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会場:Netclue本社、Net Time Soft本社、Actoz Soft本社
このツアーでは、GAME Watchを含む日本のメディア4誌を韓国に招待し、GMO Gamesの100%子会社であるNetclueをはじめとしたパートナーメーカー各社を巡り、「アニス&フリッキー」や「コルムオンライン」などのGMO Gamesタイトルの最新情報が公開された。最新バージョンのデモンストレーションや開発者インタビューなども行なわれたので、追ってお伝えすることにしたい。 本稿では、第一報として今回周った3社の概要と、各社の海外展開の模様をレポートしながら、韓国オンラインゲームビジネスのトレンドを追ってみたい。
■ GMO Gamesの韓国における活動拠点として機能するNetclue
弊誌では、2004年1月に一度訪問しているが、その際とはかなり状況が変わっていた。2004年1月時点では、韓国における「コルムオンライン」のパブリッシャーであり、日本展開するために日本に子会社まで設置していた。その後、GMOグループに買収されたことから、韓国でのパブリッシング権は、開発元のNetTimeSoftに譲り、日本の共同パブリッシャーとなっている。 本社の場所も変わっており、同じ江南区内で引っ越しが行なわれていた。代表もカン・タイヒュン氏からホワン・サンキュ氏と村岡総仁氏(GMO Games代表取締役社長と兼務)の共同経営体制に変わっている。ゲームマスターやカスタマーサポートの部門がなくなっているため、以前よりこぢんまりとしていたが、より密着感のある雰囲気で、日本のユーザーに向けて業務を行なっていた。 スタッフは20人弱で、ローカライズを担当するローカルチームと、ゲーム内の企画を考え、運営チームからの要望を開発元に繋げる企画マーケティングチーム、そして運用ツールの開発や、サーバー管理を行なう開発チームの3つの部署が存在する。
ユニークなのは、ゲームの運営はGMO Games、そのゲームサーバー管理はNetclueが行なっているところだ。これは、「コルムオンライン」のデータセンター(IDC)が韓国にあることが関係している。時差がなく、コスト的なメリットも大きい、日本と韓国という関係だからこそできる運営スタイルといえる。ちなみに、現在ローカライズを進めている「アニス&フリッキー」もゲームサーバーは韓国に置く方針ということだ。 ■ 中堅デベロッパーとして飛躍を狙うNetTimeSoft
こちらもNetclue同様に、日本市場を重視しており、2005年8月に設立された日本法人を柱に、GMO Gamesのようなパブリッシャーとの契約も視野に入れながら、全面的な日本展開を狙う。 現在開発中の新規タイトルとしては、オンラインフットサルゲーム「FullTime」、オンラインカジュアルボーリングゲーム「16 Pounds」、海洋冒険MMORPG「Florensia」、PvPを主体としたハードコアMMORPG「Project DNR」の4タイトルがある。基本的に日本法人からパブリッシングされるということだが、いずれも時期が近いため、利益の極大化のため、あえて他社と契約するという選択肢も考えているようだ。 最近の韓国デベロッパーのひとつの方向性として、日本市場の“再”重視の傾向が見られる。一昔前までは日本市場はオンラインゲーム発展途上国であり、展開はするがあくまで押さえであり、メインは韓国、そして中国、台湾、といったアプローチが韓国オンラインゲームメーカーの基本戦略だった。しかし、今年に入って韓国の新規タイトルが韓国内で軒並み苦戦し、1億ユーザーが眠っていると言われた中国でも他国タイトルの締め付けが厳しくなっているという背景がある。方や、コンテンツパワーと運営次第で、手堅い成功が見込める日本市場が逆に脚光を浴びつつあるわけだ。
実際、NETTSの収益の柱となっている「コルムオンライン」のほか、「スカッとゴルフ パンヤ」や「レッドストーン」など、韓国では苦戦したタイトルが、日本で成功した例が少なくない。NETTSのように日本一点掛けという例はまだ限られているが、まだまだ日本における韓国オンラインゲームブームは続きそうな印象である。
