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【連載第231回】 あの、おもちゃを徹底レポート




30種類のゲームを内蔵した携帯ゲーム機!
タカラトミー「ポケットドリームコンソール」

「ポケットドリームコンソール」
発売 タカラトミー
価格 8.400円
電源 単4アルカリ電池×3(別売)
発売日 発売中



 今回紹介する「ポケットドリームコンソール」は、足掛け5年に及ぶ当連載の中でも、珍品中の珍品といえるかもしれない (失礼!)。

 ジャンルでいえば携帯ゲーム機になるのだが、ソフトはカートリッジやカードという形で供給されるのではなく、全30種類の対応ゲームを本体に収録しているのだ。しかも本体に内蔵された液晶モニタで遊べるだけでなく、付属のケーブルを使えば、映像と音声をTVモニタに出力できる機能も備える。

 作り手にそういう意識があるかどうかは定かではないが、ソフトを内蔵していること、そして映像をTVに出力できる2点は、任天堂の携帯ゲーム機ゲームボーイアドバンスやニンテンドーDSとは、真逆のベクトルとなっている。一体どんな性能を持ち、どんなゲームで遊べるのか、読者のみなさんも興味シンシンではないだろうか。さっそくレポートしたい。

パッケージ。携帯ゲーム機でありながら、TV画面でも遊べる特徴が謳われている
 「意外だった」と言うのは、失礼に値するだろうか。パッケージから取り出してプレイを開始すると、本体のサイズと液晶モニタのクオリティの高さに驚いてしまった。

 本体は、非常に小さい。横幅は約10センチ、縦幅は約5センチというコンパクトさ。手の大きな人が手のひらで包もうとすれば、すっぽりと収まるほどのサイズなのだ。液晶モニタには、さらに驚かされた。2.0型のTFTモニタを採用し、鮮明にて繊細なのだ。表示されている文字や画像は小さなものだが、どれもクッキリと表示され、きちんと読み取れる。思わず「きれいだなあ……」と感嘆の声が漏れたほどだ。

 電力には、単4アルカリ乾電池3本を使用する。フルカラーの映像ながら連続して8時間の使用が可能だというのだからパワフルだ。省電力機能も有している。電源を入れたまま5分以上放置しておくと、自動的に電源がオフになるのだ。

「ポケットドリームコンソール」本体。カラーはレッド、ネイビー、ホワイトの3色がある。これはレッド 単4アルカリ電池とサイズを比較してみた。手のひらの上に乗るそのコンパクトさが実感できるはず
モニターは2.0型TFTを採用。写真では伝わりにくいかもしれないが、鮮明で小さな文字も美しく表示される ゲームのプレイ画面。画面は明るく、長時間遊んでも個人的には目の疲労感は感じなかった


 ゲームを操作するボタンは、十字ボタンとAボタン、Bボタン、そしてゲームボーイアドバンスでいえばL・Rボタンに相当する、右肩ボタンと左肩ボタンがある。音声は、ボリュームの調整が可能なだけではなく、ヘッドフォンも付属しており、場所を選ばず遊べる配慮がなされている。TVモニタへの出力は、付属のAVケーブルを使用する。音声ケーブルは1系統のみとなっていて、残念ながらモノラル出力しかできない。

本体の右上部と左上部に、いわゆるL・Rボタンに相当するボタンが用意されている 映像と音声をTVに出力できる専用ケーブルが付属してる。音声は、モノラルだ ヘッドフォンも付属しており、手軽に電車の中などで遊べるようにもなっている



「パズル」は名作を下敷きにしたものが多く、熱中しやすい

 電源をオンにすると、発売元の「TAKARA」と開発元の「conny」のロゴに続き、ゲームの選択メニューが表示される。30種類あるゲームは、「パズル」、「アクション」、「レーシング」、「シューティング」、「カジノ&テーブル」の5ジャンルに分類され、好みのものを選べるようになっている。ジャンルからゲームを選んで、ゲームをスタートさせるまでの流れは軽快そのもの。わずかなタイムラグもなく、サクサク進み、楽しい気分にさせてくれる。やはり携帯ゲーム機は、こうでなくてはいけない。

