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Net Time Soft CEO Scott Kim氏インタビュー
「コルムオンライン」大規模アップデート“Gloria Eterna”の全貌を聞く

8月16日収録

会場:Net Time Soft本社



 続いてのインタビューはNet Time Soft CEOのScott Kim氏。Net Time Softは、2004年9月に設立された新しいデベロッパーだ。2005年8月に日本法人が設立され、2005年12月には元Gravity CTOのScott Kim氏がCEOに就任。新体制で新規コンテンツの開発が行なわれている。

 2005年11月に訪問した際は、韓国で急造しつつある小規模の独立系デベロッパーといった印象が強かったが、現在は社屋を移し、人材を増やして、4タイトルもの新規タイトルの開発ラインを走らせる中堅デベロッパーに生まれ変わっていた。


■ 元Gravity CTOが牽引する新鋭デベロッパーNet Time Soft

一番左がNet Time Soft CEOのScott Kim氏。Netclue共同CEOのふたりにも同席いただいている
ヒュンダイ、Gravityと華麗なキャリアを持つKim氏。オンラインゲーム市場が勃興して10年近くが経過した韓国では、他業種からのヘッドハントが未だに盛んである
編: Kim社長は、昨年までGravityのCTO(Chief Technical Officer、最高技術責任者)だったそうですね。

Kim氏: ええ、そのとおりです。Gravityにいた時は「ラグナロクオンライン」、「ラグナロクオンライン II」、「レクエイム」の開発の責任者をしていました。

 ゲームとの関わりは、ヒュンダイの電子部門でソフトウェアの開発研究職に7年間勤務したことがきっかけです。そのときからゲーム会社に非常に興味がありました。最初にゲーム業界に入ったのは'99年に入社したwemadeです。Net Time Softで3つ目の職場ということになります。携わったタイトルとしては「オレスティア」、「キルライト」、「ノリテル」などがあります。いずれのタイトルも大当たりはありませんでしたが、大はずれもなかったというところです(笑)。

編: 現在、Net Time Softは、ネッツジャパン(現NETTS)とGMO Gamesの2つの日本法人と関係がありますが、それぞれの位置づけを教えてください。

Kim氏: 基本的にはネッツジャパンは当社の子会社ですので、基本的にネッツジャパンを通して日本展開を実施していくつもりですが、ビジネス的に最大の利益を計るために他のパブリッシャーを使うこともあると思います。

 優先順位は、1番はネッツジャパンですが、それ以外にGMO Gamesを含むその他のパブリッシャーさんを含むこともあるということです。GMO Gamesさんとはすでに「コルムオンライン」で深い協力関係がありますが、今後はGMO Gamesとだけではなく、他の日本のパブリッシャーとの関係も確立されていくと思います。

編: Net Time Softは2004年に設立された新しいメーカーですが、収益の中心は「コルムオンライン」なのでしょうか?

Kim氏: 具体的に詳細な数字は申し上げられませんが、「コルムオンライン」が中心です。しかし、現在複数の新規タイトルの開発を行なっているので、徐々にそうした体制は変化していくと思います。

編: 韓国、日本以外の展開地域を教えてください。

Kim氏: 「コルムオンライン」だと、先週末にプレスリリースを出したばかりですが、ガーラという会社とアメリカ、ヨーロッパ、東南アジアといった地域でのパブリッシング契約を結びました。我々のゲームは基本コンセプトとして、ゲーム性自体がグローバルなサービスを念頭に開発されていますので、今後もグローバルライセンス契約を締結できるように努力していきたいと思います。

編: 現状は日本と韓国の2カ国だけで、今後アメリカ、ヨーロッパ、東南アジア当にも事業を広げていくということでしょうか。

Kim氏: はい。現在は韓国と日本のみです。弊社のマーケティング部署でタイとフィリピン、アメリカ、ヨーロッパ、中国、世界各国のパブリッシャーとの接触を図っており、(その一環として)ガーラと契約を締結したばかりです。