■ 海外ビジネスを中心に展開する韓国古豪のデベロッパーActoz Soft
日本では、ガンホーが運営を行なっている「A3」やGamepotが今年展開予定のMMORPG「LaTale」のデベロッパーとして知られるが、まだメジャーヒットを記録したタイトルがないため、知名度は今ひとつである。ただ、今回訪れた3社の中では唯一のKOSDAQ上場企業であり、「ミルの伝説」をライセンスしたShanda Entertainmentは、いまやActozの親会社となり、NASDAQ市場への上場も果たしている。オンラインゲームという新興のゲームビジネスの歴史を語る上では欠かせない韓国企業の一社である。 韓国での市場占有率はわずかに3%と10年の歴史を持つデベロッパーとしては小さく、収益のほとんどを、中国をはじめとした、海外からのロイヤリティによって得ている。2002年頃、Shanda Entertainmentとの間で「ミルの伝説」の盗作トラブルを抱え、会社が揺れていた時期があり、外部から見て空白の数年間があるような印象だ。 同社のビジネスは、「ミルの伝説」以降、母国韓国より、海外市場、特に中国への展開を事業の柱としているところに特色がある。海外展開地域は、日本を含むアジア諸国や欧米など十カ国に手を伸ばしているが、「ミルの伝説」シリーズや「A3」など比較的古いコンテンツが大半を占めており、本格的な海外展開はこれからになる。 ただ、Shanda Entertainmentの傘下企業となることで、結果的にこの難局を乗り切り、それ以降、人員を増やし、新規タイトルのラインを増設して、韓国を代表するデベロッパーとして再出発を計っている。今後、再注目されるメーカーといっていい。 さて、Actozへは今回初めて訪れたが、ゲームメーカーが集まる江南区ではなく、漢江の北側、ソウル特別市の中心部鍾路区(ショウロ区)にある。ビルのすぐ側には、ソウル特別市名物の流れる水まですべて人工の川「清渓川」が流れ、歩いてすぐのところにデューティーフリーショップで有名なロッテデパートが見えてくる。ソウルを代表する大繁華街である明洞(ミョンドン)からも徒歩圏内という抜群の立地である。 Actozは、ビルの9階と10階の全域と、別の一回り小さいビルに2階分、併せて4階分に入居している。社員数は8月2日時点の数字で386名在籍しており、デベロッパーとしては紛れもなく大手といえる。開発チームは、タイトルごとに個別の名前を付け、数十人規模のコンパートメントに分かれている。たとえば、「アニス&フリッキー」はStudio Stone。未発表の新規タイトルの開発チームはFrom NINEといった具合である。 新規タイトルは、名称不明のものまで含めると10タイトル近くが確認できた。ゲームジャンルは、MMORPGとカジュアルゲームが半々で、いずれもオリジナリティを追求しているところが韓国メーカーとして斬新である。中でも目新しかったのは、2006年度にβサービスを開始予定のMMORPG「LAZESKA」。陸上のみならず、自分専用の飛行艇を操り、空中や水中でも行動できるという自由度の高さがウリ。今回見たのはイメージスケッチや飛行艇のモデルデザインが中心だが、「天空の城 ラピュタ」や「ファイナルファンタジー」シリーズへのオマージュが感じられ、完成が楽しみである。 また、「アニス&フリッキー」は、MMORPGとアクションゲームをミックスさせた、X-RPGと呼ばれるカジュアルゲームで、こちらもオリジナリティたっぷりである。現在の韓国のトレンドである「競争+協力」をカジュアルな形で追求している。ゲームの具体的な情報は、社内で最新バージョンのデモや開発者インタビューが行なわれたので、別稿にて詳しくお伝えするつもりだ。
□GMO Gamesのホームページ (2006年8月18日) [Reported by 中村聖司]
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