポイントまわりの新しいシステムの導入が必要不可欠になる。まずはGravityのテストサーバーに実装され、動作検証テストが始まるのが対外的な最初の動きになりそうだ。

 個人的な見解として、有料アイテムの実装は、ゲーム世界の利便性の向上に繋がり、ひいてはゲーム内コンテンツの消費スピードの向上に結びつく。このため、アイテム販売開始後は、今まで以上のサイクルで新規コンテンツをアップデートしていく必要がある。アイテム販売と新規コンテンツの足並みが揃わないと、ライフサイクルの短縮化やゲーム世界の荒廃といったネガティブな問題に直面してしまう。

 この点について森下氏は、「今回の施策が寿命を縮めることになるとは考えていない」と楽観的な見通しを崩さなかった。森下氏の基本的な考え方としては、「エミル・クロニクル・オンライン」でのアイテムチケット販売の成功が念頭にあり、その延長線上の施策として捉えているようだが、「ECO」のそれはゲーム性に直結しないが、「RO」はまさにアイテム課金的なビジネスモデルであり、この両タイトルの施策を同列に比べることはできない。

 実際に韓国では、ギルド単位での集団移動が、オンラインゲーム市場における大きなビジネスリスクとして表面化しつつある。特定のゲームで形成され、成熟したコミュニティは、特定のゲームに縛られず、またメーカーに帰属するものでもない。コミュニティは自由に他のゲームで新たな冒険を仲間と共に楽しむ権利がある。韓国のオンラインゲームパブリッシャーは、その単純ながらもビジネス的に重大な事実を認識しつつあり、ユーザーを惹きつけ続けるために、ライフサイクルの延長化に力を砕き始めているのが現状である。

 日本と韓国では、オンラインゲーム市場の熟成度も、ユーザーの傾向も若干異なるとはいえ、ガンホーの施策は、韓国の動きとはまるっきり逆の方向を行くもので、ましてや運営5年目の実装は前例がないだけに先が読めない不安感がある。アイテム販売の実施に関しては、是非ともユーザーや識者の意見も参考にした上で、慎重に検討していって貰いたいものだ。

アイテム販売導入の説明を行なう森下氏と、有料アイテムのジャンル、有料アイテム購入に必要となるショップポイントの価格設定。ショップポイントは下限が1,000円からと決して安くはない。ただ、今後は1DAYプレイチケットと有料アイテムで、短期集中的に遊ぶというプレイスタイルも普通になってくるだろう。アイテム販売の導入で、月額制が中心の同作のビジネスモデルがどう変化するのかも注目したい
2002年12月の正式サービス開始からこれまでの推移を示したスライド。2007年からはアルナベルツ教国をテーマにした「Episode 6.0」がスタートする
「ラグナロクオンライン」から派生したビジネス一覧。同社ほどワンソースマルチユース戦略を実践してきたメーカーはいない。中でも優れた施策は1DAYプレイチケットだろう。右下にあるのが新企画の「ぽりんくりきんとん(仮)」。過去に企画されたぽりん綿飴や飴細工の派生的なアイディアだが、もはや違和感がなくなってるところが凄い


■ 2007年は「Episode 6.0」がスタート、ついに海外からの接続の制限も明言

発表を行なう「RO」制作担当廣瀬高志氏。廣瀬氏は主に制作方面の施策とRMT対策について発表を行なった
「RO」マーケティング担当の飯野平氏。同作におけるユニークな施策は、来年も続く。中でもアーケート展開は注目したいところだ
12月1日に発売されるアニバーサリーパッケージの特典アイテム「天使の忘れもの」。羽がパタパタ動く同作初のアニメーション付き装備品だ。今後の拡充に期待したい分野だ
 続いて廣瀬氏と飯野氏からは、年末から2007年にかけて実施を予定しているその他の新プロジェクトに関する発表が行なわれた。

 まず年末の動きとしては、12月に4周年記念イベントが実施される。具体的な内容については追って公式サイト等を通じて報告するとのことだが、概略としてはゲーム内イベント、カムバックキャンペーン、お友達紹介キャンペーン、アニバーサリー記念グッズ販売、アニバーサリーパッケージ販売などが予定されている。

 中でも小ネタながら「おっ」と思ったのが、12月1日に発売されるアニバーサリーパッケージのシークレットアイテムの内容である。「天使の忘れもの」と名付けられたシークレットアイテムはすでに性能も公開されていたが、今回初めてビジュアルが公開された。その最大の特徴は絶えず羽が動いていることであり、同作初のアニメーション付きアイテムとなっている。

