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今回のアップデートはシュバルツバルド共和国の新しい都市「リヒタルゼン」の導入、そして以前からアナウンスされていたアルケミストの「ホムンクルス」システムの実装などが行なわれる。今回は実装に先駆けてガンホー本社で体験した新要素を紹介したい。
■ 育成が楽しいホムンクルス、4種類からどれを選ぶか? マーチャントの上級職であるアルケミストの新要素「ホムンクルス」は、この職業が登場した時からアナウンスされていた要素だが、ずっと未実装のままだった。今回の実装は多くのアルケミストにとって待望のアップデートとなる。
ホムンクルスを生成するためには、“エンブリオ”というアイテムが必要となる。これはアルケミストの「ファーマシー」のスキルで製造できるアイテムで、「生命の種子」、「イグドラシルの霧」、「飼育ポット」という材料が必要となる。これらの材料はアルデバランで購入できる。 アルケミストはこれらのアイテムを入手し、そしてエンブリオを製造することでホムンクルスを召還可能になる。ホムンクルスには現在、「リーフ」、「アミストル」、「フィーリル」、「バニルミルト」の4種類がいる。アルケミストはエンブリオを消費して「コールホムンクルス」のスキルを使うことで、この4種類のホムンクルスの内1体をランダムで召還できる。 ただ、好みのホムンクルスが出なかった場合は、ホムンクルスを一端消去して、召還しなおさなくてはならないため、最初の召還の際にはエンブリオを複数用意しておくことをおすすめしたい。もう1つ気をつけなくてはいけないのは、周りに敵がいると、好戦的なホムンクルスの場合、いきなり敵に向かっていってしまう事だ。レベル1のホムンクルスは弱いので、ポリンなどの弱いモンスターしかいないフィールドで呼び出して、じっくり成長させていくといいだろう。 召還したホムンクルスはモンスターを倒すことで経験値を得て、レベルアップしていく。ホムンクルスは“満腹度”というパラメーターがあり、ペットと同じようにホムンクルスごとに異なるエサをあげることでこれを維持する必要がある。ホムンクルスはレベルアップしていくことで専用のスキルを獲得していく。このスキルはショートカットに登録することでプレーヤー側の意志で発動可能だ。また、Altキーを押しながら右クリックで任意の敵を攻撃させたり、その場所に向かわせることも可能である。 ホムンクルスはそれぞれ性格も異なっている。リーフはかわいい女の子の姿をしていて、回復のスキルを入手していく。アミストルは羊の形をしていて支援スキルを持っている。最初に覚える「キャッスリング」というスキルは、瞬間的にアミストルとの位置を入れ替えるスキル。使い方によってはおもしろい効果が生まれそうだ。 フィーリルはもっとも好戦的な鳥の姿をしたホムンクルス。1レベルからそこそこ強力でポリンなどは1発で倒してしまう。ただし回復を待たずに次々と戦ってしまうので注意が必要だ。バニルミルトはゼリー状の姿をしている。こちらもなかなか好戦的だ。対象をランダムに選択する回復スキルなど、ユニークなスキルを持っている。 ホムンクルスは安息のスキルを使うことで休ませることができ、コールホムンクルスで再び召還できる。再召還の場合はエンブリオは必要としない。もしホムンクルスが倒されてしまった場合はリザレクションホムンクルスで生き返らせることができる。エサに注意しておけば、ホムンクルスはどんどん成長し、強くなる。実装後は、アルケミストとなってホムンクルスを育成するプレーヤーが多く登場するに違いない。
ちなみに、ホムンクルスのAIはスクリプトによって制御されているが、このスクリプトはユーザーが自由に書き換えることができる。しかし、この書き換えにはスクリプト言語に関する知識が必要となるため、一般ユーザーではなかなかチャレンジできない要素であり、また、メーカーのサポートも難しい部分である。ユーザーの間でどういった使われ方をしていくか、興味のあるところだ。
