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価格:4,800円
プレイステーションで'97年に発売された“みんなの”シリーズ第1作「みんなのGOLF」。そこからシリーズを重ね、ネットワークタイトルやPSPへとプラットフォームを広げ、進化し続けてきた。そんな中、9年目にしてついに「GOLF」以外のスポーツが“みんなの”シリーズに登場した。 みんなで楽しめるスポーツとしてSCEJが選んだのは「テニス」。ゲーム自体は徹底的にわかりやすく、誰もが楽しめる工夫がなされている。ただ○ボタンを押しているだけでもクリアすることができる手軽さに加え、ロブやスライスを使い分けることで、試合を作り上げることができ、テニス本来の楽しさを感じることのできる作品に仕上げられている。価格も4,800円と低価格に設定されていることから、SCEJの力のいれ具合が計りしれる。
今回のインタビューでは、「みんなのGOLF」シリーズのプロデュースを担当してきたSCEJのJAPANスタジオ 制作2部 シニアプロデューサーの池尻大作氏に、なぜ、いま「テニス」なのか? そんな素朴な疑問にはじまり、テニスのどこをゲームとして切り取っていったのかなど、様々なお話を伺った。 ■ “ゴルフ”から“テニス”へ。なぜ、いまテニスゲームなのか
●池尻氏: 「みんなのGOLF」を作ってこられたのは、クラップハンズの村守将志さんという方なんですね。ゴルフゲームを作り続けて20年以上という、凄いキャリアの方です。 「みんなのGOLF」を制作するようになってから、みんな、色々なスポーツゲームをやりたいというのがずっと前からあったんです。村守さん自身は野球が好きなので、野球がやりたいとずっと言ってたのですが、1チーム9人でプレイするスポーツということで、簡単に言えば技術的に大変だということなんです。制作に関わる人もそんなにはいない。 ゴルフが一番簡単なのは、プレーヤーキャラがひとりであるということと、競技がリアルタイムに展開するわけではなく時間が止まってるという点。制作上、非常にコンピューターゲーム向きになる。ゴルフの次に一度に参加する人が少ないスポーツ競技は、ふたりで対戦ができる球技であり、それならテニスという案が出たんです。 もうひとつは、「みんなの」シリーズが「誰もがやったことがあってルールが簡単」というスポーツにこだわりを持っていたので、それなら「テニス」と言うことに決まりました。制作上の都合と、プレイする上でルールがシンプルということが理由です。 --Q:「みんなのGOLF 4」の発表会は川奈のゴルフコースで開催されたじゃないですか。その時に思ったのは、「作った人はゴルフが好きなんだな。たぶん凄く詳しくて、日頃から実際にプレイしておられて。制作される方もそうだし、広報の人もそうなんだろうなぁ」といった具合に感じたんですが、テニスはいかがでしょうか? 以前からプレイしておられたのでしょうか。 ●池尻氏: 「テニス」の場合は、全員がやっているわけではないですね。なので、作ってる最中にはテニスのコートを借りて、スタッフ全員でテニスの練習や試合をしました。デザイナーに1人、以前テニスのコーチをやっていたという経験者の方がいたのでラケットの持ち方から教わったり(笑)。楽しかったですね~。まだ発売時期も全く決まっていなかったので、開発当初は和やかに進んでいたと思います。だいたい2005年の夏から秋くらいかな。 --Q:体験しておかないとゲームは作れないというわけですね。 ●池尻氏: そういった意味では、やはりゴルフのほうが経験が少ない人が多かったですね。ゴルフはふらっとゴルフコースに行ってプレイできるスポーツではないじゃないですか。全員がゴルフを経験しているわけじゃないんです。やはり20歳代のスタッフは経験したことのない人が多いです。「なるべくテレビのゴルフ中継は見ましょう」とか、「ゴルフ場に見学にいこう」とは常々言ってます。ほとんどのスタッフは打ちっぱなしまでしか経験していないという人が多かったですね。テニスは、テニスを作ろうって決まった時点でコートを借りて、コートの中で遊んでる分には誰にも迷惑がかからないので。結局5回から6回ほどコートを借りて練習しました。 --Q:体が痛くならなかったですか(笑)。
●池尻氏: そうですね。普段、運動してないので、筋肉痛とかありましたね。 ■ “テニス”のどの部分をテレビゲームに落とし込むのか
