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価格:5,040円
――「RRs2」のプロジェクトはいつから立ち上がったんでしょうか? 尾仲 前作が発売された直後に続編を、という話は出ていました。「前作で入れられなかったコースも入れたいね」といった話はその頃からありました。その後、間にXbox 360の「リッジレーサー6(RR6)」などの作業が入って、去年の年末ぐらいから、入内をディレクターに据えて本格的にスタートしました。 入内 前作でやり残したことがあるんですよね。今回は家庭用、業務用含めて「リッジレーサー」から「R4 -リッジレーサー TYPE4-」までのコースを全部入れました。 尾仲 でも、コースを全部入れても、「それだけじゃ納得してもらえない」ですよね。それ以外でも、周りのスタッフや前作のスタッフに話を聞いて、前作で残っていた企画や、やりたかったことをヒアリングしました。システム的な状況や時間的状況で考え直さざるを得なかったところをもう一度掘り返して、「モードを増やしましょうよ」という形で、今回はモードを2つ増やして、1つはリファインしました。 ――「RR6」が発売された後に登場するということで、手を入れる部分の検討には意識されるところはありましたか? 尾仲 難しいところですね。「RR6」はTVの前に座って遊ぶ据え置き機向けであって、携帯ゲーム機向けである「RRs」とは必ずしも路線が違うと思うんですよ。ポータブルならポータブルなあり方、ということで、「RRs2」は「RRs」の路線を引き継いだ「継承」という形を取らせていただきました。前作のいいところはそのまま引き継いで、ボリュームアップして、遊び方を変えていこうという形で制作しています。なるべく手軽に、ちょっと触ってすぐ遊べる、そしてやめたいときにすぐやめられる、というアーケード感、手軽さというものを出すために、あえて「RRs」の流れを継承しました。やりこみ要素に関しては逆に奥深くなっているので、間口を広げて、さらに奥深く、ということがコンセプトです。 入内 タイトルにも本編の通し番号はついてませんから、あえて別系統ということで……(笑)。 ――携帯機向け「リッジレーサー」シリーズ初の続編ということで、悩ましいところもあるんじゃないかと推察するんですが? ローンチタイトルだったとはいえ、「ハードウェア的にも前作はギリギリのところまで使っている」という話があったと思うのですが……? 尾仲 今回もキチキチですね。やばいですよ? 入内 現状もいろいろと……(笑) 尾仲 だから、「なんだよ、まだ余裕があったのかよ!」ではなくて、「一生懸命入れました!」なんですよ。
尾仲 前作では時間がなかったこともあって、「えいやっ」と力技でやっていたこともあったので、「RRs2」では、ある程度時間があったこともあって、プログラム的にも見直して整理することができたんですよ。その辺でどこに負荷がかかっているか、その負荷をどうやって取り除いていけばいいか、と検討しました。それを踏まえて、企画側では「ここまで入れたい」とフィードバックして、仕様を詰めていきました。だから前作のときは間違いなく、寺本(リッジレーサーシリーズ アソシエイトプロデューサー)が言うように、「これ以上は無理」だったんですよ。実際(笑)。プログラム的にもシステム的にも余力的にも(笑)。いろんな意味で限界に到達してましたね。 入内 今、すでにその上の限界に来てるんで……(笑)。 尾仲 しばらく時間を置いて、ある程度こなしていくことによって、その限界の線が少し上がった、ということですね(笑)。 ――少しと言うわりにはコース、マシン、サウンドなどなど、結構ボリュームアップしているようですが、その余地はどこにあるんでしょう?
