★オンラインゲームレビュー★
MMO+ストラテジーが新しい
異色のMMOの正式サービス直前の姿をレポ
ファンタジーアース ザ リング オブ ドミニオン |
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ジャンル:MMORPG
開発元:マルチターム
発売元:スクウェア・エニックス
価格:オープンプライス(実売:7,800円程度)
利用料金:月額1,344円、キャラクタ1体追加につき月額105円:最大2キャラまで
対応OS:Windows 2000/XP
発売日:2月23日正式サービス開始
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2月23日よりパッケージ版の発売とともに正式サービスが開始される「ファンタジーアース」(以下、FE)。プレーヤーは全5カ国のいずれかの勢力に所属して、領土争いの続く戦乱の世界「メルファリア」を生きていくというオンラインRPGタイトルだ。
本作には、戦争の行なわれていないフィールドで狩りをして経験値とお金を稼ぐというRPGの要素に加え、50人vs50人という大規模のプレーヤーvsプレーヤー(PvP)を行ない、勝敗によって占領領土を奪い合うというストラテジー的な要素も加わっている。戦争の勝利条件の鍵を握るのはPvPの経過のみではなく、建築物を使った領土確保という要素もありこの点もストラテジー的だ。戦闘システムや操作面にはアクション要素のシステムが用いられたアクションRPGの側面もある。
昨年10月より行なわれてきたβテストは、昨年末に第2次、今年1月から2月初頭には最終段階となる第3次βテストが実施された。本稿では、正式サービス開始直前までのβテストで明らかにされたFEのゲーム内容、そして魅力をお伝えしていく。3度のβテストの中で変化し、正式サービス開始直前の「今」をお伝えしよう。
■ 3度のクローズドβテストで大きく変わった本作。正式サービスではどうなるのか
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最も目を引く大きな要素である「召喚モンスター」。写真のナイトのように、どちらの勢力のプレーヤーなのかが赤と青のカラーでわかるようになった
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写真の右にある情報部分が参戦コスト。参加プレーヤーのランクによって、その後に参加可能なランクに制限が設けられる
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本誌では、2005年11月に「ファーストインプレッション」をお届けした。そのときにお伝えした1次βテストの内容は、プレーヤーが所属できる国が全五カ国のうち「カセドリア連合王国」と「ゲブランド帝国」のみ。ワールドマップも限定されたエリアのみの公開であり、全体的に基本的な要素だけを用意したものであった。
その後、FEは2次、3次とクローズドβテストを継続して実施。2次βテストでは「ネツァワル王国」、「エルソード王国」、「ホルデイン王国」の3カ国が新たに加わり、全5カ国が入り乱れるという正式サービスに向けたテストが開始された。また大きな要素として、巨大な召喚モンスター「ナイト」と「ジャイアント」を実装。建築物の建設にのみ使われていたクリスタルに、召喚モンスターの召喚に使うという新たな利用法が加わり、戦争における戦術にバリエーションが追加された。
1次βテストの建築物は、支配領域の確保と敵プレーヤーをレーダーで表示をする建築物「オベリスク」と、戦争中の防衛側拠点となる「キャッスル」、攻撃側の拠点「キープ」のみだったが、2次βテストからは、召喚モンスター「ジャイアント」を召喚可能な「ウォークラフト」、射程内の敵プレーヤーに自動で弓矢を浴びせる「アロータワー」という新たな建築物も実装され、建築物と召喚モンスターが戦争の行方を左右するという側面が見え始めた。
上記1次、2次のβテストを経て、正式サービス開始前の最終テストとして3次βテストは実施された。これまでのβテスト以上にPvPまわりのゲームバランスを意識したテストと新仕様の実装が行なわれた。
