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★DSゲームレビュー★

しゃべってくれて直感的にわかりやすい料理ガイド
「しゃべる! DSお料理ナビ」

  • ジャンル:実践クッキングナビゲーション
  • 発売元:任天堂株式会社
  • 価格:3,800円
  • プラットフォーム:ニンテンドーDS
  • 発売日:発売中(7月20日)



 任天堂株式会社が2月のカンファレンスで発表して以来、個人的に注目していた「しゃべる! DSお料理ナビ(以下お料理ナビ)」。発売日からこつこつといじっては感心する日々が続いている。その内容に関しては公式ページに詳しい(お料理ナビも体験できる)ので、ぜひごらんいただくとして、筆者自身が感じたこのソフトの魅力を語っていきたい。「ゲームじゃないじゃん」というつっこみはさておき、なぜこのソフトに魅かれたか、そこからお話しよう。


■ 様々な方法で料理をサポート

 「料理を作る」……人によってはそれが毎日の仕事であったり、個人的な趣味であったり、節約だったり、愛情表現だったり、その意味合いは多種多様だろう。筆者にとっての「料理を作る」行為は、その中で言えば「節約」や「個人的趣味」の範疇が一番近い。

 料理を作ろうと思ったら、いろんな要素が存在することは、家庭科の授業を受けていればわかることだ。材料、道具を揃え、切ったり下ごしらえをして、熱を加えたり冷ましたりして加工。そして盛り付けて食べる……といった大雑把な過程だけでも結構なものだ。それに加えて、「今何が食べたいのか?」という欲求や、さらに食べた後の片付けといった問題が絡んでくる。ほかにも、材料を揃えたはいいものの、どうやってどういう順で何をしたらうまくいくのか? そういったことをすぐに思い出し、実践するということは、センスのよしあしはあれど、ちょっと難しくない? っていうか面倒くさくない? と思う。実際はやっていくうちに面白くなってくるのだが、失敗すると本当にへこむ。へこむどころかへったお腹がさらに自分をへこませてくれるので、しばらく料理がしたくなくなってしまう。毎日料理されている方々には改めて感謝したい気持ちだ。

 そんな料理をサポートすべく、昔から料理本、そして料理番組といったものから始まり、今ではネットで材料から検索できたり、いろんな方法が取られてきた。筆者もいろいろとお世話になってきたのだが、それぞれの手段ごとに利点と欠点がいくつかある。

  • 料理本
     自分のペースで作業を進めやすい。携帯に便利。反面、ページに詰められる情報量は限られているので、ページをめくる行為が発生することも。また、文字の大きさによっては作業中に見えにくい。作業の過程は写真などで解説されているが、下ごしらえを含めると膨大になるため省略されていたり、別項へ分けられていることが多い。

  • 料理番組
     なんといっても動画で実際に作業を見られるのでわかりやすい。特に火加減などは、見た目と音声により伝えられるので直感的。録画しておけば何度も見られるうえ、途中で止めて再生という手段が取れるので、さらにわかりやすく、自分のペースで料理を進められる。反面、番組の時間などによる制約で、作業の過程が省略されていることが多い。また、録画してディスクを持ち歩けば携帯性はあるが、買い物にはメモを使うなどしたほうがいいだろう。

  • ネットによる料理紹介
     材料検索や家によっての調理法の違いなど、細かくいろいろ調べられ、工程を簡単にするなどの工夫が一番わかりやすく解説してある。料理本の基本的な要素は網羅されているといっていい。反面、紹介部分では写真があったりなかったりとばらばら。テキストだけでは伝わらないことも多い。

 大雑把に言えば以上のような特徴がある。本作「お料理ナビ」もその延長線上に存在するものだが、このいずれの利点に関しても、ポイントを抑えて内包しているところが大きな特徴といえるだろう。

  • 音声によるガイド
    合成音声による解説が工程ごとに入る。DSの画面を見なくても、これだけで作業手順やポイントがわかるようになっている。

  • ポイントを詳しく聞けるガイド
    準備、実践の過程を細かく分け、その作業ごとのポイントをしっかりと押さえてある。さらに詳しく知りたいときは「くわしく!」をタッチすればさらに解説が付く。

  • 音声によるページめくり
    各項目が多数のページに分けられているのでページめくりが必要だが、「おっけー!」とマイクに向かってしゃべることで、めくることができる。手を使うことが多い料理で、手の汚れを気にせず、工程ごとに確認しながら次の作業に進める。

  • 200種類以上のメニューから検索可能
    「全メニューから」、「食材から」、「いろいろな条件で」、「キーワードで」、「セットメニュー」といろんな方法でメニューから検索が可能。買い物に行くときにDSにセットしてこのソフトを持っていけば、「食べたいものの材料を買う」、「安売り品を使って料理がしたい」といった目的に合わせて使っていける。冷蔵庫内にある食材の在庫を一掃したいときなどにも便利だ。

