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会場:韓国国際展示場(KINTEX)
入場料:5,000ウォン(約650円)
G★2006に出展された「AION」の試遊台では、E3と同じ短いストーリーを体験することが出来るバージョンをプレイすることができた。韓国のユーザーは「AION」というタイトルを触れるのは初めてであり、イベント用に作られたこのバージョンは来場者に作品のイメージをアピールするのにベストな方法だと思うが、E3から制作がどう進んだか、進行状況が見えないところもあった。 NCSoftは会場とは別にミーティングルームで、メディアに向けて「AION」の最新ムービーを公開し、現在の開発状況を説明していた。今回は、ムービーに加え、「AION」開発スタッフのYong・Chan・Ju氏と、グラフィックス担当のKim・Hyung・jun氏にお話を伺った。本稿ではこのムービーと共に、開発スタッフの語る「AION」の具体像を紹介したい。
■ 空中ダンジョン、そして空中戦……新しい冒険空間を提示
ムービーは次の場面へ。繊細な装飾が施された塔へ。塔の上空には空気が渦巻いており、まるで小さな台風を下から見ているようになっている。この雲は「アビス」との境界線だという。アビスとは天族、魔族、竜族という「AION」に存在する3つの種族が出会う世界であり、他種族と激しい戦いを繰り広げる場所となるという。 塔の中心に立ったキャラクタは背中の翼を広げ、空へと舞い上がる。天族のキャラクタは全て翼を持っており、それを羽ばたかせることで空を飛ぶことができる。ゲームのルールとしては飛翔可能地域と、そうでない場所がわけられると言うことだ。空を飛んでたどり着いたのは「空中ダンジョン」である。モンスターはまだ実装されていなかったが、速いスピードで通過していく回廊や、小さな空中生物が群れをなして前を横切るという、まるで海中の中のような演出もあって、その浮遊感のある飛行感覚は、とても気持ちが良かった。 次に展開したのが各クラスの戦闘シーンである。敵の足にツタを絡めて移動速度を下げ、両手に持った剣で素早く敵を切り刻む「レンジャー」、攻撃スピードは遅くても威力の高い魔法を使いこなす「ウィザード」、パワフルな攻撃で敵をなぎ倒し、更にダウン攻撃を加える「ファイター」、弓と剣を使いこなす「ハンター」と、それぞれのバトルスタイルが異なることが紹介された。ソロプレイでのバランスを取るか、パーティープレイが前提となるかはこれからということだが、状況に応じてのスキルを使いわけや、戦闘での得意な距離などを工夫する、駆け引きが楽しめる戦闘を希望したい。
最後に流されたのが、空中での戦闘シーンである。二人の天族が空中を素早く移動しながらぶつかり合う。はじき飛ばされたキャラクタは大きく姿勢を崩ししばらく落下した後翼を激しく羽ばたかせて姿勢を戻し、急上昇し敵に向かっていく。その空中戦の姿は地上戦とはまったく違うものだった。具体的にどのようなシステムになるかは興味深い。このムービーからは「AION」での様々な試みが見えてくる。生じた疑問点や、開発状況などを質問してみた。
■ 3つの種族、人と世界の関係……半年を経て、姿を見せ始めたゲーム性「
「今回の試遊台のバージョンはE3とどこが違ったか」という疑問に対して、ブラッシュアップされたところは、「キャラクタの顔に東洋的な意匠を加えた」点だ。「AION」ではキャラクタの顔は非常に細かくカスタマイズできるという。 方法論的には、「エバークエストII」の様に顔の輪郭や目の大きさを自由に動かすこともできたのだが、「AION」では、大きく西洋的、東洋的なものを用意して、そこから細かくカスタマイズしていくことが可能だという。完全な自由度を与えるのではなく、タイプを選択しつつ、プレーヤーのセンスに合わせて個性化を図るようなシステムにしていく考えだ。 現在注力しているのは「アビス地域」である。天族や魔族の町から行くことができるこの世界では、3つの種族が出会う場所になる。