●池尻氏: シミュレーション部分というか、テニスのどこが面白いかという部分ですね。 --Q:そこらへん、落とし所をどういう風にとらえられたのでしょうか。「テニスゲーム」をプレイして得られる楽しさというのは、多分、実際にテニスをして楽しいというのと違うのではないかと。テレビゲームに「テニス」を持ってきたとき、少し違ってたりすると思うのですが。 ●池尻氏: そうですね、人と人との勝負という点でしょうか。シングルでもダブルスでも……特にダブルスのゲームに注目しました。 僕達が練習のために借りてたテニスコートは普通の大きな公園にあったのですが、隣で年齢層の高いおじさん、おばさんがミックスとかやられてたんです。球の速さだけをみるとそれほど速くないんです。でも、相手のプレーヤーの居ない所にポコポコと打ち返して、絶妙に崩していくんです。 そういった試合の読みや、駆け引き部分がやっぱりテニスの面白いところなんじゃないでしょうか。球を早く打つだけが勝ち負けじゃないというか。それは一番はじめにクラップハンズさんから企画書を頂いた時点でそうでした。球のスピードをゆっくりにして、いかに相手を崩して、最後にフィニッシュを打ち込むかという。 --Q:速い球を打ち返すプレーヤーも出てくるけど、他のプロテニスプレーヤーが出てくるようなゲームに比べたら球のスピードを落として戦略を高めたゲームにしようということですね。 ●池尻氏: 一番はじめに制作したプロトタイプはもっと球のスピードが遅かったんです。でも、あまりに球のスピードが遅すぎると今度は爽快感が得られないので、もうちょっと球のスピードを上げてみたり調整しましたね。調整には時間がかかりました。 発売前に配布した体験版をプレイしただけだと、少しゲームの上手い人がプレイすれば簡単すぎるとか、少しノンビリしてるとか、そういった感想になると思うんです。それはこれまでにゲームをやり込んでいるプレーヤーで、僕たちとしてはゲームをやってない人にもやってもらいたいので、こういったテンポに調整したんです。ゲームをあまりプレイしたことがない人でも、ラリーがそこそこ続くよう作りたかったんです。次々と登場してくるキャラクタのボールはどんどん早くなるので、後半登場するキャラクタは選手レベルがプロレベルに反映されていますよ。慣れてもらえば、そういったキャラクタでも大丈夫だと思います。 --Q:プレイしていて、テニスがテレビゲームに合ったスポーツだなと感じたのは、ネットに付いたほうがいいのか、コートの後ろでプレイした方がいいのか、そういった判断を常に瞬間的に求めれるという点ですね。迷って中途半端な所にいると、来た球を打ち返すことができない。プレイ中は常に判断を求められているところが、テレビゲームとして作りやすい点なのかなと感じたんです。 ●池尻氏: そうですね。既存のテニスゲームは研究しましたし、一番はじめに登場したコンピューターゲームはテニスゲームでしたし、目指すものになるかなというつもりで作ってはいます。 いまのテニスゲームって、「みんなのGOLF」の1作目が発売された時と同じような流れだと思うんです。あの頃も、ゴルフファン向けのリアルなゴルフゲームが中心になっていて、だんだん難しくなってしまいゴルフファン以外はゴルフゲームをプレイしなくなっていた。最近のテニスゲームも、プロテニスプレーヤーが実名で登場してコアなテニスファンをターゲットにした作りになっていたので、我々としては一旦ここでリセットして、新しく作り直そうと思ったんです。 テニス自体は誰もが知っているので、これなら遊べるんじゃないかなという所まで難易度を落として、みんなに遊んでもらおうと。実際にゲームを発売してみなければ、評価はわからないですが、誰でも遊べるぐらいの難易度に仕上がってると思います。 --Q:調整という話が出たのですが、○ボタン(トップスピン/左スティック+○ボタンでフラット)だけでもゲームはプレイできるじゃないですか。ワンボタンだけでプレイできてしまう。 ●池尻氏: ええ、○ボタンだけでもゲームはプレイできます。 --Q:大体どれぐらいまで勝ち進める難易度なのでしょうか。
●池尻氏: おそらく、スタッフだと最後のキャラクタまでワンボタンでプレイしても勝てると思います。私でもかなり後半のランクくらいまで、○ボタンだけで勝てますよ。当然、×ボタン(スライス/左スティック+×ボタンでドロップ)を使ったほうが楽に勝てます。緩急をつければ。 ●池尻氏: 少なくてもはじめの2ランクぐらいは○ボタン以外はいらないですね。なくても全然、勝てる。 --Q:下手にロブをあげたりすると逆に打ち込まれたりしますものね。 ●池尻氏: そうなんです。 ちなみに各ランクごとに、はじめにヒントなどが表示されるんです。「ここまで(ランクが)上がってくると○ボタン、×ボタンを使い分けないと辛いよ」といったアドバイスが表示されるので、そこではじめてプレーヤーも×ボタンを使うようになる。 プレイする上でのポイントを挙げれば、緩急をつけると言うことですね。