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オンラインゲームの公式サイトとは、 『それに興味のあるユーザーの情報源であり、的確な情報発信と情報蓄積がなされる場所』 である。また、オンラインゲームというのはゲームそのものとゲームの運営、そしてゲームをプレイするユーザーの3つによってコンテンツが完成するものである。つまり上記定義に加え、『ゲーム運営側の姿勢』や『プレイするユーザー間の交流を促す機能』なども必要な機能と言える。この3つの方向性を持つことがオンラインゲームサイトとして重要なファクターとなる。 では、現在オンラインゲームの公式サイトでは何が発信されているのだろうか?一般的なものとしては、下記のようなものが挙げられる。
(1) イベントやアップデートのお知らせ また運営という面では、
(4) 運営規約、個人情報保護方針などコンプライアンス方針の明記 さらに、ユーザーコミュニティ向けのサービスとして、
(8) 公式BBS、画像投稿掲示板 以上、簡単にあげただけでも多くのコンテンツや機能が存在する。またそれぞれのコンテンツは運営の月日が経つにつれ膨大になり、また日々アップデートを繰り返すオンラインゲームの場合それが常に更新されていくといった側面を持つ。 こうしたオンラインゲームの公式サイトのもつ役割や性質と裏腹に、運営やWeb制作サイドは日々更新に追われ、ただコンテンツを作り続けるだけの業務に追われている。また、せっかく更新したコンテンツもいつ更新がされたのかは、公式サイトを訪れなければわからないというのが現状である。では、どうすればよいのか? まず先にあげた『的確な情報発信』には2つある。『的確に情報を更新する』ことと『的確にユーザーに伝える』ことである。まず、前者を解決する方法とは何か? この様なWeb運営の中で登場したのがCMS(Contents Management System)である。CMSは記事の管理を一元管理できる上、記事編集が簡単なため、Web管理者以外のスタッフにも簡単に扱える。いわゆるEUC(End User Computing)の実現といったところだ。これらの導入により公式サイト上の更新が素早くなされるようになった。 ただ、残念なことに多くのCMSツールは、記事データベースを中心とした記事の更新・蓄積管理するのだが、ユーザーからのアクセスは、データベースをアクセスするプログラムを介して行なわれているため、アクセスのボトルネックや、Googleなど検索エンジンに引っかからない動的ページ(アクセスの度に生成されるページ)によってユーザーに参照されるため、せっかく更新した重要なお知らせがユーザーに届きにくい状況を作っていた。 もちろん動的なページ生成を否定しているわけではないが、Web 2.0におけるパーマリンクがなぜ重要かという話にも繋がるのである。国内のオンラインゲーム公式サイトのお知らせ機能を見ていると、こういった動的ページ生成による、まったくレガシーな情報発信を行なっているまだまだサイトが多い。この場合コンテンツがキャッシュされないなどの問題や検索エンジンでのヒットが少なくなるなどの問題が生じることとなる。つまり、これでは『的確に情報をユーザーに伝える』ことができないわけである。
■ ユーザーに的確に情報を伝えるための工夫
もちろんGoogleなどのサーチエンジンにも引っかかる。またブログツールを利用していることから、記事のRSS配信なども行なえる。そのメリットは大きい。もちろん記事に対するトラックバックによる集客効果も認めないわけにはいかない。ちなみにGM日記だけをブログ化することだけで満足しているようではまだまだだともいえる。 CMSをうまく使っている例は他にもある。日々更新の激しいオンラインゲームのアイテムやキャラクターの情報をWikiで管理している例だ。奇しくもそれを実践しているのがユーザーサイトであるケースが多い。Wikiそのものの性質が、共同作業にてひとつのコンテンツ、データベースを作り上げていくものでもあるわけで、そういう意味では極めてweb 2.0的アプローチのサービスといえる。 ただし、これはおかしな話でもある。ユーザーサイト側でこれを作る事の意味である。Wikiの多くは公式サイトの情報を書き写したものである。それは本来公式サイト側が配信すべきであるはずだ。ユーザーサイトは、公式サイトが公開しない情報や略語・用語集、攻略情報を配信することに集中してもらいたいと思うのは私だけではないはずである。さらに言うなら、ゲームデータベース上のアイテムデータは、更新時にXMLで随時出力するべきでもある。
■ Web 2.0時代にWeb管理者がやるべきこととは?
これらを解決している例としては、『はてなダイアリー』が提供している『はてなアンテナ』のような機能がある。簡単に言うと最近の様々なブログ記事投稿を収集し、リスト表示する機能である。これこそが本来的な生きたリンクであるように思う。では、これを公式サイトでうまく利用できないものだろうか? 最近ではRNAというツールが話題になっている。機会があればサイトを訪れ、自ら体感してみるといいだろう。 このように、オンラインゲームの公式サイトにはWeb 2.0的に構造化、最適化を図るポイントは多い。今後、記事はすべてCMSで管理され、パーマリンクをもつ静的ページで生成され、更新情報はRSSで配信されるようになる。ユーザーはRSSリーダーやRSSリーダーの機能を有するブログなどを開けば、更新情報がすぐにわかるようになる。 そしてユーザーは必要ならばそのオフィシャルな記事にトラックバックすることができ、ユーザー自身のブログで意見を自由に書くことができる。自然にそれがリンクとなり、またアンテナで収集されることになる。アイテムやキャラクタの情報に関しても、ゲームデータベースの更新時には公式Wikiに反映され、ユーザーの作成した用語集や攻略ガイドとあいまって、ユーザーサイトではより初心者にわかりやすいハイパーリンクが生成され、提供されていく。 一方、ユーザーサイトでは、自身が発信するコンテンツのみを充実させることに集中する。つまり公式サイトの情報をある種部品化し、ユーザーへ配信、共有することが可能になることによってより高度なユーザーと運営側の役割分担とネットワークが構築されていく。 Microsoftが現在開発している次期主力OSであるWindows Vistaでは、『RSS anywhere』というコンセプトが提唱されている。今後は公式サイトやユーザーサイトどころか、WebブラウザやOS自体がRSSに対応していく。オンラインゲームに限ったことではないが、オンラインゲームの公式サイトこそがWeb 2.0アプリケーションのよい例になってくるのではないかと思う。 最後に今回のポイントを整理するとWeb 2.0的には『いかに多くの人に検索され、RSSなどで多くの人に受信されるか』ということである。是非ともオンラインゲーム運営会社のWeb企画者の方々にはがんばっていただきたい。
今回は、オンラインゲーム公式サイトという発信者を中心にWeb 2.0の可能性について述べた。次回はこれら情報がオンラインゲームユーザーにどの様に伝わり、これまで閲覧中心だったユーザーを配信側に成長させているCGM(Consumer Generated Media)の兆候について述べてみたいと思う。
(2006年7月24日) [Reported by アラン・ブラフォード]
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