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【不定期連載第5回】次世代オンラインゲームへの思索と邂逅

アラン・ブラフォードの「OnlineGame 2.0」論



プレイステーション 3のネットワーク機能を探る
~PS3に見るソニー流オンラインサービスへの期待~



 前回は東京ゲームショウで公開された様々なオンラインゲームをタイトルやマーケティングの観点で私なりの考察を行なった。今回は、CEATECのソニーブースで公開されていたプレイステーション 3の「Demonstration Mode」を題材に、PS3のオンラインサービスの内容をわかった範囲内で解説していきたい。

 PS3はCELL(東芝、IBM、SCEの共同開発によるPowerPCベースのプロセッサ)の採用やNVIDIA製GPUの採用、ブルーレイディスクの採用など、ハード面での話題が発表以降その中心となり、その後グラフィックス面ではPCゲームではお馴染みの3Dエンジン「Unreal Engine 3.0」の採用が話題となった。

 オンライン機能に関して言えば、PSPとの連携やネットワーク接続の標準サポート、ネット対戦やコンテンツダウンロードなど付加的な位置付けでの話題にとどまり、オンラインプラットフォームとしてのPS3に関してはまだまだ情報が足りないのが現状である。いまだ多くの人が「『グランツーリスモ』の追加コースがダウンロード購入できる」程度の認識でしかないのではないだろうか。



■ PS2では低価格DVD再生機能、PS3ではネットワーク機能が鍵となる

CEATECでのソニーブース。今回発表になったリモコンをはじめ合計3箇所にPS3が展示されていた
ソニーブース「プレイステーション 3」コーナー。XMBやWebブラウザを初披露するなど、ゲームやブルーレイ再生以外の機能が公開された
 今回のCEATECを見た限り、PS3購入には「ハイデフゲーム機」というゲームプラットフォームとしての要素以外に、いくつかの購買動機を指摘することができる。それは、ちょうどPS2が、PS互換機+低価格DVD再生機として登場した時と似ている。今回私の選んだ購買動機は下記の3点を指摘することができる。

(1)ブルーレイディスク対応プレーヤー
(2)PS、PS2上位互換機
(3)ネットワーク接続機

 さて、まずブルーレイディスクについては、DVDの際とは状況が違う。PS2の際はDVD一択だったが、今回はXbox 360がHD DVDを正式採用したことで陣営が大きく2分してしまった。もちろんCEATECでも両陣営は張り合うようにブース展開を行なっていた。その昔のベータとVHSの際の規格戦争に今回も消費者が飲み込まれる形になりそうだ。ただし、今回のCEATECでは、PC周辺機器としてのHD DVDが目に付き、民生映像装置としてはブルーレイディスクが大幅にリードしている感触を受けた。

 いずれにせよ、対応タイトルのラインナップはまだまだ少なく購買動機としては不十分だ。そうなると、PS2の上位互換機としてのPS3と、いまだ多くの謎に包まれたままのネットワーク機能に期待がかかる。PS2やPSの互換機能に関しては、Wiiのバーチャルコンソールなどの発表を見ている限り、もはや必須の機能だと思われる。つまり、なくてどうすると言ったところだ。

 そうなると次の大きな購入動機は「ネットワーク接続」と言うことになる。すでにブロードバンド環境とPC普及が進んでいる状況下で、ゲーム機としてのネットワーク機能がいかに充実してくるかが、重要なポイントであり、この機能いかんによってはお買い得マシンなのか、見送るべきかが左右される非常に重要な機能なのである。

 さて、PS3のネットワーク機能を説明する前に、本体側の通信機能についておさらいしておきたい。PS3の通信機能は大きく分けて、インターネットへの接続用と、PSPなど周辺機器との接続とにわけられる。

(1)Ethernet×1(10BASE-T、100BASE-TX、1000BASE-T)
(2)ワイヤレスLAN(IEEE 802.11 b/g)
(3)Bluetooth(Bluetooth 2.0)

 これら機能のうち、PSPとの接続に利用されるワイヤレスLANに関しては、20GBモデルには搭載されず、USB経由での有線接続となる。Bluetoothに関しては先日発表となったリモコンやコントローラとの接続などで利用される。今後、ソニーの進めるロケーションフリー機能などを考えるならワイヤレスLANなどの機能はあっても損はないだろう。

