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会場:Los Angeles Convention Center
Microsoftは「Game For Windows」ロゴプログラムを推進し、インストールがしやすく、インストール後はプレーヤーデータの管理がしやすく、信頼性の高いレイティングシステムの導入など、コンソールゲーム機に劣らぬ洗練されたゲームプラットフォームへとレベルアップを図るのだという。これまで雑多であったパッケージのデザインも統一化を図り、コンソールゲーム機向けのゲームソフトのようにパッケージを見ただけで「このゲームはWindowsで確実に動く」というブランディングをユーザーに認知させることを目指す。これがWindowsゲームの市場活性化に繋がると考えるわけだ。 そして次世代グラフィックスサブシステムであるDirect3D10(DirectX 10)が、Windowsゲームに全く新しいビジュアルクオリティをもたらし、これがコンピュータゲームの新たな可能性を切り開くことになる、と力を込めてピーター・ムーアは語る。このDirectX 10はWindows Vistaのみに提供されWindows XP以前には提供されない。XboxがXbox 360にステップアップしたように、WindowsゲームもWindows Vistaの登場を転機として、“次世代”への躍進を画策しているわけだ。 その“次世代”Windowsゲームのスタイルを感じさせるサンプルとして、「FarCry」で一世を風靡したドイツのゲームスタジオCRYTEKが放つ完全新作タイトル「CRYSIS」のデモンストレーションを公開した。
具体的なバックグラウンドの説明はなく、実際のプレイ中の映像を流しただけに留まったが、「FarCry」の続編ではないということ、一人称シューティングスタイル (FPS) のゲームであること、映画「宇宙戦争」を彷彿とさせる「現代に宇宙人が攻めてくる」といった感じのシリアス形宇宙人侵略モノであること、CRYTEKのゲームエンジンCRY ENGINE2ベースであり影生成、ライティング、ポストプロセスなどが「FarCry」のグラフィックスを遙かに凌駕したモノになることがこれまでに判明している。Windows Vista × DirectX 10を前提として開発がなされているがWindows XPでも動作することが報告され、また発売はEAからであることも報告された(前作「FarCry」はUBI SOFTから)。
■ 同一タイトルを迅速にXbox 360とWindowsに提供する ピーター・ムーアは、「Elder Scrolls IV OBLIVION」のXbox 360とWindows版がわすが3週間で170万本のセールスを記録したことを報告し、同一タイトルのXbox 360とWindowsゲームにおけるクロスプラットフォーム展開が、ゲームビシネスにおいて非常に重要であることを強調、今後もこの流れは続くことを予見した。これはMicrosoftが強力に推進するクロスプラットフォーム開発環境である「XNA」の売り込みと無関係ではないわけだが、実際のところ、そのタイトルがより多くのユーザーの手元に、少ないポーティング(移植)コストで送り届けられる仕組みというのは、ユーザーにとってもゲームメーカー側にとっても有益なことだ。 こうしたXbox 360用とWindows用のクロスプラットフォーム展開の次世代形として紹介されたのは「SHADOWRUN」(開発FASA STUDIOS、配給Microsoft)だ。
これは魔術と近代兵器が衝突する一人称シューティングゲームで、Xbox 360版のプレーヤーとWindows版のプレーヤーが相互に対戦できるという、「クロスプラットフォーム対戦」ともいうべきプレイスタイルを提供するタイトルとなっている。
そして、もう一作、こちらはクロスプラットフォーム対戦を提供するモノではないが、2005年のE3でベストタイトルとして賞賛されたREMEDY Entertainment制作の「Alan Wake」がXbox 360用、Windows用のクロスプラットフォーム展開がなされること、そして配給はMicrosoftが担当することが報告された。Xbox 360やWindows VistaのDirectX 10によって提供される次世代グラフィックスにより、人間の深層心理をビジュアル化した全く新しい、サイコ・スリラー・アドベンチャーになるとのことだが、発売時期は明らかになっていない。
■ E3初登場のビル・ゲイツ氏、Live Anywhereを発表
「ゲームプラットフォームとしてみると、Microsoft関連製品にはXbox 360とWindows、そしてWindows Mobileを搭載した携帯機器があるが、これらのプラットフォームにおいて、ユーザー本意で考えた場合にはネットワーク・コミュニティは統合した方がなにかと都合が良い」とゲイツ氏は訴える。 ゲイツ氏はXbox Live会員は来年のE3の頃までには600万人になると予測。この他に2,500万人以上がMSNメッセンジャーやMSN Gamesでカジュアルゲームズを楽しんでいることを踏まえると、このコミュニティを1つに統合することで世界最大規模のオンライン上のゲームコミュニティが形成できることを予見。 この統合化されたオンラインコミュニティネットワークをMicrosoftは「Live Anywhere」と命名し、ゲイツ氏はMicrosoftのネットワーク事業としては最重要項目として今後、強力に推進していく意向を明らかにした。 プレーヤーの視点に立つと、そのゲームプレーヤーの所有ゲーム、各ゲームの進捗度(熟練度)、ゲームフレンドリストといったプレーヤー固有のプレーヤープロファイルをXbox 360、Windows、携帯機器のいずれからも参照することができ、さらに、任意のハードウェアを利用している他プレーヤーと一緒にシームレスにゲームプレイを楽しむことができるようになる。
プレゼンテーションでは、Xbox 360用、Windows Vista用のクロスプラットフォームタイトルである前出の「SHADOWRUN」をサンプルとして掲げ、Xbox 360版のプレーヤーがPC版のプレーヤーのオンラインステータスをチェックして、対戦に誘うといった様が示された。
「SHADOWRUN」のような最新3Dグラフィックスベースの3Dゲームでは、携帯機器のユーザーを巻き込んでの対戦は難しいだろうが、カードゲームやチェスといったテーブルゲーム、テトリスに代表されるようなカジュアルなアクションパズル程度であればXbox 360、Windows、携帯機器の全てのプラットフォームユーザーの対戦ができることだろう。
また、Microsoftは、この統一されたオンラインゲームコミュニティがあれば、1つのゲームタイトルで、ハードウェアごとに適した遊びを提供することも可能だろうと予測する。プレゼンテーションでは、レーシングゲームにおける追加車両やチューンナップパーツの売買を携帯機器で行ない、Windows環境上のペイントソフトなどを利用してその車両の塗装やデカールの貼り付けを行ない、Xbox 360上で実際にプレイする……といったスタイルが示された。
PC、ゲーム機、携帯機器の全てのハードウェアに対して統一化されたネットワーク環境を提供してそこで遊ばせるといったソリューションの実現はソニーや任天堂には難しい。こうしたことができるのは確かにMicrosoftしかない。 これまでゲームプラットフォームはハードウェアの特徴や先進性の魅力、ゲームタイトルの充実性でその優位性を訴えて、ユーザーを引き込んできたわけだが、これからMicrosoftは、ハードウェア種別にとらわれない統一化された大規模なネットワークコミュニティの魅力でMicrosoftのゲームプラットフォームの優位性を訴求していくわけだ。
わざわざゲイツ氏を呼んで、アナウンスさせたLive Anywhere。今後の展開が楽しみではある。 (2006年5月10日) [Reported by トライゼット西川善司]
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