結局、対コンピューター戦なんて強くしようと思えばいくらでも強くできるじゃないですか。プレーヤーが打った瞬間にはデータはもう入力されて、どこに飛ぶかは計算されてわかりますので。ですから逆に、CPUキャラクタはどうやって人間らしく失敗するかを作っていくのに時間がかかりますね。各キャラクタのAI部分ですね。一番最初はむちゃくちゃ強く作って、人間らしいミスを挟んでいく。 たとえば、人間側のプレーヤーが意図的に速い球、遅い球を打ち分けて緩急を付けて打ち返していくと、コンピューターが読みを微妙に外していくように作っているんですよ。後半ランクに行けば行くほど、トップスピンだけでなく、ガチで向こうがバンバン返してくるのを、スライスやロブといった具合に打ち分けいくと、普段のラリーとかでもCPUの読みが外れて隙ができるんです。 --Q:なるほど。チャレンジモードの2番目に登場するスズキと対戦していると、さっきはきちっと追いつこうとして走っていたのが、ボーっと立ってたりしますね。 ●池尻氏: 体験版ではAIの精度を感じるほどでもないと思うのですが、製品版でチャレンジモードをずーっとやっていくと、同じキャラクタでも動きが違ったりとか、キャラクタによって攻め方が違ったり特徴を持たせてあるんです。自分のスタイルだけでプレイし続けていてもどこかに壁があって、このキャラクタにはネットプレイじゃないと勝ちづらいとか、徐々にわかると思います。
■ 誰にでもできる、わかりやすいテニスゲームへの挑戦
●池尻氏: チェンジコートでコートを移動するのは、オプションで設定できるんです。画面の奥に自分がいると難しいという意見があったので、常に手前にいるというオプションを付けたのです。 ゲームの発売前にテストプレイをしてもらうモニターをお願いするのですが、テニスゲームに詳しい人とか、テニスゲームをよくやっている人はチェンジコートに全然抵抗はないんです。だけど、あまりテニスゲームをやらない人は、チェンジコートでプレーヤーキャラクタがコートの奥にいった瞬間に「やりずらい」、「難しい」という意見が多かったんです。これまでのゲームの常識で言えば、それは当たり前だと思いますけど。 まあ、やりずらいというネガティブな意見が多いのであれば、オプションでずっとコートの手前で遊べるというのを選べるようにしようと。ただ、このモードだけで遊んでいると、人対人でプレイするときは、奥でプレイするということは避けられないじゃないですか。なので、チャレンジモードの中ではチェンジコートで奥でプレイする時が出てきます。 基本的にはプレーヤーにストレスを与えないように、ひとりで遊ぶ時は常に手前というモードを付けました。ある意味ちょっとテニスゲームっぽくないかなという気もしますけどね。 --Q:導入するときは議論があったんですか? ●池尻氏: ですからオプションでということですね。「みんなの」シリーズはまず敷居の低さ、ユーザーフレンドリーな作りありきというコンセプトですので、ユーザーの人が不満に感じるところは割とスムースに「じゃ、遊びやすいように」という風に決まりましたね。 --Q:ちょっとびっくりしましたね。ずっとテニスゲームをやってたからだと思うんですけど。 ●池尻氏: これまでのゲームの常識的にはそうですよね。おっしゃる通りだと思います。はじめはそういったオプションはなかったんですよ、一切。ただ、モニターさんからの意見が多かったので、そういったオプションを設けることも取り入れてみましょうと。 --Q:思いつくかどうっていう所だけですよね。確かに、わたしもテニスゲームをやっている時、コートの奥の側にチェンジコートでいくとミスが多かったりするんですよね、昔から。たぶん距離感が掴めていないと思うんですよ。 ●池尻氏: そういった点は、ある意味ちょっとしたことですけど、みんなで直していこうと言うことになったんです。 PSP版の「みんなのGOLF ポータブル」を作ってる時の話ですが、携帯ゲームだし基本を9ホール単位にしたんですよ。それもやっぱりゴルフで9ホールで決着がつくというのは通常ありえないですよ。でも、電車の中で18ホールプレイしてもらうというのは酷だなと思ったんです。ゴルフ本来のスタイルで18ホールをプレイし続けるよりは、携帯機なので手軽な9ホールを基本単位にしましょうということで。そこでじゃあ短いほうにしようと決めちゃうところが、「みんな」に向けて作っているというところなんですよね。 --Q:「みんなのテニス」ではスイングすると、音符のマークが出たり、ウサギやカメのマークが出ますが、最初からそういったアイディアはあったのですか? ●池尻氏: わりと開発当初からありました。はじめは普通に俯瞰気味の視点でキャラがいるという、比較的普通のテニスゲームのスタイルでした。