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(1)ブルーレイディスク対応プレーヤー さて、まずブルーレイディスクについては、DVDの際とは状況が違う。PS2の際はDVD一択だったが、今回はXbox 360がHD DVDを正式採用したことで陣営が大きく2分してしまった。もちろんCEATECでも両陣営は張り合うようにブース展開を行なっていた。その昔のベータとVHSの際の規格戦争に今回も消費者が飲み込まれる形になりそうだ。ただし、今回のCEATECでは、PC周辺機器としてのHD DVDが目に付き、民生映像装置としてはブルーレイディスクが大幅にリードしている感触を受けた。 いずれにせよ、対応タイトルのラインナップはまだまだ少なく購買動機としては不十分だ。そうなると、PS2の上位互換機としてのPS3と、いまだ多くの謎に包まれたままのネットワーク機能に期待がかかる。PS2やPSの互換機能に関しては、Wiiのバーチャルコンソールなどの発表を見ている限り、もはや必須の機能だと思われる。つまり、なくてどうすると言ったところだ。 そうなると次の大きな購入動機は「ネットワーク接続」と言うことになる。すでにブロードバンド環境とPC普及が進んでいる状況下で、ゲーム機としてのネットワーク機能がいかに充実してくるかが、重要なポイントであり、この機能いかんによってはお買い得マシンなのか、見送るべきかが左右される非常に重要な機能なのである。 さて、PS3のネットワーク機能を説明する前に、本体側の通信機能についておさらいしておきたい。PS3の通信機能は大きく分けて、インターネットへの接続用と、PSPなど周辺機器との接続とにわけられる。
(1)Ethernet×1(10BASE-T、100BASE-TX、1000BASE-T) これら機能のうち、PSPとの接続に利用されるワイヤレスLANに関しては、20GBモデルには搭載されず、USB経由での有線接続となる。Bluetoothに関しては先日発表となったリモコンやコントローラとの接続などで利用される。今後、ソニーの進めるロケーションフリー機能などを考えるならワイヤレスLANなどの機能はあっても損はないだろう。
インターネットへの接続は、Ethernet(LANポート)をLANケーブルを介して自宅のルーターに接続して行なう。設定自体はDHCPに対応しているため、多くの家庭の場合は特に設定の必要はない。現時点でその他外部の通信機器との接続は発表されていないが、いたって標準的なインターフェイスを有することから今後様々な機器の対応が期待される。なお、PS2にあったIEEE1394は標準では搭載されていない。
■ Xbox Live+αを狙ったネットワーク構想「PLAYSTATION Network Platform」
PNPは、文字通りPS3のネットワークの基盤システムのことで、チャットやメールといったメッセージングやゲームのマッチングなどオンラインサービスの基本的な機能を提供する。このPNPのAPIはサードベンダに公開され、ネットワークを使うすべてのサービスの共通プラットホームとなる。ただし、MMORPGなどゲームサーバーを必要とするゲームコンテンツに関しては、現在のところ標準的な機能提供があるというアナウンスはない。また、基本機能に関しては無料で利用可能で、タイトル個別の決済のみとなる。 EDIは、パッケージの購入、コンテンツの配信といった「流通」をつかさどるオンラインサービスで、PS3の「新たな流通経路」となる。実際には「PLAYSTATION Store」としてサービス提供されることになる。ソフトウェアメーカー各社は、この「PLAYSTATION Store」経由でユーザーにパッケージの販売をおこなうことが可能になる。さらに、拡張パックやレースゲームのコースなどの差分販売も予定している。構想ではインゲームコマースの機能もサポートされ、ゲーム内からも利用可能になるとのことである。
またこれら機能は、共通の認証システム(ユーザー管理システム)の上にサービスされ、一般のInternet経由で接続されている。個々の機能はXbox Liveをかなり意識しているものと思われる。 ■ XMB(クロスメディアバー)からラウンチされる標準搭載アプリケーション
(1)Video(ビデオ) Video、Music、Photoといったメニューは、メディアから各コンテンツを再生させたり、HDD内に格納されたコンテンツを管理する機能で他のXMB対応ソニー製品でもおなじみのインターフェイスである。 Gameは、ゲームのセーブデータの管理全般をおこない、HDD内のPS3のデータ、PSやPS2用のメモリカードの管理をするモードである。Usersは、PS3を利用するユーザー全体を管理するメニューで、アカウントごとのメニュー利用制限などの管理なども行なう。
