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会場:幕張メッセ
今回の発表会では、プレイステーション 3向けオンラインアクションRPG「Untold Legends Dark Kingdom」とPC向けMMORPG「EverQuest II」の拡張ディスク第3弾「Echoes of Faydwer」とアドベンチャーパック「The Fallen Dynasty」を公開した。日本での展開を前提にして開発が進められており、現在、日本でのパブリッシャーを探している段階だという。東京ゲームショウ期間中にも多くのビジネスミーティングが行なわれたということで、近いうちに日本のゲームパブリッシャーからアナウンスが行なわれるかも知れない。 本題に入る前にSOEの最新事情を紹介しておくと、SOEは2006年に入って、2005年以前と状況が変わっている。まず親会社が、米ソニーとソニーピクチャーズから、ソニーコンピュータエンターテインメントアメリカ(SCEA)とソニーピクチャーズデジタルに変わっている。もともとSOEはソニーグループの一社としてもともとの土台であるPCプラットフォームに加えて、プレイステーションプラットフォームにも数々のオンラインゲームを提供してきた。 今回、SCEAの影響力が強くなったことで、必然的にSCEグループの最重要コンテンツであるプレイステーション3の戦略に深く組み込まれ、「Station.com」のノウハウを、PS3のオンライン部分に提供している。また、PS3のオンライン仕様が固まった時点から、いち早くオンラインゲームの開発をはじめている。それが今回公開された「Untold Legends Dark Kingdom」である。このほかにもPS3向けMMORPGの開発にも着手しているという。 先述したように、「Untold Legends Dark Kingdom」の日本でのパブリッシャーは決まっていない。最有力候補は親会社の親会社であるSCEJになるが、サードパーティータイトルとしてリリースすることにあまりこだわりはないという。なお、Xbox 360をはじめとした他プラットフォームへの展開は、ビジネス的に有効なら不可能なことではないが、基本的にソニーグループとして動くという。つまり、Xbox 360やWiiへの展開は当分ない見込みだ。 ちなみにPS3とPC向けに開発を進めているMMORPGは、具体的な発表はまだできないということだったが、DCコミックのライセンスを受けたスーパーヒーローものになるという。SOEは、2006年3月までスクウェア・エニックスの「ファイナルファンタジー XI」の欧米運営を担当していたが、この経験を活かし、PS3版とPC版の相互接続にもチャレンジするというから楽しみだ。
■ Cellパワーを活かした次世代グラフィックス環境でオンラインプレイを実現した「Untold Legends Dark Kingdom」
基本的なゲームデザインは、アメリカ人が好むハック&スラッシュ系のファンタジーアクションゲームであり、Cellパワーを活かしたHDグラフィックス、パフォーマンス低下なしで実現される最大4人のマルチプレイモードが売りとなっている。 ハンマーを力任せに振り回すウォーリア、二刀流と素早い動きで敵を切り刻んでいく紅一点のスカウト、巨大な火の玉をぶつけたり、重力を操作するなど強力な範囲攻撃が魅力のメイジの3種類のキャラクタからひとりを選択し、恐怖政治を敷く魔王の圧政からの快方を目指して、美しいファンタジー世界を冒険していく。 デモを受けて印象的だったのは、なんといっても圧倒的に美しいHDグラフィックスと、どれだけ暴れても微動だにしない優れたパフォーマンス。Cellプロセッサの使い方もユニークで、8基のSPEにそれぞれ個別の機能を割り当てているという。聞いた限りでは、スペシャルエフェクト、コンピュータAI、水のエフェクト、物理演算(Havokエンジン)といった具合に、大胆に割り振っている。 オンライン機能については、先述したようにPS3のオンラインサービスを利用して、最大4人までのマルチプレイに対応している。ビジネスモデルは、SOE側(ゲーム側)では無料で、基本的にパッケージを購入すれば、マルチプレイも無料で遊べるということになる。MMO型のゲームではないため、ゲームをプレイするにあたってインストールは必要としない。
また、発売後にはPC向けオンラインゲームのように拡張コンテンツがダウンロード配信される。PS3の決済システムを介してHDDにダウンロードする。拡張コンテンツは、新マップ、新キャラといったものがメインで、安価で提供することを予定しているという。
ゲームプレイは対戦型ではなく、クエストを共有する協力プレイが主体となる。コミュニケーションは、SCEが提供するチャット用のライブラリをビルトインし、テキストチャットを実現する。今回は残念ながらシングルプレイのみだったが、コンシューマゲームに、PCゲーム水準のグラフィックスとパフォーマンスを実現したオンラインゲームが登場するのはオンラインゲームファンとしては楽しみなところだ。
■ 「EverQuest II」はSOEに運営移管後も継続して日本向けサービスを提供
SOEが日本語版でのサービスをどのように考えており、今後、日本語版の運営がどのようになるのかはMMORPGのビジネスのあり方として注目されるところだ。「EQ2」PR担当のMichael Shelling氏に話を聞いた限りでは、日本運営に関しては非常に意欲的で、「ファイナルファンタジー XI」北米運営で培ったノウハウを活かし、スクウェア・エニックス運営時代と変わらぬカスタマーサービスを提供することで、高い顧客満足度を維持しているようだ。 今後の「EQ2」の日本展開については、パッケージ版の発売がメインで、運営そのものはSOEが継続的に行なっていく方針だという。スクウェア・エニックスとの2年半のパートナーシップにより、逆に自社本国で他国へ展開することのメリットを修得したのだろう。 さて、今回デモが行なわれたのは、「EQ2」拡張ディスク第3弾の「Echoes of Faydwer」とアドベンチャーパック「The Fallen Dynasty」の2タイトル。「Echoes of Faydwer」は、11月中旬発売予定で、価格は39.99ドル。現在、パッケージ版のパブリッシャーを探している。一方、「The Fallen Dynasty」は、10月17日よりダウンロード提供される。価格は無料で、2カ月以上課金したアクティブユーザーなら誰でも無料で導入が可能となっている。 「Echoes of Faydwer」は、妖精のような容姿をした新キャラクタ「フェイ」、フェイが棲息する新たな街「ケレチン」の導入を軸に、初代「EverQuest」経験者には馴染み深いフェイドワー大陸の冒険が堪能できる拡張ディスクだ。新種族「フェイ」が追加されるため、全レベル(1~70)に対するコンテンツ、エリアがまんべんなく追加される。この全レベル層対応というところが今回の一番大きな特徴といえるだろうか。 クエストエリア20以上、新モンスター40以上、新クエスト350以上、新しい武器、防具、マントなどなど、データ量は相変わらず膨大である。もちろん、日本語版で発売される。ただし、その入手手段は、発売までに日本でのパブリッシャーが決まらない場合は、ダウンロード販売のみということになる。SOE移管後も拡張ディスクが日本語版で提供されるのは、嬉しいニュースだ。
□Sony Online Entertainmentのホームページ (2006年9月24日) [Reported by 中村聖司]
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