 アニメーション付きアイテムはこの1つだけで、パッケージを購入しなければ手に入らないのが玉に瑕だが、今後アニメーション付きアイテムの数が20、30と増えてくれば、動きが限られている同作に新たな躍動感を生み出せるかもしれないという期待を抱かせてくれる。

 また、ユニークなコラボレーションとして、新杵堂制作の「ぽりんくりきんとん(仮)」が発表された。発表を記念して会場には、子供の頭ほどの超弩級サイズの「ぽりんくりきんとん(仮)」が置かれていた。実際は、食べやすいサイズでの発売となるようだ。発売時期、価格については未定となっている。

 2007年の新プロジェクトとしては、コンテンツ面では、1月に既存のアイテムにスロットを付与するスロットエンチャントシステムを実装する、続いてアルナベルツ教国関連アップデートで構成される「Episode 6.0」がスタートする。オフラインイベントとしては、RvRファン待望の「RJC2007」の開催が決定した。開催時期については春頃になる見込みだ。

 マーケティング施策に関しては、ガンホーゲームズの「ラグナロクオンラインスロット」の実装時期があらためて2007年に延期されることが発表されたほか、新しいアバター、モバイルゲーム展開、プライズ展開、コミック化、アーケードゲーム展開などが発表された。「ラグナロクオンラインスロット」の実装延期の理由については、ゲームの開発、Gravity等との契約ともに済んでいるが、ガンホーゲームズに導入するにあたっての技術的な部分が解決されていないためだとしている。

 最後に廣瀬氏から不正対策の取り組みについて説明が行なわれた。「RO」の発表会で不正対策に関して言及されたのは今回が初めてで、この背景には不正対策が実効を捉えにくい活動であることが挙げられる。このため、一部のユーザーの間で本当に対策を行なっているのか不満が広がっていることからあえて発表に踏み切ったものと見られる。

 報告された内容は、7月から本格的に始まった不正対策の内容と成果、そして今後の対策について。これまでの対策と結果については公式サイトで公開されているので割愛するが、今後の対策については、アジア圏からアクセスする大規模なRMT業者への対策として、不正目的でのアカウント取得を制限する。また、取り締まりに関しては、手法、基準を見直し、一層の効率化を図るだけでなく、1DAYチケット等で運用されている倉庫キャラクタも捜査の対象とする。これらの施策により、不正対策の成果をより一層上げていく方針だ。

 今回発表された新プロジェクトは、具体的な詳細については不明瞭なものの、ゲーム世界を一変させる可能性を秘めたドラスティックな改変を伴う内容であり、今冬を境としたゲーム世界の質的、量的変化については今後も注意深く見守っていきたいところだ。

今回のコラボレーションに関して「お菓子を通じて『RO』のようなワクワク感、どきどき感を伝えていきたい」と抱負を述べた新杵堂代表取締役社長田口和寿氏。新杵堂はリアル店舗を持たないインターネット販売中心の和菓子屋さん。今回参考出展した大型のぽりんくりきんとんは、作りたてをわざわざ岐阜から持ってきたという
2006年末から2007年にかけて企画しているプロジェクト一覧。マーケティング色が非常に強い運営は、来年も維持されるようだ。具体的な詳細は未発表だったが、さまざまな施策が目白押しだ。今後の発表に期待したい
不正対策について記したスライド。不正ツールを使用したキャラクタに対する措置は、徐々に実効が上がってきている。比率にして10%以上を占める措置未適用者は、キャラクタの削除、利用権の終了などにより、ゲーム内での追跡調査ができなくなったアカウントのことを指している

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□ガンホー・オンライン・エンターテイメントのホームページ
http://www.gungho.jp/
□「ラグナロクオンライン」のページ
http://www.ragnarokonline.jp/
□関連情報
【10月26日】ガンホー、MMORPG「ラグナロクオンライン」
5種類の新アイテムがついた4周年記念パッケージを発売
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20061026/ro.htm
【10月20日】「ラグナロクオンライン」制作担当 廣瀬高志氏インタビュー
「フィゲル」アップデートの抱負とインフレ対策の今後の展開などを聞く
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20061020/rohirose.htm
【10月20日】ガンホー、MMORPG「ラグナロクオンライン」
4周年記念グッズ発売決定。予約受付を開始
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20061020/ro.htm
【10月18日】ガンホー、「ラグナロクオンライン」アップデート先行体験レポート
フィゲルエリアの概要と、新職業ガンスリンガー、忍者の魅力に迫る
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20061018/ragnarok.htm
【10月3日】ガンホー、「ラグナロクオンライン」Episode5.0完結編を10月24日に実装
新職業に「忍者」、「ガンスリンガー」。「モンスターレース」競技場など
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20061003/roepi5.htm

(2006年11月13日)

[Reported by 中村聖司]



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