  • 料理の基本を学べる「お料理辞典」
    レシピに出てくる食材や器具を写真つきで解説、さらに当月に旬を迎える食材を「旬の食材」として紹介してあったり、保存方法も解説。よく使われる食材の下ごしらえの方法も調べられ、食材の切り方は動画で解説してある(一部)。意外とこれがフォローされていない料理本も多い。これから料理を始めたい人、料理本などに記述されているやり方がわからない人の助けにもなる。

  • インタラクティブだからできる便利な機能
    食材表示を人数に合わせて変更してくれたり、カレンダー機能を使った過去に作った料理の記録機能、それぞれの料理に対してコメントを入力したり、「お気に入り」として登録する「ユーザーメモ」、アレルギーや苦手な食材を候補からはずす「NG食材の設定」、料理中に使えるタイマーなど、インタラクティブであることを活用した便利機能がいくつも搭載されている。
その日作ったメニューをカレンダーに登録することも可能。食材やキーワードなどでメニューを検索できるほか、セットメニューも用意されている。調味料で検索できるのには恐れ入った
筆者のような素人には非常にありがたい「お料理辞典」。用語解説、食材や器具の解説、下ごしらえのやり方、切り方、保存方法、動画での解説映像など盛りだくさん。普通の料理本には載っていなかったり、料理番組などでも省略されていることも網羅されている
設定で「NG食材」を入力しておけば、アレルギーなどで食べられないものは検索にひっかからない


 ここまで書けば、「これは便利だ!」と思う人も多いだろう。この先を読まずとも、お店に走ってほしい。筆者が個人的に便利だな、と思うのは、「お料理辞典」、そして検索機能といったあたりだ。

 下ごしらえや切り方などがまとまっているので、筆者のようなたまに料理をするようなビギナーには、料理本を見ながら「これどうやるの?」といつも疑問に思っていたことが「お料理辞典」にはそのまま書いてある。

 検索機能では、DSとこのソフトをお店に持っていきながら、今食べたいものや、安売りしている食材を使った料理を検索し、無駄のない買い物ができる。個人的によくあるのが「食材の買い忘れ」。あらかじめメモを取って必要な買い物をしている方々には無縁の話だが、行き当たりばったりでお店に行きがちな筆者には、まとめて見られる検索機能は非常にありがたいことなのだ。


■ お約束! の「実際に作ってみる」

 では、実際にこのソフトを使いながら、「鳥のから揚げ」を作ってみた。このときに感じた便利な部分、これをご紹介したい。実は、前回このメニューに挑戦して、失敗したことがあるのだ(下手ですいません)。

 まず、「鶏肉」で検索し、いくつかの候補から「鳥のから揚げ」を選択。すると、料理のポイントと、分量、そして料理の工程が表示される。通常であれば、これを頭に入れて食材を購入するところからスタートすれば完璧。今回は家にあった鶏肉を使ってスタートするので、食材の買い増しはしない方針で行く。

アドバイスや工程を確認して料理に望む。必要な情報が順を追って紹介されるので、頭に入りやすい


  • 下ごしらえまで

     材料の確認をする。鶏肉は骨付きではないもも肉があったので、解凍してから一口大に切って用意。量は確認してみたところ、2人分あったので、そのまま進行(デフォルトは2人分)。調味料や作業工程はあらかじめ音声で教えてくれているので、1ページごとに聞いておけばすんなり作業が進んだ。

     ナビで薦めてくれた山椒塩は今まで使ったことがないので、これ幸いと粉山椒と塩を混ぜてみる(いつもはほかの調味料をつかっていたか、何もつけずに食べていた)。家にないものを買いに行くほどではないので、ネギは入れず、ショウガの絞り汁もチューブのもので代用したり、割と気軽に自己流でアレンジしてみたりした。

    写真とテキストと音声で解説されているので、非常にわかりやすかった 1工程終えたら「おっけー!」と音声で入力するか、タッチすれば次へ進んでいく

     調味料を合わせてからもみ込むところで、音声によるページめくりが効果を発揮。もうすでに両手は鳥肉の脂と調味料で汚れている。いちいち洗うのが面倒なので、大変助かった。作業もあせることなく、自分のペースで進められるのもうれしい。ちょっと苦言を呈するとすれば、食器や料理器具を戸棚から出すときの音に「ん?」とシェフが反応してしまうこと。まあいたしかたないか。

     タイマー機能も使ってみる。ぎりぎりシビアにする必要はないが、アラーム音と画面表示で教えてくれるので、画面を見なくてもわかるし、タイマーの時間も自分でセットする必要はなく、あらかじめ設定されていることがありがたい。