編: 「コルムオンライン」は今年で運営3年目になりますが、ご自身でどのような評価をされていますか。

Kim氏: 「コルムオンライン」はサービスインから3年目に入り、歴史の長いタイトルになりつつあります。しかし、韓国でも日本でも最近の傾向としてMMORPGのライフサイクルが長くなっています。今後もアップデートや修正作業等を通じて「コルムオンライン」をよりたくさんのユーザーさん興味を持っていただけるようなタイトルにしていきたいと考えています。これは開発会社と共に、運営を担当しているNetclueとの円滑なパートナーシップを通じて可能ではないかと考えています。

編: 韓国での「コルムオンライン」の人気はいかがでしょうか。

Kim氏: サービス開始から3年が経過し、やはりサービスイン当初に比べるとユーザー数が少なくなっているというのが正直な話です。しかし、現在リニューアル計画を企画しています。今年の年末あたりまでに第1次の新規コンテンツを実装し、来年の上半期までに第2次を実装する開発計画を持っています。このようなリニューアルバージョンの投入を通して、落ち込んでいるユーザー数の現状数の確保及び増加に向けて努力していきます。

編: 日本で「コルムオンライン」はアイテム課金制のMMORPGとしては成功した部類に入ります。成功要因は何だと考えていますか?

Kim氏: 日本のユーザーの好みや特徴の1つに収集に対する興味の大きさがあると分析しています。「コルムオンライン」の場合、ガーディアンを用いてコレクションをしていくというシステムがあり、そうしたものがユーザーの興味を持った要因と考えています。


■ 「コルムオンライン」大規模アップデート計画“Gloria Eterna”

手元の資料を参照しながら“Gloria Eterna”について説明するKim氏
数年前に比べるとゲーム会社の開発機材は遙かに整ってきている。ただ、肝心のビルは古いものが多く、特に空調環境が致命的に悪い。PCの放熱で蒸し風呂状態に近い
編: 次に「コルムオンライン」の今後の展開についてコンテンツについてお伺いします。先ほど、リニューアルバージョンの話が出ましたが、これはどのようなコンテンツ拡充を予定しているのでしょうか。

Kim氏: 弊社では1.5バージョンと呼んでおり「Gloria Eterna」というコードネームを付けています。内容に関して4つの項目に分かれています。

 1つ目はマップに対するアップデートで、古くなってきたマップデザインに対して、ブラッシュアップを図ります。2つ目は、多くのユーザーに遊んでいただいている日本エリアのユーザーコミュニティからの要望事項を反映させるという作業があります。3つ目は、日本のユーザーに気に入られているガーディアンというモンスターを高レベルのユーザーのみではなく、中レベルのユーザーにも使用できるようなシステムを導入していきます。4つ目は、全サーバーのユーザーが誰でも入れる統合サーバーでのPvPシステムの導入です。その他に細かいシステムを導入する予定です。これが年末までの開発計画となります。

 来年の上半期ではバージョンアップしたコレクティングシステムである、「カードコレクティングシステム」の導入を予定しています。ほかに、可愛いイメージでペットシステムを導入し、アイテム関連でも複数のアイテムを増やす予定です。

村岡氏: Net Time Softさんが、この情報を社外に出すのは初めてだと思います。大丈夫かなとハラハラしながら聞いていました(笑)。

Kim氏: 記者さんがわざわざ日本からお越しにならなかったら公開しませんでした(笑)。付け加えますと、マップに関しては「24地域」を追加する予定です。地域は現在23地域までありまして、飛んで27、28と地域があります。途中で漏れている地域を埋める形で年末までに「24地域」を公開する予定です。

編: 日本のユーザーコミュニティの要望を集めて反映させるということでしたが、これは具体的にどういった内容なのでしょうか?

Kim氏: 日本ユーザーから要望の多かったものに、PKシステムがあります。日本のユーザーはマナーを守ったプレイを好まれるのですが、PKシステムの中で、PK可能地域の設定や、誰がPKを行なったのか、その後PKはどうなったのか、ということを正確に区分するようなシステムを導入してほしいという要望が数多く寄せられました。

 韓国の場合ですと、PKシステムは頻繁に取り入れられているシステムですので、あまり細かいルールは気にしないというところがあります。しかし、マナーはやはり重要で、実際、韓国でもマナーの悪いユーザーのブラックリストをアイテムとして販売する会社もあるほどです。

 日本でも「コルムオンライン」でプレイするにあたって、マナーを守って楽しくプレイして貰えるように、そうした要望にも気を配って開発していきます。また、PKをするプレーヤーにペナルティを与えるということも現状のシステムではカバーされていませんので、システム的にサポートしていくということも検討しています。

編: マップに関しては、具体的にどのように変わるのでしょうか?