 さて、ゲームの紹介を始めよう。まずは「パズル」から。

●パズルレーン

 レーンの上を転がっていくカラーボールを消していくゲーム。自機を操作してカラーボールを発射し、同じ色のカラーボールが3個以上並ぶようにすると消すことができる。カラーボールの消し方によっては、離れた同じ色のボールがぶつかり合い、連鎖が発生することもある。ボールを消す行為は心地よいが、ルール自体はニンテンドーDS向けに発売されている「瞬感パズループ」を彷彿とさせる。

●絵あわせゲーム

 イチゴやレモン、スイカなどのたくさんの絵柄の中から同じ絵を2枚選んで消していくゲーム。ただし、絵と絵を結ぶラインは2回以上曲げられない、別の絵はまたげないというルールがある。ルールは若干異なるが、遊び心地はパズルゲームの名作「上海」や「四川省」を思い出させる。

●まちがい探しゲーム

 左右の絵を見比べて、違う箇所を見つけ出すゲーム。ニンテンドーDS向けにも間違い探しのゲームはいくつか登場しているが、それらと比べると実写映像を使用しているところがミソ。間違いポイントが人物や背景などになじんでいて、見つけるのが難しく、熱中させられる。

●ムーヴィングボックス

 主人公を操作して、迷路の中に置かれた3つの箱を目的地に運ぶゲーム。箱は押すことはできるが手前に引くことはできず、2個を同時に動かすこともできない、という制限がある。いわずとしれたパズルゲームの古典的名作「倉庫番」そのもののゲームだ。

●ジュエル・ボックス

 上から落ちてくる3つで1組の宝石を並べて、消していくゲーム。同じ色の宝石が、縦か横、斜めに3個以上並ぶと消えるルールだ。恐竜がときどき吐き出す黒い星は、宝石を連鎖消しすることで消滅させられる。パズルゲームの名作と称される「コラムス」を下敷きにしたゲームだ。

●ブロック・スクウェア

 ブロックを上下左右に自在に動かして、画面上にある同じ色のブロックをすべてくっつけるゲーム。壁や動かない白いブロックを使用して、巧みにブロックを並べる器用さが求められる。一手間違えたらアウトという詰め将棋的なストイックさがおもしろい。

 パズルゲームは、全般的に「過去の名作」の焼き直しが多かった。物まねという意見もあるだろうが、安心して夢中になれたのも事実だ。個人的には5ジャンルある中で、いちばん遊びこんだ。


「アクション」は玉石混交の趣あり

 「アクション」は、ぜんぶで8種類ものゲームがあり、数の上ではもっとも充実しているジャンルだ。

●ファイティングゲーム

 ダウンタウンを思わせる危険な町を舞台に、続々と登場する敵をパンチやキックで倒しながら先へ進むゲーム。ゲームデザインもさることながら、画面の雰囲気もカプコンの名作「ファイナルファイト」を思い起こさせる。各ステージの最後には、独自の技をくり出してくるボスが登場し、スリリングな攻防戦を楽しめる。

●ピギーアドベンチャー

 主人公のスーパーピギーを操作して、トンボやカタツムリによく似た敵を倒しながら、ゴールを目指していくアクションゲーム。地面に反射する氷の弾を発射する攻撃方法は、「スーパーマリオブラザーズ」のファイアマリオをを参考にしたものと思われる。

●子馬のぼうけん

 子馬を操作して、美しい楽園をめざして旅をするアクションゲーム。ダイヤモンドを3個集めて、ゴールを突破するとステージクリア。道中には進路を妨害するモンスターがいるが、子馬自体は攻撃をする手段を持たないため、ひたすら避けるだけのストイックさがポイント。

●ボムパニック

 時限爆弾を設置して、ステージ上の敵や障害物を破壊する。そうして、ステージ上の敵をすべて倒すとクリアとなる。障害物を破壊すると、設置できる爆弾の数が増えたり、威力が強まったりするアイテムが手に入る。主人公は女の子になっているが、ゲームのシステム自体はハドソンの名作「ボンバーマン」そのもの。