     さらに、漬け込んだ鶏肉の調味料をキッチンペーパーで取っておかないと、揚げたときに焦げてしまうことを忘れていた。前回から揚げを作ったとき、これを忘れて見事に焦がしてしまった苦い思い出もよみがえってへこんだが。これもきちんと教えてくれていたので、忘れずにとることができた。

    時間に関連する項目になると、タイマー機能が登場する。必要な時間はあらかじめセットされているので、「はじめ」をタッチするだけでいいのは便利 工程が1ステップごとに表示されているので、1つづつこなしていけばいいだけ。前回はこの「汁気をふき取る」ことを忘れて失敗した
    粉山椒と塩をまぜて調味料にする 解凍しておいた鶏肉
    下味をつけているところ 汁気を取ってから片栗粉をまぶしていく


  • 揚げる

     まず、油の温度は160℃で揚げるという。この油の温度の測り方もきちんと教えてくれたのがありがたい(おぼろげながら覚えていたので、確認できてよかった)。「あらかじめバットにキッチンペーパーを用意しておくこと」といった準備も当然フォローされている。始まってから付け焼刃的に作業を進めると危ないところ(普段の料理だと筆者はそれをやりがちで、すぐにパニックになっている)。バットはなかったので、お皿で代用。ここでもタイマー機能を使ってみる。アラーム音のおかげで、具合を見ながら、から揚げを引き上げられるのでやはり便利だ。

     さらにカラッとさせるため、2度揚げする。このときは油の温度を180℃にする。この測り方も当然ながらフォローされているため、しっかりと確認してから揚げを投入できた。見事にカラッと揚がって大満足。作業の工程が頭に入っているので、途中で片付けなどをしながら調理が進められたのもこのナビのおかげだ。

     料理を作り終わったら、「チェックした!」、「作った」のチェックができる。自分で作ったものを記録として残せるほか、肉、魚、野菜といった料理のバリエーションの確認にもなる。

    詳細な解説が見られるところでは「くわしく」をタッチするとさらに解説される 料理ナビが終了すると「チェックした!」、「作った」のチェックができる
    中華なべに油を用意 まずは160℃で鶏肉を揚げていく 一度取り出して油をとる
    さらに加熱して180℃になった油に2度目の投入 2度揚げの際は、タイマーを使わずに見た目で判断してみた でき上がったのでさっそくいただいてしまいます


     実際に作ってみたから揚げ、うまくいったこともあっておいしく、すべて残さず平らげてしまった。初めて山椒塩で食べてみたが、これがすっきりしておいしかった。

     実家の母が「料理が終わったら片付けも終わっていないと料理上手とはいえない」とよく言っていたのだが、今回は作業の間にうまく洗い物ができ、食べるときには台所がすっきりできた(油を冷ます必要があったので、中華なべ以外だが)こともうれしい。成功すれば「また次もがんばろう」という気にもなってくる。現金なものだ。


タイマー機能を使いこなしたということで、おまけとして「ゲーム&ウオッチ」の「シェフ」が遊べるようになった
 とまあ以上、駆け足で紹介してきたが、料理の上手な人から見れば、筆者の調理など「恐ろしくて見てられない」なんてことはいっぱいあるかもしれない。そうならないためにも……ということで、移動中などにも食材の切り方の動画を見て「なるほど」とうなづいてみたり、下ごしらえのやり方などを見て「今度はこれをやってみよう」と考えてみたり、個人的に料理を作ることの面白みが少しずつ見えてきた、というのがこのソフトに感じた大きな魅力だ。実際料理をしていなくとも、こつこつ見ることで直感的にいろいろ覚えて楽しめる、というのがいいのだろう。

 さらに、料理をする際もなにも1から10まですべてこのナビ通りやる必要はないし、から揚げを作る際も必要と感じない過程はどんどん「おっけー!」と飛ばしてみたりできる気軽さがあったのもよかった。怒られたりしないし。

 他人に聞きながらだとどうしても時間がかかってしまうし、料理本などではどうしてもページを読みこんで、覚えるのが面倒くさい。こういった部分を直感的にしてくれて、すんなり入っていけるこのソフト、個人的に大変気に入りました。できれば、もっともっとわがままに応えてもらいたいところがないわけではないが、ちょっとしたときに料理をしよう、と思い立って、このソフトを使う分には本当に役立ちそうだ。

 また、ソフトを起動した際のシェフの挨拶も楽しみだ。「今日は土用の丑の日ですね」といった季節のものをはじめ、いろいろ教えてくれるシェフに、これからもいろいろ教わっていこう、と考えている今日この頃だ。

(C) 2006 Nintendo

□任天堂のホームページ
http://www.nintendo.co.jp/
□製品情報
http://www.nintendo.co.jp/ds/a4vj/
□関連情報
【2月15日】任天堂、「ニンテンドーDS カンファレンス! 2006.春」で好調なDSの今後について岩田社長語る
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20060215/nin3.htm

(2006年8月2日)

[Reported by 佐伯憲司]



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