ネットワーク機能に関しては、「Network」と「Friends」に大別される。「Network」は、PSPとの連携をおこなう「リモート」機能に加え、インターネットの各サイトを閲覧する「WEBブラウザ」やネットワーク経由でコンテンツの配信、購買が行なえる「PLAYSTATION Store」などのアプリケーションが起動する。「Friends」はメールやチャットを通じて友達とのコミュニケーションをおこなうための機能が存在する。よりXMBの詳しい情報は、公式サイトを参照していただきたい。
■ スタイリッシュで操作性に長けた「インターネットブラウザ」
各ウィンドウは画面切り替えにより最大6画面までサムネイル表示が可能で、それらを自在に切り替えることが可能となっている。各設定メニューは、△ボタンと押すことでサイドにメニューが表示され、方向キーでメニュー選択が可能となっている。 ブラウザはマルチリンガル対応で、主要なマルチバイト系海外サイトも問題なく表示されそうだ。FLASHなどの基本的なプラグインは標準で搭載されているが、その他プラグインに関してどのように追加・削除を行なうかなどを試すことはできなかった。いずれにせよ、今後ゲーム公式サイトは、PS3からのアクセスを考えたサイト作りを意識する必要がありそうだ。
気になる日本語入力に関しては、ソフトキーボードを主体に携帯電話でおなじみの予測変換などが搭載され、簡単なメールや検索文字入力などは十分こと足りそうな印象を受けた。その他サブメニューがオーバーラップする際に半透明になるなど、細かな部分でもこだわりを見せてくれた。唯一、FONTスムーシング(アンチエイリアス)がかかっていなかった点が若干気になった。
■ PS3版iTunesとなるか「PLAYSTATION Store」
これはゲームと独立的な存在ではなく、ゲーム内からもシームレスにアクセスすることができる。当面は、SCEのタイトルのみの対応になりそうだが、徐々にサードパーティーにも広がっていくことは間違いない。個人的には、Appleの「iTV」+「iTunes」+「iPod」のような関係を、PS3でどのように見せてくれるのか非常に興味深い。もしやとは思うが、他プラットホームサービスも取り込むなどという展開があるのであればさらに夢は広がる。
CEATEC会場で決済に関して質問してみたところ、「現在はまだ公表できないが、Edyをはじめとするクレジットや小額決済手段の導入は考えている」との回答を得た。さらに「Mora」や「Playstation.comにおける物販」との連携も視野に入れているとのこと。インターネット上のひとつのサイトに過ぎないので連携と言われてもピンと来ないのが正直なところだが、PLAYSTATION Storeを軸にさまざまなサービスがプラグインされるのは間違いないようだ。残念ながら、11月11日時点でのローンチサービスの詳細については堅い口を閉ざされてしまったが、PLAYSTATION Storeの動向が非常に重要になってくるだろう。 ■ 「Xfire」を意識したフレンド機能にみるPS3コミュニティ機能の実力
(1)フレンド登録 注目すべき点は、「一緒に遊んだプレーヤー」というメニューである。これはオンライン対戦での履歴がロギングされる機能である。また、ゲームプレイ中に登録した友人がネットに接続、もしくは友人からのメッセージが届くとポップアップで表示されるなど、ゲームとのシームレスな連携も実現されるという。これらの機能は、PS3でも対応を表明している「Xfire(クロスファイア)」というPCオンラインゲームユーザーでおなじみのコミュニケーションツールに極似している。 ちなみにXfireは、現在PS3で6タイトルが開発進行しており、20社近くのベンダーと対応を協議している。既存PCゲームコミュニティとの連携も可能となることから、今回は「Xfire」の機能を見ながら、PS3のコミュニケーション機能に迫ってみたいと思う。 Xfireは、すでにアメリカで500万人以上の利用者が存在し、「World of Warcraft」をはじめ、「Lineage II」、「ファイナルファンタジーXI」といった米国でリリースされている著名なPC系タイトルはすべて対応している。PS3ではSony Online Entertainmentの「Untold Legends」が1番目のタイトルとして対応を表明している。まだご存知でない方のために主な機能を紹介しておく。