 インターネットへの接続は、Ethernet(LANポート)をLANケーブルを介して自宅のルーターに接続して行なう。設定自体はDHCPに対応しているため、多くの家庭の場合は特に設定の必要はない。現時点でその他外部の通信機器との接続は発表されていないが、いたって標準的なインターフェイスを有することから今後様々な機器の対応が期待される。なお、PS2にあったIEEE1394は標準では搭載されていない。

BD Remote Controller(12月7日発売)。ゲームコントローラーと同様に、○×△□のボタンが存在する。簡単なブラウジングはリモコンだけでも利用可能だ 背面のLANポート。通常のEthernetにて接続が可能。DHCP対応の家庭用ルーターであれば特に設定の必要なくインターネットに接続できる




■ Xbox Live+αを狙ったネットワーク構想「PLAYSTATION Network Platform」

XMBの主な機能。VideoやMusic、Photoといったアルバムメニューのほかに「Network」が用意されているのに注目したい
 PS3のネットワーク構想は、今年3月のGDC2006でその概要が初公開され、それ以降さほど具体的な発表のないまま今日を迎えた。これは大きく分けて、「PlayStation Network Platform(以下PNP)」と「E-Distribution Initiative(以下EDI)」に大別される。

 PNPは、文字通りPS3のネットワークの基盤システムのことで、チャットやメールといったメッセージングやゲームのマッチングなどオンラインサービスの基本的な機能を提供する。このPNPのAPIはサードベンダに公開され、ネットワークを使うすべてのサービスの共通プラットホームとなる。ただし、MMORPGなどゲームサーバーを必要とするゲームコンテンツに関しては、現在のところ標準的な機能提供があるというアナウンスはない。また、基本機能に関しては無料で利用可能で、タイトル個別の決済のみとなる。

 EDIは、パッケージの購入、コンテンツの配信といった「流通」をつかさどるオンラインサービスで、PS3の「新たな流通経路」となる。実際には「PLAYSTATION Store」としてサービス提供されることになる。ソフトウェアメーカー各社は、この「PLAYSTATION Store」経由でユーザーにパッケージの販売をおこなうことが可能になる。さらに、拡張パックやレースゲームのコースなどの差分販売も予定している。構想ではインゲームコマースの機能もサポートされ、ゲーム内からも利用可能になるとのことである。

 またこれら機能は、共通の認証システム(ユーザー管理システム)の上にサービスされ、一般のInternet経由で接続されている。個々の機能はXbox Liveをかなり意識しているものと思われる。



■ XMB(クロスメディアバー)からラウンチされる標準搭載アプリケーション

サムネイルで直感的なブラウンジングを提供
 XMBは、ソニー製品で採用されている、コンテンツブラウジングや各種機能設定メニューなどを制御するユーザー・インターフェイスだ。このメニューの先が今後のPS3を占う重要な部分となってくる。ゲームの途中にXMBを呼び出し、インターネットの検索や、メールの確認をするなど各アプリケーションを横断する際にもこのメニューを利用する。主なメニューは、下記のとおり。

(1)Video(ビデオ)
(2)Network(ネットワーク)
(3)Music(ミュージック)
(4)Photo(フォト)
(5)Friends(フレンド)
(6)Users(ユーザー)
(7)Game(ゲーム)
(8)Setting(設定)

 Video、Music、Photoといったメニューは、メディアから各コンテンツを再生させたり、HDD内に格納されたコンテンツを管理する機能で他のXMB対応ソニー製品でもおなじみのインターフェイスである。

 Gameは、ゲームのセーブデータの管理全般をおこない、HDD内のPS3のデータ、PSやPS2用のメモリカードの管理をするモードである。Usersは、PS3を利用するユーザー全体を管理するメニューで、アカウントごとのメニュー利用制限などの管理なども行なう。

 ネットワーク機能に関しては、「Network」と「Friends」に大別される。「Network」は、PSPとの連携をおこなう「リモート」機能に加え、インターネットの各サイトを閲覧する「WEBブラウザ」やネットワーク経由でコンテンツの配信、購買が行なえる「PLAYSTATION Store」などのアプリケーションが起動する。「Friends」はメールやチャットを通じて友達とのコミュニケーションをおこなうための機能が存在する。よりXMBの詳しい情報は、公式サイトを参照していただきたい。