■ “光と闇”をテーマにしたリヒタルゼン、秘密を持つ企業都市 アインブロック南西に位置するリヒタルゼンは、シュバルツバルド共和国最大の企業「レッケンベル」によって計画され、建設された都市だ。レッケンベル本社があり、飛行船の発着場があり、大きなホテルがある。汽車も行き交い、商業も盛んである。整備された公園などもあり、洗練された印象を受ける。 ところがこの都市の東側には、街の“資格試験”に落ちた住人や、土地を売ってしまった人々が追いやられた貧民街が広がっている。華やかな商業地区と、貧しい人々が住む貧民街。プレーヤーはこの都市を訪れ、クエストを進める内にこの世界の真の姿に気がつくことになる。 レッケンベルは古代遺跡を研究し、「ガーディアン」と呼ばれる人造生命体を作った。これはルーンミッドガッツ王国にも輸出された。この他にも飛行船や汽車を実用化させた企業でもある。リヒタルゼンの謎はこの企業が深く関わっているようである。
リヒタルゼンのクエストではレベル制限が設けられているものもあるが、中級レベルの冒険者ならば挑戦可能である。ストーリー性の高いこのクエストは今回のアップデートでの大きな目玉である。是非この街の秘密に挑んで欲しい。
■ 「生体工学研究所」、「ジュピロス」冒険者を待ち受ける新しいダンジョン ジュピロスはジュノーの近くにあるダンジョンで超古代に優れた文明を誇っていた先史文明の名残をとどめる遺跡である。ダンジョンの中には金属の体でできたロボットのようなモンスターが侵入者に攻撃を加えてくる。中級レベル以上のパーティーで挑みたい場所だ。 生体工学研究所は正式名称をレゲンシュルム研究所と言い、ガーディアンと呼ばれる人造生命体を開発したリヒタルゼンの最重要機関である。この研究所では多くの研究員達が生活しているが、実は今までで「最強」のダンジョンの入口になっている。
そのダンジョンには冒険者と同じ格好をしたモンスターがひしめく。恐ろしいダンジョンで、上級者がパーティーを組んでも奥にたどり着けるかどうかわからない。リヒタルゼンの秘密を握る場所であり、上級プレーヤーへの開発者からの挑戦状とも言えるダンジョンである。
■ “追加される上位2次職向けの新スキル、ユニークな頭装備 今回のアップデートで上位2次職向けにいくつかのスキルが追加された。転生してからなれる上位2次職向けの追加と言うことで、上級ユーザー向けの要素であるが、PvPをやり込むプレーヤーにとっては見逃せない要素だろう。 クリエイターの「アシッドデモンストレーション」は敵に対し、ファイアーボトルとアシッドボトルを投げつける技だが、対象のVITの数値が高いほど大きなダメージを与える上に、防具などの破壊効果を持つ強力なスキルだ。 パラディンは5連続の遠距離攻撃を与える「シールドチェーン」。ハイプリーストはスキル使用時にSPの消費を抑える「マナリチャージ」。プロフェッサーは一定確率でボルト系スキルが2回発動する「ダブルキャスティング」。ハイウィザードは設置系魔法スキルを解除する「ガンバンティン」と、敵を重力場で押さえつける「グラビテーションフィールド」が追加された。 ホワイトスミスはカートで敵を攻撃しスタン状態にする「カートターミネーション」と、Zenyで武器を強化する「オーバートラストマックス」。クラウンとジプシーには合奏スキルの範囲内で移動可能になる「私を縛らないで」、「バーサーク」以外のすべての支援系スキルの影響を無力化する「ヘルモードの杖」、ランダムで効果を発揮する「運命のタロットカード」といった新スキルが増えた。
他にも今回のアップデートでユニークな“頭装備”が増えた。その一部を紹介しよう。
■ 制作担当 廣瀬高志氏に聞く、今後の「ラグナロクオンライン」 体験会終了後、「ラグナロクオンライン」制作担当であり、開発本部コンテンツ制作部第一制作課課長代理の廣瀬高志氏に、今回のアップデートの見所、そして今後の「ラグナロクオンライン」について話を伺った。
廣瀬氏: 今回は高レベルキャラクタ向けのアップデートが多くなっています。イベントにレベル制限がかけられているものもあります。高レベルの要素を「目標」としてレベルを上げ、仲間を集めて挑んでいってもらいたいと思います。 既存のダンジョンは大体攻略法が見えていて、ハイエンドのプレーヤーさんにとっては、あっさりプレイできてしまっていると思います。今回の「生体工学研究所」は開発者からの挑戦状として挑んでもらいたいと思います。今までの戦い方では攻略できない。プレーヤーのレベルだけではなく、プレーヤースキルも要求される場所です。個々の役割をマスターしなくては生き残れないダンジョンですね。 ソロで楽しむプレーヤーの方々には、シュバルツバルドのストーリーを楽しんで欲しいですね。