Kim氏: 「コルムオンライン」の開発画面をご覧いただくとわかるのですが、現在手がけているのがルディロスという街のリニューアルです。最初に「コルムオンライン」の世界に足を踏み入れたユーザーが降り立つ街なのですが、現状では無機的に機能をもった建物があるだけです。これを「コルムオンライン」の世界観にマッチするようにデザインを変えたり、新規のNPCを入れたりする計画を立てています。次にワールドマップですが、既存のマップは単純にダンジョンとダンジョンをつなぐ橋の役割しかありません。これらについてもグラフィックスを強化し、さらに楽しめる要素を盛り込みたいと考えています。

編: サーバー間の戦闘というのはPvP好きにはたまらない要素ですが、具体的な仕様をもう少しかみ砕いて教えてください。

Kim氏: 新たにPvP専用のサーバーを設置し、期間限定で他のサーバーからのアクセスを許可し、アイテムと武器を提供して、戦闘を行なえるという内容です。既存のギルド戦よりスケールの大きい戦闘ができると思います。現状のシステムですと、サーバー間のユーザーの交流はありませんが、この試みを通じてサーバーを超えたユーザーの交流を活性化させることが目標です。そしてこれらの戦闘で勝利したユーザーに、レアアイテムや経験値を与えられるようなことを検討しています。

村岡氏: 捕捉しておきますと、「コルムオンライン」で最も人気が高いコンテンツが、ギルド戦とバトルダンジョンというPvPシステムです。バトルダンジョンは1つの城を紅白に分かれて奪い合う攻城戦です。48時間周期で行なわれるものなのですが、これに勝利するとキャラクタの経験値がアップしたり、入場料をもらえたりします。

 「コルムオンライン」はサーバーが3つありますが、それぞれサーバーIDが独立していて、サーバー間の交流がまったくありません。ギルド対ギルドのバトルダンジョンを3つのサーバーにいるお客さん同士はまったく関係なしに1つのサーバーでできれば面白いなという企画です。日本に関しては、ディテールが決まり次第アップデートのご報告ということでお話したいと思います。

 守護神となるガーディアンという強いサブキャラクタがいるのですが、それが与えるサーバーへの負荷は無視できないものがあります。常設にするかどうかについては、ストレステストなど各種検証を行なった上で、決めていきたいと考えています。

編: ガーディアンを中級レベルにも開放するというお話ですが、これはどういった意図があるのでしょうか?。

Kim氏: 「コルムオンライン」のガーディアンは、現状高レベルユーザーのみが使用できる存在ですが、これを中級以下のユーザーにも開放して、もっとゲームを楽しんでいただこうと考えています。まだ企画段階ですので実際何種類のガーディアンを用意するかという具体的なことはまだ決まっていません。

村岡氏: ガーディアンはすごく強い存在で、高レベルのユーザーしか使えません。村でガーディアンを召還するとその場にいるみんながざわざわと驚くような存在です。ガーディアンがほしいけれども、そこまで時間をかけてレベルを高くできないユーザーから敷居を下げてくれというリクエストが多かったのです。

 扱いとしては今までのガーディアンと同じ趣旨です。中級者でもペットのような形で、持てるようにすることを考えています。中級以下のレベルで「ガーディアン欲しいけど絶対無理だな」と思っていたユーザーさんでも手が届くことでより「コルムオンライン」が楽しめるようになります。

編: 24地域にはどういった遊びや冒険が追加されるのでしょうか?