エフェクトは後半にどんどん追加されていきましたね。 「みんなのテニス」は、基本的には「みんなのGOLF」を作ってるメンバーで作っているのですが、ゴルフゲームでは画面の下にゲージがあって、ボタンを押すとパワーがたまっていってもう一度ボタンを押してパワーを決定し最後にタイミングに合わせてショットじゃないですか。最後のタイミングは、ゲージにおいて1フレームでもずれるとずれて表示されるので、自分のボタンを押すタイミングが遅いのか早いのかよくわかりますよね。テレビゲームの一番大事なところは、なぜ自分が失敗したのかということが、納得できるかどうかという所なんです。 テニスはジャストインパクトの時はわかるけど、遅い時と早い時は、判りづらかったんです。これをいかにプレーヤーにわからせるのかということで、ゴルフゲームと同じようにジャストインパクトからずれたら、何らかの判るような印を表示しなければダメだよね、という話になったんです。 ウサギが速くてカメだと遅いというアイコンが、日本人以外の人に通じるかなっていう話もあったのですが、海外の人にプレイするときに説明すると「あぁ、そうか」と言っていたので伝わるっぽいです(笑)。 --Q:確かにあのゲージはわかりやすくていいですね。私はカメ連発なので、どうしてもタメすぎなのかなって。そういうタイミングが一目でわかります。 ●池尻氏: カメを連発するというのは、これまでテニスゲームをプレイしてきた人だと思いますね。これまでのテニスゲームをプレイしてきた人はカメやウサギになりがちだと思います。極端に左右に振りたいと思ったとき、振りが速いと左に振れて振りを遅くして溜めるイメージで振ることで右に振る。昔のテニスゲームはそういうのが多かったので、それに馴れていると言うことでしょう。私もそうですね。カメ連発です。強烈なクロスを打ちたいときは、すごく振りを早くしたりしてしまうんです。 --Q:それは、今までの経験から体が勝手に動いちゃうんですよね。 ●池尻氏: そうですね。 --Q:では、コツとしてはやっぱりジャストインパクトを狙った方がいいということでしょうか。 ●池尻氏: そうです。ジャストじゃないと結局は、きわどいライン上でずれてしまうんです。ウサギやカメだとアウトになりますが、ジャストインパクトだとベースラインに入ってきますから。 --Q:たしかに、カメだとぼてっとしてスピードも落ちる感じがしますね。 ●池尻氏: チャレンジモード前半のキャラクタだと補完されるので、ジャストインパクトでもウサギでもカメでもアウトにはならないのですが、後半のキャラクタだとウサギやカメだとアウトになってしまうんです。 --Q:それも、先ほどおっしゃった難易度調整で徐々に難しくなると言うことですね。 ●池尻氏: 対戦プレイを誰かがプレイしているのを見ていると、中盤キャラぐらいで対戦しているのが一番面白そうだと感じますね。後半に登場するキャラクタだとシビアすぎてサーブひとつとってもファーストサーブをミスするであるとか、ダブルフォルトを出してしまうといった風に、ミスが多くなってきます。中盤キャラだとそこまではいきませんし、初級キャラほど球も遅くないですし。ちょうどいいと思いますね。
■ アイテムを導入しなかった理由
●池尻氏: 今回はアイテムという手法は一切ないですね。キャラクタだけです。 ラケットとか靴とか、はじめの企画段階ではそういったアイテムを盛り込むアイディアもあったのですが、作っていく過程の中で削ったんです。というのも、アイテムとかっていうのは、基本のゲームができてから次の段階で提示するものなんです。それで仕様から外したんですね。「キャラクタの性能がいいのか?」とか、「初心者が使って気持ちよくなっているのか?」とか。そういった基本の部分が固まっていないのに、足が速くなる靴だとか、球が2倍速くなるラケットとか、片手間に手を出すとわかりにくくなってしまうんです。1作目の評判がよければ、その土台となった部分からプラスαとして、これまでに溜めている企画を入れていくという感じですね。 振り返ってみると、我々としてはテニスゲームは初めて制作するゲームなので、思ったより形にはなっていると思うのですが、「これで自信をもっていけるかな」というところに至るまでに、非常に時間がかかりましたね。 --Q:キャラクタの強弱とか、土台をきちんと作っておかないと、バランスが余計に取りにくくなってしまうってことですね。 ●池尻氏: そうです。「みんなのGOLF」も同じで、シリーズ1作目ではアイテムは登場しないんですよ。キャラクタの性能とゴルフなのでホールイン/ホールアウトだけですね。これだけでスタートしてます。僕としてはまず、今回の「みんなのテニス」1作目では、それと同じものを作る。