尾仲 実はメニュー周りの部分とか、結構厳しくて……。「モードを増やす」といったときに、あれもデザイナーから「もう無理」って言われたりしましたよ。
入内 今回、「RRs」の正統な続編ということで、あえて変えていないんですよ。収録されていなかったコースやマシンに関しては、前作と同様に、PSPにあわせた現在の技術で、限界まで(笑)作りこんでいますんで……かなり限界ですね。スタッフのみんなががんばってくれたおかげです。というか、前作がローンチタイトルで限界近くまでいってしまっているというのは……(笑)。 尾仲 全体的には変わりないんですけれども、システムやプログラム周りの整理をしているので、そういった意味で処理関連はさらによくなっているんですよ。ただ、格段に変わった、ということはないです。 ――追加されたコースを拝見していると、描画負荷などの部分で「これは大変そうだ」と思うものがいくつもあるんですが? 尾仲 コースの見通しがよかったりすると、当時の状況とは違って、「RRs2」では同時に12台も走っているので……最初は負荷がかかってガクガクして動かなかったりしましたね。それに、コースが短いと、周回遅れが出て、それも困りものです。そういった観点で言えば、今回収録したオーバルコースは正直、調整側からするとキツいコースでしたね。ニトロもあるのでクセものでした。 入内 前作で、そのあたりの観点で収録されなかったコースが、今回入っているということです(笑)。「やってしまいました」という感じですね。 ――前作のプレーヤーからの意見や要望などで、特に多かったものはなんだったんでしょうか? 入内 久々のシリーズだったので、一番多かったのは「懐かしい」という感想ですね。昔からのプレーヤーの方も多く買っていただいたようで、そういった方たちは「昔遊んだあのコースも入れてほしかったんだけど」といった話が多かったですね。そういった方たちへのプレゼントと言うわけではないんですが、「RRs2」では前回入っていなかったコースも今回無理をして(笑)入れさせていただきました、と言う感じですね。 尾仲 それと、シリーズを通してプレイされている方から、「簡単だった」という意見もあったので、そういった方たちにも楽しめる状況は作りたいな、ということで、いろいろフォローしてみたつもりです。 ――前作でも通信対戦に関してもカツカツだという話がありましたが、今作でインフラストラクチャモードでの対戦は検討されたんでしょうか? 尾仲 当然そういう要望はありましたから、検討はしました。ただ、「ただ入れればいい」というわけにはいかないので……そうすると、根本からインフラストラクチャー対戦向けに作らなければならないので、「RRs」の続編とは言えなくなってしまいます。それに、そこに関わってくるスタッフなどの問題もあります。今回「継承」ということで企画が進んでいましたので、見送らせていただきました。
入内 クラス6までのデフォルト3台ずつのマシンと、スペシャルマシンにも使用できるものを初期状態で用意しています。
入内 「全部入り」ということで、私たちもある程度代表的なマシンは出してあげたいな、ということで、今回公開させていただいたマシンに関しては、「もうお約束」というものを公開しました。また、これから登場するマシンも、懐かしいのもあり、「えっ? こいつ?」というものも入ってます。 尾仲 新車に関しては、前作の4台に代わって新しく8台追加しました。「RRs2」は、最初から18台が使用可能で、ニトロを使えばデフォルトで300km/hを超えられるクラス6のマシンも用意しました。1台ずつ集めていくので、スペシャルクラスに到達するのはかなり後のほうになりますよね。でも、「最初から早い車で走りたい」という信条もあるじゃないですか? 今回は、オーバルコースも入っているので、初めての人でもぐるっと回ってもらえるだろうと。それで、各クラス3台ずつ、最初から使えるようにしました。 これでゲームの遊び方がかなり変わってくると思います。前作を遊んだ方で、いろんなクルマを使ってない人も多いと思ったんですよ。かなりやりこんでいる方は別かもしれませんが、パッと遊んでやめる遊び方をされた方は特に。だから、最初からドーンと提供して、気軽に遊んでもらいたいと。そう多くはないのですが、ただ、ここでもファンのツボはつきました、ということで(笑)。コースも順走はすべて初期状態からオープンになっていますので。 ――「ワールドツアーズ」の構成に関しては変化はありますか? 入内 前作と形式は同じですが、ツアーの内容の見直しのほか、数が増えてます。コースも増えていますから。「お手軽に遊べる」ということをコンセプトに作りました。今回、ベーシック、プロ、EX、全部ツアーがきっちり入ってメニューがびっちり埋まってますから。前作の海外版で追加されていたツアーが今回、国内版でも遊べますよ。 ――スペシャルクラスのツアーは逆に前作のスペシャルマシンの能力の高さもあって、それほど苦労しなくて済んだ気がするんですが、今作はどうですか? 尾仲 微妙なところなんですが、あまり難しすぎると進めないし、逆だと「ぬるい」って言われますから……。今回ツアーも増えてますから、いろいろ用意してありますよ。スペシャルクラスのマシンは、ある程度で押さえないと絶対勝てないマシンができあがってしまうので。マシンのパラメータ調整は入内が行なったんですが、最初の調整では私が遊んだとき、半周差つけられたりして困りました(笑)。 ――プレーヤーマシンにしてもCPUマシンにしても、マシンの個性や特性を作る調整は結構大変ではないのかと思うのですが?
