【Watch記事検索】
最新ニュース
【11月30日】
【11月29日】
【11月28日】
【11月27日】
【11月26日】

CESA、「CESA DEVELOPERS CONFERENCE 2006」を開催
過去最多の1,700人強が参加する国内最大のゲームカンファレンス

8月30日~9月1日開催

会場:昭和女子大学



 社団法人コンピュータエンターテインメント協会(CESA)は、ゲーム開発者を対象にしたゲームカンファレンス「CESA DEVELOPERS CONFERENCE(CEDEC) 2006」を、本日8月30日より昭和女子大学において開催した。初日は、今年CESA会長に就任したスクウェア・エニックス代表取締役社長和田洋一氏の基調講演よりスタートし、合計32のセッションが行なわれた。本稿ではCEDEC 2006の概要と初日の模様をお伝えしていきたい。


■ 今年から基調講演を新設。8回目を迎え、規模を拡大しつつ進化を続けるCEDEC

初日もっとも多くの参加者を集めたセッションはセガの「ファンタシースターユニバースの開発現場より~5年間の歩み~」。発売前のタイトルのネットワークアーキテクチャを大胆に公開。詳しい内容については別レポートでお伝えする
今年から新設された基調講演。初日の和田氏の講演はCEDEC開幕にふさわしい内容だったが、2日目、3日目の内容も注目される
会場となった昭和女子大学は、正門を抜けるとゆったりとした空間が広がる。会場は複数の建物に分散しているため、移動に時間が掛かるのが難点だ
 CEDECは、米国のGame Developers Conference(GDC)に相当する日本国内のゲーム開発者を対象にしたカンファレンス。年1回のペースで開催され、今年で早くも8回目を迎える。今年も経済産業省を後援に、NVIDIAをメインスポンサーとして、3日間で全90セッションが行なわれる。毎年、東京ゲームショウの直前に開催されることもあり、ショウの方向性を占う意味でも、非常に楽しみなゲームカンファレンスである。

 GDCと比較すると、ゲームデザインやビジュアルアーツといったゲームの根幹に関わるセッションの比率が若干低い反面、アーケード、サウンド、モバイル、シリアスゲーム、国際分業などをテーマにしたビジネス&ロウといったセッションの比率が高い傾向が見受けられる。アーケード、サウンド、モバイルといったジャンルは、いずれも日本が強みとしている部分であり、これらのセッションが充実するのは次代のクリエイターを育てる意味でも非常に頼もしい限りだ。

 今年のCEDECで注目されるのは、今回初めて基調講演が導入されたことだ。GDCのスタイルを模したものと思われるが、1日に1回ずつ、オープニングセッションとして行なわれる。前述したように初日はスクウェア・エニックスの和田社長が務め、2日目はエンターブレイン代表取締役社長の浜村弘一氏、3日目はマイクロソフトXbox事業部長の泉水敬氏の講演がそれぞれ予定されている。

 初日のセッションを一通り受講した限りでは、今年の傾向として、CEDEC 2005で大いに語られた次世代機関連の話が、すでに開発者レベルでは“現世代”に降りてきていることもあり、不気味なほどに陰を潜めていたのが印象的だった。一般セッションはともかく、受講者も交えて大いにディスカッションされるラウンドテーブルでも、プレイステーション 3やWiiの話題に触れるのはお互い開発者としてタブーとしている雰囲気があり、スピーカーも参加者もやややりにくそうだったのがおもしろかった。

 また、オンラインゲーム関連のセッションも減少傾向だったが、これは毎年2月に開催されているアジアオンラインゲームカンファレンス(AOGC)の規模の拡大を受け、明確な差別化を図るためだという。欲を言えば、CEDEC 2005開催以降から今年にかけての最大のムーブメントといえるニンテンドーDSの舞台裏を伝えるようなセッション、あるいはその担い手である任天堂のセッションがまったくないのがやや寂しいといった印象だろうか。

 変わって今年のメインテーマとなったのは、次世代機とは関係なく進化を続ける各種テクノロジー、サービス、ビジネスモデルといった国内最新トレンドのレポートや、昨年のCEDEC以降にリリースされた大作タイトルのノウハウの共有を目的としたセッションだ。大手メーカーのメジャータイトルが扱われている例も多く、例年になく内容が充実したセッションが目白押しだ。CEDEC事務局によれば、昨年の参加者が1,300人だったにも関わらず、今年は事前応募で1,700人強を記録したというが、素直に頷けるセッション内容である。