Kim氏: 先ほどガーディアンが中レベル向けのコンテンツですが、この24地域は高レベルユーザー向けのコンテンツになります。「コルムオンライン」のユーザー層を分析しますと、高レベルのユーザーがかなりいます。すでに「コルムオンライン」の中で「これ以上難しいものはない」と見なされることもあるなど、どんなダンジョンもすべてクリアできるようなレベルに達しているユーザーもいますので、そうしたユーザーに向けた高難易度エリアになります。ダンジョンもいくつか入ることになっていますし、モンスターも現状の企画では15種類くらい登場します。そこで入手できるアイテムも色々企画しています。

編: せっかくの機会なので、村岡さんにもお伺いしたいのですが、「コルムオンライン」の日本運営に関しては、最近はアップデートより、GMイベント主体という印象が強かったのですが、充実したアップデート計画ですね。

村岡氏: ありがとうございます。昨年の大規模アップデートの際、カスタマーの対応がなかなかできてなかったということを多くのユーザー様からご指摘をいただきました。そこでまずしたことは、カスタマーメールの対応を1日でも早く行なうことでした。社内では何日以内というルールを設けました。後はサーバートラブルに関する復旧の処理ですが、アイテムが無くなったり、詐欺にあったりですとかそうした苦情のメールに関しても社内でルールを設け、迅速に処理できるようにしました。

 その後、一時的に「コルムオンライン」を離れていたお客様にも再びプレイしていただくためにGMのイベントを導入することにしました。そして次のステップとして大規模アップデート、コンテンツの充実があると考えていました。現在3年目に入ったということで、上級レベルのユーザーが増えたこともあり、こういう形で「コルムオンライン」をアップデートしていったほうがいいという提案を、「コルムオンライン」のGM、ユーザー様からの意見、パブリッシャー側の意見、開発側さんの意見をトータルで勘案した上で決めさせていただきました。

 引き続き大規模アップデートをメインとした新規コンテンツ、これを基にしたGMイベント、ブランド強化を目的としたATIさんやRazorさんのような関連周辺機器メーカーとのコラボレーション企画など、今後も積極的に展開していきたいと考えています。

編: 第1弾が韓国で年末ということは、日本での実装はそれから若干遅れることになるわけでしょうか?

村岡氏: そのあたりも要調整になります。去年の11月以降、日本で大規模アップデートをしていないので、11月、12月あたりにアップデートできたらいいなと考えていまして、お休みのクリスマスシーズンを狙って実装できればと考えています。

編: 日韓同時というのは難しいでしょうね。

村岡氏: 同時とは言わずとも1カ月前後ぐらいまでに、時間を短縮できればと思います。アップデートやパッチ等に関してノウハウは溜まっていますので、あまりタイムラグが生じない形で実装できると思います。

編: 日本のユーザーにメッセージをお願いします。

Kim氏: 簡潔ですが、弊社に今後とも多大な愛情をいただければと思います。

村岡氏: 引き続き我々は日本のパブリッシャーとして「コルムオンライン」の生みの親であるNet Time Softさんと良好な関係を保ちつつ、日本のユーザーさんからの声をいっそう反映して、今後のサービスをよくしてゲームを楽しんでいただけるように努力を続けてまいりますので今後ともよろしくお願いします。

編: ありがとうございました。

□GMO Gamesのホームページ
http://www.gmo.jp/
□ネットクルーのホームページ
http://netclue.co.kr/
□Net Time Softのホームページ
http://www.netts.co.kr/kr/index.asp
□Actoz Softのホームページ
http://www.actoz.com/
□関連情報
【2006年7月14日】Actoz Softチェ・ウンCEO、GMO Games/ネットクルー村岡総仁社長インタビュー
「コルム」の経験を活かし、X-TESTで多くのユーザーの意見を吸収
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20060714/eafint.htm
【2005年11月3日】ネッツジャパン、「墨香オンライン」GM体験団ツアーを開催
武侠MMORPGに2ちゃんねる文化をミックスさせた異色作
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20051103/netts_01.htm
【2004年1月28日】Netclue、「コルムオンライン」体験ツアーを開催
バトルダンジョンやボスモンスターハンティングなどを体験
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20040128/netcu01.htm

(2006年8月19日)

[Reported by 中村聖司]



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