音楽はPlayList単位での管理が可能 フルHDでのスライドショーが超美麗




■ スタイリッシュで操作性に長けた「インターネットブラウザ」

Webブラウザの表示例。HD対応モニタであればほぼPCと同じ表示が再現される。ゲーム用コントローラでは項目移動に方向キーが使えなかったのが気になる。PS2同様、細かな操作にはUSBキーボードとマウスが必須となるようだ
 PS3のインターネットブラウザは、ゲームコントローラーやリモコンでも簡単に操作できるように設計され、スタイリッシュなインターフェースを提供している。

 各ウィンドウは画面切り替えにより最大6画面までサムネイル表示が可能で、それらを自在に切り替えることが可能となっている。各設定メニューは、△ボタンと押すことでサイドにメニューが表示され、方向キーでメニュー選択が可能となっている。

 ブラウザはマルチリンガル対応で、主要なマルチバイト系海外サイトも問題なく表示されそうだ。FLASHなどの基本的なプラグインは標準で搭載されているが、その他プラグインに関してどのように追加・削除を行なうかなどを試すことはできなかった。いずれにせよ、今後ゲーム公式サイトは、PS3からのアクセスを考えたサイト作りを意識する必要がありそうだ。

 気になる日本語入力に関しては、ソフトキーボードを主体に携帯電話でおなじみの予測変換などが搭載され、簡単なメールや検索文字入力などは十分こと足りそうな印象を受けた。その他サブメニューがオーバーラップする際に半透明になるなど、細かな部分でもこだわりを見せてくれた。唯一、FONTスムーシング(アンチエイリアス)がかかっていなかった点が若干気になった。

ウィンドウは最大6画面まで表示可能。画面選択時のエフェクトなども惚れ惚れする。細かな配慮にソニーのエンジニア陣・デザイナー陣のこだわりを感じる部分である 文字入力ウィンドウ。携帯電話でおなじみの予測変換など、簡単な入力はこれで十分だ


ブラウザのツールメニュー。通常のWebブラウザとほぼ同様の機能が伺える フォントエンコードも各国語対応している




■ PS3版iTunesとなるか「PLAYSTATION Store」

「PLAYSTATION Store」。なぜかこのアイコンだけがカラーで表示されていた。ただしメニューは封印されており、具体的なインターフェイスは見ることができなかった。すでに準備は進んでいるとのことなので発売後のオープンが待ち遠しい
 PS3ネットワーク機能の目玉がこの「PLAYSTATION Store」だ。簡単に言ってしまえば、iTunes Music StoreのPS3版のようなサービスだと考えて良いだろう。PS3で動作可能なパッケージは勿論のこと、PSPやWalkman対応ソフト(映像、音楽含む)に加え、ゲームの拡張データパック、たとえばレースゲームのコースや車種などのダウンロード販売も可能になる。

 これはゲームと独立的な存在ではなく、ゲーム内からもシームレスにアクセスすることができる。当面は、SCEのタイトルのみの対応になりそうだが、徐々にサードパーティーにも広がっていくことは間違いない。個人的には、Appleの「iTV」+「iTunes」+「iPod」のような関係を、PS3でどのように見せてくれるのか非常に興味深い。もしやとは思うが、他プラットホームサービスも取り込むなどという展開があるのであればさらに夢は広がる。

 CEATEC会場で決済に関して質問してみたところ、「現在はまだ公表できないが、Edyをはじめとするクレジットや小額決済手段の導入は考えている」との回答を得た。さらに「Mora」や「Playstation.comにおける物販」との連携も視野に入れているとのこと。インターネット上のひとつのサイトに過ぎないので連携と言われてもピンと来ないのが正直なところだが、PLAYSTATION Storeを軸にさまざまなサービスがプラグインされるのは間違いないようだ。残念ながら、11月11日時点でのローンチサービスの詳細については堅い口を閉ざされてしまったが、PLAYSTATION Storeの動向が非常に重要になってくるだろう。