(1)Friend Tracker
(2)One-Click Join
(3)Server Browser
(4)Xfire In-Game (IM While You Play)
(5)Voice Chat
(6)File & Patch Downloads
(7)Profiles with Automatic Stats 以上、いくつかの機能はXboxLiveにも搭載され、オンラインゲームを知るものには必要不可欠と思える機能が満載である。残念なことにXfire=フレンド機能という正式発表はないため、上記機能がそのままPS3で実現されるかどうかはわからない。
現時点でわかっていることはXfireは、PS3の多くのゲームタイトルが対応し、PS3とPCとの間でシームレスにコミュニケーション可能となることが確実視されている。今後大いに期待してよい部分であろう。 ■ まだまだ未知数の領域が多い。ビジネスモデルは? MMOタイトルのサポートは?
(1)ブロードバンドキャリア(NTT等)との契約(必須) 気になるのが、サーバー運営にかかるランニングコストの部分だ。MMORPGの場合は、このランニング費用に関して「月額課金」と「アイテム課金」といったビジネスモデルが存在する。PS3でこのようなビジネスモデルが「PLAYSTATION Store」経由で実現されるのか、PS2のようなベンダー独自のビジネスモデルが追加されるのかはまだ明らかになっていない。このあたりは、「グランツーリスモHD」での車やコース販売のモデルがよい例になるものと思われる。 もうひとつ見えないのが、「ファイナルファンタジー XI」のようなMMORPGタイトルの場合、開発とならんで各社のデーターセンターやGM(ゲームマスター)をはじめとする「運営面」での対応が重要になるが、その部分の仕切り方だ。もちろんこの部分はサードべンダーに依存する部分ではあるが、コンテンツ+ハード一体戦略をとってきたSCEにとって、コンシューマーゲームのオンラインへの本格的参入となるPS3では、当然コンテンツ+ハード+運営の一体化戦略が求められる。 そうなると、継続的な運営を行なうためのランニング費用を補完するビジネスモデルも必要になってくる。このあたりの不安を払拭するためにも、発売開始から時間を置くことなく「お手本」となるタイトルの登場を待ち望みたいと思う。
なお、オンラインコンテンツ制作に関しては、オンラインゲーム大国韓国の開発力を支援すべく「WA! PS3 online」なるファンドをKIPAとSCEKとの間で共同設立している。こちらの動きにも注目していきたいところだ。 今回は、CEATECで公開されたPS3の「Demonstration Mode」を中心に話を進めてきた。現時点でわかる限りの「ネットワーク」に関して、できるだけ多くの情報を盛り込んだつもりだ。個人的に一番期待したいのは、「フレンド」メニューにみられるコミュニケーション機能の充実である。こういったゲームプレーヤーや遊ぶ環境に着目したコミュニケーションとクオリティの高いオンラインタイトル開発環境の提供に注目していきたい。まずは、SCE自社タイトルでそのお手並みを拝見といったところである。 (C)2006 Sony Computer Entertainment Inc. All manufacturers, cars, names, brands and associated imagery featured in this game are trademarks and/or copyrighted materials of their respective owners. All rights reserved. Any depiction or recreation of real world locations, entities, businesses, or organizations is not intended to be or imply any sponsorship or endorsement of this game by such party or parties.
□バックナンバー http://game.watch.impress.co.jp/docs/backno/rensai/online.htm (2006年10月23日) [Reported by アラン・ブラフォード]
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