それでテニスゲームが受け入れられるのであれば、そこから強化したものを作るということです。 --Q:そういった中でキャラクタ以外ですと、審判を集めていくという要素がありますが、集めてもそれほど大きな変化はないのですか? ●池尻氏: 大きな変化はありませんしそもそも審判は画面にはほとんど姿を見せず、声だけなので寂しいのですが(笑)。 でも、これも冷静に聞くとすごく日本語っぽい英語になっているんです。実際のテニスでは、「フィフティーンラブ」って審判はネイティブの英語で発音するんです。でも「みんなのテニス」では「フィフティーン、ラブ」って日本語っぽい発音にあえてしているんです。一番最後に登場する審判だけ、外国人の方に来てもらって、お願いしたのですが、その声優さんに「英語の発音が違う」と言われたのですが、演出上、日本語っぽい発音は残してます。 --Q:それは初心者の人でも「聞き取りやすいように」という観点からですね。たしかに、そういった気を使っているなと感じるところは他にもありましたね。「次をとったらブレーク!」という表示がありますが、「ブレイクポイント」と表示するのではなく、わざわざわかりやすい表現を選んでいると感じました。 ●池尻氏: そこも大事なところですね。プレーヤーにはテニスをやったことない人も「みんなの」シリーズだから買ってみようかというユーザーさんはいるわけです。テニスの常識を判っている、テニスに詳しい人だけが「みんなのテニス」を買うわけではないですから。 --Q:テレビで放送しているテニスの試合の中継では「ブレイクポイント」って公然と使われていますが、「みんなのテニス」では「ブレイクポイント」って表示されないなと思いながら見てたんですけど、そのへんは気を使っているということですね。 ●池尻氏: そうですね。より、わかりやすさ優先ということで。 --Q:そういった意味でいくと、テニスはなぜ15点きざみでカウントするのかとか、「ラブってなに?」みたいな所はありますね。確かに難しい専門用語ですよね。 ●池尻氏: やってることは簡単なんですけどね。 --Q:そういった垣根を取り払っていければということですね。 ●池尻氏: 取り払ってくれればいいかなと思いますね。
■ ネットワークには未対応……そして今後への期待 --Q:あとはネットワークという部分ですね。「みんなのGOLF」のシリーズの時はホームページ上でスコアを登録したりなど色々な企画がありましたが、今回のテニスではネットとの連動はないのですか? ●池尻氏: 「みんなのテニス」ではネットワークの要素はないですね。結局、ゴルフは自分との戦いですし、何度もラウンドして、1打でも縮めようとするストイックさがあるじゃないですか。ゴルフではそういった遊びができるんですよね。18アンダーだったのを19アンダーにするとかね。19アンダーになったからそれを申請しようと。 テニスではそれがやりずらい。結局は勝ったか負けたかですからね。まあ、対戦格闘ゲームみたいになってしまうので。ゴルフはオンラインでスコアを送ってといった遊び方ができますけど、テニスではそういったスコア追求型の遊び方が難しいんです。 --Q:判断基準が厳しいですよね。ネットワークで直接、対戦できるなら別として。 ●池尻氏: ネットワークでの対戦というのは技術的にはできるんですが、ラグが絶対に発生するだろうと思うんです。あとは、判定のつけ方が難しい。おそらく、上手い人と下手な人がテニスゲームをやったら、下手な人は一方的に負けてしまうと思うんです。そうすると、何回か繋いでプレイしても勝てないからやらないって風になってしまうんじゃないかと。一番いいのは、同じぐらいの腕前で遊ぶのが面白いかなと。まずは、今回はそういう部分を強調して、体験版を配布したり、プレイステーション 3の発売も控えてますし、「家でみんなで対戦しましょう」というスタイルを作りたかったんです。 --Q:とりあえずは、シンプルに。続編がプレイステーション 3でリリースされるのであれば、ネットワークに対応させることができるかもしれないし、その時はその時でと言うことですね。 ●池尻氏: その時にはアイテムも対応しつつ色々なアイディアを盛り込んでいきたいですね。とにかく、“1”になるべきものは、コアがしっかりしてないと、いいシリーズはできないと思います。ゴルフに続く、新しいスポーツシリーズになれるかどうか、ユーザーの方の意見や感想などまずは様子を見たいです。
-- ありがとうございました
□プレイステーションのホームページ (2006年9月14日) [Reported by 船津稔]
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