■ 「Xfire」を意識したフレンド機能にみるPS3コミュニティ機能の実力

PS3の「Friends(フレンド)」メニュー。一緒に遊んだプレーヤーなど、ゲームと密接に連携したコミュニケーション機能が存在する
Xfireの公式サイト。すでに米国では500万人の会員が登録され、PCゲームSNSのスタンダードとされている
 今回、私自身がとても注目しているのがフレンド機能だ。これは先にサービスを開始しているXbox Liveにおける「ゲーマータグ」や「ゲーマープロフィール」と同等の機能と考えるとわかりやすい。しかし、PS3のコミュニティ機能はそれに留まらない。現時点での情報では、下記のメニューが存在する。

(1)フレンド登録
(2)一緒に遊んだプレーヤー
(3)チャットルーム
(4)メッセージボックス
(5)ブロックリスト

 注目すべき点は、「一緒に遊んだプレーヤー」というメニューである。これはオンライン対戦での履歴がロギングされる機能である。また、ゲームプレイ中に登録した友人がネットに接続、もしくは友人からのメッセージが届くとポップアップで表示されるなど、ゲームとのシームレスな連携も実現されるという。これらの機能は、PS3でも対応を表明している「Xfire(クロスファイア)」というPCオンラインゲームユーザーでおなじみのコミュニケーションツールに極似している。

 ちなみにXfireは、現在PS3で6タイトルが開発進行しており、20社近くのベンダーと対応を協議している。既存PCゲームコミュニティとの連携も可能となることから、今回は「Xfire」の機能を見ながら、PS3のコミュニケーション機能に迫ってみたいと思う。

 Xfireは、すでにアメリカで500万人以上の利用者が存在し、「World of Warcraft」をはじめ、「Lineage II」、「ファイナルファンタジーXI」といった米国でリリースされている著名なPC系タイトルはすべて対応している。PS3ではSony Online Entertainmentの「Untold Legends」が1番目のタイトルとして対応を表明している。まだご存知でない方のために主な機能を紹介しておく。

(1)Friend Tracker
いわゆる「お友達リスト」。登録したお友達が今何のゲームを遊んでいるのか、どんなゲームをしているのかが表示される。Xbox Liveでいうところの「ゲーマータグ」がこれにあたる。

(2)One-Click Join
これは、他のプレーヤーに割り込みをかける(途中参加を要請する)機能。Xbox Liveにも同等の機能がある。格闘ゲームであれば、「鉄拳5」をCOM対戦中に、「NEW CHALLENGER」と出て、いきなり対戦モードになるようなものだ。

(3)Server Browser
対応しているゲームや、ゲームで使用するサーバーリストを管理する機能。FPSの場合同一クライアントでサーバーは無数にあるためこういう機能が必要となる。「どのゲームセンターに遊びに行こうかな?」といった感覚で使う。PS3では、外部メニューにはサーバーリストは存在しないことから、ゲーム自体からサーバー選択するものと思われる。

(4)Xfire In-Game (IM While You Play)
メッセージングシステム。チャットやボイスチャットをインゲーム中でも実現させている。違うゲームを遊んでいても会話ができるなど、タイトル横断的なコミュニケーションが図れる。PS3でもゲームとこういったコミュニケーションツールは別レイヤーで実行されていると思われるため、この実装に関しても容易に実現してくるものと思われる。

(5)Voice Chat
いわゆるボイスチャットシステム。コントローラでの利用が基本となるPS3では当然必要だと思われる。PS3では、ボイスチャットに加えビデオチャットなどの導入も予定されている。

(6)File & Patch Downloads
オンラインゲームでは日常茶飯事のパッチやクライアント、ムービーなどのFTPサービス。PS3では、パッチに関してはシステムアップデートというメニューが準備されているが、ゲーム個々のパッチに関しては現時点では公開されていない。

(7)Profiles with Automatic Stats
プレーヤーの勝敗情報やランキングなどプレイ内容を自動的に反映するプロファイル機能。「お、あいつ57人抜き達成かよ」やMMORPGでいえば友達のレベルが一目でわかるといったことが実現される。Xbox Liveでは「ゲーマープロフィール」、PS3では、「一緒に遊んだプレーヤー」が近い機能を実現されるものと思われる。

 以上、いくつかの機能はXboxLiveにも搭載され、オンラインゲームを知るものには必要不可欠と思える機能が満載である。残念なことにXfire=フレンド機能という正式発表はないため、上記機能がそのままPS3で実現されるかどうかはわからない。

 現時点でわかっていることはXfireは、PS3の多くのゲームタイトルが対応し、PS3とPCとの間でシームレスにコミュニケーション可能となることが確実視されている。今後大いに期待してよい部分であろう。



■ まだまだ未知数の領域が多い。ビジネスモデルは? MMOタイトルのサポートは?