ストーリーそのものはあと2回ほどのアップデートで完結する予定ですが、今回でずいぶんストーリーが見えてきます。前回のアインブロックで起きた事件の続きも語られて、ストーリーがきちんとできています。 編: それからホムンクルスですが、現在4種類ですが、今後これは増えるのでしょうか。アクセサリという欄がありましたが、これはどんなものが追加されるのでしょうか。 廣瀬氏: 種類については今後増える予定はあります。また、グレードアップの計画もあります。グレードアップは、“幼虫”が“成虫”になるというイメージでしょうか。アクセサリに関しては今のところ未定です。 編: 現在、ホムンクルスを使うことができるアルケミストやクリエイターのプレーヤーキャラクタというのはどのくらいいるのでしょうか。 廣瀬氏: ホムンクルスは、アルケミストになればそれほど苦労せずに使うことができるので、ハードルはそんなに高くないんです。ホムンクルスを待っていたユーザーさんもいますし、露店でアルケミストを利用している方もいます。また、持っていない人でも今回の実装でアルケミストを使ってみようか、という方も多いと思います。ホムンクルスの動きは結構かわいらしいので、女性のユーザーの方にも人気が出るかなと。 編: ひとつ気になったのは、ホムンクルスのAIがユーザー側で管理可能というものですが、これはそもそもどういった使い方を想定しているのでしょうか? 廣瀬氏: 実は難しい問題です。遊び方としてはデフォルトのプログラムで遊んでいただければと思いますが、プログラムの知識のある方はこれをアレンジしていただければと思っています。こちらでいくつかのプログラムを提示するという事ができればベストだと思うのですが、スクリプトの量が多くて、難しい部分があります。 当然、作ったプログラムがうまく動かないというトラブルもあるかもしれませんが、これをデバックするようなサポートは難しいです。プログラミングに長けている方が、ユーザー同士のコミュニティ内で、教えてあげるなどしていただけたらなと思います。ちなみに、開発元や他の国でも個々のプログラムに対応するということは行なっていないようです。 編: ソースを丸ごと公開していると言うことで、BOT的な使い方をするユーザーも出てくるのではないでしょうか? 廣瀬氏: そこはユーザーさんから見て不安を持たれるところかと思います。ただ、ホムンクルスは基本的に自律的に敵を攻撃する能力を持っていて、どこまで自律できるかと言うことなんですね。ですからある程度の自律性はやむを得ない。一応、私も「キャラクタを放置して経験値稼ぎができるんじゃないか?」ということを韓国で聞いてきたのですが、満腹度や親密度でこれに制限を加えているとのことでした。 編: 今回、ソロでは数秒と生きてられないようなダンジョンを体験してみて、個人的には「ラグナロクオンライン」は“縦”の部分では進化し尽くした感じを持ちましたが、次の展開はどうなるのでしょうか? 廣瀬氏: それは私も楽しみにしている部分です。まだ大陸に到達していない所が存在するのかどうか。韓国では「忍者」、「ガンスリンガー」などの拡張職も登場していますよね。でもこれはいわば横の広がりですから、縦の部分はどうなるかは私も気になるところですね。 編: それは3次職やレベル上限が上がるといった可能性ですか。 廣瀬氏: そういう可能性もないとは言えません。韓国でも未発表で、内部的にも見えていませんね。韓国では拡張職が入ったところで次にどうなるかが見えてくると思います。年内のアップデート計画は、シュバルツバルド共和国のストーリーと拡張職の追加といったところです。 編: 日本ではその間新しい取り組みはありますか。 廣瀬氏: 現時点ではまだ具体的なお話はできませんが、構想はあります。従来のGvGは人数や時間での縛りがありましたが、それをもう少し払拭できないかなとか、新しい遊び方を提供できればと思っています。 編: 今回のアップデートに関しては、海外と比べて若干実装時期が遅くなりましたが、これはどのような理由があるのですか? 廣瀬氏: クオリティーの検証に時間をかけました。日本では検証項目も気を遣って行なっています。ローカライズのフローにも少し違いがあるかもしれません。丁寧にやらせてもらっているために、遅く見られることもあるかもしれませんが、どうかご理解いただければと思っています。 