広大なバトルフィールドとなっており、プレーヤー達はこの地域で何かを得るために戦うことになる。アビスそのものは必ずしも高レベル地域というわけではなく、プレーヤー達は自分たちの地域(天族なら天界)とアビスを行き来し、キャラクタの力を強めていく。 クエストやレベル上げでも世界の境界を越えることになりそうだ。また、プレーヤーは自分の地域とアビスだけでなく、天族が魔界へ、魔族が天界へと訪れることもあるという。天族、魔族、そして竜族は3つどもえの戦いを繰り広げるというのが基本コンセプトだが、状況によっては2つの種族が一時的に手を取り合うこともある。他世界に行くことそのものは必ずしもタブーではないようである。 今のところ、魔族、竜族の姿は今回も明らかにされなかった。ムービーでは天族のキャラクタ同士が戦っていたのだが、これは今後の情報のため、わざと2つの種族が公開されていないだけだという。また、同族同士は基本的には味方だが、「決闘」といったシステムで戦うことができる。 空中戦に関しては、地上戦とは少し異なり、フライトアクションゲームのような操作で敵をターゲットし、ぶつかることができる。使用するスキルの中では「空中戦向け」、「地上で有利なもの」、「両方で使えるスキル」といった性格づけがされていて、キャラクタを育てていくことで得意な戦場が決まっていきそうだ。ちなみに、魔族も空を飛べるということで、「AION」での大規模戦闘は、地上と空中でプレーヤーがぶつかり合うという今までにない大規模なものになりそうだ。その戦場には是非ともプレーヤーとして参加してみたい。 「AION」には3つの種族のぶつかり合う世界、というポイント共に、「プレーヤーが世界影響を与え、世界が変化し、その世界にプレーヤーが影響を受ける」という、“循環の関係”が大きな特徴となっている。非常に壮大なシステムに感じられて、どのようなアイデアが盛り込まれるか楽しみだが、Yong氏は「実は今回出展した試遊バージョンでも1つ取り入れられているんです」と語る。 それはボスにたどり着く前の守衛がいる扉の前の“鐘”だという。扉には左右に鐘が仕掛けられている。右の鐘は「昼食の合図」で、鳴らすことでどこかへ行ってしまう。左の鐘は警報になっていて、鳴らすと苦戦が強いられる。「とても小さな部分ですが、これも循環システムの1つです。プレーヤーのアクションでゲームの展開が異なると言うことを表現したくて、この仕掛けを入れました」とのことだ。 この鐘の仕掛けの場合は、シングルプレイなら変化を感じることができるが、MMORPGでは他のプレーヤーがすでにボスと戦っていたりして成り立たないシステムである。こういった仕掛けは主にクエストを受けることなどで発生する「インスタンスダンジョン」に盛り込まれるという。試遊バージョンは様々な場面が展開し、ムービーもふんだんに入れられていた。MO的な部分で、濃いストーリーを体験できる、といった要素や、仕掛けの前でプレーヤー達が相談するような場面も期待したい。一方、世界そのものが変革していくような内容はさまざまなアイデアが考案中で、具体的に提示する段階ではまだないとのことだ。 最後にユーザーへのメッセージとしてYong氏は、「この作品はユーザーに、いままでのゲームとはまったく異なる、新しいプレイ体験をしてもらうために制作しています。期待してください」と語った。Kim氏は、「『Aion』はグラフィックスの要素でも革新的な要素をもたらすために日々挑戦しています。日本の皆さんにも気に入ってもらえるように心を配って作っていますので、楽しみにしてください」と語った。
スタッフは特に「新しさ」を強調する。「LineageII」が韓国のMMORPG業界に与えた影響は非常に大きい。「AION」は韓国のMMORPGを次の段階に引き上げるような作品になるだろうか? 具体的な作品の各要素が固まってくるのはもう少し先のようだ。今後の展開に注目したい。
□G★2006のホームページ (2006年11月13日) [Reported by 勝田哲也]
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