「グランツーリスモ HD」。車種は750種類以上を予定し、1台あたり50~100円程度で販売されるとのこと。同様にコースに関しても200~500円程度で販売する予定。台数限定モデルや定期的な車種追加など現在の基本無料オンラインゲームのアイテム課金モデルに近い展開もあるようだ
 先にも述べたように、基本的なネットワーク機能を使うにあたって特別な費用は発生しない。但し、あくまでも基本的なプラットホームを利用する料金が無料なだけであり、実際にはプレイする環境を整えるためには、それなりの費用が発生する。例えばPS3で、オンラインプレイ無料のオンライン対応タイトルをプレイする場合、以下の準備が必要となる。

(1)ブロードバンドキャリア(NTT等)との契約(必須)
(2)インターネットサービスプロバイダ(ISP)との契約(必須)
(3)ネット対戦など対応タイトルの店頭及び「PLAYSTATION Store」での購入(必須)
(4)「PLAYSTATION Store」経由での追加コンテンツのダウンロード購入(任意)

 気になるのが、サーバー運営にかかるランニングコストの部分だ。MMORPGの場合は、このランニング費用に関して「月額課金」と「アイテム課金」といったビジネスモデルが存在する。PS3でこのようなビジネスモデルが「PLAYSTATION Store」経由で実現されるのか、PS2のようなベンダー独自のビジネスモデルが追加されるのかはまだ明らかになっていない。このあたりは、「グランツーリスモHD」での車やコース販売のモデルがよい例になるものと思われる。

 もうひとつ見えないのが、「ファイナルファンタジー XI」のようなMMORPGタイトルの場合、開発とならんで各社のデーターセンターやGM(ゲームマスター)をはじめとする「運営面」での対応が重要になるが、その部分の仕切り方だ。もちろんこの部分はサードべンダーに依存する部分ではあるが、コンテンツ+ハード一体戦略をとってきたSCEにとって、コンシューマーゲームのオンラインへの本格的参入となるPS3では、当然コンテンツ+ハード+運営の一体化戦略が求められる。

 そうなると、継続的な運営を行なうためのランニング費用を補完するビジネスモデルも必要になってくる。このあたりの不安を払拭するためにも、発売開始から時間を置くことなく「お手本」となるタイトルの登場を待ち望みたいと思う。

 なお、オンラインコンテンツ制作に関しては、オンラインゲーム大国韓国の開発力を支援すべく「WA! PS3 online」なるファンドをKIPAとSCEKとの間で共同設立している。こちらの動きにも注目していきたいところだ。



 今回は、CEATECで公開されたPS3の「Demonstration Mode」を中心に話を進めてきた。現時点でわかる限りの「ネットワーク」に関して、できるだけ多くの情報を盛り込んだつもりだ。個人的に一番期待したいのは、「フレンド」メニューにみられるコミュニケーション機能の充実である。こういったゲームプレーヤーや遊ぶ環境に着目したコミュニケーションとクオリティの高いオンラインタイトル開発環境の提供に注目していきたい。まずは、SCE自社タイトルでそのお手並みを拝見といったところである。

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■筆者プロフィール■
アラン・ブラフォード(日本在住)。コンピューター関連カレッジ卒業後、大手電機メーカーでエンジニア、研究開発を経て、オンラインゲーム関連ビジネスに身を置く。先日知人と食欲の秋、物欲の冬などと笑い話をしていたが、この冬はまさにそれを実践しそうな予感だ。今のうちにおいしいものを食べて体力をつけ、PS3発売には強靭な体力と経済力で挑みたいところだ。さしずめ即効性のある景気対策を安部首相に期待しつつ……。



□バックナンバー
http://game.watch.impress.co.jp/docs/backno/rensai/online.htm

(2006年10月23日)

[Reported by アラン・ブラフォード]



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