 なお、今年の会場は東京三軒茶屋の昭和女子大学が選ばれた。CEDECは、GDCにおけるIGDAのような世界的ネットワークを持つ強固な運営母体を持たず、財団法人のCESAが直接運営を行なっているということもあり、予算の都合と規模の拡大に対応して毎年会場を変えるという実にきわどい綱渡り運営を続けている。実際、会場の収容人数は年々拡大され、セッション内容も確実に充実してきているが、受講者に対するホスピタリティが向上してきているかというと微妙なところで、客観的に見て必ずしも快適な受講環境が提供されているとは言い難い。

 今年の場合、会場が同時多人数の移動を前提としておらず、会場間の移動に手間が掛かること、無料、有料を問わず飲食サービスがほとんどないこと、重要な目的のひとつである参加者間の交流スペースの少なさなどが不満点として挙げられる。内容といい参加者数の規模といい、そろそろ本格的なカンファレンスセンターに会場を移す時期が来ているように感じた。CESA会長の和田氏も基調講演で「ゲームは産業として確立し、第2ステージへ」と高らかに宣言している。第2ステージのクリエイターを育成する意味でも、来年度の課題としてぜひ検討してほしいところだ。

【基調講演「日本のゲーム業界の今後」】
和田氏は日本のゲーム市場を牽引するCESA会長の立場から、現状の圧倒的な国際競争力と国内における潜在需要の高さを強調し、明るい未来を予測して見せた。「量的な縮小をどうするかというのは問いが間違っている。これに関してはバカみたいに楽観視して良い」など、快刀乱麻の和田節を披露しつつ、今後の課題については「舐めてかかれないな」と慎重な構えを見せた

【チーム内プログラマから見たICO/ワンダと巨像の制作について】
SCEのセッション「チーム内プログラマから見たICO/ワンダと巨像の制作について」では、弊誌ライターの西川善司氏がモデレータとして参加し、内輪ネタやジョークを交えながら、実際の映像を用いつつ「ワンダと巨像」で採用されているカメラブラーや疑似光源パーティクル、4Dコリジョン判定など、独自のテクニックを披露した

【これからのクリエイターのあり方】
セガ名越稔洋氏は、「これからのクリエイターのあり方とゲーム表現と倫理哲学の重要性について」と題し、最新作「龍が如く」を題材に独自のゲーム哲学を披露。講演では一切の映像を使わず、名越氏の独演に終始。現在の絵的な線引で決定されるレーティングシステムに疑問を呈しつつ、「中身に対して守りに入るあまり、現状を超える努力をさぼりすぎていた」と自己批判。残り30分を質疑応答にあて、プランナーから寄せられる意見が伝わらないという悩みに対し、ゼロからすべてを伝える覚悟の必要性を述べた

【各セッションの模様】
初日だけで32セッションが開催された。レギュラーセッション、スポンサーセッション、ラウンドテーブル、ワークショップなど、開催形式も多様である。同時に最大9セッションが開催される。CEDECはここ数年で飛躍的に規模を拡大しつつある印象だ

□CESAのホームページ
http://www.cesa.or.jp/
□「CEDEC 2006」の公式ページ
http://cedec.cesa.or.jp/
□関連情報
【2006年8月30日】CESA、ゲーム開発者を対象としたカンファレンス「CEDEC 2006」開催
和田洋一CESA会長基調講演「ゲーム産業は第2ステージへ」
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20060830/cedec.htm
【2005年8月29日】CESA、「CESA DEVELOPERS CONFERENCE 2005」を開催
“次世代”を見据えた意欲的なセッションが目白押し
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20050829/cedec_01.htm

(2006年8月30日)

[Reported by 中村聖司]



Q&A、ゲームの攻略などに関する質問はお受けしておりません
また、弊誌に掲載された写真、文章の転載、使用に関しましては一切お断わりいたします

ウォッチ編集部内GAME Watch担当game-watch@impress.co.jp

Copyright (c) 2006 Impress Watch Corporation, an Impress Group company. All rights reserved.