ひとつめの新仕様は「ランク制度」というもの。これは各プレーヤーキャラクタに設定されるステータス項目のひとつで、戦争で連勝することで星印が増えてランクが上昇し、連敗すると下降するというもの。最大数は5となっており、ランクはこのあとに紹介する参戦コストに左右される。
そして「参戦コスト」。こちらは展開中の戦争に応じてコストが設定されるというもの。コストといってもお金のことではなく、ランクによって参戦可能なプレーヤー数に制限がかかることだ。片方の国に高ランクのプレーヤーの参加が多い場合は、もう片方の国のランクのプレーヤーと均衡になるよう50人以下の人数で戦争を行なうことになるので、人数的な不利が発生する。逆に低ランクのプレーヤーが多い国の方は、最大人数の50人で戦うことができ、数的有利を生かすことが可能だ。
つまり「ランク制度」と「参戦コスト」は、人数差やレベル差から生まれる戦力格差が開きすぎないように用いられるバランス取りのシステムだと言える。このことから推測していくと、開発側が意図するゲームの流れは、膠着状態が続き、絶えず戦争が起こるという方向を目指しているように思える。
残念なのは、3次βテストで実装されるとしていた建築物「アルケミーラボ」と召喚モンスター「キマイラ」が最後まで実装されなかったことだ。正式サービスに向けた最後のβテストだっただけに、実際に試してみたいと思っていたユーザーは多いだろう。
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3次βテストで実装されるとアナウンスされていた召喚モンスター「キマイラ」だが、最終的に実装は見送られた。単純に強いというわけではなく、特化した能力を持っている召喚モンスターだけに、キマイラがどのような特性をもっているのかは気になるところだ |
■ 建築物、召喚モンスター、プレーヤーが織り成す戦局の行方が面白い
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今回筆者がプレイしたときに所属したホルデイン王国のワドリーテ女王からの訓令。そのビジュアルからかは定かではないが人気が高く、所属人口は多かったようだ
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さて、1次β、2次βでは「ウォリアー」、「スカウト」、「ソーサラー」の3つのクラスから、「スカウト」を選択してプレイしてきた筆者だが、3次βでは気分を変えて「ウォリアー」で参加してみた。
選択した国家は、2次βより開放された「ホルデイン王国」。イメージキャラクタとしても使われているワドリーテ女王が率いる国だ。まずは、ガイド役的なNPCマネージャーから、国の各種情報や王からの訓令が伝えられる。マネージャーとの会話を終えると、次の行動は特に制限はない。この時点で戦争が行なわれていないフィールドでモンスターの狩りへ出るもよし。いきなり戦争に参加するのもよしだ。
街を見渡してみると、強そうな装備をした無数のプレーヤーが街路を歩いている。レベルも高く、3次βテストでの開放レベルが25までなのか、ほとんどのプレーヤーがレベル25になっていた。
レベルを上げ、装備を整えるためにモンスターを狩りに行くか、それともすぐさま戦争に参加するか少し迷うも、まずは戦争に参加してみることにした。低レベルで弱い装備の状態で戦争に居場所があるのかをみてみるためだ。ホルデイン王国の首都からフィールドアウトし、ワールドマップに移動した。
移動先を選択するワールドマップでは、6大陸が存在し、そのうちの5大陸をそれぞれ各国が治めている。5大陸の中央には国が存在していない大陸が1つあり、その大陸は全国家がぶつかりあう戦乱の大陸となっている。中央の大陸は25のフィールドマップがあり、他の国へ侵略していくにはこの大陸のフィールドを経由していかなければならない。大きな戦力差が生まれない限りはこの大陸のフィールドを奪い合うことになるだろう。
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写真左が全体のマップ、右は戦争が最も頻繁に繰り広げられる中央の大陸「エスセティア」だ。大陸の画面は、国ごとのアイコンや戦争に参加可能かどうかがわかる表示が追加され、視覚的に状況をつかみやすくなった |