●ビックフィッシュ

 主人公の魚を操作して、大きく成長させていくゲーム。主人公は自分より体の小さな魚しか食べられないが、食事を重ねていくと体が大きく成長し、より大きな魚を食べられる。ときには危険なサメが通ったり、爆弾のウニが落ちてきたりと、飽きさせないつくりになっている。

●ボウリング

 コンピュータのキャラクタを相手にボウリング対決を勝ち抜く。ボールの曲がり方、投げる方向、投げる強さの3要素を決定して、ボールを投げる。ボールの当たり判定が大きいようで、スペアやストライクを取りやすく、手軽に爽快感を味わえる。

●ペンギンくんゲーム

 ペンギンを操作して、なくしたタマゴを集めていくゲーム。タマゴを求めて追いかけてくるオットセイは、穴を掘って落とすことができる。オットセイが穴に落ちている間は、その頭上を通り抜けることが可能だ。ゲームは「ロードランナー」を下敷きにしている。

●100フロアゲーム

 頭上から刻一刻と迫ってくる針天井に当たらないように、下へ下へと逃げていくゲーム。足場には通常の床もあれば、ベルトコンベアやバネがついた床もある。次の床に飛び移れずに、落ちてしまうとゲームオーバー。100階を降りる、という長丁場が緊張感を感じさせ、夢中になれる。

 「アクション」は、モロにオリジナルのゲームを彷彿とさせるゲームもあれば、オリジナリティを感じさせる「ビックフィッシュ」や「100フロアゲーム」のような佳作もあり、玉石混交といった印象だ。


「カジノ&テーブル」はグッとアダルトな雰囲気

 「カジノ&テーブル」は、トランプを使ったギャンブルから五目並べまで古今東西のテーブルゲームが7種類そろっている。

●ブラックジャック

 カードを引いて、合計数が21に近いほうが勝ちとなるトランプゲーム。500ドルを資金にして、ディーラーと1対1の勝負を行なう。このブラックジャックをはじめ、「カジノ」のゲームはグラフィックがグッと写実的なものになり、アダルトな雰囲気が前面に押し出され、雰囲気に酔えるようになっている。

●ルーレット

 アメリカンタイプのルーレットゲーム。500ドルを元手にして、資金をどれだけ増やせるかに挑戦する。つぎにルーレットが回転する1分の間に、コインを置く場所を決めて、賭けに出る。ボールがルーレット上を回転する効果音やディーラーの英語のボイスがリアルだ。

●カジノ・スロット

 パチンコ屋ではなく、カジノにあるオーソドックスなタイプのスロットマシーン。一度に賭けられるコインの枚数は3枚まで。こちらもほかの「カジノ」のゲームと同様に、500ドルの資金をいかに増やすかの勝負となる。

●ピンボールゲーム

 ゲームセンターにあるリアルなピンボール台を再現したものではなく、可愛らしいキャラクタが登場するファンタジックなアプローチのピンボールゲーム。台のテーマは「裏庭」で、役物としては樽やリス、サボテンなどが登場する。

●ペアマッチゲーム

 裏向きになったカードをめくり、同じ絵柄のものを2枚見つけて消していく、いわゆる「神経衰弱」と呼ばれるカードゲーム。使用されているのはトランプではなく、可愛らしい魚介類が描かれたカードとなっている。ステージをクリアするたびに並べられるカードの枚数が増える。

●ブロックくずしゲーム

 十字ボタンで反射板を左右に動かしてボールを打ち返し、空中に並んだブロックを破壊していくビデオゲームの古典的作品。壊れたブロックの中から、ボールが2個に増えたり、反射板が長くなったりするパワーアップアイテムが出現する。

●五目並べ

 コンピュータを相手にした五目並べゲーム。相手よりも先に縦、横、斜めのいずれかに、5連の石を並べたほうが勝ちとなる。石を間違えた場所に置いてしまった場合は、Bボタンを押すとキャンセルできる。コンピュータの思考の強さには、手ごたえが感じられた。