編: ところで今年のRJCはどのような形になるでしょうか? 廣瀬氏: 大会というのは、コンセプトやルールを毎回変えるものではないと私は思っています。アップデートの要素は取り入れていきたいのですが、ユーザーの心構えを変えないように、安心感を持って参加してもらいたいと思っています。 昨年の上位2次職は2人までというルールは良かったと思っています。今年もそのままのルールで行きたいと考えているのですが、今回のスキルの追加で戦い方も変わってくる部分があるかもしれませんね。 編: 今回の新スキル等の変化でGvGはどう変わってきますか? 廣瀬氏: クリエイターに武器と防具を同時に破壊できるアシッドデモンストレーションが入ってきますので、クリエイターをパーティーに入れるチームも出てくると思います。元々アルケミストを入れてくるチームはありましたから、それをクリエイターにするかですね。 他はアサシンクロスの「毒薬の瓶」という攻撃力を高めるアイテムの購入回数にタイトな制限をしていたのですがこれを緩くしました。昨年はモンクの「阿修羅覇凰拳」が強すぎるという指摘があったので、モンク以外でも活躍できるバランスにするのが狙いです。モンクかプロフェッサーが倒れると終わりというバランスから他の職業を相対的にバランスを上げました。 編: GvGにホムンクルスを投入するという選択肢はありそうですか? 廣瀬氏: ホムンクルスはキャラクタの強さを飛躍的に上げるものではなく、どちらかというとペット的にかわいがっていただき、遊びの幅を広げるというのがコンセプトです。ホムンクルスは親密度や満腹度といったパラメーターもあるので管理も難しいです。中盤からはなかなかレベルも上がりにくくなってくるんですよね。 編: 今回定期船で移動できるようになっていますが、これは今後とも増えていくのですか。 廣瀬氏: シュバルツバルド共和国では定期船が運航しています。ルーンミッドガッツ王国のイズルードとも繋がっていますが、ルーンミッドガッツ王国内で飛行船の駅が増えるという計画はありませんね。 編: 最近の「ラグナロクオンライン」のユーザーのトレンドはどんなものでしょうか。 廣瀬氏: トレンドと言うよりも願望なのですが、ぜひウルドワールドにも来て欲しいですね。国内ではPvPを求めているユーザーさんが少ないのですが、もう少しにぎわって欲しいですね。経験値が2倍ですから、忙しいサラリーマンに優しいワールドです(笑)。ただ、PKサーバーですから、いきなり襲われることも多くて、キラーポイントは私はかなりマイナスです。負けがこんでますね。 編: 各サーバーのとんがった人が集まってきているイメージですか? 廣瀬氏: そうですね。私は色々なサーバーでプレイしてきましたが、ウルドにはユニークな人が多いですね。好戦的な方も多いですが、マナーを守ってくださっている方も多いです。PvPをスポーツ的な考え方でとらえている方も多いですね。一般ワールドで遊んでいただいて、ウルドでも遊んでいただければうれしいですね。 編: ウルドに本気で人を呼び込むつもりなら、やはりウルド向けのアップデートが必要になるのではないですか。たとえば、今回の上級者向けダンジョンは、ウルドでは活用しようがない部分がありますよね。 廣瀬氏: PKに関する独自のバランス調整はやっていきたいと思っています。それ以外にもウルドワールドでしか行なえないイベントをやっていきたいなと。ウルドワールドでは一般フィールドで戦えるので、攻城戦以上の大規模PvPが可能かなと個人的には考えています。 編: 最後にユーザーへのメッセージを。 廣瀬氏: ぜひリヒタルゼンを訪れてください。今回のストーリーはシュバルツバルドのバックストーリーに深く関わってきます。普段はレベル上げにいそしんでいる方も、このストーリーには注目して欲しいですね。後、ウルドもよろしくお願いします、ぜひ遊びに来てください(笑)。
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□ガンホー・オンライン・エンターテイメントのホームページ (2006年3月13日) [Reported by 勝田哲也 Interviewed by 中村聖司]
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