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巨大クリスタルの近くで座りクリスタルを取得。取得と同時にヒットポイントが若干回復されるようになった。写真のように前線へ行くプレーヤーにトレードするのが重要だ
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ワールドマップで「参戦可」と表示されている戦争中のフィールドを選択して参加する。フィールドに入るとすでに戦争状態だ。同国のプレーヤーから作戦に関するやりとりが、積極的にチャットで話し合われている。
1次、2次を経て大きく変わったのが、クリスタルの重要性だ。召喚モンスターと建築物を作るためにクリスタルが必要なためだ。レベルも低く、装備も貧弱な筆者は、このクリスタルを運搬するという役割に徹することにした。戦争には物資が必要であり、物資の運搬という補給ラインは大切。FEというファンタジー世界の物資がクリスタルというわけだ。
クリスタルはフィールドに点在する巨大クリスタルの周囲で座ることで取得できる。クリスタルは、所持数が増えるごとに採取スピードが遅くなる。それに一定時間ごとにひとつずつ取得できるのだが、個人個人が独自に取得しているのではスピードに欠ける。そこでクリスタルを前線に運搬するプレーヤーへ、トレードしていくのである。バケツリレーのようなイメージでクリスタルが高速で前線に運ばることにより、建築物がスピーディーに建ち、召喚モンスターを頻繁に召喚できるようになるわけだ。
建築物の基本となるのは、周囲の支配領域を占領し、占領領土にいる敵プレーヤーをレーダーに表示させる「オベリスク」。これと組み合わせて、敵に弓矢を浴びせる「アロータワー」が建てられていく。戦争中は、クリスタルを運搬するラインの補給部隊、前線で建築物を建てつつ敵の建設物を破壊する建築部隊、補給部隊、建築部隊を問わずプレーヤーの撃破を狙う戦闘部隊に役割がわかれる。この役割分担がよく機能していった先に戦争の勝利があるのだ。
互いの建築物が建ち並び、プレーヤー同士がぶつかる最前線のラインが形成されてくると召喚モンスターの投入が始まる。まず召喚されるのが、建築物「ウォークラフト」から召喚されるジャイアントだ。ジャイアントは両肩の砲撃による建築物の破壊に特化した召喚モンスターで、その破壊力は大きい。ただし移動速度は遅く、近距離の攻撃と遠距離の砲撃しか攻撃方法がないため、プレーヤーキャラクタに中間距離から弓矢や魔法で攻撃されると苦しくなる。
ジャイアントの召喚についで召喚されるのが、拠点から召喚できる「ナイト」だ。ナイトは移動速度が高く、召喚モンスターに対して高い攻撃力を誇る。3次βテストの時点ではジャイアントを撃破するための召喚モンスターといった扱いだった。逆に通常状態のプレーヤーキャラクタへの攻撃力は低下するため、ジャイアントがいないときにはその力を十分に発揮することができない。
ジャイアントを召喚するウォークラフトと、ナイトを召喚する拠点には、当然のごとくクリスタルのバケツリレーのラインが伸びる。チャットでは召喚ポイント前にいくつのクリスタルが集まっているのかが逐一プレーヤーから報告され、最前線にいるプレーヤーは敵国召喚モンスターの召喚状況を伝えつつ、召喚してほしいモンスターの要請を同国のプレーヤーに伝える。
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画面左の奥に見えるのは敵国の建てたアロータワーだ。すぐ近くにはオベリスクが建てられ、建設物の建設を妨害している。このような場合、画面中央のようにオベリスクを直接破壊するか、味方のジャイアントを召喚して破壊するのが得策だ |
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建築がひととおり済んでいくのと平行して召喚モンスターが双方に登場し始める。βテストでの召喚モンスターは、建設物に強いジャイアントと召喚モンスターに強いナイトの2種類だったため、ジャイアントが先に出現しはじめ、状況に応じてナイトが召喚されはじめる、という印象だった |
■ キャラクタ育成、装備の強化、スキル選択も重要な要素