 筆者自身がギャンブルにくわしくないこともあり、良し悪しの判断がつかないものも多いのだが、「ブロックくずし」と「五目並べ」は遊びやすさの点から秀逸だと感じた。


「シューティング」は、控えめな印象

 「シューティング」は、5種類のゲームがある。横スクロールもあれば、縦スクロールもあり、さらには3D視点のタイプもあるバラエティに富んだ内容になっている。

●タウンパトローラー

 小さなヒーローが乗った戦闘機を操作して、飛来してくる敵キャラクタを撃ち落していく横スクロールタイプのシューティングゲーム。Bボタンを押すと、拡散する爆弾を放つことができる。ステージのラストには、奇抜なデザインのボスキャラクタが出現する。

●バードシューター

 縦スクロールのシューティングゲームながら、自機の戦闘機を左右方向にしか移動させることができず、上下に動かすことのできない不自由さが、独特の緊張感を生んでいる。パワーアップアイテムを集めていくと、ショットの弾数が増えたり、追尾弾になったりして、強さを増していく。

●バトルファイター

 3Dタイプのシューティングゲーム。最新鋭のジェット機のテストという設定で、目前に迫る障害物や敵を破壊していく。グラフィックは完全な3Dではなく、敵や障害物の大きさを瞬時に書き換えていくタイプの擬似3D。そのため「今の目」からはやや古臭く見えてしまった。

●サブマリンゲーム

 戦艦を左右に操作して、水中から攻撃してくる何隻もの潜水艦を撃破していく。一度に放てる魚雷の数が3発まで、という制限がスリリング。潜水艦を破壊するとパワーアップアイテムが出現することがあり、画面内の潜水艦の動きを止めたり、一度に全隻を撃破したりすることができる。

●バトルシップゲーム

 ターン制で進行するシミュレーション要素の強いシューティング。敵の軍艦はプレーヤーの戦艦を目指して追いかけてくるが、自機からは左右にしか弾を放つことができない。いかに敵の追尾を避けて、射程範囲に導くか、相応の戦略が必要となる。

 「シューティング」は、全般にのんびりとした印象のあるゲームが多い。昨今のハードコアな弾避けシューティングゲームに慣れた身からすると、物足りなさを感じてしまった。


「レーシング」は擬似3Dが物足りなし

 「レーシング」には、4種類のゲームがある。「シューティング」と同様に、GTレースあり、ラリーレーシングあり、はたまたF1レースもあり、と好みに応じたゲームを遊べるようになっている。

●GTレーシングゲーム

 スポーツカーを操るドライバー視点のレーシングゲーム。3D視点のゲームなのだが、擬似3Dのため、スピードに乗って疾走している、というドライビング感覚は得ることは難しい。

●ラリーレーシングゲーム

 長距離クロスカントリーラリーを題材にしたレーシングゲーム。前述した「GTレーシングゲーム」と同様に擬似3D映像のゲームなのだが、それ以上に砂漠ならではのスリップ感覚などが表現されておらず、個人的には残念な印象しか残らないゲームだ。

●F1レーシングゲーム

 「GTレーシングゲーム」とは異なり、3人称視点でマシンを操るレースゲーム。擬似3Dの問題も去ることながら、F1というにはスピード感が感じられず、前出のレースゲームとの違いを感じることができなかった。

●モトレーシングゲーム

 バイクをテーマにしたレースゲーム。右肩ボタンや左肩ボタンを押すと、すれ違う敵車にキックやパンチをくり出すことができ、この派手さがすがすがしく感じられた。「レーシング」の中では、もっとも楽しく遊べたゲームとなった。

 多くのゲームが過去の名作ゲームを下敷きにしており、それが目についてしまったために厳しめのレポートとなってしまったが、個人的にはこの「ポケットドリームコンソール」は評価している。何より30種類ものゲームを収録されている旺盛なサービス精神が素晴らしいし、「パズル」や「テーブル」の中には楽しめるゲームも多かったからだ。2.0型TFTモニタの美しさも魅力的だ。

 手軽に遊べるちょっとした時間つぶしのお供としてはもちろん、今後はコレクターズアイテムとしても重宝されるようになるのではないだろうか。

(C)2006 タカラトミー (C)2006 conny


□タカラトミーのホームページ
http://www.takaratomy.co.jp/
□「ポケットドリームコンソール」のページ
http://www.takaratomy.co.jp/products/pdc/


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(2006年8月24日)

[Reported by 元宮秀介]


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