尾仲 この場ではいえない、今作での追加モードがあるんですが、それがちょっと泣きそうになりました。第2報以降をお待ちください(笑)。ちょっと「やっちゃったかな」と遊びながら思いましたね。最初はデバッグチームから「簡単すぎます」、「難しすぎます」ってレポートが山のように来てました。最近あまり来なくなったので、ちょうどいいバランスになっているとは思います。こちらのCPUマシンの設定は本当にマンパワーで何とかしているという感じです。「RRs」にはニトロがあるので、調整が難しいんですよ。前作でニトロを使わないでクリアするのも流行っていましたが、今回も極めれば何とか、クリアできると考えていますが……。
尾仲 前作からの意見で、「CPUマシンがちょっと障害物っぽい」という意見がありました。アーケードの「リッジレーサー」シリーズを遊んでいた方はおわかりかと思いますが、CPUマシンはスタート直後から猛スピードで走っていたので、なかなか抜けないようになってましたよね。家庭用の「リッジレーサー」に慣れ親しんだ人からすると、ちょっと難しい調整です。 かといって「RRs2」はいろんな人に楽しんでいただきたい家庭用なので、単純にCPUマシンを速くするだけでは難しいだけになってしまいます。そのやさしさは維持しつつ、スリルを感じてもらうにはどうしたらいいか、と考えて採用しました。これで条件が2つになるじゃないですか? 入内 いつの間にか「リッジレーサー」シリーズからセクタータイムがなくなってるんですよね。 尾仲 初心者向けの救済策や、やりこみ系の方への挑戦的な内容はフォローしてありますので、懐かしんでドキドキしながら遊んでもらいたいですね。ただ、ニトロがありますので、使いどころによっては簡単かな、と思われるかもしれません。このセクタータイムの決定には本当に悩みました。「RRs2」は順走で9コース、逆走込みで18コース増えているんですよね。セクタータイムは前作にないので、結局240パターンほどのセクタータイムを設定することになりました(笑)。 ――前作を遊んでいて思っていたのですが、ベストタイムはトータルだけじゃなく、ラップタイムもデータとして残してもらいたいな、と思っていたんですが? 尾仲 仕様上、途中でリタイアしたときの処理などの問題がありまして……前作と同じ仕様になっています。 ――前作でユニークさをかもし出していた「おまかせツアー」ですが、今回は変更はありますか?
入内 距離の短いコースが収録されたので、最短で3分からツアーが組めるようになりました(笑)。これで電車に乗って1駅でもプレイできるようになってますよ。
入内 今回は、前作の曲に加えて、過去の曲をリミックスしたものが追加されます。ディスクが2枚追加される形にはなっているんですが、前作の曲もタイトル順に並び替えてありますので、追加曲もその並びに織り込んであります。 尾仲 追加曲も思いっきりかっこいいですよ。 ――ちなみに、リミックスはどなたが手がけられたんでしょうか? 尾仲 サウンドディレクターの大久保を中心に、オリジナルのコンポーザー自らのセルフリミックス、という形態になっています。前作のRemix Discと同じですね。 ――AVプレーヤーの仕様はどうなっていますか? 入内 基本的には同じですが、新しいコースも含めてリプレイが見られるようになっています。 ――最後に、一言お願いします。 尾仲 確実に「RRs」の面白さを継承して、手軽に、奥深く遊べるようにしました。どんな方でも楽しめると思います。 入内 前作を遊んでいただいた方も、ボリュームアップしていますので、さらに楽しく遊んでもらえると思います。よろしくお願いします。
――ありがとうございました。
□バンダイナムコゲームスのホームページ (2006年6月30日) [Reported by 佐伯憲司]
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