戦争の大規模PvPが魅力というと、直接的なプレーヤー同士の戦いがイメージに湧き上がるのだが、FEの戦争は、建築物による領土確保と召喚モンスターのパワーバランス、それを支えるためのクリスタルの存在があり、各プレーヤーの役割分担、そしてそれを効率的に運用するための戦術といったものが重要になる。そういう意味では、ストラテジー的要素が占める割合が極めて高い。50人vs50人の大規模ストラテジーPvPと表現するのが的確かもしれない。
ちなみにクリスタルの運搬に従事した筆者の初戦は敗北となった。戦争も終盤になってくると、拠点間際のクリスタル付近まで敵プレーヤーが侵攻してきて、統制が取れない壊滅的な状況となってしまったのだ。戦争が終結すると、戦闘結果のウィンドウが表示される。PC(プレーヤーキャラクタ)への与ダメージ、建築物への与ダメージ、キル数やクリスタル獲得数といったデータをもとに、経験値が与えられる。上位の装備品を購入するのに必要となるリングは戦争に勝利することで報酬として与えられるため、この戦争では報酬0だった。
一度戦争の繰り広げられる中央大陸を離れ、ホルデインの首都へ引き返す。レベルアップのための経験値とリングの獲得は戦争で得られるが、お金に関しては戦争では得られない。装備品を整えるためには、フィールドのモンスターを狩る必要がある。なお、3次βテストの終盤では、雑魚モンスターを倒すだけでレベルが一気に25になり、スキルポイントとお金もたっぷりもらえる特別仕様だった。しかし、製品版では、ある程度時間をかけて、キャラクタを育てていく必要がある。
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王国近くにあるフィールドでかなり弱い敵を倒したところ、一気にキャップレベルまでレベルアップ! お金も使い切れないほど手に入れた。βテストならではの処置だ |
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街に帰り、装備品を次々に購入。写真の装備は女性ウォリアー用のもので、かなり高レベル用のもの
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お金を入手した後、街へ引き返し、さっそく武器と防具を購入した。装備品には装備可能レベルが設定されており、この時点で販売されているものだけでも、レベル30、40以上のものが売られている。ここではレベル25で装備可能なものを揃えてみた。ウォリアーの武器は3次βテストの終盤では剣、斧、槌があり、片手用のものと両手用のものがある。片手武器は盾も併用できる。
装備が整ったところで次にスキルの取得を行なう。FEのスキル取得はツリー形式になっており、基本的なスキルを取得したり、スキルのレベルをスキルポイントで上げると、新たに取得できる高度なものが増えていく。だが、ツリーは視覚的には隠されているためツリーの階層がつかめない。しかし、スキルポイントは一度消費すると戻せないというなかなか不便な仕様になっている。
隠されたスキルの探索というのも本作の楽しみかたのひとつではあると思うが、時間をかけて成長させたキャラクタが、スキルポイントの振り分けを失敗して満足できないものになってしまうというのは少々厳しすぎる気もする。いつでも再振り分け可能であると、スキル探索の面白みはなくなってしまうので、ここはうまい解決方法を望みたいところだ。
さて、筆者のキャラクタのクラス「ウォリアー」では、この時点で確認できたスキルは主に3種類にわかれる。1つは敵の動きを封じたりする「敵への補助スキル」だ。2つ目は自分のステータスを一時的にアップさせる「自分への補助スキル」。3つ目は敵にダメージを与える「攻撃スキル」で、これが一番種類が豊富だった。単体にダメージを与えるもの、周辺の敵全てにダメージを与えるものなど、効果も様々だ。
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写真はどちらもスキルポイントを消費してスキルを得ているところ。スキルツリーの流れは完全に隠されており、ポイントは一度消費するとやり直しができない。チョイスを間違えたり取得スキルの流れが気に入らない場合は、我慢するか、キャラクタを作り直すか、という厳しい選択をすることになってしまう |
■ 最高レベルでふたたび戦場へ!!
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装備とスキルを一新して再び戦場へ!
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戦争開始直後はまずクリスタルを取得するのが基本だ
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さて、レベルも上がり、装備も整い、スキルも一通りそろえたところで、いよいよ戦争に本格参加だ。戦争に参加し活躍することでリングを獲得できる。お金とリングがないと買えないリングショップの装備品購入を目指すのだ。
中央の大陸に移動し、参戦可能な戦争を見ていく。参戦コストが足りずに参戦できない戦争もこのとき確認できた。すでに高ランクのプレーヤーが多く参加していたため、人数制限が発生したのだろう。バランスを取るためのシステムとはいえ、参戦可能と表示されているのに実際は参加できないのはおかしい。参加人数によって流動的に変化するシステムだけに難しいとは思うが、このあたりも解決を望みたい。
今回は、参戦できる別の戦争に参加してみた。装備が整ったこともあるので、今回は最前線で行動してみることにした。とはいえ、戦争開始直後の行動は変わらない。巨大クリスタルのもとへ行き、クリスタルを得る。ただし、このときはチャットで「クリスタルをください」と発言して、前線へと走った。
一定量のクリスタルをトレードで受け取り、フィールドの各場所にオベリスクを建設する。橋があったり、地形的に狭くなっている場所はプレーヤー同士がぶつかるポイントになるため、そのあたりに率先して建設する。建築物による支配領域下では、敵国は建設を行なうことができないのだ。スピーディーに先手を打って要所を抑えていくことが重要になる。
互いにある程度建築が進んでくるといよいよ激突である。戦闘においては、数的な有利不利がもちろん大きいのだが、「アロータワー」の有無も重要だ。アロータワーから放たれる弓矢の援護があるのとないのとでは戦闘に大きな違いが出てくるのだ。アロータワーを建設できるかどうかは、支配領土を作るオベリスクがポイントになる。敵国のオベリスクが建っている場所では、アロータワーの建設ができないため、敵にアロータワーを建てられて、不利な戦いを強いられることになる。そうした流れを打開するのがジャイアントであり、そのカウンターユニットがナイトというわけだ。
今回の戦争ではウォリアーとして最前線へ進んだが、直接的に敵プレーヤーを倒すというよりも、自国の建てた建築物を守ったり、他国の建築物を破壊したりといった行動を有利に運ぶために敵プレーヤーの行動を妨害するのを目的に動いた。完全に相手を倒しきるというのは、状況によっては難しいため、それよりもしっかり相手の足を止めることが大事だ。そのためには、相手の視界を邪魔したり、動きを遅くしたりといった個々のパフォーマンスを下げるスキルの活用が欠かせない。
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敵国側が橋の向こうにアロータワーを3つも建てており、攻めあぐねている。ここは無理せずジャイアントの召喚を待ちたいところ |
スキルは直接ダメージを与えるものも重要だが、それ以上にステータス異常を与えるものが多く使われていた。写真ではヴォイドダークネスをウケ暗闇状態になっている |
この戦争では、相手国が流れの先手を打ってナイトを早い段階で多く召喚。その様子を見せられるとこちらはジャイアントを召喚しづらくなる。ナイトに対抗するのはプレーヤークラスの中でも攻撃力のあるウォリアーだ。ナイトに攻撃をしかけて撤退させる。こちらがダメージを負った場合には、巨大クリスタルの力で回復を受けたり、アイテムによる回復を試みる。ちなみに回復効果のあるアイテムは瞬時にHPが回復されるわけではなく、使用後少しづつ回復していく。そのため、回復アイテムの有無は確かに重要ではあるが、決定的な差に繋がらないようになっている。
そうこうしているうちに戦局はまたしても相手国に少しずつ傾き始めた。プレーヤーが倒され、オベリスクによる支配領土の面積にも差がつき始め、その結果、拠点のHPが減少していった。全ては循環して作用するように作られており、建築物、召喚モンスター、そしてプレーヤーが戦争の形成を織り成していく。この戦争では、最前線のポイントに相手国のアロータワーを多く建てられてしまい、倒されるプレーヤーが多く出た。敗因は他にもあるかもしれないが、わかれ目のひとつだったことは確かだろう。ほどなくして敗北の表示が出され、戦争は終結した。
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写真はいずれも敵国の召喚モンスター「ジャイアント」と戦っている場面。1対1ではまったく歯が立たないように見えるが、実際にはそれほど強力ではない。あくまで建築物に対して強い効果を発揮する召喚モンスターとして設計されている |
■ 現時点では「もう一歩」という想い。ストラテジー要素を持つPvPは魅力的な可能性を感じる
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ストラテジー要素を持つ大規模な戦争には確かな魅力を感じる。今後の進化に期待したい
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βテストを通して、本作のポイントである「戦争」は、1次βテストのインプレッションで表現した「50対50の大規模PvP」というものよりも、「50対50の大規模“ストラテジー”PvP」であることを強く感じ取れた。
ただし、本作にはいまだ消化不良だと感じる点もある。まず、システム的な面を見ると、描画に問題を感じるのだ。100人という規模のプレーヤーを描画していくことを前提にしているため、グラフィックの質を抑え目にしていることはいいのだが、それを考慮しても描画にひっかかりが感じられる。最も顕著なのは、戦争中の建築物の描画だ。建築物が画面内に入ってくると、一瞬画面が止まってしまうようなひっかかりが発生する。サーバー側の問題か、クライアントプログラム側の問題かは定かではないが、是非スムーズな描画を実現してもらいたいところだ。
また、インターフェイスの面でもさらなる向上を望みたい。βテストの中でも改善されていったポイントではあり、かなり向上したと思えるものの、まだ難を感じる部分はある。本稿の中で記述したものでは、スキル取得に関するのガイドの薄さやインターフェイスの難もそのひとつだ。
以上のことは、細かい部分であり、今後順次改善されていく期待が持てる。個人的に、一番気になっているのは、「戦争の先になにがあるか」という部分だ。このような対人形式で領土を争うタイプのオンラインタイトルには、2通りのものがある。ひとつは、数週間、数カ月という現実世界の期間で勝敗を区切るというもの。もうひとつは、区切りを設けることなく、絶え間なく戦争を展開し続けるというものだ。この違いは、戦争を楽しむというスタンスなのか、戦争の果てにある明確な勝利を求めるのかという決定的な違いを生む。FEは戦争を楽しむというスタンスに近いように感じているが、戦争をひたすらに続けられるモチベーションを維持するための工夫はまだまだ足りない印象を受ける。
FEには確かな楽しさを感じている。それは言うまでも無く、戦争であり、オンラインストラテジーPvPという新しい楽しみのものだ。巨大クリスタルのもとに集い、建築物を使って領土を確保。召喚モンスターが激突するさなか、国という確かで大きなつながりのある他プレーヤーと共に、コミュニケーションをとって戦争を展開していく。架空のファンタジー世界ならではの戦争が楽しめるのは強みだ。そしてそれは、PvPとストラテジーの魅力をバランスよく所持している。これがFEに期待する最大の魅力だ。
総合してみると、現時点では「もう一歩」という言葉が思い浮かぶ。戦争に確かな面白さを感じているのは事実であり、それらをストレスなく楽しめる作り、そして可能であればより明確なモチベーションが用意されると、「もう一歩」という思いは消えていくだろう。正式サービス開始後も、バージョンアップによる進化を心待ちにしたいところだ。その先には、これまでのどのタイトルにもなかったような面白さを持つタイトルが生まれるかもしれない。
(C) SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved.
□スクウェア・エニックスのホームページ
http://www.square-enix.com/jp/
□「ファンタジーアース ザ リング オブ ドミニオン」のページ
http://www.playonline.com/fe/
□関連情報
【12月16日】スクウェア・エニックス、MMORPG「ファンタジーアース」
2006年2月23日正式サービス開始! パッケージも同時発売
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20051216/fe.htm
【11月22日】スクウェア・エニックス、「ファンタジーアース」最新情報を公開
2次βテストでは全5カ国を解放、召喚モンスターが使用可能に
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20051122/fe2nd.htm
【11月7日】オンラインゲームファーストインプレッション「ファンタジーアース」
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20051107/febeta.htm
(2006年2月22日)
[Reported by 山村智美]
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